仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。前回のエコー?が感想欄で正体がバレてない?のはちょっと意外でした。実際はわからないけど字面的には。ゲッタ編で一応同じことをやってたんですけどもね。

今回はトラッシュVSエコー(?)。最初は彼女の独白です。楽しんでいただけたら幸いです。


第四十九の清掃:鏡の魔女

 私は凡人だった。人見知りで引っ込み思案、目立たない様に隅っこで理想の私を妄想するしかできない。そんな私が覚えた処世術は「理想の私を演じること」だった。本当の自分なんか出せるはずがない。苦しいけど、続けなきゃいけない。そんなある日、素の私を知ったのに友人と呼んでくれた男の子がいた。引っ込み思案すぎて名前すらちゃんと聞けなくて、唯一聞けた一文字から「はーくん」と呼んで一緒にたくさん、素の私でお喋りした。楽しかった。

 

 だけど、高校を卒業して私達は離れ離れになった。はーくんが地元を離れて東京に行ったのだ。民間伝承を研究したい、という夢を持っていたから仕方ないとは思った。だけど、どうしてもはーくんと離れ離れになりたくなくて、私はお金を溜めてはーくんを追いかけて上京した。その矢先に、廃棄物症候群が起きた。

 

 地元も壊滅して帰ることもできず、生きるために新東京都で働ける仕事を探す必要があった。下っ端の清掃員として入社したチリヅカ・コーポレーションで実績を積んで、私の容姿と「理想の私を演じること」という特技を見抜いた社長の鶴の一声で私は広報部に所属して、何故か新東京都のアイドル「ミラ」になっていた。有名になればどこかで生きてるかもしれないはーくんに気付いてもらえるかもしれない、そんな思いで一生懸命「ミラ」を演じた。

 

 例え、広報部が実は諜報部で情報を集めるための部署だったという事実を知っても、幹部だけに伝えられる「真実」を知っても、「仮面ライダーミラース」として戦う羽目になっても、私はやめることができなかった。罪悪感がひどくて吐くことも珍しくない生活だったけど、それでも「ミラ」は誰かを笑顔にできるから。はーくんに会うこと関係なく、私の生きがいになっていた。

 

 ミラースとしての暗躍とミラとしての煌びやかな世界の二重生活は、ストレスがひどすぎて、パフォーマンスもろくにできなくなってきていたある日。私は任務を失敗した。ダストルーパーを引き連れてトラッシュとエコーを拿捕してベノムを排除するだけだったはずが、氷室蒼牙の登場で失敗に終わった。私が「演じている」ことを氷室が見抜いて憐れみを向けていることには気づいていたが、変身すらしていない彼に手も足も出なかった。だからミラースドライバーを没収され謹慎処分は仕方ない。だけど、だけど。

 

 謹慎が解けて社長室に呼び出された私に通告されたのは、新たなスポンサーが幹部になったこと、それに伴い私がクビになったという辛い現実だった。演じることすらできず狼狽えるしかなかった私は、逃げた。チリヅカに切り捨てられることがどういうことなのかわかっていたからだ。なぜなら、私自身もクビになった人間の後始末をしてきた人間だからだ。だけど逃げきれずはずがなく。

 

 

 

――――私は、加賀美香子は鏡の迷宮を彷徨う愚者、ミラビリンスにされた。周りが見えず、激痛と命令しか感知できない暗闇の中で私は。誰か助けて。誰か殺して。私を、解放して。

 

 

 

………会いたいよ、はーくん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい。どういうつもりだお前?」

 

 

 瞬間、トラッシュは飛び出していた。怒髪天というものを初めて感じた。その姿で、その猿真似で、なにを謀ったつもりなのか。誰よりも気高く輝いていた心を秘めていた内から漏れるは、なによりもどす黒くギラギラと輝いている別物だ。吹き飛んだエコーは瓦をガラガラと崩しながらホーキージャベリンを屋根に突き立てて止まり、複眼を輝かせて跳躍。ホーキージャベリンを投擲し、自らも足を突き出して急降下。トラッシュはホーキージャベリンを殴り弾き、飛び蹴りもブロックグローブで受け止めて弾き返す。

 

 

「ああ、トラッシュ!貴方の悲鳴を聞かせなさいな!」

 

 

 宙を舞ったホーキージャベリンをキャッチしてくるくる回し、次々と刺突を繰り返すエコー。その一撃はトラッシュが盾の様に構えたブロックグローブを貫通し、強固な装甲が売りのアトミックブロックの装甲が次々と破壊されていく。

 

 

「俺は、どういうつもりだって聞いてるんだ!」

 

 

