魔眼で壊れ行く学園生活。   作:デカ女推奨委員会

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またしても文字数増えました悪しからず。


06.悪魔狩りの夜。

 

「ところで遊くん。」

「なに。」

「実は遊くんに頼みたいお仕事があるんだけど……今からお願いしていいかしら?」

 

 僕からレイナーレにお願いして、念入りに搾り尽くしてもらった後。僕とレイナーレが真夜中の教会に着くとと同時、レイナーレが藪から棒に尋ねてくる。こんな深夜に、しかも搾り尽くされてぐったりした僕に何の仕事をさせようというのか。

 

「実はね?遊くんにちょっとだけ、悪魔祓いのお仕事を手伝って欲しいの。」

「グレモリーやシトリーの連中と事を構える気は無いのだが?」

「遊くんってその辺の事情に随分と明るいわよね。」

 

 おまけに内容が内容だから二つ返事で即断った。仮にも悪魔の領地でそこを支配してる連中……おまけに魔王の妹に喧嘩を売るとか。いくら何でも命知らずが過ぎるだろ。どうした急に。新手の自殺願望か?

 

 ましてや僕は特にグレモリーの連中には大きめの借りがあるんだ。表立ってやり合う訳には行かないし、そもそも僕は戦闘なんて出来ない。それは僕がこうして大人しく捕まってるのがいい証拠だ。レイナーレもそれは分かってるだろう。

 

 そもそも僕のここでの仕事はレイナーレの性処理だろうに。そんな僕に合わない仕事押し付けて酷使するくらいなら、それこそその時間僕を襲う方が幾分か建設的だぞ。

 

「〜〜〜ッッッ♡‬♡♡それは……確かにそうかもしれないけど。でも遊くんにしてもらいたいのははぐれ悪魔の捜索よ。グレモリーとやり合う気は私も流石に無いわ。」

「………ほう?」

「それに見つけたはぐれ悪魔はフリードが処分するから。遊くんは夜の町をお散歩して、見回りしてくれるだけでいいの。ね???おかわりエッチはその後しましょ♡♡♡‬

 

 そう僕が誘惑したにも関わらず、レイナーレは引き続き僕に仕事の仔細を伝えてくる。魅了の魔眼の効果が切れてるから、ってのはあるだろうけども。それでも僕に手を合わせて頭を下げるレイナーレは、何やら様子がおかしかった。何を隠しているのやら。

 

 しかもはぐれ悪魔……ねぇ。実物は見たことないが、主とか殺して脱走した悪魔の中のろくでなしだろ。早い話、うちのフリードの悪魔版って感じだ。それをわざわざ堕天使陣営が狩猟だなんてね。

 

 大方こいつらとしては適当な悪魔を狩って、上に誇れる実績を作りたいんだろうが。何だって非戦闘用の神器持ちの僕を頑なに駆り出そうとするのか。これがどうにも分からん。

 

────が、その時である。ふと僕が身の危険を感じて横に躱すと、さっきまで心臓があった位置を光の刃を放つ剣が通り抜けた。

 

 僕はそれがすれ違う瞬間に柄を握り、キャッチして自分のものにするけども。そして刃が飛んできた方向を見れば、そこには僕が奪ったものと同じ武器を握ってチラつかせるフリードがいた。何しやがるんじゃこいつ。

 

「あぶねえなオイ。」

「働かざる者生きるべからず、ってねえ?ほらほらツベコベ言わずに俺様と真夜中のデートに洒落込みましょうや────」

 

 悪態を吐く僕にフリードが悪びれる様子もなく肩を組もうとする。

 

 だがその時である。

 

「────ねえ。私の遊くんに何してるの??」

 

 それは僕に剣投げ付けた方か、それとも肩組もうとした方か。どっちかは全然分からんが、レイナーレが片手でフリードの首を絞めて持ち上げた。顔は真顔だが額に血管が浮いてるし、精神状態もヤバいのか心臓がドグンッ!!ドグンッ!!て危険な鼓動を立てている。

 

………参ったな。思ったよりも魔眼の症状の進行が早い。毎日毎日何回もしてるせいだろうな。

 

「レイナーレ?僕は大丈夫だから。そのカス離してあげな。」

「!!………遊くん。でも………………」

「僕一人じゃお前のいう「仕事」とやらも儘ならないだろ。ね?いい子だから。」

 

