ダンジョンマスター専用息抜き掲示板   作:今でも雲は綿あめで出来ているって信じてる

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推しを活躍させたい系ダンジョンマスター

ダンジョンの様子を確認し、宝箱の補充とモンスターの補充を行っていく。

 

今日も今日とて以下略*1

 

暇を持て余している俺はダンジョンコアを操作し、マスカリ*2を眺めていた。

というのも、マスカリで好評だった商品はマスカリから消え、ダンマス共通のダンジョン生成機能の方に追加されることがあるのだ。しかも、この場合生成に掛かるコストはマスカリ時よりも大幅に増加する*3ため、良い物はマスカリで売られている時に買うに限るのだ。

しかも、しかも!現在、炬燵が売られているのだ。これ、絶対人気がでて公式ダンジョンアイテムになる。今買わなきゃ損!けど高い!

俺は腕を組み、うんうんと唸る。

良く考えれば、いや良く考えなくても炬燵は必須じゃないのだ。無くても困らない。それに、最近は腹回りが怪しい。運動しなければいけない。けれど炬燵があったら絶対動きたくなくなる。

さて…どうしたものか…

 

一時間後

 

「ふぅ」

 

買ってしまった。

今日から食費が少しだけ厳しくなる。だけど、俺には自前の土魔法とこの前マスカリで買った誰でも簡単家庭菜園『ぷらんとちゃん☆』がある。

大丈夫、やっていける。

それに、ダンジョンマスターは別に食べなくても死ぬわけでは無い。空腹感と体の気怠さは感じるだろうが、絶対に死ぬことは無いし、空腹感や体の気怠さもあくまでも健全な範囲でのこと。

他者に殺される以外の方法でダンジョンマスターとして致命的な状況に陥ることは無いのだ。

いや、とはいえ、体の気怠さも空腹感も気分の良いものでは無い。

ここからは出来るだけ節制を心掛けよう。なにダンジョンマスターはこうしている間もちゃんとダンジョンポイントが溜まっているのだ。

ちゃんと節制していればそこまで時間がかからずに元の生活水準に戻せるだろう。

 

さて、それじゃあ掲示板でも見るとするか…

俺は現実逃避と、何よりお金を使わないため、もっと言えば腹が空かないように炬燵の中でジッと動きを止め、おもしそうなスレを探した。

 

 

そして、見つけた。

最近の中で一等面白そうなスレを

 

『推しを活躍させたい』

 

※※

 

1:魔族の推し活さん

推しを活躍させたい

 

2:名無しの推し活さん

魔族の推し活…だと?

人類の敵め!!いくぞ!血祭りにあげてやる!

 

3:名無しの推し活さん

>>2

俺中立の立場なんでパス

ていうか、ダンジョンマスターは全員中立じゃないの?

 

4:名無しの推し活さん

基本中立だけど、多少はお得意様に贔屓したくなる気持ちはある(人類国家にダンジョンがある)

 

5:名無しの推し活さん

それは分かる(魚人国家にダンジョンある人)

 

6:名無しの推し活さん

分かる分かる(エルフの国にダンジョンある人)

 

7:名無しの推し活さん

>>6

お前絶対別の理由だろ?

 

8:名無しの推し活さん

取り敢えずイッチの事情を聞こうや

 

9:名無しの推し活さん

>>8

せやな

>>6

(*Φ皿Φ*)

 

10:魔族の推し活さん

>>8

助かるンゴ。話が明後日の方に言ってて困惑してたところだったから。

それで、ワイの話なんだけど、実は一年くらい前に大人の集団が10歳くらいの女の子を連れてうちのダンジョンに潜ったんよ。

画像 

 

11:名無しの推し活さん

おお!顔立ちは可愛い…か?

 

12:名無しの推し活さん

汚れててあんま良くわかんないな…

服っていうか布だし…こういうの名前何て言うんだっけ?

 

13:名無しの推し活さん

え?知らん。襤褸?

 

14:名無しの推し活さん

名前何てあるのか?布切れ?

 

15:魔族の推し活さん

そんでこの子だけ生き残ったんよ。

ワイも鬼じゃないから、配置したモンスターに襲わないように言って、この子の帰り道に食べ物と衣服の入った宝箱を設置したんよ

 

16:名無しの推し活さん

>>15

無理やり話し戻してて草

 

17:名無しの推し活さん

そんでどうなったの?

