忍者になりたいと願ったら陵辱モノのエロゲ世界に飛ばされた男   作:goldMg

3 / 29
3_の

 ヒバリさんの指令から2ヶ月経った。

 アレ以降、現場には誰も現れていない。

 先行隊も特に誰かを発見したりはしていない。

 連絡が来たら魔物を倒すだけ。

 サキは、張り合いが無いなんて言っていたけど、少しだけホッとしているようにも見えた。

 なんだかんだ言っても、何も起こらないならそれに越したことはないものね。

 

 一応、夏休みに合わせて天忍のお仕事も休ませてもらったりしたけど。

 

「ひゃー! 冷たーい!」

 

 今はプールにいる。

 クラスのみんなとお出かけだ! 

 レイちゃんと一緒に選んだ水着も結構良い感じじゃ無い? 

 

「ヒサメっち、めっちゃプロポーションいい……」

 

「えぇ〜? そう〜?」

 

 そうでしょうそうでしょう! 

 修行で手に入れた私のパーフェクトボデーに見惚れなさい! 

 

「嘘でしょ……このお腹、めっちゃ引き締まってる……帰宅部の癖に、どうやって手に入れたのー!?」

 

「ちょっと、くすぐったいから……もー!」

 

 男子からもチラチラと視線があって、優越感! 

 

「おい、志村さんやべえって」

 

「ごくり……エロっ……」

 

「や、やめろよお前ら、あんま見るなよ」

 

「ムッツリじゃん、お前志村のこと好きなの?」

 

「は、はあ!? 全然そんなんじゃねえし!」

 

 あー! 天忍やってて良かったって、これまでで一番強く思ったかも! 

 

 流れるプール、滑り台、波のプール、ファイアーダンス、ジオラマ。

 色々なアトラクションがある! 

 私が体験したことのないものがたーくさん! 

 学校に通って良かった〜! 

 

「うわぁー! あははは!」

 

「ヒサメ! めっちゃいい笑顔してるよー!」

 

「あははは!」

 

 写真を撮ったり、動画を撮ったり。

 全部のプールを何周もした。

 プールサイドを走って怒られたり、テンションが上がりすぎて水面を走っちゃって誤魔化したり。

 残念なのは、不参加な子がいることだ。

 島田くん。

 バイトで参加できないと、いの一番に断っていた。

 

 今は、野球部の山本くんと一緒に歩いている。

 用事があるんだってさ。

 クラスメイトがコッソリ見ているけど、なんだろう。

 

「残念だね、全員で来たかったなぁ」

 

「あいつもこんな時くらい休めばいいのにな、せっかくの機会なんだから」

 

「あはは、そうだねー」

 

「……なあ」

 

「うん?」

 

「その……」

 

「どーしたの?」

 

「──っ」

 

 なかなか用を話さないから、落ち着かせる為に微笑みかけた。なんでか頬をぽりぽりとかき出す。

 頬も赤いような……熱いもんね、太陽。

 でも、それにしては目が……

 

「あの、俺さ……結構頑張ってるんだけど、どう思う?」

 

「がんばってる? ……えっと、すごいと思うよ!」

 

 多分野球部の練習のことだよね? 

 

「そ、そうか! そうだよな……!」

 

「うん」

 

 なんで今? 

 

「でさ! すーっ……その……好きです! 付き合ってください!」

 

「え?」

 

 好きって私のことだよね? 

 

「どう、かな」

 

「うーん……ごめんなさい!」

 

「そっっっ、かぁぁぁあ……」

 

「うん、でも友達でいようね!」

 

「あ、ああ……」

 

 トボトボと歩いて行っちゃった。

 最近よく話しかけてきたのはそういう事だったのかな。

 ……あ、だからレイちゃんもあんな事言ったの!? 

 でも好きじゃないからしょうがないかな。

 

 

 ──────

 

 

「山本の事ふっちゃったんだ、勿体無い」

 

「うん、好きじゃないから」

 

「アイツ結構モテるのに……まあ、前から言ってたもんね」

 

「うん! それに色々忙しいからさ」

 

「家の?」

 

「そう」

 

「嫌って訳じゃなさそうだね、その口ぶり」

 

「全然嫌じゃないよ? 大変だけどさ」

 

「そっか」

 

 レイちゃんは何だか嬉しそうだった。

 

「──それにしても!」

 

「ひゃっ!?」

 

 背後にまわられ、腰を掴まれた。

 く、くすぐったい……! 

