仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回は書きたいことをまとめました。いつもの3000字ぐらいに比べたら大ボリューム7000字以上。どこでわければいいかわからなかった。

今回は謎の女の正体、遂に対決する2人、そして最凶登場とてんこ盛り。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十六の清掃:目覚めし獣、トラッシュVSグレイス!

 その女は、もとはローカストゴミリオンだった。大晦日にトラッシュ達を襲ったものと同種である。なんならあの場にいた。しかし馬鹿正直に立ち向かった連中と異なり、トラッシュの危険性を感じて逃亡した個体だった。

 

 彼女は元となった怨念の蝗害の本能から、同じ姿のローカストゴミリオンたちと徒党を組んで、郊外の人間を襲っていた。しかし、彼女は人間を一切食べなかった。人を襲うのは本能にあったが、突然変異個体であった彼女は、人間に対して一切食欲が湧かなかった。その代わり、本来禁忌であるはずの同族に対して、特にその心臓であるジャンクキューブに対して食欲が溢れていた。共喰い、それがこの個体だけが有する異質な性質である。そして、現代のゴミリオンの出自故に、純粋なゴミリオンでありながら女の形を獲得した。ゴミリオンの特殊個体であり付喪神の完全上位種である。

 

 この個体にまだ名はない。しかし、ローカストゴミリオンでは断じてない。ローカストゴミリオンであった正しく異形のゴミリオン。名づけるとすれば、塵芥を咬み殺す物。―――――【アクタガミ】。

 

 

「ああ、そんな……せめて、氷室さんに、連絡を……」

 

 

 雪鬼組の一員である人間の女性、朝倉薊(あさくら アザミ)は目の前の光景に恐怖する。自身は軽く殴られ転倒しただけで済んだが、この場におけるリーダー格であるオガミが変身したガオスは蹴り飛ばされてからシャットダウンでもされたみたいに沈黙し、仲間のゴミリオンは瞬く間に四肢を嚙み千切られて捕食され、人間も殴られ蹴り飛ばされ、足を掴まれて地面に叩きつけられての暴虐の限りを尽くされている。それを行った下手人……人間にしか見えないが明らかに人間じゃないそれ……アクタガミにアザミは恐怖する。

 

 

《「どうした?朝倉。セーフハウスについたのか?オガミはどうした?」》

 

「ひ、氷室さん……ぐうっ、私達は、全滅しました……襲ってきたのは……ッ!?」

 

「……」

 

 

 ガオスの浸食を終えたアクタガミ、アザミが通信端末で氷室に連絡をしているのを目ざとく見つけ、バッタの脚力で瞬間移動と見紛う速度で目の前に現れ、その髪を掴んで持ち上げる。アクタガミは喋らない。今の自分では、氷室蒼牙に勝てないことはわかっているからだ。

 

 

「はな、して……」

 

 

 なんとか腰のホルスターから取り出した高圧水鉄砲を向けるアザミの腹部に拳を叩き込むアクタガミ。通信端末と高圧水鉄砲を取りこぼしたアザミを雑に投げ捨て、アザミの右腕を手に取ると嘲笑を浮かべながら右腕をへし折った。

 

 

「うああアァアアアアアアッ!?」

 

《「どうした!?なにがあった!?アザミッ!?」》

 

 

 裂けた口が三日月を描く。人間が苦しむのを見るのは愉しい。人の形をしていても、それはゴミリオンの本能だった。ただ食欲はわかない。その頭部を鷲掴みにして持ち上げ、目線を自分と合わせるとニヤァと不気味な笑みを浮かべた。激痛に悶えるしかないアザミは、アクタガミから染み出したゴミルギーの霧に浸食され体の機能が封じられていくのを感じることしかできなかった。

 

 

「あ、あ、ああー……んんっ。“オガミさんは、私達を襲撃してきたトラッシュに敗北しました。トラッシュは、ゴミリオンを率いていて……あいつは、人類の敵です。気をつけ、……”」

 

《「嘘だろ?トラッシュが……アザミ!返事をしろ!アザミィイイ!」バキッ》

 

「あ、あああ……」

 

 

 自らを持ち上げたまま、もう片方の手で喉を押さえてアザミと同じ声を出し、虚偽の報告を行ったアクタガミ。狼狽える氷室を無視して通信端末を踏み潰して破壊し、視線をアザミに向けるとニタニタ笑う。それを見てアザミは、自分が取り返しのつかない過ちを犯してしまっただと気付いた。

 

 

