仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。序盤の方でミラとそういう関係なのが示唆されていたネリーの思惑。こういう展開をするために入れたけど蛇足だったかなと今更ちょっと後悔。

今回はアブソリュートエコーの活躍と、北海道での惨劇。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十二の清掃:浄化の女王、紅く染まる雪鬼

『アブソリュゥゥウウウト!!!エコー……!!

 

「ボクの水に溺れるがいい、ですわ!」

 

 

 アブソリュートエコーへと変身を果たしたエコーは、ダークトラッシュと対峙する。かつての愚かな自分の生き写し。誰が変貌したのかは知らないが、自分が倒さなければならない相手だ。剣となったシャワーアブソーバーを手に取り、足裏から水流を出して加速。鋭いひと突きを叩き込み、咄嗟にダークトラッシュが盾にしたリサイクレーンに突き刺さると、膨れ上がって破裂。水の質量がダークトラッシュを弾き飛ばした。

 

 

「へえ!エコーの更なる力!?私のそれをはるかに上回る水流操作!興味深いわネ!ベノムもエコーも私の想定できない力を出してくル!素晴らしいワ!マニュアル通りだったミラとは大違イ!」

 

『ベノムリバース!メディスン!→⇒ポイズン!』

『猛毒喰らわば皿まで!スベテ飲ミ込ム!ベノムⅩ!!ポイズン…!』

 

「それもだネリー・ホワイトッ!!てめえっ、ミラはどうした!たしか、社員の間でその関係が噂されるほど仲が良かったはずだろうがッ!!」

 

 

 アブソリュートエコーの一撃に感嘆の声を上げるローネに、ポイズンフォームにチェンジしたベノムXが飛び掛かる。振り上げたベノメイスを、シローを伸縮自在な盾として防ぎつつローネは笑う。

 

 

「へえ、色が変わると性格も変わるのネ。興味深いワ……ああ、ミラとは仲良くさせてもらってたわヨ?あの子は不安定だかラ安心させル誰かが必要だったノ。社長からの命令でネ。ああ、でも……ミラは私を満足させることもできなかったデクノボーだったワ。ベッドの上じゃお得意の演技も下手くそでネ」

 

「わかったぜ……ネリー・ホワイト、お前はゴミにもならねえクズだ。俺たちがぶっ殺して襤褸雑巾の様に捨ててやるよ…!」

 

「へえ!あの大人しい娘がこうまでなるのネ!ああ、本当に……あの時貴女を殺してよかっタ……!」

 

 

 怒りの形相に仮面を歪めるベノムXのベノメイスと、ローネが手にした槍の様に変形し水を刃の様に纏ったシローが激突する、その下で。シャワーアブソーバーから滴る水流を鎌の様に変形させたアブソリュートエコーの猛攻が次々と炸裂するたびに爆ぜ、その部分が浄化されていく。

 

 

「負担なんて感じない!今のボクは、無敵だ!ですわ!」

 

 

 そう豪語するアブソリュートエコーの猛攻に対し、ダークトラッシュは両腕をトゲトゲに変形させて迎え撃つも、その全てが、水流ホースで繋がり振り回される鎖鎌の様になったシャワーアブソーバーに斬り伏せられていく。たまらずシャワーアブソーバーを殴り弾き、距離をとり物陰に隠れてゴミルギーを溢れさせ浄化された部位を侵して回復するダークトラッシュ。五秒あれば必殺技を発動できる。しかし、その五秒を稼ぐことなど不可能に等しい。

 

 

『レインチャージ!』

 

「そんな壁でボクから逃れられると思ってますの?」

 

『クラウドバースト!』

 

 

 トリガーを引き絞り、シャワーアブソーバーから滴る雨をせき止めてホースが膨れ上がるほどに溜めたそれを向け、トリガーを放して土砂降り(クラウドバースト)とも言うべき極太水流を叩き込むアブソリュートエコー。壁はぶち抜かれ、隠れていたダークトラッシュは吹き飛ばされて転がっていく。剣、鎌、鎖鎌、銃。水はどんな形にも変化する。その体現。なによりも、優しさが感じられない容赦のなさだ。

 

 

「これで終わりだ、ですわ」

 

『ウォーターフォール!!』

 