 

「こーんなエッチな身体、島田のやろーは見られないなんてバカだね!」

 

「もー、やめてよー」

 

「ヒサメは隣の席だけど、いっつも寝てるよね」

 

「うん、ゲームで夜更かししてるんだって」

 

「それで夏休みはバイト? なんか、人生つまんなそうだね」

 

「そんな事言っちゃダメだよ〜」

 

「良い子ぶんなオラー!」

 

「キャー!」

 

『そこ、走らないでー』

 

 

 ──────

 

 

「だ、第二等級……を、倒した!?」

 

 顔から血の気が引いていく。

 サキとミクの顔を見る。

 全く同じだった。

 ヒバリさんからの報告を聞いて、信じられない気持ちだった。

 

「そうだ。第二等級の魔物を瞬殺して、たまたま居合わせた監視班に見られる事もなくな」

 

「第二等級を瞬殺……」

 

「つまり、セカンドオーダーの強さには少なくとも到達している。瞬殺しているところを見るに、ファーストオーダーに匹敵する可能性もあるだろう」

 

 それは、今の私たちでは絶対に到達し得ない領域だ。

 どんな凄まじい人がいたのだろう。

 一つだけ良かったのは……

 

「お前達が最初に出会わなくて良かった」

 

「は、はい……」

 

「そして、この件を我々は重く見ている……今後はお前達の代わりにセカンドオーダーが派遣されることになった」

 

「ちょっと待ってくださいよ!」

 

 サキが前に出た。

 

「私たちがここまで頑張って追ってきて! それでこのタイミングで外されるって──」

 

「だまれ!」

 

「っ」

 

「言いたいことを言うのは、第二等級を倒してからにしろ!」

 

「そ、それは……でも……」

 

「……相手の総戦力も読みきれない状況でお前のような未熟者を出しても舐められるだけだ。何かしらの交渉をする可能性だってある。そして交渉とは、対等以上の存在でなければ成立しない」

 

 サキはもともと、影と呼ばれる部隊を輩出してきた一族の子だ。

 類稀な才能があったから天忍になる事を許された。

 家族から、大きな期待をされていると聞いた。

 だから、それに見合うだけの成果が欲しいんだ。

 家族を安心させられるだけの結果が。

 

 でも、それはヒバリさんも分かってる。

 分かった上で無理だって言っているんだ。

 

「せめて……せめてそいつがどんな奴なのか、私にも見させてください!」

 

「…………だめだ」

 

「ヒバリさん!」

 

「──と言っても、お前はどうせ勝手に見にいくんだろう。ならば……一人で動き回られる方が迷惑だ」

 

「ヒバリさん!」

 

「穂高、志村、お前らがストッパーだ」

 

「でし……」

 

「あ、はい」

 

 巻き込まれた。

 けど、サキが一人で突っ走るのを止めないといけないのは事実だ。

 それに……普通に心配だし。

 

 

 ──────

 

 

「おーっほっほっほ! この私、西条六花(サイジョウリッカ)があなた方の代わりに戦って差し上げますわ! おーっほっほ!」

 

「あー……直江白(ナオエハク)です、よろしくー」

 

 ま、真逆な二人だ……

 西条さんは縦ロールの、お、お嬢様? みたいな……

 直江さんはジャージを着たボサボサ髪で、猫背。

 この二人が、派遣されてきたセカンドオーダーらしい。

 ……この二人が組んでるの? 本当に? 

