忍者になりたいと願ったら陵辱モノのエロゲ世界に飛ばされた男 作:goldMg
強盗と相打ちになった少年は真っ白な空間で『神様』に出会った。死後すぐの出来事で何が何だかわからないまま、願いを言えという言葉に従い少年は
そして希望通り、少年は
しかし彼には何もない。
力も。
知恵も。
それらを振るうべき場所も。
死者は戻ることができない。故郷に帰ることはできない。
故に、力を得た彼は進むしかなかった。
背中を押されて落ちていくしかなかった。
力と知恵を手に入れ、忍者として完成に至るために。
ーー落ちた先は
そして再びの別れ。
真っ白な空間に召喚され、『神様』に対して怒りに満ちた言葉を投げた。
当然だと誰もが言うだろう。手に入れた栄光と誇りを奪われたのだから。
だが、その苦しみは紛い物だということは理解していた。本当に大事なものはシッカリと魂に刻まれているのだから、離れ離れになっている事など何の関係があろうか。
意地の悪い『神様』は語る。
彼の境遇など生ぬるく感じるほどの地獄に突き落とされる子らがいると。
陵辱され、尊厳を奪われ、泣きたくても泣けないような悪夢に身を包まれる子がいると。
ーーああ、なんと意地が悪い。そんなことを言われてしまっては進むしかないじゃないか。
例えそれがどれだけ辛く苦しい道だとしても、
再び、白い光に包まれた。
彼は知る由もないが、やってきたのはエロゲーの世界に極めて酷似したおぞましき現実だった。ニチアサだの魔法少女だのという解釈は明確に誤りだったが、指摘してくれるものは誰もいなかった。
二つ目の世界を機の世界と置くならば、三つ目の世界は魔の世界だった。
アンチドート・アンチワールドと呼ばれる化外と、それらに抗う
何をするべきか見出すのに、そう長い時間はかからなかった。
未熟ではあっても、かけがえの無い仲間だと思っていた。
少女達はよく笑い、よく泣き、よく怒った。
世界を苦しめる元凶を見て武器を構え、苦しむ人々を見て心を痛める善性に満ちていた。そんな彼女達のそばで先行きを見守ることはとても楽しかったから。
子宮で魔力を練るというアホみたいな常識に四苦八苦し、夜半、背中にくっついてきてモゾモゾする少女に気まずい思いをすることも幾度かあったが、それは思春期故に仕方がないことだ。
モゾモゾしていようが、寝ていると勘違いされて鎧を着たままの彼に対して何をしようが、結局のところ
だからこそ、果てまで付き合おうと決めたのだ。
その果てとして
そこには和があった。
そしてやはりというべきか、闇に潜むものはいた。裏社会の話ではあるがユーロでは目立ちすぎたせいで弊害もあった。倭の国では少し落ち着いた動きをとるということに決め、竜胆市に見た目年齢10代半ば、実年齢30代の一般高校生が生まれたというわけだ。
関わりを避け、陰日向に生きるものらしく隠キャとして振る舞っていたが――戦うモノの宿命か。倭の国を裏から治める天忍達との邂逅を果たした。
その発端は国全体を襲撃した魔物の軍勢。
クラスメイトでしかなかった彼女らを始めとして、天忍と正式に交流を持った。
司令である
ヒサメらの先輩である
街を守るものとして志を同じくする彼女らと良好な関係を築いていた。
魔族の進行によって倭の国は半壊したが、竜胆市は形を保っている。しかし時間を経るごとに流入する人口と悪化する治安。紛れ込んだ魔物や不埒者を処理しながら生活していた彼の平穏を乱したのは
懐かしい香りと同時に訪れた不穏な気配。
妖怪という新たな不可思議――そして彼らと因縁のある古の主なる人間が竜胆市のどこかにいると言うのだ。
そんな荒唐無稽な話を誰が言ったのか。
西からやってきたミカゲとセツナだ。
天忍とも違う組織に属する2人組は、壊滅した東側の各地を旅して竜胆に辿り着いたという。
2人は古の主を探すという使命を遂行するため、ゲンジの家に居候していた。そんな彼女らの言葉をヒントに、新たな波乱を収めようと動いた天忍。しかしミカゲらはそんな努力を嘲笑うが如く――もちろん本当に嘲笑ったわけではない――2人だけで古の主の場所を突き止めた。
果たしてその場所とは。
その正体とは。
――志村氷雨の親友にして、一般人の常識を教えてくれた先生。
宮本怜
彼女の家に着いたヒサメの様子は露骨におかしくなっていた。
それも当然だ。なにせ宮本怜とはヒサメにとって安寧と日常の象徴だったのだから。たとえ原作においてはヒサメを地獄に突き落とす首魁の1人なのだとしても、それがこの現実において何の関係がある。
そんな彼女の動揺は大きな心の隙となった。
故に――格好の的だった。