 何にせよこのままだとフリードが死ぬので、今にも首をへし折りそうなレイナーレにしがみついてお願いする。でもそうすればレイナーレは、片手で持ち上げたフリードをゴミのように床に投げ捨てた。

 

 叩きつけられたフリードは「ぎゃふんっ!!!」て情けない声を出すが、そんなもの知ったこっちゃ無いらしい。お構い無しにレイナーレは僕に迫ると、空いた手を埋めるように抱きつき身体を押し付けてくる。

 

「分かった……でも気を付けて?そいつに変なことされたら直ぐ言って??八つ裂きにして十字に吊るすから………」

「大丈夫だって。……随分物騒だけど、なんか機嫌悪い?」

「うん。……さっきの遊くんのせいで、もっとシたいってお股イライラしてるの……早く帰ってきて……んんっ………フー………♡♡♡」

 

 そして腕を回して僕を抱き上げると、レイナーレは強引に行ってらっしゃいのチュー(ベロチュウ)をしてきた。舌をねじ込むのは勿論のこと、僕の太もも揉んだりお腹スリスリ擦り付けたりして誘惑してきてさ。このまま礼拝堂で犯されるんじゃないかってヒヤヒヤしてた。

 

 どうにもさっき頭に血が上って興奮状態が悪化したのか。比較的安定してたさっきに比べて、一気にレイナーレの精神状態が不安定になった。現に性欲の肥大化を知らしめるように、僕を抱き上げるレイナーレの身体は徐々に大きくなっている。ついさっきあんなにしたばっかなのに………

 

「レイナーレ?やっぱ見回りはフリードに任せて傍いてあげようか?身体大きくなってきてるぞ。」

「はー……♡♡♡はー………♡♡♡大丈夫……大丈夫だけど、直ぐ帰ってきて……私いい子だから……ちゃんと我慢して、遊くん待ってるから………♡♡♡」

「本当に大丈夫か?一回くらいしてから行ってもいいんだぞ。」

 

 僕を降ろし、頭を下げて頬を擦り付けるレイナーレの顎を撫でる。既にアメジストのような瞳は真っ赤に変色して濁っていて、吐く息は妙に熱い。身体も全身がじっとり湿ってて、めっちゃ甘い匂いがする。

 

 そんなレイナーレを置き去りにするのはだいぶ抵抗があったが、結局レイナーレに押し切られる形で僕は夜の町に駆り出す事となった。気絶したフリードが目を覚ましたのは、引きずり回してから実に十分くらい後のことである。

 

________________________

 

「おいおいクソガキ。ありゃ何なんだ?」

「クソガキじゃなくていい加減名前で呼べや。

……何が?」

「うちのあのおっかねえ堕天使様よ。あんのビッチ、本格的に頭も身体もイカれ始めてるだろ。」

 

 しばらく見回りした後のコンビニでの休憩中。互いに缶コーヒーと肉まんで夜食を済ませてる最中、フリードが僕に尋ねる。さっき酷い目に遭ったばっかだから当然とも言えるが、まあそう思うよな。

 

 だって今のレイナーレ、日増しに身体がデカくなるだけじゃなくて力もどんどん強くなってるし。それに僕が傍にいるとずっとボーッとしてるんだよね。ある程度性欲を発散すると元に戻るんだけど。その性欲も目に見えて治まりにくくなってるし。

 

 極めつけはさっきのあれだ。僕が危険に晒されたってだけで、あんなブチギレて殺しにかかるとは。あのまま僕が止めなかったら、間違いなくフリードの首をへし折っていただろう。そういう意味では僕に感謝して欲しいものなんだが。

 

 まあ原因はそれだけエッチなことしまくってる……というかし過ぎてるせいなんだろうけど。何しろあれは紛れもない、僕の魅了の魔眼に晒された女の子の()()()()の兆候だ。あれが危険過ぎるから、僕は普段は色んな女の子のとこ回ってるんだが……同棲だと三日くらいでこうなるわな。

 

 そしてその危険性はフリードも殺されかけて否応なく察したらしい。手にしたコーヒーを飲み干して未知の力で空き缶を圧縮すると、悪い笑みを浮かべて僕に尋ねた。

 