 しかし知ったことかと言わんばかりに右肩を貫かれながら体を捻り、左ストレートをねじ込むトラッシュ。しかしエコーは左手で握ったホーキージャベリンを基点に宙返り、左手でホーキージャベリンを握ったまま体を捻り、回し蹴りをトラッシュに叩き込んだ。

 

 

「ぐっ……!?」

 

「下々の者とは教養が違いますのよ!」

 

 

 そう言ってホーキージャベリンを引き抜き、まるでビンタでもするかのように片手で握って穂先をトラッシュの頬に叩きつけるエコー。そのまま引くと、ホーキージャベリンを地面に突き立てそれを基点に宙返り。遠心力を加えた二連キックをトラッシュに叩きつけ蹴り飛ばす。トラッシュは耐え切れず、屋根から落下して地面に背中ら叩きつけられた。

 

 

「蟲は地面で這い回るのがお似合いですわ!」

 

『ライトラッシュ!(てん)へすっ飛ぶ!テンペスットボトル!』

 

 

 ならばとトラッシュは先刻作ったばかりのジャンクキューブを装填し、テンペスットボトルに変身。体当たりをエコーに浴びせて宙に舞い上がる。

 

 

「お前だけは許さない!」

 

「ハッ!わたくしを見下そうなんて、百億年早いですわ!」

 

 

 そのまま両手を組んで錐揉み回転しながら体当たりを叩き込むトラッシュに対し、エコーはホーキージャベリンに飛び乗り空中に飛び出し、大量の泡を弾幕の如くばら撒いて迎撃。撃ち落とされたトラッシュは、落ちながらハンドルを三回押し込んで必殺技を発動。周りに展開した六つのエネルギーペットボトルを射出する。

 

 

『トラッシュ!テンペスットバース!』

 

「流石に、直撃は不味いですわね?」

 

「アァ……!?」

 

 

 それに対し、エコーは胸部に自らの手を突っ込んだかと思えば、そこからミラビリンスを引き抜いて投げ捨て、盾にしてしのいでしまう。グシャリと音を立てて屋根に落ちるミラビリンス。まるで手品の様な、しかしあまりにも非道な手法に、何とか着地したトラッシュは怒りに拳を握って震わせる。

 

 

「それ以上、その姿で悪逆を成すのは許さないぞ……ミラース!」

 

『ジャストラッシュ!あっと驚く!アトミックブロック!』

 

「あら、バレてましたの?」

 

 

 アトミックブロックに変身しながら指差されたエコーが口元に手を添えて嗤いながら屋根の上に着地。バックルに手を添えるとその姿が回転扉の様に回って、真の姿を現した。鏡の様に反射する緑色のフェイスカバーで前面を覆って雲のような銀色の鬣がついたのっぺらぼうのような頭部に、ギラギラ煌めいて周囲を反射している銀色のガラス細工のような薄い装甲、両手の甲は変形機構のあるガントレットが付けられており、逆に装甲以外は闇に溶け込むような真っ黒なスーツに細い肢体を包んでいる、銀色の女騎士の様な姿。ゲッタの事件での黒幕にしてチリヅカの幹部を務める仮面ライダー、ミラース。だがしかし。

 

 

『相棒……だがこいつは!』

 

「ああ。ミラースだけど違う、アイツには……ミラには人の心があった!こんな外道じゃない!お前は誰だ!なんでヒカリを騙った!」

 

「ヒカリ?誰のことですわ?わたくしが姿を借りていたのは星霜綺羅羅の変身する仮面ライダーエコーですのよ!」

 

「そのエセヒカリな口調もやめろ!」

 

「あら失礼な。これは素ですわ!あの無礼者を八つ裂きにしなさい、ミラビリンス!」

 

「アァ……!」

 

 

 ミラースの命令を受け、屋根から跳躍し目の前に着地するミラビリンスがブレードを構える。トラッシュとアースが身構える中、デリートはやはり困惑していた。

 

 

「ミラース?でも、ミラじゃないって……聞いてないわ、そんな事は……!」

 

「貴女は、チリヅカから切り捨てられましたのよ、掃除屋!貴女の役目は、わたくし達が引き継ぎますわ!心配せずに果てなさい!」

 

 

 そう言ってミラースもガントレットから目の前に鏡を展開して自らを映すと、次の瞬間には車の窓ガラスから出現。ガントレットから出現させた鏡を前蹴りで蹴り壊し、破片の礫をトラッシュ・アース・デリートにミラビリンスごと叩き込む。

 

 

「ぐっ…!」

 

「きゃっ…!?」

 

「くうっ……!」

 

「アァアアァッ!?」

 

「いいですわ!いい悲鳴ですわよミラ!もっと絞り出しなさい!もっと悲鳴を聞かせなさい!貴女にはそれしか価値がないのですから!」

 

