仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。殺意に目覚めた怜二の大暴れ。名前もレイジだから怒ってからが本領発揮かもしれない?

ビーストラッシュVSグレイス。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十七の清掃:廃棄物のケダモノたち

「……全部、壊してやる」

 

「なんでお前が!オガミの力と姿を使っているんだ!八多喜怜二ィイイイッ!!」

 

 

 静かに呟いた異形へと変貌したトラッシュの新たな姿、ビーストラッシュに、グラセンドを殴り飛ばして躊躇なく飛び込むグレイス。余波だけで地面を抉るその拳を、ビーストラッシュは一跳躍で宙返りして回避。両足のパイプから煙を放出して足場にして滞空すると、四つん這いになってから跳躍。足場にしていた煙を掴んで回転の勢いのまま投げつけた。

 

 

「こんなもの!…!?」

 

「グルルッ…」

 

 

 飛んできた足場の煙を凍り付かせて殴り砕くグレイス。しかしそれを目くらましにビーストラッシュは目の前に立っていて。無造作に振るわれた横蹴りが炸裂。凄まじい膂力でグレイスは蹴り飛ばされ、ビーストラッシュは四つん這いとなって煙を放出して加速しながら地面を蹴り、グレイスに追いつくとそのまま獣の様な煙を纏った手による掌底を顔面に押し付け、煙を放出して加速。直角に軌道を描き地面に叩きつけられるグレイス。

 

 

「煙の操作とそれによる加速……その程度で俺に勝てると思っているのか!」

 

 

 するとグレイスはトラッシュドライバー零の蓋を開いて莫大な冷気を放出。周囲を氷漬けにしていき、ビーストラッシュはたまらず跳躍して空中に煙で足場を作って四つん這いで着地して逃れるがしかし、氷漬けは広がっていき氷の剣山となってビーストラッシュを突き刺さんと天高く伸びていく。

 

 

「グルルッ!?」

 

「人の言葉もなくしたか!理性が消えた今のお前は怖くないぞ!」

 

 

 氷の造形を自在に操り、剣山から巨大な鬼の像を形作って動かし、手にした氷の金棒でビーストラッシュを煙の足場から叩き落とした。地面に叩きつけられたビーストラッシュは四つん這いで追撃の金棒を回避し、手首から煙を放出して攻撃。しかし冷気には敵わず、当たった傍から煙の方が砕け散ってしまった。

 

 

「……ぶっ壊してやる!グルルアアアアアッ!」

 

 

 するとビーストラッシュはそう吠えながら叩きつけられた金棒から鬼の像を四つん這いで駆け上がりながら爪で切り裂いて崩壊させていき、顔までズタズタに引き裂くと天高く舞い上がり、煙の足場を蹴ってさらに舞い上がるビーストラッシュ。ジャンキュビーストの頭部を押し込み、頭上に作った煙の足場を両足で踏み込んで跳躍、次々と形成した煙の足場を蹴ってその爪で四方八方から斬り裂いていく。

 

 

『ビーストライク!』

 

「壊れろおおおおおおっ!!」

 

 

 回避不可能な斬撃の嵐が、シュレッダーの如く鬼の氷像を切り刻み、霧散。着地したビーストラッシュに、踏み込んでいたグレイスの拳が叩き込まれるも、ビーストラッシュはカウンターで上段蹴りを叩き込み、共に弾き飛ばされる両者。

 

 

「俺とほぼ同じ動体視力……敵にすると厄介だな」

 

「知るか。ぶっ壊す」

 

 

 そう言って右手に纏った煙を、先ほどの戦いで自壊して地面に転がっていたジャンクキューブ「鉄」の残骸に触れさせて、ジャンクキューブを再び組み立てると、物を言わなくなったトラッシュドライバーに装填されて顔だけ出してるジャンキュビーストの口を開いて、その中に装填して閉じると頭頂部を撫でるように何度も何度も押し込んでいく。嫌な予感がして氷柱を掌に形成して投げ槍の如く投擲するグレイスだったが、ビーストラッシュは宙返りして回避しながら動作を続けた。

 

 

『ガブット!』『ガブ!ガブ!ガブ!ガブ!』

 

 

 まるで野犬が骨に噛みつくように、何度も噛んでゴミルギーを気体状に変えて絞り出していくジャンキュビースト。四回押し込まれたところでビーストラッシュの複眼とジャンキュビーストの目が同時に紫に光り輝き、ジャンクキューブから溢れた黒い煙が振り上げた両腕に集束した。

 

 

『ガブットラッシュ!あっと驚く!アトミックブロック!』

 

「変わった…?」

 

「グルルァ……避けろよ氷室。手加減、できないぞ…!」

 

 