「ボクじゃ、連らク先、わかラなかっタ。アりがとウ。俺ノ役にタってくレテ。こレで、トラッシュを、殺せル。じゃ、ガオス。殺しテ?」

 

「氷室、さん。ごめん、なさい……」

 

 

 操り人形となったことを確認する様にアクタガミが命令したガオスがアザミに迫り、そして。ガオスと共にアクタガミは教会に赴いて。現在に、至る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在。マシントラッシュトライカーに乗って、怜二とマヤは雪鬼ファームへ急いでいた。その道すがら、左手で怜二に躊躇なく掴まったマヤは通信端末を取り出して何処かに連絡を取っていた。

 

 

「ということで、ホーロドニー・スメルチと名乗っていたチリヅカの差し金による構成員虐殺と、その排除による安定していた氷室蒼牙の精神の揺らぎ、そしてガオスの襲撃及び撃破と、もう雪鬼組は終わりです」

 

《「牽制するだけのつもりが、めんどくさいことになりましたね……」》

 

「誰と連絡してるんだ?俺がどうのって」

 

《「ふぁっ!?まさか、仮面ライダー様と一緒にいるんですか!?ず、ずるい!」》

 

「一緒にいて当然でしょう!だって……って、危ない!」

 

 

 すると、通話相手が気になって後ろを向いていた怜二の向こうから落ちてきたものを目ざとく見つけて警告の声を上げるマヤ。怜二は前を向いてそれを視野に入れるなり急ブレーキ。落ちてきたそれ……氷塊がマシントラッシュトライカーをぺちゃんこにし、咄嗟にマヤを抱えて離脱した怜二は、それを投げたであろう人物を視界に入れて、酷く驚いた。

 

 

「……まさか本当に、俺を殺すつもりなのか?……氷室」

 

「お前こそ、まさか逃げられると思っていたのか…?トラッシュ」

 

 

 そう言いながら部下が運転したジープが泊まり、その荷台から飛び降りたのは、怒りでオニのような形相を浮かべた氷室蒼牙。その様相は、かつての仁義に厚い(オトコ)ではなく、部下を殺された義憤にかられた夜叉の様だった。

 

 

「そっちの女は……前に見たな。葛柳会のナンバー2か。そうか、トラッシュ。お前、葛柳会の手の者だったってわけか。鼻っから俺達を皆殺しにするつもりでここに来たんだな?卑怯者の嘘つきめ。俺は仁義を疎かにするやつは大嫌いだ。それが、大事な部下を殺したなら猶更、ぶち殺さないといけない」

 

「どういう意味だ?お前こそ、オガミが俺を殺せなかったから直接出向いたんだろう。ミラを連れて行って、どうするつもりだった?俺を殺すためなら、……友人のオガミだって利用するなんてな。見損なったぞ、氷室。お前を倒して、新東京都の「食」を無理やりにでも取り戻す!」

 

「…?氷室さん、話がなんか噛み合ってませんぜ。なにかおかしい気が……」

 

「離れてろ。巻き込まない自信はないぞ……」

 

 

 首を傾げた部下の言葉にも耳を貸さず、氷室は怜二と同時に腰に付けた相棒にジャンクキューブを装填。慌ててジープに乗って逃げ出した部下が去ったあとの周囲に氷の壁が形成されて、凍てつく円形の広場を作り上げる。

 

 

『行くぜ相棒!俺のパチモンみたいなあのベルトも壊しちまえ!ジャンクキューブ!プレス!』

 

『だりぃな後輩……今の氷室はご機嫌斜めだぜぃ。ジャンクキューブ・フロスト……』

 

 

 相棒たちが答え、莫大な冷気と共に賛美歌の様な壮大なメロディーが鳴り響き、エネルギーブロックがぶつかり合う音がドラムの様に響き渡り、そして。2人は同時に走り出した。

 

 

「「変身!」」

 

『ジャストラッシュ!あっと驚く!アトミックブロック!』

 

『冷凍ぉ!ジェネレイトぉ!グレイトぉ!アイス!ナイス!グレーイス!』

 

 

 トラッシュ アトミックブロックのブロックグローブとグレイスの凍り付いて武装した拳が激突。衝撃波が広がり、マヤは咄嗟に自身の顔を手で庇う。そのままもう片方の拳が互いの仮面に炸裂。2人の男の意地と意地が激突する。

 

 

「さあ、掃除の時間だ…!」

 

「お前は冷凍処分だ、凍えて眠れ!」

 

 

