忘れられない思い出をありがとう~遥か彼方のあなたへ~ 作:ゆるうさぎ
~新しい街~
いつもの見慣れた景色から離れなくてはならない。
それは莉咲(りさ)にとって辛いものだった。
ただ、これからの人生を大きく変える忘れられない思い出が作られるための
一つの通過点だったのかもしれない。
「ザァーザァー」
高速道路を走る車のタイヤが地面にこすれる音がする。
私はこれから新しい街へ引っ越すことになった。
親の前では作り笑いをしてそこまで大きく受け止めていないことをアピールしていた。
けれど、心の奥底では不安や緊張、少し楽しみ、、、?といった複雑な気持ちが
入り混じっていた。
引っ越し先の家に着いた。
そこには立派な一軒家が建っていた。
「莉咲~!ご近所さんへ引っ越しの挨拶をしに行ってくれない?」
母の声が家じゅうに響き渡る。
「は~い!この白い袋を持っていけばいい?」
私は少し重そうな袋を指さし母に尋ねる。
「そうそう!五件ほどまわって来て!」
「わかった!」
母の言う通りにまわっていった。
しばらく景色を堪能していると、3歳?4歳?くらいの小さな男の子が走って来て
突然話しかけてきた。
「そこのお姉ちゃん!!僕のお兄ちゃん見なかった!?」
私は当然知るわけもなく、小さな男の子のつぶらな瞳を見つめていることしか
できなかった。
しばらくすると後ろのほうから
「弘樹~!!!弘樹~~!!おうち帰るぞーー!」
男の子の声が近づいてくる。
「弘樹ーここにいたのか!はぐれないように手をつないで散歩する約束だろぉ!?」
私と同じくらいの歳の男の子が小さな男の子(弘樹くん?)を叱っている。
「ホントすみません、、、ご迷惑かけてないですか?」
私に尋ねてきた。
「大丈夫ですよ。特になにも」
「なんなら弟の面倒を見るの偉いですね!」
「ありがとうございます。」
「私も二人妹がいるので大変で、、、(笑)」
「そうだったんですね。」
「お互い頑張りましょうね!」
こんな会話をして私は家に戻った。
「ただいまー」
母に言ったあと、私は自分の部屋の荷崩しをしながら今日あった出来事を
脳内で振り返ってみた。
あ。名前聞くのわすれた、、、
こういうことは後々気づくことになる。
これがいつもの私。
学ばないなぁ。
まあいっか。
気づいたら疲れて寝落ちしていたようだった。
「莉咲~!莉咲~!?そろそろ起きなさい!」
母の声が聞こえてくる。
「あと五分~、、、」
二度寝を繰り返しているうちに本当に遅刻しそうになった。
「やばい!遅刻しちゃうよ~!!お母さんなんで起こしてくれなかったの!?」
「莉咲が起きなかったんでしょ!もう、早く朝ごはん食べちゃいなさい」
こうして私の新学期がはじまった。
第二話に続く