仮面ライダートラッシュ   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。まだエピローグは残ってますが北海道編最終話となります。

ビーストラッシュVSグレイス、その結末は……。楽しんでいただけたら幸いです。


第五十八の清掃:北国から愛をこめて

「うおおおおおっ!」

 

 

 例え狩人から獲物にまでなり下がったとしても、目の前の怪物は善人の皮を被って自分たちを騙したばかりか部下の命を奪い、誰よりも信頼していた一番の部下の力を使っている卑怯者だ。氷室蒼牙は吠えて自らを奮い立てる。グレイスの拳が、次々と叩き込まれるが、ビーストラッシュはわずかな動きだけで回避して当たらない。

 

 

「グルルァ……知ってるかァ?煙ってよ、少しでも風が起きればそれに合わせて動くんだよなァ」

 

「だから、どうした!何故、当たらない!」

 

「今の俺から出ている煙は今の俺の一部だ。お前の拳の風圧を感じ取って、どう避ければいいかわかるんだよ。わかるか?今のお前に、今の俺は倒せないってことなんだよァ!」

 

「っ…!」

 

 

 巨大な四角い手袋型の爪装備「ブロックロー」でグレイスの拳を受け止めるビーストラッシュ。引っ張って眼前までグレイスを引き寄せ、複眼を輝かせる。

 

 

「お前が部下使って俺の命を狙ったことは大目に見てやるよ。だけどな?子供たちまで巻き込むのは違うだろ」

 

「なんの、話だ……」

 

「すっとぼけるな。だが関係ねえェ。今の俺はお前を捻り潰してやりたくて仕方がねえのさァ!」

 

「ケダモノめ…!?」

 

 

 どうやら闘争心が高まっているらしく、ガスを噴射して加速した右足による前蹴りでまっすぐ蹴り飛ばされるグレイスに追いつき、ブロックローを叩きつけて地面と挟み込もうとするビーストラッシュ。即死の攻撃だったそれは、グレイスが咄嗟に投げつけた氷塊を咄嗟にブロックローで弾いたことで不発。ビーストラッシュは煙で足場を作り蹴って跳躍、右手から放出した煙でグレイスを捕らえると引っ張り上げ、ブロックローを振るってはたき落とした。

 

 

「がはあっ!?」

 

「グルルァ!とどめだあ!」

 

 

 咄嗟に腕を交差して防御するも背中から叩きつけられ跳ねて転がるグレイスに、大きく地面に踏み込んで体勢を低く構えたビーストラッシュは、ジャンクキューブ「鉄」を装填したままジャンキュビーストの頭部を押し込んだ。

 

 

『ビーストライク!アトミックブロック!WOW!WOW!WOW!』

 

「グルルァアアッ!」

 

 

 ビーストラッシュの右足に煙が集束し、鋭いブロックでできた四本爪のケモノの脚を形成。まるで吠えたてるかの様な待機音と共に咆哮を上げると大きく踏み込んで跳躍、右足を天高く振り上げ、パイプからガスを放出して加速。残像を残してグレイスに迫り、トラッシュドライバー零の蓋を展開して冷気を放出して拳を振り上げていたグレイスと激突した。

 

 

「この矜持にかけて、負けて……たまるかぁあああああ!!」

 

『グ冷凍(レイト)フル!ホーリーグレイ・スマッシュ!』

 

「矜持だなんて、破った時点で終わりだろうがよオオオオオオオッ!!」

 

『アトミック!エクセキュートラッシュ!!!!!』

 

 

 グレイスの拳と共に凍り付いた空間を、拮抗することなくバキバキバキ!とあっけなく踏み砕いて、渾身のストンプを叩き込むビーストラッシュ。グレイスを中心に巨大な四つ足の刻印が刻まれ、トラッシュドライバー零が火花を散らしてその変身が強制解除された。

 

 

「がはっ……ぜ、ろぉ……」

 

『だりぃ……すまねえ、氷室……』

 

 

 口から血を垂れ流し、相棒の安否を確認する氷室だったが、無造作に蹴り飛ばされて地面を転がる。アトミックブロックの武装を解いたビーストラッシュだった。傍らには排出されたのか煙を燻ぶらせているジャンクキューブが転がっている。それに待ったをかけるのは、少し遠くから様子を窺っていた雪鬼組の運転手だった。

 

 

「ま、待て!氷室さんはもう瀕死だ!これ以上は死んじまう!」

 

「グルルァ…?それがどうした?コイツの掲げる矜持のせいでどれだけの人間が飢えたと思ってる?コイツが俺を殺すために差し向けたオガミに、何人の子供たちが危険にさらされたと思ってる?」

 

「お、お前がゴミリオンを率いて俺達の仲間を襲ったんだろ!だから俺達は……」

 

