仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。五十話まで来ました。普通の仮面ライダーなら最終回かもう終わってる話数です。でもトラッシュはまだ中盤なんですよね。

今回は怜二とミラの話。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十の清掃:砕け散る青春、ミラと怜二

「雲街憂世……?」

 

「知ってるのか、ミカ?」

 

 

 名乗りを上げた雲街憂世の名前を反復するデリートに問いかけるトラッシュ。その視線の先では、ウキヨを庇う様に立つミラビリンスが構えている。

 

 

「中央区を仕切る、雲街家のご令嬢……チリヅカのスポンサーになったのも恐らく、嘘じゃないわ……!」

 

「新東京都の成金ってこと?だからってうちの子供たちを痛めつける理由にはならないっての!」

 

「理由にはなりますわよ?薄汚い蟲は、悲鳴を聞かせて愉しませる事しか、存在意義がないのですから!」

 

「ふざけんな!」

 

 

 もはやシスターを取り繕うともせず、アースクロッサーでウキヨに殴りかかるアースを遮るミラビリンス。そのままアースを蹴り飛ばし、続けてウキヨを目指したトラッシュの前にも立ちはだかり、拳に拳をぶつけて相殺する。

 

 

「ミラ!正気に戻れ!お前はそんなやつじゃないだろ!」

 

「無駄ですわぁ。ミラビリンスとなったその愚者が今、感じているのは底知れない闇と終わらない激痛。悲鳴を上げて、暴れ回る事しかできませんのよ!」

 

『ミラース!ドライバー!』

 

 

 ウキヨは嗤いながら雲の意匠がある手鏡、ミラースドライバーを腰に取り付け再度ベルトにすると、鏡部分にジャンクキューブ「鏡」を連結。仰々しくお辞儀する様な動作をすると、ジャンクキューブを撫でつけて六面体に展開させる。

 

 

『ジャンクキューブ……ディメンジョン』

 

「変身ッですわぁ!」

 

『キラッキラ!光る!輝かす!ミラース!』

 

 

 そして巨大な六面体に展開した鏡化したジャンクキューブに包まれてまるでスポットライトを浴びるかのように眩い光に照らされて、ウキヨは仮面ライダーミラースに姿を変えた。

 

 

「ああ、人を超える力……あのお方の至った境地には及びませんが心地いいですわぁ……」

 

「だったら、そのまま逝ってなさい」

 

 

 ミラビリンスの横を抜けてデリートがデリートナックラーを振りかぶってミラースの眼前に立つ。しかしその振り抜かれた一撃は、ミラースの胴体を突き抜けて、その横からデリートの拳が伸びてデリート本人に突き刺さる。

 

 

「なっ……!?」

 

「前のミラースがどうだったか知りませんが、わたくしが認識した攻撃はすべて反射できますのよ」

 

「だから何よ……!」

 

 

 拳のラッシュを叩き込むが、ミラースのどの角度から叩き込んでも、叩き込んだ先から跳ね返ってきて自らの攻撃でダメージを受けるデリートに、召喚した鏡を叩き割って手にしたブレードで滅多切りにするミラース。ふら付くデリートを蹴り飛ばし、嘲笑する。

 

 

「無様ですわね!貴女もミラビリンスにして差し上げますわ!」

 

『ミラービリンス!』

 

「危ない!」

 

 

 そう言ってガントレットを操作するとデリートの目の前に一枚の長方形の鏡が現れ、ミラースがガントレットで拳を握ると罅割れてデリートを取り囲み、突き刺さんと迫る。しかしそれは、物陰から飛び出してきた落地真夜がふらふらのデリートに飛びついて中心から離れたことで空振りに終わった。

 

 

「貴女……どうして……」

 

「しっかりして、仮面ライダー!あんな奴に負けないで!」

 

「……その通りね、今は」

 

 

 真夜の言葉を受けて奮起し、立ち上がるデリート。再び「ミラービリンス」が襲い掛かるが、飛んでくる破片のすべてを殴り壊してミラースに突き進む。

 

 

「アァァアアッ!!」

 

「くっ……早くミカの援護をしないといけないってのに…!」

 

「まるで獣だね…!」

 

 

 一方、こちらはミラビリンスに邪魔されているトラッシュとアース。騎士のような容姿に見合わぬ獣の様な動きで行く手を遮り、高威力の斬撃を叩き込んでくるためそう簡単に抜けられなかった。

