ファウスト・アーカイブ   作:文才の無い本の虫

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罪状一つ目
001(改)


 

 

 

 

 

俺は日陰者だ。

 

誰とも知らぬ奴の依頼を請け負い、その金で飯を食う。

 

娯楽なんて在ったものではない。

 

それがなんてことの無い、俺の日常。

 

力しか取り柄の無い俺にはその生き方しか無かった。

 

 

そんなある日、平凡だと宣う少女に出会った。

 

いや、出逢ってしまった。

 

 

――彼女は言った。

 

 

「タイガ君、この出会いは運命ですっ!!」

 

 

この出会いは運命だと。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

平凡だと宣う彼女は。

 

 

「丁度、信頼できる仲間が・・・・・相棒が欲しかったんです。そうだ!私がファウストで、貴方がメフィスト。良い名前だと思いませんか?二人なら、きっと楽しいと思うんです!!」

 

 

危険で、残虐で、どうしようも無く少女的で。

 

そんな彼女に惹かれた。

 

影には太陽が必要だ。

 

とびっきりの悪の太陽が。

 

だから、思った。

 

彼女の為なら、俺は日陰者のままで良いと。

 

 

――そうして、俺は彼女の手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

『もしもし』

 

 

「久し振りだな、()()()()()

 

 

俺は一ヶ月振りに掛かってきた相棒からの電話に素っ気なく応える。

 

すると少し不服そうな、頬を膨らませているのが容易に想像できる様な声が返ってきた。

 

 

『む、メフィスト君。愛しい相棒に対して少し他人行儀ではありませんか?一ヶ月も会えなかったの拗ねてます?』

 

 

「勿論だとも。理由があるとはいえ、愛しい相棒に会えなかったのは中々に堪えた」

 

 

『あはは、そこまで言われると照れますね。それで、どうですか?』

 

 

「予定通りに進めてある。そろそろブラックマーケット全域で動きが出る筈だ。カイザー等は特にな」

 

 

連邦生徒会長失踪の影響に乗じてブラックマーケットの犯罪率を調整し、金が回るようにした。

 

カイザーのマネーロンダリングもさぞ捗ることだろう。

 

 

『おお!!それは良かったです。じゃあ、引き続きお願いします。近々用事もあるので会いに行きますね、メフィスト君』

 

 

「ああ。待っているよ、マイ・フェア・レディ」

 

 

通話を切る。

 

 

(ああ・・・・・会えるのが待ち遠しいな)

 

 

俺の愛しい太陽よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「〜〜〜♪」

 

 

私は上機嫌にブラックマーケットに向かう。

 

ナギサ様とのお友達ごっこのせいであまりトリニティから出られなかったから、彼と会うのは久し振りだ。

 

 

(ああ、愉しみだなぁ)

 

 

カイザーのマネーロンダリングの手助け、ナギサ様とのお友達ごっこ、連邦生徒会への裏工作、エトセトラ。

 

未来を思い描く。

 

ペロロ様の限定アイテムも楽しみだけれど、彼と一緒に悪巧みをするのも楽しみだ。

 

 

「お、あいつトリニティのお嬢様じゃね?」

 

 

「ほんとだ。攫って身代金をたんまり貰っちゃおうぜ」

 

 

(・・・・・あー面倒くさいのに絡まれてしまいました)

 

 

こういう時は、衆目のある所で片付けるわけには行かない。

 

メフィストと私を繋ぐ要素は最低限に留めなければ行けないから。

 

 

(でも利用出来ますね)

 

 

今回のターゲットであるアビドス高等学校のメンバーの情報を思い出す。

 

メフィスト君の情報を見るに暁のホルス――一時期有名だった賞金稼ぎ兼傭兵――以外はお人好しの集まりだ。

 

私は今気付いたかのように方向を変え、幼気な少女の様に声を上げて走り出す。

 

 

「待て!!」

 

 

「う、うわああ!!不味いです!!付いてこないでくださあい!!」

 

 

「そうはいくか!!」

 

 

今日はアビドス高等学校がブラックマーケットに来る日だ。

 

ブラックマーケットの入口は限られている。

 

アビドス方面からくるなら隣の区画に居る筈だ。

 

幼気な少女がスケバンに追い掛けられていたら助けてくれる事だろう。

 

 

(見えて来ましたね)

 

 

「わわわ、其処をどいてくださーーい!!」

 

 

偶然を装い、マフラーを付けている生徒にぶつかる。

 

予想通り、彼女達は助けてくれるようだ。

 

 

「ん、大丈夫・・・・・じゃないか。追われてるみたいだし」

 

 

「どけ!!私達はそのトリニティの生徒に用があるんだ」

 

 

「あうう・・・・・私の方は特に用は無いのですけれども・・・・・」

 

 

数秒後、私を追っていたスケバン達はアビドスのメンバーによる殴打で地に付していた。

 

 

(情報通り、個々の戦闘力も侮れません。暁のホルスは別として、特にシロコちゃんは此方側に片足・・・・・いえ、半歩踏み込んでいますね)

 

 

「悪人は懲らしめないとです☆」

 

 

「うん」

 

 

彼女達に礼を言う。

 

 

「あ、ありがとうございました、皆さん」

 

 

そうして彼女達に何故此処に居るのかを聞かれたので、答えた。

 

真実故に、見抜ける者はごく少ないだろう。

 

()()()()ペロロ様が好きなだけの平凡な少女なのだから。

 

 

「えっとですね・・・・・ペロロ様の限定グッズを買いに来たんです。ね、可愛いでしょう?」

 

 

「わぁ!モモフレンズですね!」

 

 

どうやら同士が居たようだ。

 

見た限り、善性の人物達で・・・・・その善性は利用しやすい。

 

 

(あはは・・・・・他人事ですから、ご愁傷さまと言わせてもらいますね)

 

 

私の――ファウストとしての――隠れ蓑になってもらう。

 

アビドス高等学校のメンバーとシャーレの先生に話を合わせる。

 

 

アビドス高等学校。

 

カイザーに土地を狙われ、借金漬けにされてしまった哀れな学校。

 

 

彼女達がカイザーの借金に関する真実を知るには銀行を襲うしか手は無いだろう。

 

何せ、私と彼がそう誘導したのだから。

 

取り敢えず・・・・・。

 

 

(早くメフィスト君に会いたいなぁ・・・・・)

 

 

巻き込まれた少女に擬態しながら、私は愛する相棒の姿を思い浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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