 競り勝ったのは、常人離れした筋肉密度を誇るグレイスだった。殴り飛ばされるトラッシュ。地面にブロックグローブを打ち付けてブレーキを行い、距離を詰めてきて凍り付いて武装した右脚を無造作に繰り出してきたグレイスの一撃を防御。天高く蹴り飛ばされるも、仮面ライダーデリートに変身した際に目覚めた戦闘センスが、咄嗟に形態を変える判断を行った。

 

 

『ライトラッシュ!(てん)へすっ飛ぶ!テンペスットボトル!』

 

「喰らえ!」

 

 

 テンペスットボトルに変身して空中に滞空し、両手のペットボトルを模した装甲の飲み口に当たる部分から空気を圧縮した空気砲を乱射するトラッシュ。グレイスはその全てを常人離れした動体視力で捉えると氷で武装した拳で叩き落とし、そのまま地面を殴りつけると、巨大な霜柱がせり上がってきてグレイスをトラッシュの元まで持ち上げた。

 

 

「なっ…!?」

 

「逃がすか…!」

 

 

 至近距離で拳を振るい、冷気が圧となってトラッシュを巻き上げる。トラッシュは振り回されながら咄嗟に三回ハンドルを押し込み、必殺技を発動。六つのエネルギーでできたペットボトルを顕現してそれを足場に蹴って体勢を立て直し、誘導ミサイルの如く発射すると自身はジャンクキューブを取り換えてフォームチェンジを行った。

 

 

『トラッシュ!テンペスットバース!』

 

『ジャンクキューブ!メガプレス!…ギガントラッシュ!ギンギン!ガガーン!テック・ボス!ギガンティックボックス!』

 

 

 変身したのは、巨大質量を誇るギガンティックボックス。拳を構えてエネルギーペットボトル六つと共に急降下し、さながら隕石の如く突撃するトラッシュ。

 

 

「ぐおおっ…!?」

 

 

 エネルギーペットボトルは咄嗟に拳で迎撃しようとしたグレイスの足場である霜柱を余波で粉砕し、そこに鋼鉄の重量級の拳が炸裂。グレイスはなすすべなく地面に叩きつけられた。

 

 

「これで……なにっ!?」

 

「この程度で俺が参ると……思ったのか!?」

 

 

 しかし、グレイスは地面に叩きつけるなり踏ん張って潰されるのを避けていて。受け止めている掌から冷気が広がり、巨体が右腕から凍り付いていく。

 

 

「一瞬だけなら…!」

 

『オートラッシュ!息の根ストップ!ウィキッドゾンビー!』

 

『ライドラッシュ!ギアチェンジ!……(まわ)る暴力!リボルバイク!』

 

 

 咄嗟にウィキッドゾンビに変身し、液状になってギガンティックボックスの巨体から逃げ出すトラッシュ。慌ててリボルバイクにチェンジして一息ついたのも束の間。完全に凍り付いた巨体が投げつけられ、なんとか受け止めたタイヤシールドを回転させて背後に受け流すことに成功した。

 

 

「そんなものか、トラッシュ!」

 

「いいや、まだだ!」

 

『トラッシュ!リボルバーニンゲイル!』

 

 

 トラッシュは三回ハンドルを押し込んでホイールに炎を纏ったタイヤシールドをグレイスに向け、炎を纏った竜巻を発射。するとグレイスは足場を凍らせてアイススケートの様に滑走して回避。炎の竜巻が当たっても全然溶けない氷の壁を壁走りして背後に回り込み、拳をタイヤシールドに炸裂させて拉げさせ、爆散させるとそのまま猛ラッシュ。リボルバイクの特徴である重装甲が見る見るうちに凹んでいく。

 

 

「ぐあああああっ!?」

 

「痛いか!お前に殺されたオガミやアザミたちは、もっと痛かったんだぞ!」

 

「ぐうう……アザミって、誰だよ!」

 

『ボン!トラッシュ!派手に吹っ飛びぃ!ハナビックリ!』

 

 

 猛攻に晒されながらもなんとかジャンクキューブを取り換えたトラッシュはハナビックリにチェンジ。殴った瞬間爆裂してグレイスを吹き飛ばし、距離を取ることに成功した。

 

 

「こけおどしか…!」

 

「はあ、はあ……強い!カデンエックスやソリッドアライブでも、勝てるビジョンが見えない……」

 

『相棒……俺は、最期までついていくぜ』

 

「付き合わせる気はないよトラ。俺達は、勝つ!勝って……ヒカリたちのもとに、帰るんだ!」

 

 