「遊くんよォ。てめェのその「魅了の魔眼(アプロビュート)」……さてはメス共を良がらせておっぱじめるだけの神器じゃねえなあ?」

「なら何だと思う?」

「そこまで分かるかよ。ただまあ、俺様以上に()()()()()()()()だってのは察したね。同族の勘ってヤツかなあ?俺様ねえ、そういうの分かっちゃうんすよ。」

 

 それは僕の話か?それとも魔眼の話か?まあどちらだろうと正解には変わりないが。何しろ僕はレイナーレは好きなくせして、別にどう壊れようがそれほど知ったことでは無い。壊れた次が簡単に手に入る人間ってのはそう言うものだ。

 

 とはいえそれは僕の性格が悪いって話。魔眼に関しちゃそうだな……答えの代わりとするならば、だ。

 

 あの日レイナーレが僕の前に現れたのがアザゼルの命令なら。一誠の左手と同じ理由で僕の元に現れたなら、アザゼルはその際に必ずこう命じた筈だ。

 

「特に卯月遊太郎は必ず殺せ」って。

 

 その上で今僕はその命令を覆し、こうして堕天使の勢力に溶け込んでのうのうと生きている。ある意味それが答えなんじゃないか?

 

 何なら今現在、こうして僕に堕天使の仕事の一端を与えたのだって()()()()()だろう。それこそ下手をすれば、今日アーシアがうちの教会に来たのだって────

 

「………ちょっと話し過ぎたな。仕事戻ろうぜ。」

「おやおや妙にやる気でざんすねえ?そんなに股ぐらグッショグショにしてるあのビッチが恋しいのカナ〜???」

「お前カスだけど頭回るし僕のことよく見てるよな。その通りだよ。」

「素直な坊ちゃんがよお。」

 

 皮肉に対する僕のリアクションが気に食わないのか、フリードがブーブー文句言いながらも先導する。それに合わせて僕も柄だけの教会の装備を手にすると、スイッチを入れて光の刃を懐中電灯代わりに発振した。

 

 んで町中の廃墟とか森の入口とか、はぐれ悪魔が潜んでそうな場所を僕とフリードは巡るんだけどさ。幸運にも僕がはぐれ悪魔に出くわすようなことは今のところ無い。

 

 けれどフリードはそれが続けて気に食わないらしい。心底退屈そうに溜息を吐きながら、ぶらぶらと両腕を振って廃墟内を見渡している。

 

「は〜〜〜クッッッソ退屈ですわ〜〜〜。はぐれ悪魔いねえじゃん。せっかく日頃パシられまくってる鬱憤晴らせると思ったのによお〜〜〜。」

「エンカウントしないならそれに越したこと無いだろ。僕戦えねーんだから。」

「だからこそオメエさんがクソ悪魔に絡まれてギャンギャン泣き喚くのを見つつ、俺様は一杯やりたいワケですよ。」

 

 なんて宣いながらこのクソカスはコンビニ袋からそれ用に買ったであろう缶ビールを取り出すが。言葉と裏腹にフリードの視線は未だはぐれ悪魔が潜んでいないかどうかと廃墟内を探っている。

 

 仕事熱心だとか、僕を気にかけてくれているとかでは断じてない。ただ単純にフリードは殺しが好きなのだろう。んで今回は殺したところで問題ないどころか、むしろ殺したら褒められる相手だから。こんな嬉々としてはぐれ悪魔の影に目え光らせてるって事だ。楽しそうでなによりだよ。

 

 ただこういう趣味を仕事で満たせる奴っていうのは、大抵その仕事に対する造詣が深い。好きこそ物の上手なれとはよく言うが、フリードなんかは正にそれだ。殊更悪魔狩りに関しちゃ、態度はさておきエキスパートなのだろう。そういう意味ではとても癪だが頼りにはなる。

 

 現に廃墟の内側は闇一色にも関わらず、あいつの視線はふとある一点で止まる。悪魔と異なる人の目では闇の向こうは視認できないが、何かを嗅ぎつけたであろう事は明白だった。

 

 んでその上で僕になんも警告しないのは、僕を危険に晒してその様子を楽しもうとしてるのも本当なんだろう。僕が言えたことでは無いが。前言撤回。やはりこいつはカスである。