 

 どこか冷酷さを感じさせる一言と共に、足元から水を噴射してダークトラッシュの傍に着地。シャワーアブソーバーをエコードライバーの上に向けた蛇口にセット。シャワーの様にシャワーアブソーバーから蒼い水が溢れ出し、水たまりを広げてダークトラッシュを浸したかと思えば水は生きている様に動いて拘束する。

 

 

『サルヴェージャッジメント!!ヴォルテックスイーパー!』

 

 

 そうしてアブソリュートエコーはシャワーアブソーバーのついた蛇口をレバーの様にして右横に勢いよく下ろすと、水はダークトラッシュを中心に渦を巻くとキューブ状に集束。足から水流を出して滑走し、シャワーアブソーバーを引き抜いて水の鎌を展開するとすれ違いざまに幾重にも斬り裂いた。

 

 

「悪いことは言わな……言いませんわ。ボクの水に溺れろ……ですわ」

 

ギャアアアアアアアアアッ!?

 

 

 そして、ダークトラッシュは水圧に押しつぶされるようにして爆発。水飛沫が上がり、ダークトラッシュに変身していたであろう男がびしょ濡れで崩れ落ちる。

 

 

「ダークトラッシュがやられた!?やっぱりそこに意思がないと仮面ライダーってのは弱いのかしラ?」

 

 

 シローでベノムⅩを縛り上げながら興味深げに呟くローネ。そこ目掛けてシャワーアブソーバーを握ったアブソリュートエコーが水流を撃ち込むも、それは伸びたシローに受け止められて吸収されてしまう。

 

 

「なっ……ボクの水流を…!?」

 

「九十九シリーズっていうんだけどネ。ローネ、ミラース、リーン、ボロウはそれぞれ神様に対するアンチライダーシステムなのヨ。私のローネは貴女対策ヨ、水の神スイセン」

 

「…ボクを舐めてるのかな?ですわ。その許容量を超える水を叩き込むぐらいわけな……ッ」

 

 

 すると、シャワーアブソーバーがスパークを起こしてエコードレスに戻ってしまうエコー。狼狽えて自分の手を見るエコーをよそに、エコードライバーは冷静に告げた。

 

 

「な、なんでですわ!?」

 

『五分経ったか……命拾いしたね。ネリー・ホワイト』

 

「時間制限があるみたい?神様に名前を覚えてもらえるなんて光栄ネ。バーイ」

 

 

 手を振るとベノムⅩの拘束を解いたシローに乗って飛び去って行くローネ。エコーとベノムⅩは、悔し気にそれを見ていることしかできなかったが、ダークトラッシュに変身させられていた男がうめき声を上げるのを聞いて我に返り、慌てて介抱するのだった。

 

 

「……怜二。私は、力を手に入れましたわ。貴方は今、どこに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、北海道では。教会の椅子に寝かせたミラの亡骸を前に項垂れている怜二の背後で、傷ついた子供たちを治療するメル、マヤ、ミカ。幸いなことに命に関わる重症の子供はいなかったが、それでも物資の少ない今では致命的な怪我人の数だった。

 

 

「どうすれば……」

 

「失礼するぞ!」

 

 

 すると教会の扉を開け放って入ってきたのは、人間態のオガミと、雪の刺繍が入った白いネクタイに黒スーツを身に着けたサングラスの男女複数。そして、その後ろから現れた男に、ミカはデリートナックラーを手にして警戒する。

 

 

「……氷室蒼牙…!」

 

「そういうお前は掃除屋だったか?ここに身を寄せていたか……いや、今は関係ない。救援物資を持ってきた。遅れてすまない。鏡の世界からの奇襲は気づくのに時間がかかってしまった……」

 

 

 そう言って氷室が右手を上げると、黒スーツの男女が手にしたカバンから包帯やら薬瓶などを取り出して治療に当たる。メルは邪険にすることなく礼を告げた。

 

 

「ありがとうございます、氷室さん。おかげで子供たちは助かります……」

 

「いいや、本来は我々が守るべきだった。子供たちを傷つけたなどと、うちで働く親御さんたちに申し訳が立たない。至急休みを取らせて子供達に会わせるべきだな。すぐにでも手配する」

 

