忍者になりたいと願ったら陵辱モノのエロゲ世界に飛ばされた男 作:goldMg
「セカンドオーダーを助けた、か……」
「やはり味方なのでは?」
「だが、それならば何故我々の前に姿を見せない?」
「大事なのは、天忍を助けたという事実だ」
「……強大な戦力を保有している事は明らかだな」
「結局、誰もアンノウンの姿を見てないのか……」
「目の前で戦っていたんじゃ無いのか!? 影は何をしている!」
「早く捕縛してくれないものかね」
「別の──それこそファーストオーダーを派遣するべきだ」
「そうはいかない、ファーストオーダーは今も全員が任務中だ」
「目下の最優先事項はアンノウンの正体を掴む事だろうが!」
「では、これからも他の地域に現れるだろう第一等級や魔人を放置して、お前が責任を取るのか!?」
「そういう問題では無い! アンノウンの強さは確実にファーストオーダークラスだ! そこに当てるのはファーストオーダーしかないだろうが!」
「────!」
「──!?」
会議は踊る、されど進まず。
ヒバリは議事録を見てため息をついた。
会議なんて、内容と結論を決めてから始めなければこんなものだ。
人間なんて、そんなに上等では無いのだから。
第五等級から第一等級への格上げ。
格上げ自体は前例が多くあるが、ここまで一気に上がるというのは稀だ。
13体の骸骨型魔物。
一体を倒すたびに強くなり、最終的には手が付けられなくなる。
「ちっ……人材が豊富だな、向こうは」
こちらは魔人への対処で最高戦力が動かせないというのに。
今回の魔物を何度も送ってこられたら、それだけで負けるだろう。
それこそ、今回のようにアンノウンが対処でもしてくれない限り。
……だが、これで改めて確証が持てた。
アンノウンが活動するのは竜胆市のみだ。
なんとかして接触しなくては。
竜胆市はサードオーダーだけで対処できていたのに、敵の質がどんどん上がっている。
骸骨が出現する少し前にも、セカンドオーダーがいたから対処できたが、3人に任せていたら死んでいた案件もいくつかあった。
そして今回の魔物。
いよいよファーストオーダーがいなければ対処できないようになってしまった。
そもそも他のセカンドオーダーやサードオーダーだって暇をしているわけでは無い。
直江と西条の2人は余裕のある町からやっとこさ引っ張ってきたのだ。
アンノウン対処という名目だから要請もスムーズに通ったが。
もし……もし、アンノウンが天忍に加わってくれるなら、どれほど心強いだろうか。
天忍ですら認識できないような情報操作能力。
ファーストオーダークラスの戦闘能力。
ああ、バカ上司どもが愚かな決定をしないことを祈ろう。
──────
「ふごごぉぉぉぉ……んごがががが」
「93ページを読んでください」
「くぴっ……ぷすぅぅぅぅぅ」
「現在完了の例題が載っていますね。5分間取るので解いてみてください」
「ごがっ……すぅ……すぅ……」
今日も今日とて大爆睡している島田くん。
本当に良く寝るというか、なんでこれでテストの点が取れるのか分からない。
塾も通ってないらしいし。
羨ましいなあ。
私も勉強しないでも縄の結び方とか武器の手入れとか分かってたら、もっと楽だったのかなあ。
そんなわけないか。
あの後、私たちは天忍の専門病院に運ばれて即座に治療された。そこから一日中寝ていたらしい。
忍術で作った薬で回復したけど、ミクは大事をとって今日はお休み。
骨を折ったり深い傷を作ったりしても少し時間をかければ治るのが凄いところだ。
大怪我だと痕は残っちゃうけど。
直江さんと西条さんは大怪我を負ったと聞いた。
死の一歩手前だったって。
申し訳ない。
ここは私たちの街で、私達が守らなきゃいけないのに。
……そんなのは、ワガママなのかな。
あの魔物の等級は、第一等級。
もう、私たちじゃあ手も足も出ない。
直江さんと西条さんですら、まだ届かない領域。
アンノウンが倒してくれなかったら……本当に、大変な事になっていた。
そして、アンノウンがファーストオーダーに匹敵するという事まで確定した。
……なんとなく分かってたけどね。
天忍が本気で監視しても見つからない。
第二等級を瞬殺。
サキとミクも分かってたんじゃないかと思う。
不思議なのは、なんで最近になるまで全く活動をしなかったのかって事だ。
考えても分からないけど、そこがどうにも引っかかった。
──────
放課後、2人でお見舞いに行く事に。
今日はまだ魔物が出現していないから、時間もある。
気は抜いていないけど……仲間と、命の恩人である二人へのお見舞いは当然だ。
サキは果物を買ってきていた。
「リンゴ?」
「見舞いと言えばリンゴだろ」
「サキって意外と気遣いできるよね」
「どういう意味だソレは! ……はぁ、話を聞いた時は肝が冷えたぜ」
「そうだね………………第一等級かぁ……」
「ああ」
「私たち、どうなるんだろう」
「先輩達が暫くお休みだから、また出動だろ」