 

 

「メル!こいつは、ミラは俺が助ける!隙を作るから、その間に先に行ってくれ!」

 

「え、でも……」

 

「教会の子供たちを傷つけたアイツを倒すんだ!シスター・メル!」

 

「……分かった!神のご加護があらんことを!」

 

 

 そして、トラッシュはミラビリンスの斬撃を肩の装甲で受け止めながら距離を詰めて渾身の一撃を叩き込み、その間にアースが横を抜ける。追いかけようとするミラビリンスの肩の突起を掴んで無理矢理こちらを向かせ、両手で両肩を押さえて暴れるミラビリンスを押さえようとするトラッシュ。

 

 

「ミラ……悪い。俺、ついさっきまで忘れてたんだ、君のこと……君と素顔で会った時に気付くべきだった、だけど俺は忘れていた。お前も忘れていたのか、反応しない俺に怒っていたのか、どっちかは分からない……だけど君には、もう苦しんで欲しくないんだ!なあ、君なんだろ!ミラは、理想の自分を演じたいって言ってた君に、俺が付けたあだ名だ!なあ、そうだろ!?……俺の親友の女の子、加賀美香子!」

 

『え、相棒の親友…!?』

 

「アァ……はーくん……?」

 

 

 トラッシュの言葉に動きが止まり、反応するミラビリンス。怜二の失われていた過去に確かにいた女の子。上京する前、故郷の高校で出会い、偶然彼女の素顔を知って親友となり、青春を共に過ごした女の子。ミラは、加賀美香子の苗字から付けた、大事な思い出の名前だった。忘れていたなんてどうかしてる、心底そう思う位にミラは怜二にとって忘れられない人だった。そんな大事な人が、何故チリヅカにいたのかは知らないが、仲間に見捨てられ激痛に苦しむ理由にはならない。

 

 

「ああ、はーくんだ!八多喜怜二(はばたき れいじ)だ!しっかりしろ、ミラ!」

 

「ァア……トラッシュがはーくんだったなんて……きみ、かっこよくなりすぎだよ……ァアアッ!」

 

 

 しかし激痛は無視できず、痛みのままにトラッシュをタコ殴りにするミラビリンス。それを耐え凌ぎながら、トラッシュはハンドルを押し込もうとして、止めた。必殺技を叩き込むなんて、できない。

 

 

「くそっ、くそっ!だめだ、俺には……」

 

「アァ……だめ、だめ!はーくんを傷つけるなんて、ぜったいだめ!」

 

 

 すると、動きを止めるミラビリンス。ミラにとっても怜二は大事な存在だ。傷つけることへの抵抗が、痛みに打ち勝った。はずだった。

 

 

「つまらないですわね」

 

『ミラーナイト!』

 

 

 すると、いつの間にか横に立って体育座りした膝で頬杖をついているミラースがそこにいて。トラッシュが慌てて確認してみれば、そこには二人に増えたミラースと戦うデリートとアースがいて、さらに困惑する。

 

 

「お前……!」

 

「鏡像は鏡に映せばいくらでも増殖しますのよ。名付けて鏡の影武者(ミラーナイト)ですわ」

 

「雲街……憂世……ッ!」

 

 

 遂に痛みを振り切って、ミラースに襲い掛かるミラビリンス。しかし、すぐ立ち上がったミラースの膝蹴りを受け、さらに肘打ちを顔面に叩き込まれてのっぺらぼうのような顔面がひび割れ、素顔が露出して倒れるミラビリンス。トラッシュも殴りかかるも、ブロックグローブに乗せた手を基点に宙返りで避けられてしまい、木の上に降り立つミラース。

 

 

「つまらないですわぁ……愛と友情で、わたくしの痛みによる支配を脱却するだなんて、つまらないですわ!わたくしの愉しみを奪った罰ですわ……死ぬまで悲鳴を上げながら、最愛の人を殺しなさいな!」

 

『ミラービリンス!』

 

「っ、やめろぉ!」

 

 

 大仰に癇癪を上げるミラースが、何をしようとしているのか気付いたトラッシュは、ミラビリンスを庇う様に前に立つ。しかし、出現した鏡は砕け散ってトラッシュを避けながら、次々とミラビリンスに突き刺さって、隙間から血が噴き出る。ポタポタと紅い滴が地面を濡らし、沈黙するミラビリンス。

 

 