「なんのことだ。襲ってきたのはお前らだろうが!」

 

「ぐあああっ!?」

 

 

 ビーストラッシュが胸ぐらを掴み、凄まじい勢いで投げつけられた氷室は背中を擦りながら転がって、その息も絶え絶えな顔は、止めようと掴みかかる運転手を投げ飛ばしたビーストラッシュを見ていて。なにかを悟ったかのように目を見開いていた。

 

 

「……そうか。お前も俺も、誰かに、騙されて……」

 

「黙す?お前の命令以外で、オガミが俺を襲うわけないだろ!友達だったんだぞ!」

 

「ぐうっ!?」

 

 

 闘争心のままに胸ぐらを掴み上げ、締め上げるビーストラッシュ。殺さんと言わんばかりの勢いのそれに、氷室は悔しさのまま空を見上げて、それを見た。陽光受けて光り輝き蛇行しながら迫る、龍の様な、いや、長い尾を持つ人型を。

 

 

「―――――アハハハハハッ……!」

 

「なにっ、がああっ!?」

 

 

 それは笑い声と共に襲来。ビーストラッシュの後頭部を掴み、顔面から地面に叩きつけた。蛇を思わせる女型のゴミリオンだった。腰から伸びる尻尾にしがみついていた蜘蛛を思わせるゴミリオン……ツチグモゴミリオンを下ろしたそれ……ヤトノカミゴミリオンは、尻尾でビーストラッシュの首を絞めると持ち上げ宙吊りにする。

 

 

「グルルァ……なん、だァ?お前ェ……!」

 

「さっきぶりねトラッシュ。その姿……アナタも堕ちたのかしら?でも残念、お楽しみのところ悪いけど……氷室を殺されるわけには、いかないのよ!」

 

「その声、お前まさか掃除屋……グアアアアッ!?」

 

 

 声から正体を見抜いて驚愕するビーストラッシュを締め上げたまま軽々と振り回し、投げ捨てるヤトノカミゴミリオンは地を蹴り、追撃。空中で煙の足場を展開し体勢を立て直したビーストラッシュと拳が激突し、そのまま空中戦の殴り合いを繰り広げ始めた。

 

 

「たすかった、のか……?」

 

「残念。悪化」

 

 

 一息ついていた氷室に歩み寄るツチグモゴミリオンは背中のアームの先に鋭い紫色の針を展開すると、躊躇なく氷室の胸元に突き刺した。凄まじい激痛に悶え苦しむ氷室に、次々とアームを伸ばし針を刺していくツチグモゴミリオン。

 

 

「これ、は、毒か……!?」

 

「毒なんかじゃない。私の能力は「病魔」既存のものから存在しないものまでありとあらゆるウイルスを生み出せる。仲間を殺したお前はそう簡単に死なせない。死ぬよりも辛い地獄を味わえ……!」

 

「ぐっ、ぎっ、ごっ、がぁあああああああっ!?」

 

「氷室!?」

 

 

 この世のものとは思えない絶叫を上げる氷室に、さすがに闘争心が失せたビーストラッシュ。ヤトノカミゴミリオンの横をすり抜けて助けに向かおうとするも、ヤトノカミゴミリオンの長い尻尾で脚を掴まれ、引きずり込まれて正拳突きを受け、殴り飛ばされたところを引き寄せられまた殴られるチェーンデスマッチを強いられる。

 

 

「規格外なアナタの強さにだって負けない、最強の肉体…!この力があれば、凛を、守れる…!」

 

「グルルァ……凛……恋人か?そんなバケモノの姿で、なにを守るって……があっ!?」

 

「そんな減らず口も叩けなくしてやるわ…!」

 

 

 ビーストラッシュが甚振られ、氷室の絶叫が響き渡る。絶望の地となったそこに。一筋の流星が落ちてきた。

 

 

『ジャンクリング!GO!』

 

 

 それは、メカニカルな箒に立ち乗りしたその影は、上空で箒を手に取りながら飛び降りると、左手中指に付けた小型のジャンクキューブのついた指輪を箒に突き刺し、グリンと捻って差し込むと箒を振り回して魔法陣を描き、その中に飛び込んだ。

 

 

「変身」

 

『ゴー!ストップ?ゴー!スタート!ゴーゴーゴー!ゴーストラッシュ!』

 

 

 その場にそぐわないハイテンションな音声と共に、振り向いたゴミリオン二体の中央に降り立ったのは、メカニカルな箒……ホーキーストライカーを手にした異様な戦士。黒い骨を模したラインが浮かぶ赤いボディの上に灰色の襤褸切れをローブの様に纏ったハロウィンの幽霊コスを思わせる姿で、丸い黒い複眼だけ襤褸切れから露出している幽霊にも魔法使いにも見える。その人物はホーキーストライカーの柄を縮めて掃く部分から銃床を展開して大型拳銃、ガンモードにして構えると、告げた。