 

 

────その証拠とばかりに闇の奥で何かが煌めくと同時。僕を差し置いてフリードは一人、上へと跳躍して逃れやがった。

 

「あんにゃろ────うおっ。」

 

 そしてその直後。奥から二本の魔力による光線が薙ぎ払うように放たれ、僕はそれを手にした光刃で咄嗟に斬り払った。そうして光に光を衝突させ、光線を拡散させればその粒子の一つ一つが廃墟の壁や柱を融かす。

 

「溶解性の魔力か。生身に受けりゃ骨も残らんな。」

「いよっ!大将お上手!!なんだいやに(こな)れてんじゃねえか!!プハーッ!!」

「こんのクソ神父が。僕を置いて逃げやがって。マジで缶開けてんじゃねーよ。」

 

 いつの間にか高い梁に腰掛け、宣言通りに一杯やってるフリードに言葉だけの悪態で応対する。何しろこの非常時、面前の敵から目を逸らすだけの余裕は僕には無い。

 

「あぁら……随分と上手に防ぐわねえ。可愛い可愛い女の子だと思ってたのに……そちらの薄情な神父様とは肝試しかしらあ?」

「だあれが女の子じゃ。(ぼか)ぁ男だよ。」

「ブフーッ!!!」

 

 闇の向こうから響く甘ったるい女の声に虚勢を返せば、頭上でクソ神父の噴き出す声がした。あのカスは後で絶対ぶち殺す。(ケツ)の穴からビール飲ませてやる。

 

 が、それは今ではない。何しろ闇の中から魔力光線で奇襲を掛けてきたであろうそれは、ドスンと重い足音を立ててこっちに近付いてくる。てっきり声からして女悪魔だと思っていたんだが……そもそも人間型ですら無いな?

 

 まあはぐれ悪魔ってのはこういう異形が多いとは聞くが。ただその異形っぷりは、僕が想像する一般的な悪魔のそれを遥かに上回っていた。現に闇の中から躍り出たその異形を目の当たりにして、フリードも茶化すように口笛を鳴らす。

 

「へぇえ……そんな愛らしいお顔して男の子なのお?それはとっても唆るわねえ……食べちゃいたいくらい………」

「ほらほら遊クン!!化け物みてえなお姉さんがキミをご指名だぞっ!!」

「オメエはどっちの味方だよ。ったく………」

 

 その異形を一言で言い表すのなら、人が神話で伝え聞くケンタウロスのそれが一番近かった。しかし下半身は馬より遥かに巨大な魔獣のそれで、四肢は鋭い爪を有した人間の腕に似ている。その上で全身は黒い獣毛に覆われていて、酷く巨大で逞しい身体付きをしている。

 

 そんな人間の特徴を有する故のおぞましさを放つ下半身とは対象的に、上半身は美女のそれだった。上体の腰まである黒い髪に紫紺色の瞳に加え、肌は白くきめ細やかで野蛮な下半身に不釣り合いなまでに美しい。

 

 強いて言うなら身体付きは猛獣のような下半身に釣り合うように逞しく、肩幅もあってガッシリしてるが。ある種の作り物みたいなその美貌は、指図め男を釣るための疑似餌だろう。

 

………しかし。問題はそこではなくて。

 

「………おっと遊太郎くん!?その「はぐれ悪魔バイサー」さん、随分冥界でお高い懸賞金かかってるらしいぜ!?ぶち殺せばお金ガッポガポよガッポガポ!!つーわけでファイッ!!」

「ふーん。バイサーって言うんだ。ふーん………」

「そうよお。可愛らしい悪魔祓いさん、よろしくねえ。最も……これから直ぐに食べちゃうんだけど。」

 

 はぐれ悪魔バイサー。この女は何故か、逞しく豊満な上裸をそのまま曝け出していた。挙句の果てにずっしりとした胸を自分の手で揉みしだいては、舌なめずりを繰り返して僕の方を見つめているのである。

 

 そんな真似されればね。発動するんですよ。例え下半身がどんな化け物であろうとも。ひっでえ僕にしか効かない初見殺しを見た。なんでお前その身体付きで裸なんだよ。んで乳揉み揉みしてんだよ。まさかとは思うけどさっきのビームもその乳首から撃ったのか?乳揉む度におっぱいデカく膨らんでるけど。

