というわけで平安時代の話、後編です。R15というか生々しい描写入りますのでご了承ください。楽しんでいただけたら幸いです。
殺意すら感じさせなかった致命の一撃が神儀……晴明の胸を背中から穿つ。仮面の下で血反吐を吐きながらも、返しの蹴りを叩き込む神儀だったが、下手人……晴明の親友、芦屋道満は容易く腕で受け止めながら満面の笑みを浮かべた。
「おお晴明!致命傷を負ってなおまだ戦えるとはさすがは妖狐の血筋か!頑丈だな!」
「がはっ……なんのつもりだ、道満……お前が、私を裏切る理由なんてないはずだ……!」
掌印を結んで術で応急処置を行い、正拳突きを叩き込む神儀。しかしそれは、容易く道満の掌で受け止められ、自らの血を纏い硬質化した掌底がカウンターで叩き込まれて吹き飛ばされそうになり、しかしもう片方の手で道満に手を握られて離れることも叶わず、次々と血の掌底が叩き込まれてしまう。
「ああ、そうだとも晴明!私にお前を裏切る理由なんてあるはずがない!だが残念ながらこれは裏切りではない、全てはお前のためなのだから殺意などあろうはずがない!これぐらいで晴明が死ぬことないとわかっているからな!」
「ぐっ……森淋、力を貸したまえ……」
『無理しないで晴明!』
霊力を振り絞り、シンリの力を借りて現在いる大通りを森にせんとする勢いで次々と木々を生やして道満を突きあげようとする神儀。しかし道満は手を離すと血流を操っているのか底上げした身体能力で、成長する木々を蹴ってアクロバティックな動きで回避しつつ、手刀で木を叩き折ると丸太を片手で振り上げて、投擲。神儀は咄嗟に飛びのいて回避するが、丸太を投げた直後に高速で近づいてきた道満の掌底が胸部に叩き込まれ、途轍もない衝撃が胴体を突き抜け崩れ落ちる神儀。
「ああ、本当に……本当に待っていたぞ!お前が私に完全に背中を預ける瞬間を!わざわざ作った付喪神どもを自ら蹴散らした甲斐もあったというもの!」
「自作自演、だったのか……ごふっ」
『『『『晴明!』』』』
『へえ、そういう腹積もりだったのね……面白いじゃない』
限界を迎え、倒れ伏して変身が解除される晴明に、神儀の帯の扉が開いて五つの五色の光球が出てきて晴明の傍で五行の女神たちの姿に実体化、駆け寄る木火土水と、俯瞰して道満にキラキラした視線を向けるキキラ。まず怒り狂ったのは、カガリだ。
『てめえ……殺されても文句はねえってことでいいんだよなあ!』
「晴明以外に用はない!前から邪魔だと思っていたぞ、五行の女神ッ!」
そう言って両手を掲げると、付喪神の津波が壁の様に押し寄せ、カガリの放った特大火球を防御。さらに付喪神を右腕に集束させて連結、巨大な腕にした道満に鷲掴みにされるカガリ。炎の体を熱して燃やそうとするも、何故か一向に熱量が上がらない。睨みつければ、道満の胴体にいつの間にか装着された丸い鏡が煌めいていた。
「燃やし尽くして……なんだ?なんで燃えねえ……」
「付喪神にしたこの破魔の鏡の力だ!この日のためにわざわざ用意した!お前たちが神とは名ばかりの魔物だという証明だ!」
『なにを!拙たちは正真正銘、神です!』
『そんなガラクタ身に纏った程度でボクたちが!』
『聞き捨てならないわ。何とかなると思っているなら、舐められたものね……』
『覚悟しろ道満!晴明の信頼を裏切ってただですむと思うな!』
巨大な岩石を浮かばせ、発射するセキカ。両手を合掌し、極太ビームと見紛う水流を叩き込むスイセン。〝ヴァジュラ”を空中に複数召喚し、一斉に降り注がせるキキラ。木々を操り、その全てを槍として突き刺すシンリ。破魔の鏡は一人にしか作用しないのか、四人の神々の怒りが同時に叩き込まれる。しかしそれは。道満が、秘密裏に平安京に敷いていた特大の陣を発動するには十分すぎる隙だった。