 北海道に来てから、たくさんの出会いはあった。だけど、痛い目に遭った記憶を取り戻し、ヒカリの偽物に怒り、かつての親友を喪い、惨劇を目撃し、新しくできた友達に襲われて殺し、そして認めあったはずの尊敬すべき男と殺し合っている。辛いことが多すぎた。新東京都に帰りたい、ヒカリやサラに会いたい、今の家族に癒されたい。そう心底から思うほどに、怜二の精神は疲弊していた。最後のジャンクキューブを、使う。

 

 

『マットラッシュ!得体のしれない!エキゾチックレイ!』

 

「行くぞ!氷室蒼牙ぁああああああっ!!」

 

「来い!トラッシュ!いや、八多喜怜二ぃいいいいいっ!!」

 

 

 エキゾチックレイとなり、右腕を巨大化させたトラッシュ、冷気を纏って鋭利に尖った氷を右拳に構えたグレイスが、同時に突撃する。エキゾチックレイの変幻自在の肉体による剛力は、グレイスに届くはずだった。しかし、面と点がぶつかればどうなるか。点は、面を貫く。

 

 

「ぐああああああああああっ!?」

 

 

 凶器と化した氷を纏った右拳が、トラッシュの右腕を引き裂いた。装甲が斬り裂かれ、皮膚が裂け、肉を突き破り、骨まで見える重症を負ったトラッシュは変身が強制解除され、引き裂かれた右腕を押さえて悲鳴を上げる。惨敗だった。塵塚怪王を単騎で打ち倒した英雄も、人類最強には、敵わない。

 

 

「くっ、これ以上は!変身!」

 

『メイクアンドクラッシュ!グラセンド!リ・ダスト!』

 

「邪魔だ」

 

 

 見てられないとばかりにマヤがグラセンドに変身、グレイスに突貫するも、デコピンされる様に放たれた冷気が包み込み、氷像となってグラセンドは静止。グレイスは、怜二に歩み寄る。

 

 

『相棒!?しっかりしろ、相棒!?』

 

「痛いか?いつもは凍らせて痛みもなく殺すんだが、お前は違う。俺の部下を痛めつけた罪をじっくり味わってから死んで行け」

 

「ぐうあああっ……なんの、話だ……」

 

「お前も俺も、地獄行きって話だよ。……ホーロドニー・スメルチの隊長が言ってたこの世の地獄よりはましだろうさ。悔いながら死ね、八多喜怜二」

 

『相棒!!!』

 

 

 死刑台のギロチンの様に、ゆっくりと冷気を纏った拳が振り上げられる。覚悟して目を瞑る怜二。そしてその時は、訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 倒された時、奴の支配から解放された。ガスの体だから何とか逃れた俺は、主のもとに馳せ参じた。そこで見たのは、主君と友人が殺し合う光景。あまりに強烈で手出しできなかった。だけど、友人が負けて、殺されそうになったその時。

 

 

 

 

 友人を殺す主君の姿を、俺は見たくないと思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

 

 待てども待てども、衝撃は襲ってこず。恐る恐ると、眼を開け、見開く怜二。そこにあった光景が、信じられなかった。

 

 

「……こふっ。ガスの体でも、冷気を纏った、若頭の一撃は耐えられない、か……」

 

 

 そこにいたのは、自らを庇う様にグレイスに背を向けて間に立ちはだかったガオス。その胸部を冷気を纏った拳が貫いていて。明らかにそれは致命傷だと、わかった。変身が解除され、胸に開いた風穴からガラクタの破片を零したオガミが、怪人態で崩れ落ちる。

 

 

「なんで、そんな、死んだはずだろ?なんで、俺、オガミを……お前のせいだ……八多喜怜二ぃいいいっ!!」

 

「させっるかああ!」

 

 

 オガミを手にかけて狂乱したグレイスが、オガミ諸共仕留めようと拳を振り上げる。しかしそれは、無理矢理凍結を打ち破ったグラセンドが飛び掛かることで防がれる。それを尻目に、瀕死のオガミは動揺して声も出せない怜二に向き合った。

 

 

「怜二。俺なんかと友達になってくれてありがとう。信じてくれないかもだけど、襲ったのは、本意じゃなかったんだ。俺がアイツに負けたから、こんなことになったんだ……」

 

「オガミ、俺は……お前を、信じることが……」

 

「怜二、お前はもう変身できないんだろう?ジャンクキューブがないなら……俺はもう死ぬ、だから。俺の残骸を使ってくれ」

 

「なに、を……?」

 

 

 オガミの言葉に、やめてくれと懇願する様に抱きかかえる怜二。重いはずのその体は、胴体をごっそり失ったためか少女の様に軽かった。それは死にかけだと示していて。

 