 

「ウフフ……おっぱいじいって見ちゃってかわいいわあ……もしかしてボク……この下半身を見た上で、お姉さんに欲情しちゃったのお???」

「………は?おい卯月くーん??お前嘘だよな?まさかやりやがったのか??相手は下半身キメラみたいな化け物女だぞ???」

「………………………ノーコメント。」

 

 おかげで美女の姿の上半身を前面に出し、バイサーが足音を立てて僕に迫る。その様から僕は思わず目を逸らすがもう遅い。ていうか目をそらした隙に抱きしめられると、落ちたら怪我する高さまで一気に持ち上げられた。身体おっきい……

 

 そしてバイサーは僕を至近距離で視界に捉えると、元々甘ったるい声にさらに熱を込める。ついでに長い指は既に僕の衣服にかけられていて、鋭い爪で裂くようにして僕の衣服を剥ぎ取り始めてる。

 

「いいわよお……私のこと満足させてくれたらあ、ボクちゃんだけは食い殺さないであげる。代わりに別の意味で頂いちゃうんだけどねえ♡♡♡‬」

「ひいん………」

「こんのエロ坊主マジでお前。」

 

 美女の上半身と獣毛に覆われた異形の下半身の境界を押し付け、バイサーが下品なまでの性欲を剥き出しにする。その様にはさっきまで高みの見物を決め込んでいたフリードが真顔のガチトーンになったが、やっちまったもんは仕方ない。さらに言うなら全裸で練り歩いていたバイサーが悪い。

 

「そういう訳だからフリード。あとお願い……」

「は。」

「僕これからこいつに(性的に)食われるから。その間にこいつやっつけて………」

 

 魔力でパンパンに膨れ上がったバイサーのデカパイに顔を押し付けられる中、自由の身のフリードにはぐれ悪魔討滅戦の全てを託す。何しろさっきも言った通り、フリードは悪魔狩りのエキスパートだ。

 

 バイサーは異形型のはぐれ悪魔で、しかも僕の魅了の魔眼の影響も受けていて、これから身体ももっとデカくなるし狂暴化もすると思うけど。悪魔狩りのプロフェッショナルのフリードならどうにか出来るだろう(願望)

 

 そういう意味では僕が今果たすべき役目は囮だ。バイサーが僕を夢中で襲っている間に、フリードに隙をついて急所を突いてもらう。そうすればいくらこの巨体でも一撃で絶命に追い込めるはず(ただの願望)

 

 だから僕は今にもバイサーに食われそうになりながらも、梁の上でスタンバっているフリードに視線を送る。そうすればフリードは、高みの見物をやめて懐に手を伸ばした。

 

「なるほどな……よーく分かったぜ。お前の作戦。」

「フリード………」

 

 そうして懐から光の剣を取り出すと、梁の上を音もなく駆けて移動した。さらに瞬く間にバイサーの四足の下半身の背中の上を取ると、飛び降りてその背中に乗り移る。流石の身体捌きと褒めてやりたいところだ。

 

………が。なんかあいつ、両手で光の剣を構えてバイサーの身体を刺し貫こうとしてるんだけど。いやそれはいいんだ。なんか急所っぽいとこ貫けってさっき僕も言ったからね?

 

 

 ただ今さ、僕がバイサーに抱きしめられた状態じゃん?そんな状態で貫かれたらさ。僕もまとめてあれに貫かれやしない?考え過ぎ?そんな事はない???

 

………まあ考えすぎか。流石に上手い具合に加減してくれるだろ。僕がバイサー振り切って逃れるなんて出来ないって、さっき上から見たなら分かってるだろうし。なんかフリードのやつ、めっちゃニッコニコでこっち走ってきてるけど。

 

「しっかし泣かせるねえ!!「僕に構わず殺れい」なんて!!!三秒くらいはお前のこと覚えといてやるからな!!!安心して死ねェ!!!」

「バイサー後ろオォォォォ!!!」

「なにっ!?」

 

 僕を頂くのに夢中でフリードに気付いていないバイサーに呼びかけ、フリードを振り落とさせた。当然フリードは勢いよく地面に叩きつけられる上、バイサーは僕を抱いたまま異形の下半身の前足を振り上げるが。フリードはその踏みつけを咄嗟に転がって回避すると、僕にキレ散らかしてきた。キレたいのはこっちなんだが?

