仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。お久しぶりの本編です。そしてヒカリとサラSideをお送りします。

エコー強化のお話。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十一の清掃:反響する後悔、完全なる力

 清掃員派遣会社RKSの事務所を構える一軒家にて。大きめの緑のパーカーと黒のショートパンツを身に着けたサラと、薄紫色のVネックの上に紫と白のスカジャンを羽織りオレンジのフレアスカートと素足にサンダルという怜二が見繕ってくれた普段着を着たヒカリが机に突っ伏していた。

 

 

「怜二……どこにいったんですの……」

 

「あの時襲撃してきた奴らが恐らくチリヅカの差し金としかわからなかったのに、この訃報ですからね……」

 

 

 ミラが死んだ。つい先日、自分たちの前に立ちはだかったばかりのチリヅカの幹部の訃報が、怜二が連れ去られた直後の新東京都に伝えられた。新東京都のアイドルだ。その死の影響は計り知れるはずもなく。新東京都全体がお通夜状態となっており、仕事も休業せざるを得なかった。

 

 

「……お爺様……星霜菅良が死んだと聞いた時もそうでしたが、人の死は堪えますわね……」

 

『…ボクにも気持ちはわかるよ』

 

「まあ私も一度死んでるようなものなんですが」

 

『今の相棒はそう簡単には死ねないから心配することないぜ!』

 

『君達本当にデリカシーないな!』

 

 

 相も変わらずドッくんがデリカシーのない発言にキレるエコちゃん様。しかしサラは笑ってパーカーをめくって腰のベノムドライバーを撫でることで応える。ベノムⅩに変身したことでお互いの理解度が高まったらしい。なんならサラもちょっとデリカシーがなくなった気がする。

 

 

「私達が勝てなかった相手を圧倒した力……ベノムⅩ。敵もどんどん強くなっている。私も、強くならないと……怜二と一緒にいれない……?守れない……?」

 

『強くなりたいのかい?ヒカリ』

 

 

 頭を抱えて悩むヒカリに、傍らの机の上に置かれたエコードライバーからエコちゃん様が問いかける。そんな相棒に、ヒカリは涙を湛えて考えていたことを吐き出した。

 

 

「エコちゃん様……私が強ければ、怜二が連れ去られることもなかったはずですわ。最初に出会った時も塵塚怪王の時も助けられて、ばかりで……」

 

『強くなる方法がないわけじゃないけど、君次第かな?』

 

 

 そう言って、エコードライバーから液体が溢れて机から零れてヒカリの傍に水たまりを作っていく。目を見開くヒカリ。サラとドッくんも何事かと視線を向けると、水たまりから立ち上がる様にして人型を形作る。踊り子のような格好の半透明な青髪の美女。人間態の水の女神、スイセンがそこにいた。

 

 

「え、エコちゃん様…!?」

 

「やあ、こうして会うのは初めましてだねヒカリ。ボクはスイセンというんだけど……エコちゃん様と引き続き呼んで欲しいな?」

 

 

 ニコッと微笑むスイセンに、顔を赤くして目を逸らすヒカリ。その反応が嬉しいのかニヤニヤと手を口元にやって笑うスイセンは、真面目な顔になると手をかざした。

 

 

「仮面ライダーエコーはボクの力を貸している状態だ。だけど、ボクは水の神だ。本来の力は、浄化の特性を持つ水を操ること。浄化の泡としかボクの力を扱うことができないエコーは不完全な状態と言える。ボクの力を完全に引き出すことができれば、これまで以上の力を手に入れることができるはずだ」

 

「そんなことが…!?」

 

「君のためなら一肌脱ぐさ、ヒカリ。君のためならボクのすべてを捧げても構わないと思っている!」

 

 

 そう言って、右手を掲げるスイセン。すると掌が光り輝き、水が弾けるようにしてそれがその手に握られる。それは、持ち手の部分が黄金の龍の頭部になっている、蒼い龍が蜷局を巻いた様な小型のアイテムだった。蜷局から頭部だけ突き出ているその形状は、シャワーヘッドの様にも見える。差し出されたそれを、握りしめるヒカリ。

 

 

「シャワーアブソーバー。泡を水に変えるアタッチメントだ」

 

「シャワーアブソーバー……これを、使えば」

 

「負担も尋常ではないけど……使うかどうかはヒカリ次第だ。ああ、時間切れだ……もとより形を持たない水であるボクは晴明程の霊力がないと本来の姿になることもできない……癪だねえ」

 

 

 するとスイセンの形が崩れ、水たまりに戻ってしまうとそのまま逆再生するかのようにエコードライバーに戻っていく。シャワーアブソーバーを握ったまま熟考するヒカリ。心配したサラが声をかけようとした、その時だった。

 

 

 

 建物が崩れる音と、悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

 

「「!」」

 

 