私たちは、ヒバリさんの指示を無視して戦闘に参加した。
お二人の戦力を無駄に使いたくなかったからだ。
アンノウンが現れた時に対処できるようにって考えたけど……裏目に出た。
だけど、お咎めなし。
ヒバリさんより上の人も何も言っていないらしい。
それだけ、アンノウンを重要視してるって事だ。
「ん? 先輩?」
「な、なんだよ」
「……ううん、なんでもない」
サキも少し心変わりがあったらしい。
2人とどんな風に話すのか気になるなあ〜、ふふっ。
「──志村ちゃんと宵闇ちゃんか。わざわざお見舞いなんて来たの? 暇だねー」
「ハクさん! 失礼ですわいだあっ! こ、声が傷に……」
お二人は同じ部屋にいた。
全身を包帯で巻かれていて、どれだけ痛めつけられたのかと心が重くなる。
「直江さん、西条さん……」
「にゃはは、そんな顔しないでよー。これも任務なんだから気にしてないって」
「本当にありがとうございました」
「──先輩!」
サキが唐突に大声を上げた。
病院内だから静かにしてと注意しようかとも思った。
だけど、真剣な顔を邪魔するのは躊躇われた。
勢いよく頭を下げる。
「私、先輩達のこと誤解してました! ……いや、私のワガママで迷惑かけてすみませんでした! それと、これまでのこと……本当にありがとうございました! 先輩達がいなかったら、私なんて死んでました!」
「…………あははははは! あいたた……私たちも宵闇ちゃん達のこと少し誤解してたみたいだからさ、ここはお互い様ってことで……どうかな?」
「はいっ!」
雨降って地固まるって、やつなのかな?
「そういえば、これを伝えなきゃね」
「はい?」
「アンノウンは……もしかしたら、私達のことをずっと見てくれているのかもしれないね」
「ずっと、見てくれている……」
「結局、リッカが倒れるまで現れなかったってことはそういうことなのかなって」
──────
「大切な仲間は後回しでし……」
「ごめんね、ミク」
「先輩達に助けられたんだから先に挨拶するのが道理だろ」
「はーあ、仲間なんてこんなもんでし」
「そんな事ないってば〜」
「とりあえずリンゴ剥いとくぞ」
「くれでし」
ミクは、直江さんと西条さんに比べると大分ケガは軽い。
それでも肋骨は折れてたけど、薬効でメキメキと治っているらしい。
「痛いぃ〜」
布団の中で半泣きでモジモジしているのは、今も骨が再生しているからだ。
でも食欲はあるようで、ヒンヒン言いながらサキの剥いたリンゴを食べている。
小動物みたいで可愛いな。
「……で、例のアンノウンが現れたんでし?」
「知ってたの?」
「なんとなく、現れるんじゃないかって思ったんでし」
「12体目と13体目を倒してくれたらしいよ」
「姿は?」
「ううん」
「シャイでしねぇ」
ミクは窓から覗く青空を見上げると、眩しいとでも言うように、目を細める。
憂うところがあるような口元をしていた。
「何か気になるの?」
「あいつ、どれくらいの強さになったんでし?」
「第一等級だよ」
「だいいち!?」
「うん」
「そっか……じゃあ、ファーストオーダーなんでし?」
「そうだね」
「まさかだなあ……」
「ヒバリさんにこれからのことを聞きに行こうと思ってる」
「それが良いでし」
──────
「──いや、お前達は引き続きこの街で活動してもらう」
「良いんですか!?」
「アンノウンが現れるのは不定期だ、そんな奴に治安維持を任せられる筈ないだろう」
「…………」
確かに、言われてみればその通りだ。
サキと顔を見合わせた。
「やったね!」
「ああ!」
「セカンドオーダーも暫くは続投だ。勿論、身体が治ってからの話にはなるが……アンノウンとの交渉で表に立つのが直江と西条の2人なのに変わりはない」
「ファーストオーダーは来ないんですか?」
ファーストオーダー。
天忍ならばそこに辿り着くのが最終目標。
当代のファーストオーダーである12人は、その名を誰もが知っている。
「奴らも暇じゃない」
「わ、私たちも暇じゃねえよ!」
「そうか……とにかく、竜胆市の守護の要は引き続きお前らだ」
「うっす!」
サキとやり取りをしているヒバリさんの視界に入るように恐る恐る手を挙げた。
「あの……一つ、良いですか?」
「なんだ」
「私たちじゃあ見つけるのはできないかもしれないですけど……向こうに見つけてもらうのはどうでしょうか」
「向こうに見つけてもらう?」
「おいヒサメ! お前何言ってんだ!」
「良い、続けろ」
「は、はいっ、えとっ……アンノウンの隠密技術は、天忍の探索技術の上をいっている……そうですよね?」
「忌々しい事にな」
「つまり! 向こうは私たちに見つけて欲しいとは思っていないって事です!」
指を立てる。
これが大事なんだ。
「そうだな、それで?」
「見つけて欲しくないなら、逆に私たちの動向は見張っているはずです!」
「まぁそうなるのか? ──まさか!?」
「はい!」
さすがヒバリさん!