「……怜二。その、大丈夫か?」

 

 

 メルと氷室が話し合っているのをよそに、怜二に駆け寄るオガミはおずおずと怜二に問いかける。怜二は泣きはらした顔で振り返り、首を横に振った。

 

 

「……ミラは、親友だったんだ。思い出すのも遅れた。救えなかった。俺は、仮面ライダーなはずなのに……」

 

『相棒……』

 

 

 傍で浮かんでいたトラは慰めようにも手が存在しない自らの体に唸っていると、代わりと言わんばかりにオガミが怜二の顔を抱きしめた。無機物製とは思えない柔らかさが怜二の顔を覆う。

 

 

「怜二!一番つらかった時にすぐ助けに来れなくてごめん……!オレ、友達なのに……仮面ライダー、なのに。なにもできなかった!本来なら、侵入者を察知するのはオレの役目なんだ!なのに、なのに……すまない」

 

「……お前が気にすることじゃないよオガミ。鏡からの奇襲だなんて、誰にもわからなかった」

 

「でも……」

 

「そうだオガミ。お前は悪くない。卑怯な手を使ってきたチリヅカこそ諸悪の根源だ。こんな手段に出るとは思わなかったがな」

 

 

 そう言いながら氷室が怜二とオガミの傍にやってくると、オガミの頭を撫でて怒りに顔を歪ませる。その気迫に子供達から小さな悲鳴が上がった。

 

 

「悪かった。脅かすつもりはなかったんだ。……八多喜怜二、この間ぶりだな?」

 

「……俺は、あんたに食料の供給を戻すように頼むためにここまできた。こんな形で来るつもりはなかったけど」

 

「行動力があるな?流石は英雄様だが……その話はあとにしよう。今は、その娘の処遇が先だ。俺達、雪鬼組で預かる。異論はないか?」

 

「え……なんで」

 

「もしかしたら、救えるかもしれない。といったら?」

 

 

 その言葉に顔を上げる怜二。真っ直ぐ見つめられた氷室は頷いた。

 

 

「俺達はゴミルギーの研究をしている。それを応用すれば、死んで直ぐなら蘇生することも可能かもしれない。このまま安らかに寝させたいというなら尊重する。だが、この娘がこうなったのは俺にも責任の一端はあるだろう。償いをさせてくれ」

 

「本当に、助かるのか?」

 

「わからない。だが、仁義は通すつもりだ」

 

 

 その言葉に、怜二は頷いた。ミラの遺体を大事に抱えて持って行く氷室の背中を、怜二は力なく見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかして、帰還を果たした氷室達を出迎えたのは、雪鬼組の仲間達ではなく。残骸として転がるゴミリオンたちと血を流して倒れた構成員たち、そしてその惨劇を生み出した、白いアーマーを赤く染めた部隊が。

 

 

「取り上げた装備と一緒の建物で私達を閉じ込めようだなんて、詰めが甘かったね氷室蒼牙…!」

 

「殲滅。開始」

 

 

 コールドトルーパーと仮面ライダーサブゼロ……オガミが捕らえ、確保して収監されていたはずのホーロドニー・スメルチ全員がそこに待っていて。

 

 

「……どうやらよほど死にたいらしいな」

 

『だりぃ。やっちゃいけないことをやったな?』

 

 

 前に出ようとするオガミたちを押しのけて、鬼の如き形相の氷室がトラッシュドライバー零を腰に取り付ける。ブチイッ!と。人類最強の堪忍袋の緒が切れた音がした。

 

 

『ジャンクキューブ・フロスト……』

 

「変身……!」

 

『冷凍ぉ!ジェネレイトぉ!グレイトぉ!アイス!ナイス!グレーイス!』

 

 

 雪鬼が、吠える。




一人称がエコちゃん様と同じ「ボク」なアブソリュートエコー。変幻自在な剣・鎌・銃と変形するシャワーアブソーバーと、凄まじいまでの水の力を用いますが、制限時間は五分な模様。

邪悪な本性を現したネリー。良くも悪くも典型的なライダーの科学者です。

そして希望が見えたのも束の間、ホーロドニー・スメルチによって壊滅状態に追い込まれた雪鬼組の雪鬼ファーム。怒髪天のグレイスがいざ参る。

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