D.U.地区シャーレにて
"やあ、ネル。今日はわざわざ来てくれてありがとう。"
「ああ。で、何かあったのか?」
"いや、今日はネルに改めてありがとうって言いたかったんだよ。この前の件、誰かを助ける事に恐怖を覚えていた君が、勇気を出して私たちを助けに来てくれた。そのことに感謝したくてね。"
そう、先生は私見つめながら言った。あの時は、先生とトキが危険に晒されていると聞いて居ても立っても居られず、感情のままに行っただけだった。それでも、確かにこの手で大切な人を助けられた、守れた、その事実を改めて噛みしめて心の底から嬉しく思っていた。
"ネル、今まで大変だったね。お疲れ様。そして、勇気を出して来てくれた。その成長が私は何よりも嬉しいよ。"
先生から受け取った言葉。それが、諦念の底にあったあたしの心に光を示してくれた。そして未来について考えていたときに先生たちを助ける事ができた。もう、あたしはあのとき諦めちまったあたしじゃない。
「その、なんて言えばいいかわからねえんだけどさ。あの時先生があたしに寄り添った言葉をくれたから、あたしは今ここで笑えてるんだ。」
「先生、あたしを信じて、そして救ってくれてありがとう...。」
────────
ミレニアム自治区カフェにて
「トキ、今日はわざわざ来てくれてありがとう。」
「いえ、ネル先輩が久しぶりに誘ってくださったのですから。」
見るからにトキは嬉しそうだった。あたしに誘われることの何がいいかわからねえが、まあ楽しそうならいいやとあたしは考えるのを止めた。
「今日来てもらったのは、改めて謝罪をしたかったからだ。今までお前は何度もあたしを暗がりから日の光が当たるところに連れ出そうとしてくれた。それをあたしはずっと断るどころか突き放してた。今思えばお前なりの気遣いだった。本当に申し訳なかった。」
「先輩!先輩が謝る必要は...。いえやめておきましょう。ネル先輩、あなたがミレニアムにいた時のように輝いた目をするようになって良かったです。」
トキは謝られるのにあまり嬉しくはなさそうだったが、これはあたしのケジメだ。でも、トキは今までではなくこれからのあたしを考えてくれていた。トキにも迷惑をたくさんかけた。それでも、あたしのことを信じていた。
「あたしは後輩に恵まれたな。ありがとう、そしてこれからもよろしくなトキ。」
「ええ。」
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ミレニアム近郊墓地にて
「久しぶりだなお前ら。お前らがいなくなってからあたしもそっちに行こうかって馬鹿なことをあのときは考えてたんだ。でもな、トキがあたしを引き留めてくれたんだ。まあ、半ば死んでるようなもんだったけどな。そう、あの図々しさのかたまりみたいなトキがあたしを救ってくれたんだ。お前らのくれた
あたしはもう過去に縛られない、あいつらの分までこの世界を生きるんだ。
「!!」
「ああ、行ってくるよ。次来るときはいろんなところの土産話を持って来てやるよ。じゃあな。」
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その後、彼女はキヴォトス内、そして外の世界を旅したという。
砂漠を歩き、少しずつ栄えてきた学校の生徒と交流した。
三位一体の学園を訪れ、紅茶や甘味を味わい、アクセサリーを買い、その代の治安維持部隊と手合わせをした。
かつて絶望と虚無に覆われていた学園を訪れ、今を輝かしく生きる学生を見た。
混沌とした学園を訪れ、力で襲いかかってくるものに反撃し、スケバンたちのボスに祭り上げられた。
海を自在に移動する学園を訪れ、船旅を楽しんだ。
革命が絶えない雪国の学園を訪れ、殺伐とした中、プリンを食べた。
和に包まれている学園を訪れ、祭りを楽しんだ。
かつて閉鎖されていた学園を訪れ、食に舌鼓を打ち、民族衣装を体験した。
ときには、不良に襲われ、正当防衛の際に疑われ、警察機関に捕まりかけた。
かつて特殊部隊を育成していた学園の知り合いと共に戦闘任務に勤しむこともあった。
・・・・・・世界は広かった。
きっと彼女が体験したものも氷山の一角に過ぎない。されど、彼女は確かに笑顔であった。
彼女はこれからも世界を見るために旅をし、かつての仲間に土産話として持ち帰るのだろう。
彼女の未来はきっと明るいだろう。
「さて、次はどこに行こうか!」
これにて、「堕ちた00」本編完結です!
初作品ということもあって、一話ごとの文字数が少なかったり、文が拙かったりといろいろありましたが、最後まで書くことができました!
ここから番外編を少しだけ投稿します。
お気に入り、感想、評価を頂けると嬉しいです!
ここまで読んでくださった皆様本当にありがとうございました!
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