ZEXAL玩具箱   作:クォーターシェル

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性懲りも無く新連載です。例によって不定期更新になります。


第1話 バリアンとは関係無い筈

俺の意識は闇から浮上した。

 

「んん……うん……?」

 

身体のあちこちに痛みを感じて目を開けると、白い天井があった。俺はベッドに寝かされており、視界の端に点滴のパックが吊るされた棒が見える。どうやら病院のようだ。

 

「おお、目覚めたか」

 

声のした方を見ると白衣を着た医者らしき人が居た。この病院の医者だろうか?服に付いたネームプレートにはグリス医師と書いてある。

 

「あの……」

 

「君が事故にあってから1日以上経ってる。処置はちゃんと済ませたがまだ起き上がらない方がいい」

 

「そうですか……って、え?事故?」

 

1日以上経ってる?

 

「ああ、君はトラックに撥ねられたんだ。覚えてないか?」

 

「え……あー……」

 

思い出した。俺は確か道路に飛び出した子供を助ける為に……そんな覚えがないんだが? いや今はそんな事どうでもいい。それより現状把握だ。俺は事故で病院に運ばれたって事らしいが……もしかしてここは異世界で俺が勇者とか英雄だったりしないだろうな!?そういえば俺の身体が縮んでいるっていうか体格が子供のそれだ。

 

「あ、あの!ここって何処の病院ですか!?俺の名前は?」

 

「ここはハートランド第一病院だよ?それに君、名前を思い出せないのかい?君の名前は市村アンディだが……」

 

ハートランド?何処かで聞いたような……。それに俺、やっぱ俗に言う転生をしたのか?少なくとも俺の名前はアンディじゃなく○○だった筈なのだが……。

 

「な、なんだか記憶が混濁してて……。それより俺ってどういう状態なんですか?」

 

「ふむ……頭を打ったか精神的なショックで記憶が混乱しているのかもしれないな」

 

「そ、そうですか……」

 

やはりここは異世界のようだ。転生した事には驚いたが前世?の記憶もあるし、これから勇者になるんだろうなぁとどこか他人事のように考えていた。しかし俺はある事に気付いた。それは俺が今いる世界についてだ。この病院の名前に聞き覚えがあったのだ。確か遊戯王ZEXALだった筈。そう、その作品の舞台がハートランドシティだ。つまり俺は勇者とかそういうんじゃなくて、カードゲームの世界にいることになる。

 

「あの……俺って今何歳ですか?」

 

俺は恐る恐る聞いた。

 

「君?君は9歳だよ。頭を打ったショックで記憶が混乱してるだけで、ちゃんと治療すればすぐに良くなるよ」

 

「あ……ありがとうございます……」

 

そうか、9歳か。それにしても、俺の家族はどうしたのだろう。まさか天涯孤独の身の上とかないよな?グリス先生に尋ねると。

 

「ああ、少し検査してからご両親を呼ぼう。2人共とても心配していたよ」

 

「そうですか……」

 

それから、医療機器による検査が終わった後俺の両親が呼び出された。と言ってもこの世界の『市村アンディ』の両親だから初めて見る顔なのだが。父らしき人物は日本人らしく、母らしき人物は欧米系の人物だった。

 

「アンディ!」

 

「良かった!重体だと聞いた時にはどうしようかと……」

 

俺の両親が駆け寄ってくる。俺はベッドサイドから上半身を起こした。

 

「心配かけてごめん、お父さん……お母さん」

 

「いいんだ、君が無事ならそれで……」

 

「本当に……良かった……」

 

2人とも目に涙を浮かべていた。俺はそんな2人を見て罪悪感を感じた。だって俺の両親は本当の両親じゃないからだ。でも今はこの2人を悲しませたくないと思った。だから俺は精一杯の笑顔を作って言ったんだ。

 

「ありがとう、お父さん、お母さん」

 

それから1週間ほど入院することになった。そして俺はこの世界が遊戯王ZEXALの世界だと確信するに至る事に直面した。俺に宛がわれた病室と同室のベッドに居たのは、

 

「……」

 

「……」

 

ZEXALの主要登場人物、シャークこと神代凌牙とその妹の神代璃緒だった。マジでここは遊戯王ZEXALなんだなぁ……。回診に来たグリス先生にそれとなく聞いた所、凌牙は俺と同い年で、一家で事故に遭ってしまい(加害者はクラゲ先輩か?)両親は亡くなってしまったそうだ。当然だが、二人ともかなり沈んでいるようだった。俺の両親も彼らに気を遣っているようだ。更に兄妹が検査に行っている間、両親からこんな話を聞いた。