 

「気持ちは分かるけど、本当に組んでるよーん」

 

「マジか……」

 

「正反対って感じでし」

 

「あなた達! 人の見た目と行動が必ずしも一致しているとは限らなくってよ!」

 

「してるじゃねーか」

 

「宵闇咲さん! あなた、良いツッコミをしているわね!」

 

 キャラが濃い……

 

「話は聞いてるよん、宵闇ちゃんがアンノウンとの接触を直に見たいんでしょー」

 

「そうだけど」

 

「邪魔だけはしないでね〜?」

 

「わ、わかってるよ!」

 

「ふーん」

 

 セカンドオーダーの二人との初会話は、正直あんまり良い雰囲気じゃなかった気がする。

 サキの、言ってしまえばワガママが通ったのはヒバリさんのお口添えがあってのことだ。

 そうでもなければ、足手纏いが付いてくることなんて誰が受け入れるもんか。

 私たちだって、一般人から戦いを見たいなんて言われて、あまつさえ上からの命令でそれが強制になったら良い気はしない。

 

「とにかく、戦闘範囲に入ってこないでね?」

 

「おっほっほ!」

 

 そうして初対面を終えた帰り道、サキは小石を蹴っ飛ばしていた。

 

「くそっ!」

 

 小石は、地面に当たるたびに不規則な方向へと跳ねる。サキの今の気持ちを表しているかのように荒々しい動きだ。

 ミクと私は、サキの気持ちが痛いほど分かる。

 

 修行で聞かされた、一族の苦労。

 地面に寝転びながら三人で話をした。

 どんな理由があって、今を頑張っているのか。

 誰よりも真剣に、誰よりも本気で天忍を目指していた。

 向上心の塊みたいな子だ。

 

 だけど、今ばかりはそれを抑えて欲しいとも思っていた。

 

 

 ──────

 

 

 夏休み後、初めての登校。

 島田くんはまたも寝ていた。

 

「んごごご」

 

「今日は午前中だけだから、早めに帰るんだぞー」

 

 午前上がりと聞いて舞い上がるクラスメイト達。

 今日は課題の提出とかそういう細々としたことだけらしい。

 かくいう私も、まだ夏休み気分が抜けていなかったから嬉しい。

 ホームルームが終わってすぐに、レイのところへ駆け寄る。

 

「レイ! ボウリング行こっ! ボウリングっ!」

 

「二人だとちょっと味気ないね」

 

「じゃあ他に誰か誘う? 山本くんとか」

 

「えぇ……ヒサメ、あんたエグいね……」

 

「なにが?」

 

「とりあえず、山本はナシ!」

 

「じゃあ、誰?」

 

「うーん……」

 

 レイが首を回してクラス中のメンバーを見る。

 

「どうしようかねぇ」

 

「すぴー……ふがっ、ぐぎぎぎぎぎ……」

 

 島田くん。

 猛烈な寝息を立てながら机にほっぺたをくっつけている。

 

「コイツは暇だろうけど……」

 

「一応誘ってみよっか!」

 

 島田くんの机の横に立って肩に手を置こうとした、その時だった。

 

「ぐごご──あ?」

 

 一瞬で覚醒した島田くんに、手を掴まれた。

 今……私、肩に触ったっけ……? 

 島田くんは私の手と顔の間で視線を往復させると、ニコリと笑って手を離してくれた。

 

「志村と宮本か、どうした」

 

「──あ、うん、島田くんボウリング行く?」

 

 ざわざわと後ろが煩くなった。

 なんだろうと少しだけ気になって視線を動かすけど、面白いものを見たみたいな表情をみんながしている。

 なんだろう? 

 

「ボウリング」

 

「そっ、わざわざヒサメが誘ってるんだよ〜?」

 

「…………俺は──」

 

『──えー!?』

 

 答えを聞こうとした時、後ろが先ほどよりもさらに騒がしくなった。

 

『志村、ボウリング行くの!?』

 

『マジで!? 今から!?』

 

 その声へ向けて答える。

 

「うん、レイと行くけど……暇な人いる?」

 

「「「はいはいはい!」」」

 

「おっ、結構いるんだ……じゃあ、みんなで行こうかっ!」

 

「「「やったあああああ!!」」」

 

「島田くんも──あれ?」

 

 今まで確かに座っていたはずの島田くんは、忽然と姿を消していた。

 首を傾げる。

 

「島田なら帰ったよ〜。あんにゃろ、うちの姫のお誘いを二度も……」

 

「ひ、姫って……やめてよ、もう」

 

「顔がちょっと良いだけのオタクがよぉ」

 

 ボウリング場には結局、10人くらいでやって来た。

 3組に分かれて遊ぶことに。

 

 ……やったことが無いので、全然点が入らない! 