 それを聞いた瞬間、引き締めた表情で飛び出すヒカリとサラ。怜二がいない今、新東京都の平和を守れるのは自分たちだけ。そんな想いに突き動かされてのことだった。サラはあらかじめトラに作ってもらっていたジャンクキューブを取り出し、ベノムドライバーに装填。牙のスイッチを押し込む。

 

 

「ドッくん!」

 

『おうよ!ジャンクキューブ……ジューシー……!マシンベノムホイーラー!』

 

 

 そうしてベノムドライバーから吐き出された廃液が形を成したのは、大口を開けたベノムを模したボディの三輪バイク、マシンベノムホイーラー。舌の部分が赤い前輪になっていて目の部分がライトになっているそれにサラとヒカリが跨り、フルスロットルで走り出す。繁華街にやってきて見えてきたのは、崩壊したビルと、その中に煙で大きなシルエットだけ見える異形の人型。

 

 

「ウオォオオオオッ……」

 

「ゴミリオン…?」

 

「それにしては規模が大きすぎるような?」

 

 

 人々が逃げるそこを逆走して車体を止めた二人は、誰もいなくなったことを確認すると、ヒカリはエコードライバーを腰に取り付け、サラはパーカーで隠したベノムドライバーを露出して、同時にジャンクキューブとジャンクマスキューブXを装填する。

 

 

『ジャンクキューブ・アンチゴミー!』

 

『ジャンクキューブ・ウォッシュ……』

 

「「変身!」ですわ!」

 

 

 ヒカリとサラの掛け声が同時に響き、泡が弾け、緑と紫の廃液が陰陽を描く様に渦を巻く。

 

 

『マゼマゼ……!ベノミックスダブルス!オーバードーズ!』

 

『エコードレス、響け……』

 

『不幸!絶望!怨嗟!スベテ食らいマックス!』

 

エコー……エコー……エコー……エコー……!

 

『ベノムX!!メディスンッ!』

 

 

 そして変身と同時にホーキージャベリンとベノメイスを構え、飛び込む両者。しかしその一撃は、それぞれ両手であっさり受け止められてしまった。

 

 

「なっ…!?」

 

『その姿は…!?』

 

「なんですって!?」

 

滅べ!

 

 

 

 それはおどろおどろしい声を出したかと思えば、二人をシンバルの如くぶつけて投げ飛ばしてしまう。吹き飛ばされながらホーキージャベリンに跨って空中で急ブレーキかけるエコー。ベノメイスを地面に突き刺してボールを回るようにして衝撃を緩和させるベノムⅩ。エコーは「トラッシュ…?」と首を傾げるが、ベノムⅩは複眼を見開いて驚いた。

 

 

「ダークトラッシュですって…!?」

 

「え!?それって、私が変身したという…?」

 

「そう!ヒカリを乗っ取った塵塚怪王が変身していたのとよく似ているわ!でもなんで?塵塚怪王は倒したはずじゃないの!?」

 

 

 崩れたブロックの様な怒る鬼のような形相の丸い紅い複眼の顔に、細身ながらもマッシブなブロックが組み合わさった上半身で両手は四角い手袋を身に着けているかのような、下半身はブロックが組み合わさってスタンプの様になっており、両腕両足はブロックグローブによく似た四角い装甲に包まれている、トラッシュ・アトミックブロックによく似た漆黒の異形の怪人。仮面ライダーダークトラッシュがそこにいた。そして、それだけではない。

 

 

「あラ、久しぶりネ。ベノムの方は強くなったらしいじゃなイ?研究させてほしいワ!」

 

「なっ……ネリー・ホワイト…!?」

 

 

 空中に漂っていた影が動いたかと思えば、降りてきたのは仮面ライダーローネ。ベノムⅩに飛びつき、鋭い蹴りを叩き込む。

 

 

「あれが気になるかしラ?あれはねえ、そこの星霜綺羅羅の例かラ、塵塚怪王復活にはとある血が必要だとわかったかラ、それを利用してその血筋の人間を見つけてきて大量のゴミルギーを与える実験の結果ヨ。あの時の塵塚怪王ほどじゃないけど、その力は別格ヨ」

 

「また、人で実験を…!この外道!今日という今日は許さないわ!ごめんヒカリ!そっち任せた!」

 

「任されましたわ!」

 

 

 ネリーと鍔競り合いするベノムⅩをよそに、ダークトラッシュと対峙するエコー。シャワーアブソーバーが頭によぎったが、負担のことを思い出して頭を横に振り無理矢理忘れると、ホーキージャベリンに乗って突貫する。

 

 

破滅しろ!