 そして煙が晴れて現れたのは、ブロックで形成された四角い五指が特徴的な巨大な手袋。まるで狼の牙を彷彿させる鋭さを持つそれを、ビーストラッシュは尻尾を地面に叩きつけて加速。グレイスを挟み込む様に両手で合掌。グレイスは咄嗟に足場を凍らせて滑走して回避、凍り付いた地面がグシャリと音を立てて四角いクレーターを作り出した。手を放すトラッシュの掌の間から、コロリと「凍土」のジャンクキューブが転がり落ちて、血の気が引くグレイス。

 

 

「文字通りのプレス機か。厄介だな……」

 

「そこは死ねよ氷室」

 

「避けろと言ったのはお前だろうが」

 

 

 血の気が引いて冷静になったらしいグレイス。続けて両腕を開いて襲い掛かってきたビーストラッシュの左手を冷静に投げつけた冷気で凍結させて拘束。動きが止まったところに振りかぶりながら突撃する。凍らせて粉砕する即死の拳を、その危険性から判断して解禁した。

 

 

「だが、挟まれなければそれまで……ぐがあっ!?」

 

 

 しかし、ビーストラッシュが無造作に振るった右手の殴打が炸裂。錐揉み回転して吹き飛ぶグレイス。そのまま右手で氷を砕いて開放されたビーストラッシュはゆっくりと歩み寄る。それは、処刑人か狩人の如く。今まで常に強者の位置にいた氷室蒼牙はこの瞬間、狩られる側となった。

 

 

「片手で十分だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ね!死ね!死ねえええ!!」

 

「いきなりっ、なんだっての!」

 

「アースばかり、見ないで頂戴……!」

 

 

 タラスクゴミリオンが殴りつけた部分が十字架状に光り輝いて、地面に刻み込まれたゴミルギーが爆発する。その全てを受け止めて衝撃を吸収、シールドバッシュで跳ね返しながらアースは、遥か彼方で爆発した蒼いゴミルギーの柱を見た。要塞の様にまるで意に介さないタラスクゴミリオンを、殴り続けていたデリートもそれに気づいた。

 

 

「あれは、雪鬼ファームの方角!?」

 

「トラッシュが向かった先……まさか?があっ!?」

 

「邪魔だあっ!」

 

 

 気を取られて一瞬の隙を曝け出したデリートが、十字架状の爆発の直撃を受けて変身が強制解除、倒れ伏すミカ。そのまま邪魔だと言わんばかりに殴りつけるタラスクゴミリオンを、アースがアースクロッサーを手に割り込んで妨害。しかし拳でアースクロッサーは弾かれ、そのまま光の十字架に磔にされてしまうアース。

 

 

「ぐっ、動けない……」

 

「自分から飛び込んでくるなんてね!」

 

 

 そのまま十字架に拘束されたまま仰向けに倒され、振り上げられた足が仮面に炸裂。踏み潰されスタンプされて十字架状に爆裂した仮面が半壊し、頭から血を流したメルの顔が露出する。

 

 

「ぐううっ……」

 

『メル!』

 

「いい気味ね!似非シスター!私の居場所を返せ!」

 

「なんのことだか……わからないよ……」

 

「……やはり、凄い力を持っているわ……ん?あれは、まさか……!」

 

 

 目の前で殴り合うアースとタラスクゴミリオンを尻目に、なんとか立ち上がったミカが目撃したのは、絶望の光景。雪鬼組やアースによって抑圧されていた野性のゴミリオンたちが、ここぞとばかりに大群をなして教会に迫っていたのだ。雪鬼組により守られていた秩序が、崩壊する。

 

 

「あのお方が再臨なされた!」

 

「このゴミルギー、間違うはずがない!」

 

「グレイスはあのお方によって抑えられ、ガオスは倒された!」

 

「今こそ、散々邪魔してくれたアースを殺し、死にぞこないの生ごみ(人間)どもを駆逐する時だ!」

 

「新鮮な生ゴミだ!食い荒らせ!女子供はきっと甘美な味だぞ!知らんけど!」

 

「我等ゴミリオンの時代だァアアア!ヒャハハハハハハッ!」

 

 

 鬱憤を晴らすように口々に喋りながら迫りくる悪魔の軍団。その数、種類は違えど40はくだらない。この数に挑むのは、誰が見ても無謀だった。その状況は奇しくも、廃棄物症候群が起きたあの日と同じだった。

 

 

『聖女メル!不味いです!撤退を!』

 

「まだ子供たちがいるんだよ!?逃げられるわけない!あたしは、戦う!」

 

『メル……』

 

「ハハハッ、ハハハハハハハッ!どうですか土の女神セキカ!あの時と同じ状況!絶望の中だろうと立ち向かうッ聖女!そしてあっさり見捨てる!そういう神だ貴女は!」

 

 

 嘲笑い、この状況を受け入れるその姿からかつての聖女だとは誰も思わないだろう。自分の居場所を奪った女が自分と同じになるのだ。これ以上の喜劇はあるだろうか。歴史は繰り返すものだ。その時たしかにメルは諦めずに戦おうとし、その姿に絶望したセキカはまた剥奪しようとした。そう、そのはずだった。想定外が起きなければ。