瞬間。道満を中心に溢れ出た禍々しい呪力が女神たちの攻撃をかき消した。暗黒が道満を瞬く間に覆い隠し、先刻の道満の剛腕など可愛く見える程に巨大な顔が現れて大口を開けて迫って来ていて。晴明もろとも女神たちを飲み込んでしまった。そしてそれは立ち上がる。平安京が股下に在る程に巨大で巨大な、ゴリラの様に両腕を地面に降ろしてその自重を支えている真っ暗な巨人。月に照らされるその姿の表面は、異形が蠢いている。塵塚怪王が、初めてこの世に現れた瞬間だった。
「大量の付喪神を用意するだけでは足りないのだ……晴明の霊力のこもった大量の鮮血こそこの陣の発動の鍵だった!そのために傷つけてしまったが、許してくれるよな?晴明……あぁ、その無防備な寝顔、新鮮だァ。好きだ晴明!この塵塚怪王の中で、私と一つになろう!晴明ィ!!」
「ううっ……」
そんな雰囲気も減ったくれもない愛の告白を聞きながら晴明は目を覚ます。なんというが、円形にくりぬかれたゴミ山の中と言うべきか。四肢がガラクタの枷で封じられ、無防備な体を晒される形で天井からぶら下がっている。はだけて顔を出した豊かな胸に、舌が這う。道満だ。
「ああ、その身体を貪りたくて仕方なかったぞ晴明ィ……一度だけ、お前が寝ている時を狙って我等の子を成しはしたが……やはり目覚めているお前と愛を語らいたいぞ晴明ィ…!」
「……なんだって?」
聞き捨てならない言葉を聞いて、察してしまう晴明。そういう妖術を使えば陰と陽の違いなんて関係なく。不明だったあの子供の父親が誰かわかって。晴明は吐きそうな気分になったが必死に耐えて涙目になる。自分を救い、絶大な信頼を向ける親友だと思っていた道満の裏切りに、ぐちゃぐちゃな気分だった。
「道満……なぜ平安京を襲った……?」
「なぜ?何故だと?わからないのか晴明!晴明は私にとって全てだ……晴明の仲間も敵も、私だけでいい!お前が他の輩に意識を向けるなどと耐えられない……故に、晴明以外の全てを汚し、滅ぼすために付喪神の王……塵塚怪王を生み出したのだ!ここは塵塚怪王の中だ。女神たちも既に取り込んだ。自力では出てこれぬ。さあ、邪魔者はもういない。この中から日ノ本が滅びるのを私と一緒に見届けるのだ晴明。きっと絶景だぞ」
「ふざけるな道満……私一人のために世を滅ぼすだと……そんなこと許されるか!」
「お前がいればいい、晴明。それ以外必要ない。許しなど乞う必要もない。天皇も滅びる。例え源頼光でも、この塵塚怪王は倒せない!」
「なら私が倒す!お前の凶行を止められなかった責として……塵塚怪王とお前を、止めて見せる!」
僅かに残った霊力が、腰に取り付けられたままだった神儀の扉を輝かせる。しかし道満は怯まない。
「無駄だ晴明。神儀の帯は五行の女神あっての力!その全てが塵塚怪王に取り込まれた以上、混装などできるはずがない。諦めて私と一つになるのだ、晴明!」
「断る!私はお前と語らいたいんだ!一つになどなってたまるかぁあああああああああああ!」
すると、不思議なことが起こった。晴明の心からの叫びに呼応するように霊力が迸り、晴明の四肢を通じて塵塚怪王に流れていく。そしてそれに呼び覚まされた木火土金水……五人の女神が目を覚ます…!
『待たせたな、晴明!』
『お前の霊力で燃え上がって脱出できたぜ!』
『ああ、拙は怖かったです…!』
『折角、鮮やかになったのに……塵まみれにするのは、流石に許せないわよ?道満』
『ここに来る途中でボクが浄化してやったぞ!この巨体は維持できない!』
晴明の傍に現れ、木刀で拘束を破壊するシンリに続いてカガリ、セキカ、キキラ、スイセンが顔を出し、その中心で晴明は掌印を結び、五芒星を描いて、目を瞑ることなく道満を見つめて叫ぶ。
「
『
そして神儀へ変身を果たした晴明に対し、崩れていく塵塚怪王の瓦礫の雨を受けながら満面の笑みで呪符を手に下腹部に叩きつける道満。
「そうだそれでこそだ晴明!我が手にそう簡単に収まらぬお前だからこそ欲しいのだ!
