仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。次回で北海道編最終話になると思うので、その展開に向けての幕間となります。

この世界の元凶は。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十七の掃除幕間:六道捨我という男

―――――「捨我。貴方と過ごすのはここまでです。拾っておいて勝手だとは思いますが、これ以上は互いに不幸な結末となります。と私は諭します」

 

―――――「待て、待ってくれ!俺は、私はまだ、貴女と……!」

 

 

 手を伸ばす。しかし、後光で影しか見えない彼女は背を向けて去っていく。あの時私はまだ若造だった。飯もろくに食えない孤児な私を拾ってくれて、母親代わりでいてくれたその人は、いろんなことを教えてくれた。だけど、「人ではない不老不死の亡霊」であることを理由に私のもとを去っていった。私は、そんなこと気にしないのに。あの人は、数えきれないほど別れを経験していたらしい。

 

 最後の手向けとして、自分がいなくても生きていけるようにと、ゴミからでも抽出できる「ゴミルギー」についても教えてくれた。自分はこのゴミルギーに呪われて亡霊になってしまったから気を付けるように、とも。だから私は、誓ったのだ。あの人を苦しみから、不老不死の(くびき)から解放しよう。そして最期まで共に生きるのだ。今度こそ。

 

 その手段を得るための財力を求めた。私の手元にあるのはゴミルギーだけだった。だから会社を作り、生計を立てつつひたすら研究した。しかし私ではゴミから自在にゴミルギーを抽出するのは難しい。そもそも絶対数が足りないのだ。ゴミ一つから手に入るゴミルギーなど高が知れてる、せいぜい明かりを灯すのが限界だろう。大量のゴミルギーが必要だ。そこで私は一つ仮説を立てた。あの人もゴミルギーに呪われたと言っていた、ならばその大元があるはずだ。

 

 小さな会社なりの伝手を使って「塵塚怪王」なる都市伝説にまで行きついた。そもそもあの人が「不老不死の亡霊」というオカルトなのだ。私は縋ったが、調べる手段などあるはずもなくとん挫した。行き詰っていたそこで、八多喜怜二に出会えたのは運命の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして私は、滅びかけた世界の支配者にまで上り詰めた。しかし、違う。世界征服などと陳腐な目的では断じてない。私の目的はここではないのだ。わざわざ復活させた(・・・)塵塚怪王の残骸を用いて大量のゴミルギーを手中に収めた。莫大な利益を利用して、ゴミルギーを完全制御する手法を見つけ出す。見つけ出してみせる。そして、今も世界のどこかで懲りずに人助けをしている彼女を見つけ出して、彼女を救うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、過去の夢を見た朝。歯を磨き、髪をセットし、上着の袖を通しネクタイを締める。決して侮られてはならない。全てを利用するために、自らの印象も立場も、使えるものは全部利用する。そうして社長室で、海外から発注されたダストルーパーとジャンクキューブを配送することを承認する作業を行っていた時だ。

 

 

「あぁ……んっ。社長。北海道を偵察させていた者から報告が入りました」

 

 

 黒いツナギの上着を肩かけにした下に大きな胸ではちきれそうになっているワイシャツを身に着け赤いネクタイを締めた、欠伸を隠そうともしない隈がひどい白髪金眼の女性がジャンキュフォンを手にそう告げる。現在療養中の凛くんに代わり秘書をやらせている、我が社に所属している清掃員でも特に優秀な人物、狭山瞳(さやまひとみ)である。そして現在、超遠距離望遠鏡を用いて青森跡地から北海道を偵察させていた。

 

 

「そうか。報告ではなんと言ってるかね、瞳くん。前回はミラース……新幹部の動向を聞いたが」

 

「それが……人の姿をした怪物の手で雪鬼組は壊滅。グレイスと交戦を始めたトラッシュが異形の姿になり、掃除屋がゴミリオンになったと訳の分からないことを言っており……」

 

「ほう!」

 

 

 掃除屋、つまり人間がゴミリオンに。それは僥倖。これまで前例がない事態が起きているということは、つまり事態が動くということ。わざわざ着火剤として海外と商売を始めた甲斐があったというものだ。

 

 

「トラッシュの変貌についてはネリー君に報告を。掃除屋については保留だが、凛くんには伝えるな。そして、人の姿をした怪物だが……補足はしているのかね?」

 

「どうやら偵察していたのがバレたらしく、偵察班を襲撃。青森跡地に待機していた朧様が交戦、圧倒している模様。如何します?」

 

「憂世くんに増援要請を送り給え。なんとしてでも生け捕りにしろ。恐らくそれは、突然変異したゴミリオンだ。逃がすな」

 

「了解です」

 

 

 ああ、ここからだ。ここからが勝負だ。既に彼の王の二度目の復活は早まり不完全に終わった。我々が確保した「彼女」は八多喜怜二の手のうちにあり、それが異形の姿に変わったというのは何かが変わるきっかけなのだろう。素晴らしい。あの人を救える時まで、もうすぐだ。

 

 

「うん?」

 

「どうしたのかね」

 

「受付から連絡が来ました。どうやらエジプトの王、サンドルフ・アメン・ラーが六道社長に御目通りしたいとのことで」

 

「なるほど。通してくれ」

 

 

 エジプトに限らず、現在唯一の先進国である日本の支配者たる己に取引を持ち掛けてくる国は多い。さて、此度はどんな条件を出してくるか。私の利益になるかならないか、それが問題だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こうも早く覚醒するなんて、あの条件かなり難しいはずなんですけどね。と私は嘆息します」

 

 

 寒い北海道の空を、メカニカルな竹箒型のメカ「ホーキーストライカー」に立ち乗りして往く少女がいた。黒い三角帽子に黒い外套、しかしその下は巫女服というちぐはぐな格好をした、黒髪を長いポニーテールに纏めた、赤と黒のオッドアイの14歳ぐらいの少女だった。

 

 

「塵塚怪王が復活して現れた各地のゴミリオンの大掃除はここまでです。さすがに放っておけません。と私は先を急ぎます」




新キャラ、六道の恩人と狭山瞳(さやまひとみ)登場。六道にもちゃんと動機がありましたって話。

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