 

 

「仮面ライダーゴーストラッシュ。綺霊に掃除してやりますよ。と私は挑発します」

 

「ゴーストラッシュ…?」

 

「邪魔するな!」

 

 

 復讐の邪魔をされた怒りのままにアームの先から一斉に糸を伸ばして攻撃するツチグモゴミリオンだったが、ゴーストラッシュはそれをホーキーストライカーで受け止めると、その衝撃のままふわりと空に舞い上がり、滞空。追撃の糸もふわふわと勢いに乗せて回避していく。その動きは、まさに幽霊のそれで。ゴーストラッシュは空中からゴミルギーの弾丸を乱射。その反動でふわふわと移動しながらツチグモゴミリオンを四方八方から撃ち抜いていく。

 

 

「ぐううっ!?」

 

「ならこれはどうかしら!」

 

「おっと。と私は大げさに驚きます」

 

 

 ビーストラッシュを放し、尻尾を伸ばしてゴーストラッシュの腕を縛る様に締め上げるヤトノカミゴミリオン。しかしゴーストラッシュは手にしたホーキーストライカーを連射してその反動ですぽんと抜けると、空中でホーキーストライカーを竹箒型に変形。急降下して刺突を繰り出し、鱗に包まれた腕と激突して弾かれる。

 

 

「堅いですね、と私は嘆息します」

 

「なんてパワーよ……デリートやトラッシュのそれと出力が違いすぎるわ…!」

 

「こんなこともできますよ。と私は魔法を行使します」

 

 

 そう言ってホーキーストライカーで大きく円……魔法陣を描くゴーストラッシュ。すると、魔法陣の中の景色が揺らいで、別の景色が浮かび上がる。そこは、雨降る新東京都で。そこから、九つの龍の首(・・・・・・)が飛び出してきた。それを見て、倒れて見ていることしかできなかったグラセンド……ウララの顔に光が灯る。

 

 

「生きてますか、麗!」

 

「竜美様…!」

 

「クズリュー…!?」

 

 

 出てきたのは、仮面ライダークズリュー……九頭竜美。九つの龍を縦横無尽に叩き込み、ゴミリオン二体は防戦一方でゴーストラッシュの魔法陣の前に追い込まれる。そこに、毒と水の奔流が叩き込まれた。

 

 

『オーバードーズ!ポイズン…!』『ベノムエクスプロード!!』

 

『サルヴェージャッジメント!!ヴォルテックスイーパー!』

 

「「喰らいやがれ!」ですわ!」

 

「「ぐううっ!?」」

 

 

 咄嗟に蛇の尾を渦を巻いて盾にするヤトノカミゴミリオンはツチグモゴミリオンを庇って受け止め、共に吹き飛ばされる。疲れた果てたビーストラッシュが視線を向けた先には、誰よりも会いたかった家族たちがいて。その荒んだ心が洗われるようだった。

 

 

「「怜二!」」

 

 

 アブソリュートエコーとベノムXが駆け寄り、ビーストラッシュは変身が解除されてアブソリュートエコーの腕の中に倒れ込む。ウララを抱えるクズリューと、空中で身構えるゴーストラッシュ。歴戦の戦士たるゴミリオン2人は、己たちの劣勢を悟った。

 

 

「逃げるしか、なさそうね……」

 

「……氷室は連れていく…!」

 

 

 尻尾を振り回して煙幕を展開するヤトノカミゴミリオンと、アームから糸を飛ばして氷室を縛り上げて回収するツチグモゴミリオンは咄嗟に魔法陣に飛び込み、咄嗟にゴーストラッシュは魔法陣を閉じるが時すでに遅し。2人の姿はそこになかった。

 

 

「……氷室、俺は……俺はッ」

 

「怜二?しっかりなさい、怜二!」

 

 

 変身を解いたヒカリに呼びかけられる中、怜二の意識は泥に沈む様に堕ちて行った。




新ライダー、ゴーストラッシュ参戦!変身者は前回登場したあの人。さらにクズリューやエコーやベノムまで召喚する無法ぷりを発揮しました。参戦理由は…?

北海道編の実質ラスボスに当たるヤトノカミとツチグモのゴミリオンコンビ。氷室を殺されてはたまらないとばかりにビーストラッシュを圧倒、新東京都に逃亡しましたが……?そもそも人間に戻れるんですかね?

心身ともに限界だった怜二、家族の手の中で気絶。ヒカリたちと離れ離れはかなりこたえてた模様。

次回は北海道編エピローグ。メルのその後や、新たな事件の幕開けを描きます。お気に召していただけたら感想ならびに評価、お気に入りしてくれると嬉しいです。

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