私が言いたいことをわかってくれた!
「なんだなんだ? なんの話だ?」
「そうか、その手があったのか……向こうから見つけてもらう……」
「え? なになに? おい、ヒサメ」
「だが志村、方法はあるのか?」
「はい! あの骸骨達との戦いの時、アンノウンが現れたのはリッカさんが倒れてすぐの筈です!」
「そうでなければ、あの2人が生きている筈がないから、か?」
「そうです!」
「だとすれば、戦闘中こそがメッセージを送るチャンスということだな」
「はい!」
「……相手の善意頼りだが、案外悪くない案なのかもしれないな……方法は任せるぞ?」
「直江さん達とも話してみます!」
「私からも伝えはするが、そうしておいてくれ」
──────
「良いんじゃない?」
「おーほっほっほ! 逆転のはっそあ゛あ゛あ゛! 鎖骨が痛いですわあ!」
「でも、どういうメッセージにするの?」
「えっへへっ! これです!」
試し書きしたA4用紙を見せる。
勿論、この紙を使うわけじゃないけど。
「えーっと……私たちは味方です、ってなんだこりゃ」
「え? メッセージですけど」
「いやいや、メッセージになってないでしょこれ」
あれれ、思ってた反応と違うな。
……なんでサキも呆れたような表情で見てくるの?
「ヒサメお前……アホだな」
「なんでそんなこと言うの!?」
「せめて、なんかもっとこう……あるだろ」
「じゃ、じゃあサキならなんて伝えるのさ」
「……」
「ほら、思い付かないじゃん!」
「うっせー!」
その時、直江さんが声を上げた。
「ね、ねぇ」
「はい?」
「これの文さ、私が考えても良い?」
「え? それはまあ、いいですけど……」
「じゃあ、次会う時までにちゃんと決めておくね」
──────
「今日こそ、遊びに行きましょう! 島田くん!」
寝ている島田くんに声をかける。
もはや意地だった。
未だに一度も遊びに行けていないのは島田くんだけ。
「ぐぅおおおお……すぴぃぃぃぃぃ……」
「ダメだヒサメ、こいつ全然起きないよ」
「ごごごごご……んごごごごご……」
「どんな寝息だよ、疲れすぎでしょ」
地響きみたいな寝息。
どれだけゲームをやればこうなるのか。
「ゲームやってばっかなんだろ? そんな奴ほっとけよ」
青木くんが声をかけてきた。
バスケ部に所属していて、これまで3回くらい遊びに行ったかな。
「うっさいぞ青木、姫のやりたいことは姫が決めるんだよ! あんたはバスケやってろ!」
「お前には言ってねえ!」
「け、喧嘩しないで2人とも……青木くん、私はみんなと仲良くしたいんだけど、それってダメなことかな?」
「い、いや……でもほら、肝心の島田が興味ないんじゃ、あんまり意味が……」
「興味がないわけじゃないと思うんだ、だから遊んでみたいの」
「……そうかよ」
行ってしまった青木くんの背中に向けて、レイはあっかんべーをしてた。
やめなよ、とも言い辛い。
確かにちょっと険悪な顔をしていた。
「んだよアイツ、感じ悪い……何様のつもりだっつーの!」
「あはは……」
「さて、あんなやつはどうでもいいから島田を起こしますか」
さっきは声をかけるだけにとどめてたけど、触ろうとしたら自動的に起きるので、肩に手を伸ばした。
そしたら、いつもと違って1人でに起きた。
そのまま無言で荷物を片し始め、肩にバッグをかけて帰る体勢に入った。
「…………」
「ちょっと待ていっ!」
「…………宮本」
「う……」
寝起き特有のダウナーな低音ボイスにレイは若干ビビってたけど、それでも話続ける。
「姫が遊びたいんだってよ! もうアンタだけだよ一緒に遊んでないの!」
「そうか……ごめん志村、今日は忙しいんだ」
「あ、うん、忙しいならしょうがないね……でも、今度遊ぼう?」
「もちろん」
「! ……や、約束だよ!?」
「おう、じゃあの」
レイの脇腹を突く。
「んひょぉっ!」