 

「凌牙達とは近所なの?」

 

なんでも玩具会社の社長である俺の父と故人である神代兄妹の父は仲が良く、近所に家を構えていたらしい。俺も同年代である神代兄妹と面識があり、近所づきあいで一緒に遊んでいたそうだ。

 

「うん、近所だからよく一緒に遊んでたんだ」

 

「それでね……あの子達には遺産が手に入ると思うが、それでも凌牙君達はまだ子供。彼らが良ければ私達が後見人になろうと思うんだ」

 

と父は言う。

 

「それは……うん、そうだね」

 

凌牙達には両親が居ないし、あの年じゃ施設行きになってしまうだろう。それではあまりにも可哀想だ。だが神代兄妹にとってはありがたい申し出であるのは間違いないだろう。その後グリス医師から俺の身体について説明があった。俺の傷は全治1ヶ月で命に別状はないようだ。記憶喪失については現状では何とも言えないが、少なくとも生活に支障が出るレベルではないらしい。そして退院後数ヶ月もすれば思い出すだろうと言われた。

 

退院の日になり俺は大量のデュエルモンスターズのカードパックを貰った。デュエルモンスターズに携わっている父にとってこれくらい屁でもないらしい。

 

「ありがとう父さん!」

 

そう礼を言う俺に父は

 

「アンディ。何時の間に父さんって呼び方になったんだい?前までパパって呼んでた筈なのに」

 

と怪訝そうな顔をするが俺は笑って誤魔化したのだった。

退院後、俺は今世での家に戻った。そこで俺は色々とこの世界の事を調べてみた。俺の住んでいる町はやっぱりZEXALのハートランドシティで間違いないようだ。

 

このハートランドシティはDr.フェイカーという科学者によって作られた未来都市で、園などの公共の場にはゴミ回収用のお掃除ロボット「オボット」が巡回し、自動的にゴミを回収するため、常に清潔な環境が保たれている他、中心部には巨大遊園地「ハートランド」があり恵まれない子供たちが優先的に招待され、世界中から賞賛を浴びているそうだ。

 

「うーん、やっぱりここは遊戯王の世界なんだなぁ」

 

俺は改めてそう実感した。そして俺はこの世界の最重要事項と言っても過言ではないデッキ作りをすることにした。エクシーズ召喚の登場と共に始まった遊戯王ZEXALの世界だけにこの世界ではエクシーズモンスター(モンスターエクシーズとも言う)を使ったデッキが主流のようだ。融合召喚やシンクロ召喚もあるが、マイナーな部類になっているらしい。ペンデュラム召喚やリンク召喚は当時的と言うか世界観的と言うか、存在してないみたいだ。遠い未来にひょっこり開発されるかもしれないが、現状無い。そして俺は大量のパックを剥き、様々なカードと睨めっこをする。

 

「うーん、中々いいカードが引けないなぁ」

 

出てくるカードはランダムでレアなカードにも出くわしたが、ピンとこなかった。うーむデッキ作りって結構難しいよな……。

 

「カードショップに行くかあ……」

 

そうして俺はハートランドシティのカードショップでショーケースに並べられたカードを見やる。そして、

 

「よし!このデッキを組むぜ!店長さん、このカード売るのとこれとこれ買うね」

 

俺は店でカードを売買し、これと決めたデッキをビルドし始めるのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

数日後、神代兄妹が退院し兄弟の両親の葬式が執り行われた。俺と俺の両親も葬式に参列した。葬式が終わった後、俺の両親が神代兄妹の後見人になることになったが、神代兄妹が住んでいた家を離れることを嫌がり、俺達の家が近所とも言うこともあって神代兄妹は屋敷に残るが、頻繁に俺の両親か俺の両親の寄越したお手伝いが来るようになった。

 

それから数日後、俺は神代兄妹の家に遊びに来ていた。彼らとまともに接するのは、実質これが初めてになる。俺は内心緊張しながら屋敷に入り、凌牙と璃緒に挨拶する。

 

「よっ!凌牙、璃緒遊びに来たぜ!」

 

凌牙達は両親を亡くしてから日が浅いが、あまり気を遣いすぎても気まずいだろうと思い明るめのテンションで挨拶した。

 

「アンディか……」

 

「あら、アンディじゃない」

 