 

 

『メル、あなたから……』

 

「クククッ……アハハハハハッ……!」

 

「『「!?」』」

 

 

 突如狂笑が響き渡る。最愛の恋人を守ることができず、仕事も完遂できず、その敵討ちを誓ったのに返り討ちにされ、さらにはデリートの前任者の圧倒的な強さを知り、そして、その男が今グレイスと戦っているということを確信し、「勝つのだろう」と、怒りの行き場を失い絶望していた清愛美華の、心の底からの歓喜がその中にはあった。

 

 

「そういう、事ね。シスター・メルが変貌したゴミリオンに、目の前の元人間なゴミリオン……そのキッカケは、絶望から生じるゴミルギー!そうよ、仮面ライダーじゃなくても、良いのよ……!私が求める強さは!今まで、私が倒してきたゴミリオンが、単なる塵芥でしかないのは、そこに確固たる意思が無いから。だったら、私も……!ゴミリオンになってやるわ!」

 

「ミカさん…?なにをっ」

 

『まさか…!?待ちなさい!?メルは不完全だったから戻れましたが、目の前のマルタの様になればもう二度と人間には戻れませんよ!?』

 

 

 その絶望から生じたゴミルギーが可視化されるほど溢れ出したミカに、メルは理解が追い付かず、そして過去に存在した最悪の呪詛師の例から最悪の結果を確信したセキカがアースクロッサーの中から必死に止める。しかし、その声は届かない。膨れ上がったゴミルギーを受けたゴミリオンたちが分解され、何とか耐え凌いでいるタラスクゴミリオンの一部も奪いとってその残骸が竜巻の様に二か所に集束していく。一つはミカ。そしてもう一つは、仲間を失い、最愛の親友を目の前で喪ったことを、目覚めてすぐ思い出してしまった少女兵。

 

 

 

 

 

 

「「氷室蒼牙……アイツを殺すのは、私だ!」」

 

 

 

 

 

 教会が殺到したゴミリオンの残骸により崩壊していく。子供たちが慌てて出てきて、そして逃げ場を失い怯える中で、アースとタラスクゴミリオン、子供たちを挟み込む様に、新たに誕生した二体のゴミリオンが、並び立つ。

 

 

『Darkness Knuckle・YATONOGAMI』

 

『Black Blizzard・TUTIGUMO』

 

 

 片や、蛇の尾を腰から伸ばした紫や青色の蛇を思わせる女型のゴミリオン。仮面ライダーを彷彿させる赤いバイザー型の目を光らせ首元から湾曲した一対の牙が天を穿つ。強固な鱗を思わせる形状に融解した装甲で全身を覆ったスマートながらもマッシブな体格は、しなやかながら力強さを感じさせる。

 

 片や、背中から鋭い針状の先端の六本のメカアームを背中から伸ばした、黄色と黒で彩られた毒々しいカラーリングの女型のゴミリオン。複眼型の黄色い四対の目の蜘蛛を思わせるヘルメットを被った女性を思わせる黒いリップが塗られた口元、異様に細く節足を思わせる鋭く尖った指と、もはや指すらない針を思わせる両足という機械染みた異形が目立つ。

 

 

 清愛美華は夜刀神ゴミリオンに、エリィは土蜘蛛ゴミリオンへと変貌した。

 

 

「なんだ、お前らぁあああああっ!」

 

「邪魔よ」「失せろ……!」

 

 

 残ったゴミリオンの大群がアースと子供たちを無視して一斉に襲い掛かるも、尻尾のひと薙ぎで粉砕され、六本のメカアームから放たれたレーザーで細切れにされる。悪魔の軍団はただの一瞬で壊滅した。その前に、アースが立ちはだかる。

 

 

「二人とも、正気に戻って…!」

 

「すまない。助けてくれた事には、感謝する……!」

 

 

 しかし、土蜘蛛ゴミリオンの黄色いゴミルギーを纏った右手による毒手が胸部に突き刺さり、力が抜けて倒れ込むアース。

 

 

「だめ、まだ、戻れるから……」

 

「見るだけで分かるわ。貴女も私と同じ……急ぎましょう、トラッシュに殺される前に」

 

「分かった……!アイツには、死よりも悍ましい地獄を、与えてやろう!」

 

 

 それでも止めようとするアースには目もくれず、二人は彼方に異形の視線を向けると、跳躍して教会跡地を去っていった。




ガス操作による機動力とパワー、そして既存のジャンクキューブを修復して再利用できるという能力を持つビーストラッシュ。シンプルな強さを目指しました。

そしてまさかの覚醒、人間から変貌したゴミリオンとなったミカとエリィ。主役が強くなったんだから敵も強くしないとね?ゴミルギーっていわゆるマイナスエネルギーなんですよね。人間でも生み出せるっていう。

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