 

 ミラビリンスの悲鳴に反応してゾクゾクと身体を震わせるミラースに、ミラビリンスの正体に行きつき拳を握って震わせ、破片の礫を防ぎながら突進するトラッシュ。

 

 

「ミラース!俺はお前を、許さない!!」

 

「許さないから、何なんですわ?!」

 

 

 大きな破片をガントレットに包まれた手に取り、ブレードとして振るってトラッシュの装甲を叩き斬るミラース。しかしトラッシュは知ったことかと言わんばかりに鏡のブレードを叩き割り、拳を胴体に叩き込んで殴り飛ばした。鏡が割れるエフェクトと共に変身が解除されるミラース。

 

 

「屈辱ですわ……私を地に転がすだなんて、万死に値しますわよ…!」

 

 

 そこにいたのは、翡翠色の煌びやかなドレスで着飾った、銀髪をヒカリと同じ縦ロールに纏めたハイライトの無い金色の瞳の女だった。見るからにいいところの令嬢だがしかし、その表情からは悪意が溢れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 星霜綺羅羅。わたくしと同じ「中央区」に住んでいた、わたくしの幼馴染。誰よりも高貴な血筋を持ち、誰よりも勇敢で、誰よりも気品に溢れ、誰よりも気高く、誰よりも財を有し、誰よりも美しく、誰よりも慈悲深い、まさに神の寵愛を受けし令嬢。そんな彼女が「中央区」を去ったのが半年前の出来事だ。

 

 今の世界は塵芥で溢れている。そんな薄汚い世界から必死にお金を稼ぎに来た者たちは、やはり塵芥でしかない。しかし綺羅羅はそんな塵芥にも優しく接し、あろうことか人間として扱った。あの薄汚い人型が私達と同じ人間だなんて、正気を疑った。そんな彼らの一人が綺羅羅を唆して外の世界に連れ去ったと聞いた。ああ、なんて愚かなのか。自分から肥溜めに堕ちるだなんて、本当に信じられない。慈悲深いことは知っていたが、それにも限度があるだろう。

 

 塵芥でしかない者たちには使い道は確かにある。薄汚いが、その悲鳴は一級品だ。虐げることがわたくしの愉しみの一つだ。手始めに裁判所もなくなったため清掃員たちが捕縛したものの対処に困っていた連続殺人鬼とやらを買い取り、わたくしの(しもべ)として雇った。働いている者たちから適当に選んで特に理由もなく拷問し、その生を貪る。それがわたくしの趣味。同じ方法を、綺羅羅を唆した者にも行った。綺羅羅の行方を知らなかったのは本当に憤慨した。今頃海の藻屑にでもなっているだろうか。どうでもいいことだ。そんなことよりも、だ。

 

 わたくしは星霜家ほどではないが、とある尊き血筋の人間だ。その名を他人へ明かすことは禁忌とされているが、わたくしはこの名を受け継いだことを誇りに思っているし、かの者を継ぐのはわたくしだと信じてきた。

 

 

 なのに。なのになのになのに。なぜ、貴女がそこにいる?なぜ、わたくしがそこにいない?仮面ライダーエコー?綺羅羅は力まで手に入れたのか。わたくしにはない。なぜ、なぜ。わたくしが欲しいと思ったものをなんですべて持っている!?星霜綺羅羅。貴女は何を持ちえないのだ……!

 

 

 ならばなろう、仮面ライダーに。ならばなろう、星霜綺羅羅に。ならば得よう、仮面ライダーを。ならば得よう、星霜綺羅羅を。わたくしこそが、そこに立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お前は誰だ?」

 

「わたくしの名を拝聴できることを光栄に思いなさい。雲街憂世(くもまち ウキヨ)(綺羅羅)を地上と遮る雲。今はチリヅカ・コーポレーションのスポンサーにして幹部、仮面ライダーミラースですわ」




というわけで登場、二代目ミラース、雲街憂世!完全な新キャラだけど存在自体はヒカリの「中央区」の話で示唆はされてました。こんな思想の奴がいないわけがないんだよなあ。モチーフは某ひとつなぎの大秘宝の天竜人及びゴア王国の貴族です。ヒカリの厄介オタク。皮肉なことに先代よりもミラースの能力を使いこなしているっていう。

クビにされてたミラの過去も解禁。理想の自分を演じれるから他人に化けれるミラースに最適だったけどそこまで非情になり切れなかった女。現在はミラビリンスに。

一目でヒカリじゃないと見抜いた怜二、あまり見せない怒りの猛攻。そら家族を侮辱された様なもんな上に仲間を酷い扱いするウキヨにさすがにブチギレ。

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