 

18:魔族の推し活さん

>>17

その子はワイの思惑通り宝箱を開けて、食べ物と衣服を持っていった。

ワイもちょっとした人助けが出来てハッピーな気持ちになった。

けど、その子は毎日のようにこのダンジョンに潜るようになった。多分、親がいないんだろう…

ワイは哀れに思いそれ以降もその子が気付く場所に食べ物とちょっとした道具を入れた宝箱を置いてあげたんや

 

19:名無しの推し活さん

ほほう!

 

20:名無しの推し活さん

実質幼女一人養ってたんだww

 

21:名無しの推し活さん

それで?

 

22:名無しの推し活さん

ハッピーエンドやん

 

23:魔族の推し活さん

>>21

けれど、ある日ワイの用意した服じゃなくて前着ていた襤褸布を着てきたことがあった…

顔も晴れて体中も痣だらけ、きっと外で酷い目に遭ってきたんだろう…

けれど、ワイはあくまでもダンジョンマスター、外で起こった出来事には干渉できん…とはいえ、このままほったらかしに出来る程ワイも薄情じゃない。

本来は良くないけれど、ワイが家で養ってやろうと重い腰を上げかけた

 

24:名無しの推し活さん

ふむ

 

25:名無しの推し活さん

それで、それで?

 

26:名無しの推し活さん

家の無い幼女を家に連れ込む……犯罪臭がしてきたぜ

 

27:名無しの推し活さん

>>26

そこは、帰る場所の無い幼女を引き取ったって表現で良くね?流石にひねくれすぎ

 

28:名無しの推し活さん

誰もダンジョンを家って表現してるの突っ込まないのか…毒されてるなぁ

実際家だけども

 

29:魔族の推し活さん

だけど、丁度その瞬間、幼女はこう呟いたんだ「力が欲しい」と

そう、その子は誰かの庇護が欲しかった訳じゃない…どんな強者にも屈することない力が欲しかったんや!!

 

30:名無しの推し活さん

エセ関西弁乙

 

31:名無しの推し活さん

それで、イッチはどうやって力を与えようか迷ってるって訳か

 

32:魔族の推し活さん

>>31

いや、正確にはどんな魔剣を打とうか迷ってるんよ

 

33:名無しの推し活さん

は?

 

34:名無しの推し活さん

魔剣?

 

35:名無しの推し活さん

うっそだろ

 

36:名無しの推し活さん

一応聞くけど、イッチの魔法って?

 

37:魔族の推し活さん

鍛冶魔法や!

 

38:名無しの推し活さん

うっわ、レア魔法じゃん

 

39:名無しの推し活さん

大体の人間が四属性魔法か、強化魔法なのに…

言っておくがイッチ、ダンジョンマスターの中でもその魔法発現してる奴片手で数える程度しかいないからな?

 

40:魔族の推し活さん

>>39

そうなんか

ま、今はそれより、皆のアイディア聞きたい。

 

41:名無しの推し活さん

アイディアかぁ…やっぱ力が欲しい少年少女には斬魄〇じゃない?

 

42:名無しの推し活さん

ああ、斬〇刀か

確かにそれしかないな。つうか俺も欲しい。始解だけでもいいからしてみたい

 

43:名無しの推し活さん

>>42

始解だけでもって、お前その始解出来る人間が全体の何割くらいか知ってるか?

 

44:名無しの推し活さん

>>43

まぁ、死神と同じで俺らも寿命は無いし、気長にやればいつかは…ないか…

 

45:魔族の推し活さん

>>41

斬魄〇か…ワイも考えたことはあったんやけど、あれ作れんのよな…

 

46:名無しの推し活さん

え、鍛冶魔法あっても作れない物なの?

 

47:魔族の推し活さん

>>46

斬魄刀って言わば意思持つ武器(インテリジェンスウェポン)やろ

けど、意思持つ武器(インテリジェンスウェポン)は本来その性質上ある程度方向性ってものが定まってるものなんよ

つまり、持ち手の魂を写し取り、もう一人の自分とも呼べる武器にすることが出来ん。

いや、剣に持ち手の人生の追体験をさせることは出来るんよ?けど、同じ環境にいたからって全く同じ人間にはならんやろ?

限りなく近くてもどこか違う他人が出来るだけ…つまり絶対作れんって結論になるんよ

 

48:名無しの推し活さん

なるほどなぁ

 

49:名無しの推し活さん

やっぱ、零番隊の〇悦さんって凄かったんだ…

 

50:名無しの推し活さん

>>47

なら、持ち主の体の大きさや戦況に応じて能力を変える武器は作れるのか?