 レイは大笑いしてるし……! 

 

「キャハハハハッ! 全部ガーターじゃん!」

 

「だって初めてなんだもん!」

 

「志村、教えてやるよ! ボウリングはこうやるんだ!」

 

 ボウリングの球が中心の線から少し右を通り、やがて左にカーブしてピンを全部倒した。

 

「おー」

 

 パチパチパチィーと拍手をする。

 なるほど、回すのが大事なんだね。

 次の順番までにイメージトレーニングしとこう。

 

「──えいっ」

 

「うおっストライク……いきなりコツ掴んだ?」

 

「うんっ、古川くんありがとっ!」

 

「あ、お、おうぅっ!」

 

 でも、あんまりストライク出し過ぎると悪目立ちしそうだから抑えなきゃっ! 

 次の回では8本倒した。

 

「あっ、おし〜!」

 

「そしたら次の2本を倒せばスペアだな、頑張れ志村!」

 

「うんっ! レイも良いとこ見せてね!」

 

「任せんしゃいっ…………とりゃああああ!」

 

「あはははははっ!」

 

 ──レイはガーターを叩き出した。

 

「あー、楽しかった! 古川くん、教えてくれてありがとう!」

 

「お、おうっ……また誘ってなっ!」

 

「あははっ、分かったー」

 

「じゃ、じゃあ駅まで送るよ」

 

「……だいじょーぶ、レイがいるから!」

 

 レイの腕に抱きついた。

 

「そ、そう、なんだ……」

 

「ふっ、少年! 姫の護衛はまだ君には任せられないな!」

 

「う……じゃ、じゃあ、またな」

 

「ばいばーい!」

 

 ボウリング、すごい楽しい! 

 レイのおすすめだったから楽しみにしてたけど、やっぱりすごかった! 

 レイはすごい。

 私が知らない色々な事を知っている。

 きっと、こっちの世界も色々大変なんだ。

 だからレイは色々勉強して来たんだ。

 ……ふと、心からの言葉を言いたくなった。

 

「──レイ、ありがとう」

 

「なになに?」

 

「私、レイと出会えて本当に良かった!」

 

「うっ……ま、眩しい……! こんな良い子の事をあの時の私は……」

 

「うん?」

 

「いやいや、なんでも無いよ〜…………ヒサメ、私もヒサメと出会えて良かったよ」

 

「うん!」

 

「……おい、なんだよこれ! ちょ〜恥ずかしーじゃん!」

 

「あははっ、そうだね!」

 

 

 ──────

 

 西条六花(さいじょうりっか)18歳

 

 西条家は京都付近に由来を持つ名家。

 幼少期より英才教育を受けた彼女の実力は確かだ。しかし、ファーストオーダーに届くのは今しばらくといった様子。

 扱う武器は宝刀サクラフブキ

 

 振るたびに刀身より現れる魔力の水が舞い散り敵を穿つ大薙刀。振れば振るほどに水は増えるため長期戦向きの武器と言える。しかし彼女は高い練度でこの武器を操る事ができる為、短期戦でも上手く使えるようだ。

 胸が大きい。

 

 

 直江白(ナオエハク)17歳

 

 直江家は九州に由来を持つ。

 彼女も相棒の西条六花と同じく、幼き頃より鍛錬を受けて育った。

 操る武器は鉄火線(テッカセン)

 魔力が練り込まれた鋼鉄の糸を操り、武器としても防具としても扱う事ができる。

 この武器を操るには三次元把握能力が高くないといけない為、そもそも武器として取る人間は少ない。また、他の忍具のように特殊な忍術を操る事ができない故、そういった面でもこれを武器とするのはメリットが薄い。

 だがそれは、この武器に対する習熟度が低い場合だ。高い習熟度を誇る人間が操れば、空中を自分の要塞とする事が可能となる。

 無限の可能性を秘めていることは明らかだ。

 

 

 古川充(フルカワミツル)15歳

 

 一般家庭の子供。

 ボウリングが上手い。

 中学生の時に友人と良く通っていたようだが、最近はそうでもなかった。

 志村氷雨にボウリングを教えて以降は、少しだけ頻度が増えた。彼女との接触が心持を変えたらしい。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。