ヒカリが身に纏った泡が弾けて、シャボン玉がいくつも浮かんで陽光を反射させる下で、巫女を思わせる仮面ライダーは、コブラゴミリオンと対峙する。
『エコー……エコー……エコー……エコー……!』
「お前、なんだ?」
「私は、エコー。仮面ライダーエコー!ですわ!」
そう名乗りを上げたエコーは地を蹴り、加速。地を踏むたびに足裏から泡が弾け、加速。まるでアイススケートでもするかのように滑走したエコーの掌底がコブラゴミリオンの胸部に突き刺さり、吹き飛ばす。吹き飛ばされたコブラゴミリオンはゴロゴロと転がり、ゴミ山に激突して止まり、目を白黒させる。
『おおっ、すごいぞヒカリ!やっちまえ!』
「速い…!」
「おっとっと、ですわ!?」
しかし滑走したエコーはバランスを崩して手をばたつかせて何とかバランスをとっているところであり、コブラゴミリオンは冷静に右手の大砲を向けるとヘドロを纏ったゴミの塊を三連続で射出した。
『ヒカリ、水槽の表面を素早く左右に擦って蛇口を開くんだ』
「え、はいですわ!」
『シャカシャカ!シャットアワー!』
エコーはエコードライバーに言われるままに、水槽を磨く様に擦って蛇口の様なパーツを捻る。すると石鹸を泡立てる様な音と共に水槽内部の純白のジャンクキューブがかき混ぜられ、ベルトの左側の排水溝に様な穴から虹色に光り輝く泡が広がってエコーを包み込み、バリアの様にヘドロ砲弾を防いだ。
『これは〝浄化の泡”さ。彼を蝕む毒も打ち消せるはずだよ』
「本当ですの!?」
『戦ってる時に何やってんだ、お前!?』
コブラゴミリオンそっちのけで倒れている怜二のもとに駆け寄るエコーにツッコむトラッシュドライバー。怜二を泡で包み込むのと同時に、突進してきたコブラゴミリオンの大砲が直接振るわれる。怜二を泡で纏ったエコーは咄嗟に振り返りざまに手をかざし、受け止める。掌と大砲の間に泡が形成されて優しく受け止めた。
「これなら!」
そのまま立ち上がって力むと、間の泡が弾けて爆裂。コブラゴミリオンの表皮を破砕させ、後退させる。エコーは追撃するべく蹴りを放つも、コブラゴミリオンは左手で受け止めて投げ飛ばし、ヘドロ砲弾を上空に乱射して反撃。
『おわあああ!?やべえぞヒカリ!怜二がやべえ!』
「くっ、卑怯な!ですわ!」
慌てて怜二の傍に駆け寄り、両手が泡立ち溢れだした泡をシャボン玉でも作るかのように広げて防いでいくエコー。しかし降り注ぐヘドロの流星群に耐え凌ぐことに気を取られている間に音もなく接近していたコブラゴミリオンが、右手の大砲の砲口を胴体に突きつけていて。
『ヒカリ!?』
「しまっ……」
爆裂。紫色の爆煙が広がり、吹き飛ぶエコー。吹き飛ばされた先のゴミ山に先端が尖った鉄パイプが目の前に迫っていて。咄嗟に目をつぶる。するとその手が勝手に動いてスライドレバーを右に動かし、水槽を磨く様にタッチ。するとエコードライバーが光り輝いて、まるで水面から飛び出すように水槽からそれが飛び出してエコーの手に握られる。
『フキフーキー!その
「え、え!?」
その手に現れたのは、純白の竹箒を模した穂先が広がった長槍「ホーキージャベリン」。エコーがしがみつくとホーキージャベリンは急旋回して突き刺さるギリギリで上昇。エコーは、ホーキージャベリンに跨る様に掴まり空を舞っていた。
「まるで魔法ですわ!?」
『生憎と魔法じゃなくてね。浄化したゴミルギーを一時的に実体化させているだけだ』
「逃がすかあ!」
次々と空目掛けてヘドロ砲弾を乱射するコブラゴミリオン。だがしかし、重心を変えることで操縦できると気付いたエコーに全弾回避され、憤慨することになり、むきになりさらに乱射。エコーは右手でホーキージャベリンに掴まったまま左手を広げて泡を作り出し、ヘドロ砲弾の一発を受け止めるとそのままホーキージャベリンに掴まり旋回、勢いをつけて投げ返した。
「ほほほほっ!そんなもの、当たりませんわ!返しますわよ!」