 

51:魔族の推し活さん

>>50

出来る。能力に関してはあらかじめ魔剣に魔法適性を付与して、大きさは形状変化の効果を付与すればいい。後は成長する特性も付与すれば多分出来る。

 

52:名無しの推し活さん

なら、それでいいじゃん!

 

53:名無しの推し活さん

後は、その女の子しか扱えない。直ぐに手元に呼び出せるっていう効果があると良いな

 

54:名無しの推し活さん

>>53

女の子しか扱えないっていうのはいいけど、それなら、装備してない時は体の中に収納できるっていうのが良くない?

 

55:名無しの推し活さん

後は折れたり、刃が欠けても自動修復する機能も欲しいな

 

56:名無しの推し活さん

やっぱ、力の解放にはカッコいい掛け声が欲しいよな。オサレな奴

 

57:名無しの推し活さん

解放は二段階だな

 

58:名無しの推し活さん

二段階目の掛け声は何が良いかな?

 

59:名無しの推し活さん

それよりも先ずは名前だろ!

 

60:魔族の推し活さん

取り敢えず、魔剣の性能は四属性魔法使用可能、本人にしか使えない、形状変化、成長、体内への収納、手元への呼び出し、自動修復、力の解放(限定的な強化、二段階)って感じで良い?

 

61:名無しの推し活さん

異議なし!

 

62:名無しの推し活さん

こう見るとめっちゃ盛ったな

 

63:名無しの推し活さん

出来たら絶対カッコいいのになる

 

64:名無しの推し活さん

後は名前だな!

 

65:魔族の推し活さん

オッケー、それじゃあ作るわ。

今日はありがとう。またな!

 

66:名無しの推し活さん

おお!

 

67:名無しの推し活さん

出来ればまたスレ立てて欲しい!武器気になる

 

68:名無しの推し活さん

名前付けさせろ!名前

 

69:魔族の推し活さん

それじゃあ、出来たら報告するわ。後名前は意思持つ武器(インテリジェンスウェポン)自身につけさせる

 

70:名無しの推し活さん

またな~

 

※※

 

後日談 力を持たない少女だった者視点

 

かつて私は、強者に搾取され弄ばれるだけの奴隷(弱者)だった。

けれど、現在腰に下げている剣『精霊の宝石(エレメンタルジェム)』を当時潜っていたダンジョンで偶々手に入れてから全てが変わった。

私は強者になるための切符を手に入れたのだ。勿論、万事上手くいった訳では無かった。けれど、その日命を繋ぐことでいっぱいいっぱいだったあの頃よりは明日のために努力することが出来る環境が如何に恵まれていたかなど語るまでも無いだろう。

いや、死にかけた回数は両手では数えきれないし、怪我だって日常茶飯事だったため、一概にマシとは言えないか…。

けれど、理不尽に奪われない生活と言うのは私にとってはそれこそ宝石のように貴重だった。

そして、そんな艱難辛苦を乗り越えた私は魔王軍四天王の座まで上り詰めていた。

 

今ではいい家を与えられ、奴隷時代では考えられない程良いものを食べている。

けれど、死にかけた時、辛いときに思い出すのはあのダンジョンのことだった。

今だからこそ分かる。あのダンジョンは異常だ。

 

今の地位に上り詰めるまで他のダンジョンに潜る機会が幾度もあったが、攻略推奨ダンジョンであろうが、有益保護ダンジョンであろうが、あそこまで安全なダンジョン…いや、弱者に優しいダンジョンは存在しなかった。

そもそも、衣服や食べ物を宝箱の中に入れているダンジョン自体がそんなに多くない。それに、大の大人が死ぬほど危険なダンジョンで当時の私の様な非力な子供が無事でいられる筈がない。

 

宝箱も何の知識も無くあれだけ開けたのに、一度たりとて罠が発動することはなかった。極めつけは低階層に置くには強力すぎるこの魔剣。

他の魔王軍の人間にこの話をした時も誰一人として信じてはくれなかった。「本当はダンジョンで野垂死んだ奴から奪ったんだろ?」と一蹴される始末。

 

私はそれらの違和感を突き止めるため…いや確信を得るために再びあのダンジョンへと潜っていた。

 

「…落ちつくな…」

 

自然と口から零れた言葉。

ダンジョンで口にするには相応しくない言葉。けれど、私は今、何年か振りに肩の力を抜くことが出来た。ここだけが世界で私の味方をしてくれているように感じる。

どう言葉にすればいいかは分からないが、不思議と安心できる場所だった。それこそ、ずっとここにいたいと思える様な場所。

こういうのを……いや、何でもない。

 