凌牙も璃緒も気まずそうに挨拶を返す。俺はもう少し彼らに歩み寄ることにした。

 

「なぁ、一緒にデュエルしないか?」

 

「え?でも……」

 

「いいじゃねぇかよ!やろうぜ!」

 

2人は渋っていたが俺が強引に誘うと、渋々デッキを用意した。俺達はD・パッドを取り出した。D・ゲイザーと共にARデュエルを行うのに必要な装置である。俺はその前にとあるカードを凌牙に渡す。

 

「このカードは?」

 

「この前パックから引き当てたんだ。俺のデッキには合わないし退院祝いにプレゼントするよ」

 

「いいのか?確かかなりのレアカードだった筈だが」

 

そう言う凌牙に俺は笑って言った。

 

「いいさ、退院祝いだよ」

 

凌牙は礼を言ってそのカードをデッキに投入した。そして俺達はデュエルを開始するのだった。

 

「「デュエル!」」

 

――ターン1――市村アンディ

 

アンディ「俺のターン!俺はトイ・マジシャンを召喚!」

 

俺のフィールドに玩具のようなデザインの魔術師が現れた。これがARビジョンか……、迫力あるなあ。

 

凌牙「お前……、そんなモンスター使ってたか?」

 

アンディ「デッキを新しくしたんだよ。でもってカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

市村アンディ LP4000 手札3

 

トイ・マジシャン ATK1600

伏せカード1

 

――ターン2――神代凌牙

 

凌牙「俺のターン!ドロー!」

 

神代凌牙 手札5→6

 

凌牙「俺は手札から提灯(ちょうちん)・シャークを召喚!」

 

凌牙のフィールドにチョウチンアンコウの様な器官を備えたサメのモンスターが現れる。

 

提灯・シャーク

効果

星4/水属性/魚族/攻1000/守2000

①このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分のメインフェイズ時に1度だけ、自分は通常召喚に加えて水属性モンスター1体を召喚する事ができる。

 

凌牙「提灯・シャークの効果で俺は更にモンスターを召喚できる!俺は提灯・シャークをリリースして、ジョーズマンをアドバンス召喚!」

 

提灯・シャークがリリースされて代わりに身体中にサメの牙が付いたモンスターが現れる。

 

凌牙「バトル!ジョーズマンでトイ・マジシャンを攻撃!」

 

ジョーズマンがトイ・マジシャンに襲い掛かる。

 

ジョーズマン ATK2600

トイ・マジシャンATK1600

 

さて、やってみるか。

 

アンディ「この瞬間罠カード、逆ギレバトルを発動!」

 

俺は伏せていた罠カードを発動する。

 

逆ギレバトル

通常罠

①相手モンスターが自分フィールドの表側攻撃表示モンスターに攻撃宣言した時に発動できる。その攻撃を自分への直接攻撃にし、その攻撃で自分が受ける戦闘ダメージを半分にする。その後、自分のモンスター1体を選択しそのモンスターの攻撃力をその受けた戦闘ダメージ分アップさせる。

 

アンディ「その効果により、ジョーズマンの攻撃を直接攻撃にしてその戦闘ダメージを半分にする!」

 

トイ・マジシャンがジョーズマンの攻撃を躱し、その攻撃が俺の方に来た。

 

アンディ「ぐっ!」

 

市村アンディ LP4000→2700

 

虚像とは言え中々の衝撃だ。

 

アンディ「俺はトイ・マジシャンの攻撃力を受けたダメージ分アップさせる!」

 

トイ・マジシャンが怒りのオーラを纏い強化される。

 

トイ・マジシャン ATK1600→2900

 

凌牙「バトルを終了し俺はジョーズマンをリリースして魔法カード、海還海誕(かいかんかいたん)を発動!リリースしたジョーズマンのレベルより下のレベルのモンスター2体をデッキから特殊召喚する!」

 

海還海誕

通常魔法

このカード名の効果は1ターンに1度しか発動できない。

①自分フィールドのレベル4以上の水属性モンスター1体をリリースして発動できる。リリースしたモンスターのレベルより下のレベルを持つ水属性モンスターモンスター2体(同名カードは1体まで)を自分のデッキから特殊召喚する。

 

凌牙「俺はビッグ・ジョーズとキラー・ラブカを特殊召喚!」

 

ジョーズマンが渦に飲み込まれ、渦からサメ型モンスター2体が姿を現す。レベル3のモンスターが2体か。と、なると……

 

凌牙「俺はビッグ・ジョーズとキラー・ラブカをオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、フロート・ホエール!」

 

2体のサメモンスターが空中に現れた穴に吸い込まれ、光ったかと思うと背に都市を乗せている巨大なクジラが出現した。来たな!モンスターエクシーズ!