「ぐっ、ああああああっ!?」
自らの砲弾を返されたコブラゴミリオンは爆発をもろに受けて尻餅をつき、そこに急降下してきたエコーが、足裏から溢れた泡をクッションに着地。驚いているコブラゴミリオンに、掃く部分を上にあげたホーキージャベリンの一振りが炸裂。コブラゴミリオンは左拳を振るって反撃するも、ホーキージャベリンを両手でくるくる回して器用に防ぐエコーには当たらず、柄による突きを受けて後退する。
「おのれぇ……最大火力で潰してやる…!」
「何か来ますわ!エコちゃん様!」
コブラゴミリオンが口から放出したヘドロから逃れるように空に舞い上がるエコー。エコードライバーに呼びかけ、追撃のヘドロ砲弾を回避していく。
『エコちゃん様?ボクのことかな?あっちが必殺技で来るならこっちもだよ、ヒカリ。スライドレバーを左にずらしてボクの蛇口をひねってごらん』
「こうですの?」
ホーキージャベリンに乗ったまま、左手で器用にエコードライバーの蛇口パーツを回すエコー。すると水槽内部の純白のジャンクキューブが押し出されるようにして排水溝の様な穴から飛び出しエコーの左手に握られた。
『カイホーリー! それをホーキージャベリンに装填するんだ』
「ここ、ですわね!」
柄と掃く部分の付け根に存在している四角い穴にジャンクキューブを装填するエコー。するとホーキージャベリンの掃く部分が泡に包まれ、泡の奇蹟を描きながらグルグルと空中を円を描く様に回り始め、エコーは天高く投げ出される。
『エ・コード!ホーキージャベリン!』
「なあああああっ!?」
するとコブラゴミリオンを中心に置く様に泡で渦を巻く様に回るホーキージャベリンを眼下に納め、エコーは飛び蹴りの体勢をとって急降下。渦を成していた泡がドリルの様な形状になりながら重なり、その中心に飛び出してきたホーキージャベリンを足裏にぴったり合わせると、そのままコブラゴミリオンに突き刺した。
『ホーキーヴォルテックス!』
「ぐっ、あああああああっ!?」
すると胸部に突き刺さったホーリージャベリンから泡が吸い込まれるようにしてコブラゴミリオンは真っ白に染まり、ボロボロと崩れて消滅したのだった。
『お疲れ様、ヒカリ』
「やった……やりましたわ!」
飛び上がって喜ぶエコー。そんな彼女を、複雑そうな視線で見る男が一人。怜二だ。それに気づき、泡で滑走して駆け寄るエコー。もちろんというべきか止まれずにゴミ山に頭から突っ込んだ。
「怜二、無事で何よりで……すわー!?急には止まれないー!?」
「……ヒカリ、なんだよね?」
「ぷはっ。正真正銘、
『もうジャンクキューブはないからボクを外せば解除できるよ』
「なるほど。あ、戻りましたわ。…っおお!?」
ゴミ山から引き抜いて、エコードライバーを外して変身を解除したヒカリに、抱き着く怜二。ヒカリは慌てて何事か聞こうとするも、すぐにやめる。怜二は震えていた。
「ごめん、ヒカリ……君まで戦わせることになって。俺が弱いばかりに怖い思いをさせて、ごめん……」
「……気にすることありませんわ。貴方が助けてくれたのが嬉しかったから、私はこうして戦えましたのよ。これからは一緒に戦いますわ。嫌とは言わせませんわよ?」
「っ、ああ……わかったよ。君は強いな」
「当たり前ですわ!」
抱き返すヒカリ。その顔は満足げな笑顔だった。そんな二人を見守るベルトたち。
『俺達の事、すっかり忘れてるなー』
『後は、若い二人に任せようか』
『お前、何歳だよ。てか何者だ?』
『君に答える義理はないよ、センパイ』
『なんだとぉ!?……ってセンパイ?悪くない響きだなぁ、それ!』
エコーの能力はずばり洗浄して真っ白にする「浄化」。泡を用いたトリッキーな戦法とホーキージャベリンを使った杖術で戦います。
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