 

『ダストリガー!リサイクレーン!』

 

 

 一瞬だけ目隠しする様にダストドライバーの「眼」に右手をかざし、左手にガシャガシャと音を立てて瓦礫が巨大なクレーンの様な腕を組み立てていき、できあがった巨大なクレーンアームを振り回すダークトラッシュ。エコーはギリギリ身を捩って避けながらすれ違うが、大地が裂け、凄まじい衝撃波が襲い掛かって錐揉み回転しながら吹き飛ばされてしまう。

 

 

「なんて力…!」

 

『一撃でも受けたら死だ!気を付けろヒカリ!』

 

壊滅してしまえ!

 

「そう言われましても…!」

 

 

 ホーキージャベリンから飛び降りて、手にしたままのホーキージャベリンを突き刺すエコー。しかしそれは容易く装甲に弾かれ、右手で後頭部を掴まれてダークトラッシュの頭突きが炸裂。意識が遠のいたところにリサイクレーンが振るわれ、途轍もない衝撃に吹き飛ばされるエコー。泡を広げて衝撃を和らげるも、ダメージは絶大だ。

 

 

「ぐうっ……」

 

『右に避けろ!』

 

滅亡せよ!

 

 

 意識が朦朧とするも、エコちゃん様の呼びかけで何とか身を捩って致命の一撃は避けるも、衝撃波で転がっていき変身が解除されるヒカリ。ベノムⅩが駆け寄ろうとするも、ローネの召喚したシローに阻まれ助けに入れない。

 

 

『ヒカリ、使いたくないのはわかる。だけど……』

 

「……負担は怖くないですわ。私が怖いのは、強い力を手に入れたら……あの時みたいに、暴走しないかどうかということですわ……」

 

『ヒカリ……』

 

 

 ダークトラッシュとして怜二を痛めつけた記憶こそぼんやりとしているが、それでも怜二を傷つけたという事実がヒカリの心を蝕む。強い力を手にして、同じことにならないとは、どうしても信じられないのだ。

 

 

「目の前の奴は、かつての私ですわ……」

 

『ヒカリ。よく聞くんだ』

 

「エコちゃん様…?」

 

『君は強いよ。何の力を持たなかったのに、ゴミリオンに立ち向かって。その誇りを失いはしなかった。確かに力を飲まれたかもしれない。だけど、』

 

絶滅しろ!

 

 

 リサイクレーンが振るわれる。衝撃波が地面を砕きながら迫る。それを見ながら、ヒカリはシャワーアブソーバーを咄嗟に取り出して。一瞬蝕まれた心が迷うも、しかしそれは。相棒の声で洗い流されていき、そのトリガーを引きしぼった。

 

 

『今の君にはボクがいる!そうだろ!?』

 

『シャワーアブソーバー!』

 

「エコちゃん様……力を、貸してくださいませ!」

 

 

 瞬間、シャワーアブソーバーの持ち手である龍の口から水流が飛び出してそれは渦を巻いて衝撃波を防御。そしてそのまま水のホースになると、エコードライバーの蛇口と連結。まるでホースに繋がったシャワーヘッドを握るかのような構えとなったヒカリは、シャワーアブソーバーを天に掲げて再度トリガーを引き絞った。

 

 

「変身ですわ!」

 

『アブソリュードレス、溢れろ……!エコー……エコー……エコー……エコー……!』

 

 

 するとシャワーアブソーバーから蒼い水が雨の様に降り注いでヒカリを濡らし、それは水たまりを作って膨れ上がっていき、水中に沈めるようにヒカリを包み込む。呼びかけが大きくなっていくのと合わせて波紋が広がってヒカリの全身に纏わりついて装甲に変わっていく。

 

 

『アブソリュゥゥウウウト!!!エコー……!!

 

 

 そして水しぶきと共に弾けて現れたのは、金色の龍が巻き付いているかのような形状の突起が目立つ肩はアンダースーツ剥き出しの紺碧のドレスの様な装甲の、下半身は西洋のドレススカートの様なアーマーで淵に金色の龍の胴体がついており、前面は開いていて開放的だ。両腕にあったアームカバーの様な装甲はなくなりシャープな紺碧のアーマーがぴっちりと張り付いており、黒いアンダースーツが長手袋の様に滑らかに動く。蒼く染まったリボンの様な後頭部のパーツは先端が長くなって波の様に漂い、赤く丸い複眼がダークトラッシュを睨みつけ、手にしたシャワーアブソーバーを軽く振るうと、水が滴り集ってシャワーヘッドを持ち手とした剣となったそれを突きつける。

 

 

「ボクの水に溺れるがいい、ですわ!」

 

 

 仮面ライダーアブソリュートエコー。水の神の代行者が、ここに完全に顕現した。




エコちゃん様の生み出した強化アイテム・シャワーアブソーバーで変身、アブソリュートエコー。泡から水へ。

そして地味に誕生及び再登場、量産型塵塚怪王のダークトラッシュ。このダークトラッシュはリサイクレーンしか使えないという違いがあります。トラッシュの装備再現はヒカリだったからできた。

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