 

「俺、ゴミだからさ……死んだら、それぐらいしかできないんだ。若頭を、たの、む…………」

 

「オガミ!?オガミ、オガミ…ッ!」

 

 

 爆散することなく事切れたウルフゴミリオンに泣き崩れる怜二。程なくして、立ち上がる。その表情は影になっていてわからない。トラが恐る恐る問いかけた。

 

 

『だ、大丈夫か?相棒……?むがっ!?』

 

 

 しかし怜二は返事することなく、トラッシュドライバーの吸引孔をウルフゴミリオンの残骸に押し付けて。吸いこまれ、新たな大きめのジャンクキューブとなって怜二の手に乗ったかと思えば、それは跳ねるようにして変形。

 

 

『ガオ!ジャンキュビースト!!』

 

 

 四つ足と耳、そして通常のジャンクキューブ程はある大きな尻尾を生やし、キューブの体を開閉して口の様にした狼の様な姿となる。ゴミリオンを使うというイレギュラーが起きたため生まれた“ジャンキュビースト”である。その音声は高く女性の様で、オガミのそれだった。

 

 

「……オガミ。悪いけど俺は、お前を殺したアイツを……俺自身のことも、許せない」

 

『お、落ち着けよ相棒……ジャンクキューブ!メガプレス!』

 

『ワオーン!!!』

 

 

 尻尾を下に向け、お手をするような体勢となったジャンキュビーストの尻尾部分をトラッシュドライバーに装填。ハンドルを押し込むと尻尾を挟まれたジャンキュビーストから遠吠えが響き渡り、その口から蒼い煙が広がっていく。まるでホラー映画の悲鳴の様な不協和音のメロディーが周囲に響き渡り、ヒットアンドアウェイで応戦していたグラセンドとグレイスもそちらに気を取られて視線を怜二に向ける。そこには、猫背となりジャンキュビーストの頭部に手をかざした怜二が、煙の隙間から殺意のこもった目を向けていて。怜二は、レバーの様にジャンキュビーストを前に倒した。

 

 

『ビーストラッシュ!』

 

「……全部、壊してやる。変身」

 

『廃棄ラブ&ピース!エキセントリックビースト!』

 

 

 トラのものではない爽やかな音声が轟き、蒼い煙が怜二を完全に包み込んで、ガオスの変身の時と同じくサイケデリックに輝き、一気に集束して、変身を終えていた。四角いフォルムはそのままだが、色は蒼く染まっていて頭部も胴体も四角い角の部分が前を向いていてまるで誰も寄せ付けないかの様。ダイヤ状の複眼が紫に輝いているそれは仮面ライダー、かもしれない。だが。

 蒼い煙……ガオスモークがマフラーの様に覆った口部分が開閉して獣の様に鋭い牙を晒していて、さらに四肢についた突き刺さったパイプの様な噴出口から放出されたガオスモークに包まれた両腕は指が長く先端が鋭く、足も三つ指になっていてやはり先端は鋭く逆関節になっていて獣の様。極めつけは太腿についた噴出口からモクモクと溢る煙が臀部で実体化して、巨大なモフモフの尻尾の様になっていた。

 

 

「ウウッ、ウウオオオオオオアァアアアアアッ!!!!!!」

 

 

 両腕を振り上げて天を仰ぎ、塵塚怪王を思わせる咆哮を上げるそれは仮面ライダーであって仮面ライダーにあらず。倒すべき敵であるゴミリオンの力で変身を果たした禁断のトラッシュ。仮面ライダー、ビーストラッシュだった。




 正体判明、アクタガミ。まさかの大晦日回に出てきたローカストゴミリオンの生き残りでした。なんで女なのかは後々。かなり悪辣な、新たな脅威です。

竜美に報告するマヤ。襲撃する氷室。すれ違いの認識で行われる死闘。これ全部アクタガミの登場で狂ったっていう。さすがの主人公も最強のグレイスには及ばず。

そして、倒された大ダメージを負っていたのに怜二を庇って致命傷を負う正気のオガミ。これにより完全に正気を失った氷室を前に、オガミの残骸を使って新生、ジャンキュビースト。ジャンクキューブビーストタイプ、がフルネームです。そしてついに誕生、ビーストラッシュ。仮面ライダー自体の名前が変わるタイプの強化です。モチーフは狼男と排気ガス。立ち位置は…?

北海道編も最終局面へ。お気に召していただけたら感想ならびに評価、お気に入りしてくれると嬉しいです。

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