「あら。悲鳴が上がりませんわ?まあ良いですわ、無理矢理破片で動かして、わたくしの操り人形としてトラッシュを……」

 

『トラッシュ!!!!! アトミックレンジング!!』

 

「お前だけは……許さない!」

 

「なっ…!?」

 

 

 限界以上の、五回押し込んで繰り出す、ダークトラッシュ戦で見せた膨大なゴミルギーを纏った強烈な拳がミラースに突き刺さり、その鏡像を一撃で粉砕。その余波で、ミラビリンスを覆っていた破片もすべて砕け散って、中から血まみれのミラが転がり落ち、変身が強制解除された怜二が両手で受け止める。怜二の腕の中で、弱々しく笑うミラ。

 

 

「はは……はーくんやっぱりかっこいいや……誰かのために頑張れるところ、変わらないね……」

 

「俺はかっこよくなんかない……大事な女の子ひとりすら、守れないんだぞ……」

 

「私は自業自得だよ……みんなを笑顔にしてきたけど、人の命も奪ってるんだ……もう、引き返せなくて……最期に、はーくんに会えて、よかった……もっと早く気づけばよかったのに、ね……」

 

「ミラ……行くな、行かないでくれ……」

 

「だい、すき、だったよ、はー、くん……………」

 

 

 その言葉を最期に加賀美香子は息絶えて。怜二の声にならない叫びがその場に轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怜二の悲しみの叫びを聞いて、怒りに震える聖女が一人。放つ弾丸や拳のすべてが反射され、その全てを防いで膠着状態に陥っていたアースは、起死回生の一手に出る。

 

 

「あら、中々の喜劇でしたわね。面白くも何ともないですわ」

 

「絶対に許さないかんね……魔女!女神様!」

 

『そちらが反射なら、こちらは「吸化』です!』

 

「蟲如きが何をしようと、全て自分に跳ね返りますわ!」

 

 

 衝撃を受けるたび輝きを増していた巨大な十字架を振り上げるアース。対して余裕の構えを崩さないミラース。

 

 

「これを跳ね返せるものなら、跳ね返してみろっての!」

 

『アーストライク!グランドフィナーレ!』

 

 

 そして、持ち手はそのままに、アースクロッサーを半時計回りに一回転させて銃口を地面に突き刺し、引き金を引くアース。次の瞬間、吸収していた衝撃が大地に放たれ、それは隆起して足元から突き出る土柱として、ミラースに突き刺さった。

 

 

「なっ、ああああああっ!?」

 

「磔になってろっ!!」

 

 

 天高く突き上げられ、手足をじたばたさせるミラース。しかし、その姿はひび割れて行って。それは偽物だと示していた。

 

 

「残念ですわ……もっと悲鳴を聞きたかったのですけれど、潮時ですわね……貴方達の悔しがる声が、生で聞けなくて残念ですわぁ」

 

 

 その一言と共に、ミラースの鏡像は砕け散る。振り返れば、デリートも砕け散ったミラースを見送っていた。その場には、傷ついた子供たちの呻き声と、怜二の声にならない叫びだけが響いている。そして、変身を解いたメルと真夜が、子供達に駆け寄る中で。

 

 

「……悔しいけど、あの子が一枚上手だったわね。まさか、ミラが殺されるなんて……あら?何で私、こんなに胸がざわついてるのかしら……!」

 

 

 変身を解いたミカは本人も気づかないまま嗜虐的な笑みを浮かべており、その瞳は怪しく金色に輝いていた。




ミラ、死亡。全身貫かれて血をたれ流した状態で暴れさせられて瀕死じゃないわけがなかった。ミラビリンスはG4に近いです。

実は高校時代の同級生で親友だったミラと怜二。ミラの独白で言っていた「はーくん」が怜二でした。てんぱりすぎて「は」ばたきれいじしか聞けてなかったのが名前の由来。だから六道がどんだけ怜二の名前を叫んでもピンと来てなかったんですね。あと五年たってるので怜二が別人に見えていたってのも気づかなかった理由の一つ。怜二の方は記憶がなかったし仕方ないね。

そして「浄化」のエコーに連なる「吸化」の能力を見せたアース。足元からの攻撃はさすがに反射できない。元ネタは拙作ポケットモンスター蟲のキリエのポケモンの「じしん」です。

おや、ミカの様子が……?次回は50話突破ということで特別回をお送りします。

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