魔法人形の代演劇   作:転寝

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見切り発車で書き始めました。
拙い作品ですが、よろしくお願いします。


プロローグ

 その夜は、暗い闇の中に沈んでいた。

 星も月もない暗闇のなか、溶け込むように佇んでいた人影が立ち上がり、ゆっくりと歩いていく。

 深夜の公園。遊具は黒く塗りつぶされ、どこか物々しい雰囲気を醸し出している。街灯は破損しているため、光源はない。

 そんななか、街灯の上に佇む影が赤い目を光らせ、こう言った。

 

「願いは決まったかい?」

 

 その言葉を受けた人影は少しばかり逡巡したあと、ある言葉を口にする。

 しかし、街灯の上の影──形からして獣のようだ──は、人影をじっと見つめたあと、無感情に告げた。

 

「キミではその願いは叶えられない」

 

 その言葉に、人影は「どうして……」と縋り付くように漏らす。

 獣は平坦な声で、「キミにはそこまでの因果がないからだ」と告げた。

 

「叶えられる願いは、背負う因果と持つ才能に比例する。キミではそんな大それた願いは叶えられないよ」

 

 そう告げたあと、獣は「ただ、方法がないわけではないけれどね」と続けた。

 

「方法……?」

「ボクとしても契約者の願いは極力叶えたいんだ。そうした方が後腐れなく魔法少女を続けられるだろう? だから代替案を提示しよう」

 

 獣はそう言って、ある案を提示する。

 それをきいた人影は逡巡して、その後にそれを受け入れようと──

 

「詩季ちゃん!」

 

 突如、第三者の声がして、人影も獣もそちらに意識を向ける。

 公園にもうひとり、人影が駆け込んできた。その声に聞き覚えがあったのか、詩季と呼ばれた人影は「朱里さん……」と少しばかり驚いたような声を発する。

 

「ダメだよ詩季ちゃん、そんな簡単に契約なんてしたら!」

「……でも、あたしにはもうこれしかないんです。これで罪が償えるかは分からないけど、でも、あたしは……」

 

 そう言ったあと、詩季と呼ばれた人影は「……そうだ」と何かを思いついた様子で声を上げた。

 

「朱里さんの願いも、あたしが叶えます。この願いなら、みんなが幸せになれる」

「それは……でも、ダメだよ! それじゃ詩季ちゃんが傷付くだけだよ!」

「自動浄化システムが世界に拡がっているし、魔女になる危険もない。だから、大丈夫です」

 

 それだけ告げたあと、詩季と呼ばれた人影は街灯の上にいる獣にこう言った。

 

「契約する。だから、あたしの願いを叶えて」

「キミはなにを願うんだい?」

「やめて! 詩季ちゃん!」

 

 朱里と呼ばれた人影が眩いひかりに包まれ、詩季と呼ばれた人影を止めようとする。

 しかしそれより早く、その言葉は発せられた。

 

「あたしの願いは──」

 

 それを聞き遂げた獣は「契約成立だ」と無感情に告げる。

 そして──

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