「ほら、やっぱり島田くんも遊びたいんだよ本当は!」
「そうだね……ってなるかい!」
「でも、もちろんって」
「どんだけ純粋なのさ……」
「えー? ちゃんと楽しみにしてる人の顔だったと思うけどなぁ」
「そうかねえ」
──────
ドシャリと魔物が地に沈む。
「ふぅ、なんとか倒せた」
「結構強かったな」
今回の魔物は蜘蛛と人間が混ざったようなすがた。
第三等級。
私たちでも対処できるレベルの敵だ。
セカンドオーダーの2人が入院している間は私たちが動かないと。
……でも、第二等級以上の敵が出てきたらどうしよう。
「あ? そんなのアンノウンに任せりゃいいだろ」
「そんな人任せにしちゃダメだよ! 私達は天忍なんだよ!?」
「つっても、倒せないだろ」
「アンノウンさんだって、色々用事とかあって来られないかもしれないじゃない!」
「なんだよ用事って」
「それは分からないけど……アンノウンさんが来られなくて、私たちでなんとかしなきゃいけない時だって絶対にあるでしょ?」
「そんときゃそん時だ、頑張るしかねえだろ」
「そんな適当な……ねえミク、ミクからも何か言ってよ」
「…………」
「ミク?」
何故かミクは空を見上げてキョロキョロしている。
そして口元に手を添えると、大声で叫んだ。
「アンノウンさーん! 見てるー!?」
「え」
「凄い強いのが出てきたら、頼むからねー!」
「み、ミク……?」
呆気に取られていたら、腕組みをしたミクがドヤ顔で言い放った。
「コレで良いでし」
「ほれ見ろ、ミクも私と一緒じゃねえか」
……良いのかなぁ。
アンノウンさん、愛想尽かさないかなぁ……
──────
「あはは……うん、きっと大丈夫なんじゃないかな」
「ほら、先輩も同じこと言ってんぞ」
やっぱりわたしが変なのかな。
「でも、私も志村ちゃんの気持ちは分かるよ?」
「そ、そうですか!?」
「うん」
直江さんは、掛けられている薄いブランケットを軽く握ると、俯いた。
「私とリッカはアンノウンに直接助けられたからさ? 前とは少し考えを変えたんだ。助けられる前なら…………志村ちゃんと同じだっただろうね」
「助けられたから、ですか」
「……死ぬのって、すごい怖いんだね……知らなかったよ」
「──」
あの死闘。
セカンドオーダーの2人は、私たちが比にならないくらいの大怪我を負い、死の淵まで追い詰められた。
今でもその傷の一部は残っている。
きっと、そこで助けられた直江さんと西条さんには思うところがあったんだ。
「そういえば、一応考えてみたけど……どうかな」
「あ、はい! どれどれ──」
『先日はご助力いただきありがとうございます。ついては、今後の竜胆市の平穏の為に、貴殿と一度腰を据えて話したい所存です。突然のお願いで不躾ではありますが、次の襲撃時に御姿を見せてはいただけないでしょうか』
か、かたい……
「どう?」
「先輩……なんか、かたくね? 話がしたいって書けばいいだけじゃ……」
「そ、そんなことないよ! いわば相手はビジネスパートナー! これくらいが普通だよ! ……たぶん」
「そうですわあ! ハクさんは、一生懸命調べてその文にしたのですわ!」
「だから! 言わなくていいんだよそういうのは!」
なんか長いような……もう少しコンパクトな方が伝わりやすくない?
「うるさい! わたしはセカンドオーダーだぞ! これで決定だ〜!」
「おーっほっほっほ! そもそも、この件の顔は私たちなのですわあ!」
──────
青木修栄(アオキシュウエイ)16歳
一般家庭の出。
バスケ部所属。
自らの容姿にかなりの自信があり、実際モテている。
志村氷雨にちょっかいをかける事もあるが、宮本怜に邪魔されること多し。
運動神経は高い。
バスケの腕はそこまでのようで、やる気もあまり見られない。惰性で運動を続けてきたタイプ。
精神があまり良くないので、伸び代もそこまでではないと思われる。