すると、塵塚怪王が弾け飛んだ。カガリの力で空を舞う神儀が目にしたのは分裂し、高所から荒廃した平安京に落ちていく付喪神たちと、その中心から出てきた蠢く真っ黒な泥の様なものが地面に落ち、ゴキゴキと音を立てて三メートルはある美しき異形の人型に変形していく光景。
「ハァ……晴明、お前を真似てみた……塵塚怪王の力を我が身に取り込み、混装した姿だァ…!」
現れたのは、豪華絢爛な青紫色で金色の縁取りがされたドレスの様な服を纏いながら、まるで枯れた樹木の様な角が、頭や背中から無数に生え、全身をドロドロとした何かが覆い、唯一両目だけがそのまま見えている……それが、今の道満の姿だった。塵塚怪王・魔人態である。
「私が、私こそが塵塚怪王だ!私を殺さぬ限り、付喪神は止まらないぞ晴明ィ!」
「なら、倒すだけだ!」
着地し、水を流して滑走し、回し蹴りを叩き込む神儀。しかし塵塚怪王は大きく身を捩って回避したかと思えば、その体勢から右腕を振るい、それに連動して巨大な拳を形作った付喪神たちが叩きつけられる。
「があ!?」
「どうした晴明ィ!そんなものではないだろう!?」
でたらめに両腕が振るわれ、次から次へと巨大な一撃が叩き込まれ、神儀は土と金で作った壁を蔦で補強した盾で何とか耐えるも、それに耐えて居たら今度は本体が飛蝗の脚力で飛び込んできて鋭い蹴りが突き刺さり、防御が崩れたところに重たい巨拳が叩きつけられる。あまりに強すぎる、勝ち目がないのは明白だった。咄嗟に全身から金の杭を生やして塵塚怪王を後退させるが、時間稼ぎにしかならなかった。
「ぐうっ……どうすれば……道満を殺したくないし、勝てる未来が見えない……」
『方法はあるわよ。殺さないで勝つ方法』
『キキラ、それは……』
「教えてくれ、キキラ!」
救いの手とも言うべきキキラの声に問いかける神儀。帰ってきたのは残酷な答え。
『封印するのよ。私達五行の力と貴女の霊力があれば、可能だわ』
「なんだって……?」
狼狽える晴明。しかし塵塚怪王の猛攻は止まらない。再び、でたらめな巨大な連打が叩き込まれる。
『……晴明。道満をこのまま野放しにすれば、世界は終わるぜ』
『あれは、塵塚怪王はそれほどの災厄です……あんなものを野放しにすれば』
『ボクたちは君の選択を尊重する』
『選んでくれ、晴明』
女神たちの言葉に、神儀は拳を握りしめ、そして決意。手動で神儀の帯の扉を開き、五つの尻尾をパージして塵塚怪王を五芒星の形で取り囲むように配置し、溢れた霊力を集束させる。
『カンコーン!神の儀式!!!』
「うおおおおおおっ!道満ッッ!!」
「何のつもりか知らないが、来い晴明ィ!!」
そのまま霊力を迸りながら跳躍した神儀を受け入れるように両手を振り上げる塵塚怪王。霊力は陰陽玉を形作り、神儀はそれを蹴り込む様に飛び蹴りの体勢で叩き込んだ。
『五行封印!!!!』
「おおお、おおおおおおおおおおっ!?」
凄まじい引力が発生し、塵塚怪王の姿が粒子となって陰陽玉に吸い込まれていく。その姿が崩れて道満に戻ってなお、吸引は止まらない。
「これは……封印か!ああ、晴明よ!私の愛は届かないのか!私の愛を受け入れてはくれないのか!この
そんな呪いの言葉を吐きながら、完全に吸い込まれていき、陰陽玉が地中に消える。封印はなされた。しかし、変身が解けた晴明の顔は。
「………どうしてだ、道満」
悲しみに満ちていた。
塵塚怪王を倒したとして、最強の陰陽師と謳われる晴明。その後、引き取ることになった道満の子を殺すべきか悩んだ晴明だったが、子に罪はないとして結局殺すことはできなかった。貴族と結婚し、子を成して。塵塚怪王の封印が解けない様に子々孫々、伝え続ける道を選んだ。そうして受け継がれたのがヒカリの一族、星霜家である。
しかしそれは、塵塚怪王の力に魅入られた星霜菅良によって息子に継がれなかったために封印は弱まり、そして道満の魂を失った塵塚怪王は復活。
そして、道満の血は。血の呪術により、子供に託された血の記憶はやはり受け継がれ。そして、幾重にも別れた末に最も濃い血を受け継いだものが道満に憧れ、ヒカリが塵塚怪王になったことにより嫉妬し、現代の戦いに参戦した。それこそ、雲街憂世、そして………である。
クレイジーサイコレズ(純愛)な道満(女)。これを史実通りにするとまあ、うん。子供を作ったのは某青王の息子みたいなあれ。
塵塚怪王は道満が生み出した厄災でした。しかし、今の塵塚怪王に道満の意志はありません。じゃあなにがアレを動かしているのか?という話になってきます。
そして判明。道満の子孫、雲街憂世。なんか異様に強いのは先祖返りしてるから。あと血筋的にはヒカリの親戚だっていうね。
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