私は脳裏に浮かんだ言葉を無理やり、振り払う。そして歩くこと暫く、まるで見つけてくれというようにフロアの中心に堂々と置かれている宝箱を見つける。

通常なら何もない場所にあんな堂々と置かれている宝箱など罠以外の何物でもない訳だが、私はその宝箱を躊躇なく開ける。

この宝箱には罠など設置されていない。長年の経験…いや、油断ともとれる行動だが、実際宝箱は何事も無く開いた。矢が飛んでくることも爆発することも、ミミックだったということも無かった。

 

「やはり…」

 

中にはこれまた予想通り、大量の食糧と幾つかの衣服が入っていた。私のサイズよりは少し大きいワンピース。

それをリュックの中に入れると私は探索を続ける。

ダンジョンにあるまじき静けさ、敵意を一切感じない。

私は床に腰を下ろすと、小休止をとることにした。

すると、突如襲われる強い眠気

初めはダンジョンのトラップかモンスターの攻撃か!?とも思ったが、そう言った外的要因よりも今までの人生で張り詰めていた糸が解けた、という感じがした。

 

(精霊の宝石(エレメンタルジェム)何かあったら起こしてくれ)

 

私はそれだけ伝えると睡魔に抗うことはせずに眠りについた。

精霊の宝石(エレメンタルジェム)がいれば大体の敵は問題なく対処できる。

少しだけ休むとしよう。

 

※※

 

ふかふかと柔らかい感触と心地よい暖かさに包まれている。

私は久しぶりに、いや人生で初めてと言っていい程に最高の寝覚めを体験した。

グッと体を伸ばし、体の調子を確認する。

軽い。

 

頭もスッキリしているし、今なら四天王最強と戦っても勝てそうだ。

 

そう思いながらも、辺りをそして、自身へと視線を向けて首を傾げる。

私は何故、布団で寝ているのだろう。それにこの部屋…あの盾と女神のエンブレムは安全地帯(セーフティゾーン)の証。

元々、私がいた場所は安全地帯(セーフティゾーン)では無かった筈…それに道の端で寝ていた。断じてこんなランタンに照らされる個室ではない。

 

(『精霊の宝石(エレメンタルジェム)』何か知ってるか?)

(私の昔の知り合いがお前をここに運んだ。悪意は無かったから起こさなかった)

 

お前の昔の知り合いって…お前宝箱のアイテムだろう?

前の持ち主とかもいないんじゃないか?

 

そんな疑問も感じたが、それよりももう一つ

何故かこの部屋には、宝箱が置かれていた。

本来、安全地帯(セーフティゾーン)にはない筈のもの

首を傾げながらも中を開ける。するとそこには大量の食糧の他に大体私の給料と同じくらい*4の金貨と生クリームを使ったケーキが入っていた。

まるで、私の帰還と成長を祝っているように…

ケーキをその場で平らげる。

甘い、凄く甘い。生きていくので精一杯でこんな嗜好品食べたことも無かった。

 

「美味しいな…」

 

汚れた口元と、目元を袖で乱雑に拭う。

 

「よし!」

 

宝箱に入っていた食糧と金貨をリュックにしまうと、扉を開けて振り返る。

 

「いってきます」

 

それだけ言うと部屋から出て、私は出口へと向かう。

 

「いってらっしゃい」

 

ふと背後からそんな声が聞こえた気がして後ろを振り返る。けれどそこには誰もいない。

空耳だろうか…

いや…

 

また、帰ろう

この場所に

 

 

 

*1
ダンジョンは平和であり、それに比例してやることもあまりない

*2
ダンジョンマスターがハンドメイドした物品を商品として登録できる機能。登録された商品はダンジョンマスターであればダンジョンポイントを用いて購入可能。購入した場合はアイテム生成機能で即座に購入者が手に出来る。このため、個数制限などはない。また、商品登録をしたダンジョンマスターは購入者が支払ったダンジョンポイントの一割を得られる

*3
登録者が得られるダンジョンポイントも三割に増える

*4
大金




魔王軍四天王

ニゲラ

白髪の美少女魔族

二つ名 精霊の魔剣使い

武器 

第一段階
精霊の宝石(エレメンタルジェム)
解放暗号 『磨かれた原石は光を放つ』
効果 四属性魔法の威力が上がる

第二段階
可能性という名の宝石(フューチャージュエル)
解放暗合『輝石解放』
効果 四属性魔法の威力が更に上がる

※元々は安価で幼女の敵ぶっコロソードになる予定でした。
※余談ですけど、ニゲラが久しぶりに帰ってきた時、魔族の推し活さんは軽く小躍りしてました。
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