「全員その場に伏せなさい!!持ってる武器は捨てて!!」
「言う事聞かないと怪我しちゃいますよ☆」
「あはは・・・・・皆さん、怪我しちゃいけないので伏せていてくださいね・・・・・」
私は銀行強盗をしているアビドスメンバーに紛れ周囲を警戒する。
(予想通りではありましたけど、ノリと勢いで私を巻き込むだなんて・・・・・)
随分と追い詰められている様だ。
あとかのシャーレの先生が銀行強盗に加担するのは如何なものだろう?
すると暁のホルスが言う。
「うへ~此処までは計画通り!!次のステップに進もうー!!リーダーの
(おや?・・・・・私の正体を知っている訳では無く、都市伝説的な犯罪者『ファウスト』に犯行を擦り付けようとしてます?ニヤニヤちゃん程頭が切れるわけではなさそうですが、少し上方修正ですね)
「え、ファウストって・・・・・しかも私がリーダーですか?!」
「リーダーです!ボスです!!ちなみに私は・・・・・覆面水着団のクリスティーナだお♧」
(少しノリノリ過ぎませんか・・・・・?)
私が言える事では無いが、ボロを出さないか少し心配になる。
(カイザーを乗っ取る為の布石ではありますけど・・・・・流石に揉み消しやヴァルキューレへの介入は骨が折れますし、メフィスト君にも負担をかけてしまいます)
万が一の為に彼は呼んであるものの、無事に脱出出来ることを祈るばかりだ。
暫くして、シロコという少女が鞄を抱えて戻って来た。
「では、撤収ー!!」
「ご、ごめんなさい!」
走り出す彼女達に合わせて動き出す。
チラリと近くの建物の影に彼が見えた。
(ハンドサイン・・・・・“何か”“呼べ”・・・・・何かあったら呼べ、ということですね!助かります!)
そうして暫くブラックマーケットを駆ける。
少し遠くにマーケットガードの一団が見える。
「皆さん、駆け抜けましょう!」
「ひふ・・・・・ファウストさん?どう言うことですか?」
「説明は後で!!」
キヴォトス人は、少なからず何かしらの『神秘』を持つ。
私のソレは『好きな物、気に入った物を呼び出せる』というもの。
私はソレを
「『助けて、ペロロ様!!』」
◆◆◆◆◆
合図が聞こえた。
(なら、征くのみ。相棒の元へ)
キヴォトス人は、身体の頑丈さに加え、何かしらの『特殊能力』を持つ事がある。
俺のソレは『息を止めている間、時が止まったかと見紛う程の速度で動ける』というもの。
息を止める。
(相棒の頼みとはいえ、この着ぐるみはどうにかならなかったものか・・・・・)
まあ良い。
俺は限りなく遅くなった世界の中を駆け、愛しい相棒の前に躍り出る。
外からは彼女が俺を召喚した様に見えるだろう。
演出としては、70点といった所だ。
後ろから、相棒の声が聴こえる。
「足止めをお願いします!!」
喋るわけにも行かないので、少し振り返り、
少々締まらないが、伝わるだろう。
(マーケットガードが十二・・・・・先ずは)
相棒が覆面の生徒達を連れて走り出したのを横目に、追撃しようとするマーケットガードの前に移動する。
「速っ」
「追わせん・・・・・ペロ」
事前に言えと言われた鳴き声を言う。
「クソッやられた!!巫山戯ているのか!!」
「コイツ、頭は可笑しいが強いぞ!!本部、応援を!!」
成る程、相棒はコレを狙っていたのか。
まあ良い。
(この調子ならお荷物があっても相棒は逃げ切れるだろう。俺は引き続きマーケットガードの目を集めるだけだ)
マーケットガードの一体に近付き、頭部を掴み、砕く。
その頭部がなくなったマーケットガードを他のマーケットガードに向かって蹴る。
それで怯んだマーケットガードを貫手で貫き、盾としてまた別のマーケットガードに突撃。
(良し、これぐらいで良いだろう)
暫くして、俺はスモークグレネードを投げる。
煙で十分に視界が遮られた所で、息を止めて遅くなった世界を使ってマーケットガードから逃走した。
「どこだ?!」
「探せ!!まだ近くに居る筈だ!!」
「本部へ連絡しろ!!」
彼らが減りすぎると此処の最低限の治安が維持出来ない。
そうなると俺達の計画にも支障が出る。
(適当なペーパーカンパニーを使って補填して置こう)
まあ、マーケットガードの運営元も俺達の――正確には相棒の――手中ではあるが。
そうして俺はビルの屋上を伝って移動し、ブラックマーケットの一角にひっそりとある一軒家に入る。
「タイガ君、おかえりなさい!」
リビングで相棒が手を広げて待っていた。
俺は言う。
「ああ。ただいま――――ヒフミ」
メフィストではなく、吽形山タイガとして彼女を抱きしめた。
「タイガ君、今日は何をしましょう?外泊届は偽造してあるので明日までは一緒に居られますよ」
「俺はヒフミと一緒に居られればそれで良い」
「あはっ。私、タイガ君のそう云う所、大好きですよ。じゃあ、一緒にデートでも行きましょうか」