 

フロート・ホエール

エクシーズ・効果

ランク3/水属性/魚族/攻0/守3000

水属性レベル3モンスター×2

①X素材を持つこのカードは戦闘では破壊されない。

②1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから水属性の魚族・水族・海竜族モンスター1体を手札に加える。

 

凌牙「フロート・ホエールの効果発動!オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、デッキから水属性の魚族・水族・海竜族の何れか1体を手札に加える!俺はデッキからカッター・シャークを手札に加える!」

 

フロート・ホエールの周りをまわるエクシーズ素材が消費され、凌牙はカードをサーチした。

 

フロート・ホエール ORU2→1

 

神代凌牙 手札3→4

 

凌牙「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

神代凌牙 LP4000 手札3

 

フロート・ホエール DEF3000 ORU1

伏せカード1

 

――ターン3――市村アンディ

 

アンディ「俺のターン!ドロー!」

 

市村アンディ 手札3→4

 

俺もエンジンかけて行くとしよう。

 

アンディ「俺は手札からトイ・ソルジャーを召喚!」

 

俺のフィールドに玩具の兵隊が現れる。

 

アンディ「トイ・ソルジャーの効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功したことにより、デッキからトイ・ボックスを手札に加える!」

 

市村アンディ 手札3→4

 

アンディ「でもって、今手札に加えた永続魔法トイ・ボックスを発動!」

 

俺のフィールドにバスの様な見た目のおもちゃ箱が出現する。

 

凌牙「……何だそのカードは?」

 

凌牙はトイ・ボックスのファンシーな見た目に困惑しているようだ。しかしこのデッキのキーカードを舐めてもらっては困る。

 

アンディ「トイ・ボックスの効果発動!元々のカード名に「トイ」を含む、自身を魔法カード扱いで手札から魔法&罠ゾーンにセットできる効果を持つモンスターを自分の手札・デッキ・モンスターゾーン(表側表示)・墓地から2体まで選び、魔法カード扱いで自分の魔法&罠ゾーンにセットする。俺はデッキからトイ・タンクとトイ・フラワーをセット!」

 

2枚のカードがトイ・ボックスの中に収納された。

 

凌牙「魔法・罠ゾーンにセットできるモンスターだと?」

 

アンディ「更に、俺はトイ・マジシャンとトイ・ソルジャーでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろ、DX(デラックス) トイ・マジシャン!」

 

俺のフィールドにデフォルメなデザインから、ブラック・マジシャン並みの頭身になったトイ・マジシャンが現れた。

 

DX トイ・マジシャン

エクシーズ・効果

ランク4/光属性/魔法使い族/攻2500/守2100

光属性レベル4モンスター×2

このカード名の①・②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①フィールドのモンスターの効果が発動した時、または通常魔法・通常罠カードが発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

その効果は「フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊する」となる。

②モンスターゾーンのこのカードがフィールドを離れた場合に発動できる。自分のデッキ・墓地からトイ・ボックスを1枚選んで手札に加える。

 

アンディ「俺は装備魔法、魔導師の力をDX トイ・マジシャンに装備!」

 

魔法・罠ゾーンのカードの力がDX トイ・マジシャンに集約していく。

 

アンディ「魔導師の力の効果でDX トイ・マジシャンの攻撃力は2000アップするぜ!」

 

DX トイ・マジシャン ATK2500→4500

 

アンディ「バトルだ!DX トイ・マジシャンでフロート・ホエールを攻撃!マスターブロック・デモリション!」

 

DX トイ・マジシャン ATK4500

フロート・ホエール DEF3000

 

凌牙「無駄だ!オーバーレイ・ユニットがあるフロート・ホエールは戦闘では破壊されない!」

 

アンディ「何っ!?」

 

そんな効果が?前世には無かったカードなんで知らなかった……。フロート・ホエールはDX トイ・マジシャンの攻撃を防ぎ切った。

 

アンディ「俺はこれでターンエンドだ」

 

市村アンディ LP2700 手札2

 

DX トイ・マジシャン ATK4500 ORU2

トイ・ボックス

魔導師の力

伏せカード2

 




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