 

「なあに奇襲チクってんだこの淫乱ビッチが!!てめえやる気あんのかア"ァン!??」

「オメエこそ僕ごと殺ろうとしてんじゃねえクソ神父が!!!「隙をついてぶっ殺せ」って言ったんだ僕ァ!!!」

「えへへえ……危なかったのを教えてくれてありがとうねえ、だありん♡♡♡‬ちょっと待っててねえ?そこの邪魔くさい虫ケラ片付けるからあ。

 

────フ"ン"ッ"ッ"ッ"!!!!!」

 

 んで僕の身を守るためにバイサーに利敵したのが逆に気に入られたのか。バイサーが僕に向ける♡‬の量が明らかに増えた。ついでに人の身体で僕を守るよう抱きしめる傍ら、異形の下半身がフリードを叩き潰そうと前脚を振り上げる。

 

 正直フリード一人の手に負えるようには見えないが、あのカスにはちょっと痛い目見て欲しいので放置します。巨大な前脚を無作為に振り下ろすバイサーからはちょこまか逃げ回ってるけど、あのままだと潰れたトマトになるのは時間の問題だろう。

 

「フリード、僕のことはいいから逃げな?こいつお前一人じゃ無理だよ。んで教会帰って他の堕天使呼んでこい。

最初(ハナ)からてめえになんざ構っちゃいねえわ!!安全圏から見下ろしやがってクソガキが!!!」

「お前にはここが安全圏に見えるかそうか。」

 

 どっちかって言うと入るだけで服剥ぎ取られるデッドゾーンなのに。出来るものなら助けて欲しいものだが、フリードは一瞬の隙を突くと閃光弾を地面に叩き付けた。そして閃光で僕とバイサーの目を潰すと、その隙に全力疾走してこの場を離脱する。

 

 

………おかげで廃屋の中には僕とバイサーだけが取り残されたわけだが。

 

「さて。どうしたものか。」

 

 一言呟き、僕はバイサーのデカパイに再び顔を埋めた。一応は囚われの身だが、ひとまず魅了が効いてる間は僕がバイサーに殺される心配は無い。搾り殺される心配は大いにあるが。こいつが外見通りの体力してたらまず僕は生き残れない。

 

 だからレイナーレの救援が来るまでバイサーの相手しながら待つのが一番現実的なんだが。バイサーは長い舌をズルリと引き出すと、ぐぱあっと口を開いて顔を僕に近付けてくる。

 

「ほらだありん?これでお邪魔虫はいないわよお。いっっっぱいラブラブしましょお♡♡♡‬」

「んー。優しくしてね"────ん"っ。」

 

 それに対して応じるよう上を向けば、僕に覆い被さるようにしてバイサーが唇を奪った。甘く溶かすようなレイナーレの口付けと異なる、互いの勝手が分からない故の乱暴な手探りの口付け。何度か繰り返し、互いに気持ちのいい加減を探り合う。

 

………ぶっちゃけし終わった後に解放されるなら、このままでも全然問題ない気がしてきたのだが。こんなシてる最中に「いつ帰れる?」なんて聞くのは興醒めも興醒めなので、僕はバイサーにしたいがままにさせる。

 

 けど「帰してもらえるか心配」と顔に出てたのか。ふとバイサーは僕の首にキスマークを付けると、慈しむように目を細めた。

 

「そんな怖がらなくても大丈夫よお?だありんはねえ、一生私と一緒にここ住むのお。」

「ほあ。」

「それでねえ、だありんと私の赤ちゃんいっっっぱい作るのお。ご飯はちゃあんと私がだありんにおっぱい飲ませてあげるからねえ♡♡♡だありんはこうやって、私の腕の中でらぶらぶしてるだけでいいからねえ♡♡♡」

 

 まあだからって告げられたのは実質の終身刑の通告だった訳だけど。なんでこう人外の女ってどいつもこいつも僕のこと監禁したがるのか。人間の女の子はし終わったら「またしようね」で返してくれるのに。

 

 オマケに自分で言っててバイサーの発情が悪化したのか、僕が甘えるバイサーのデカパイがさらに膨らむ。何なら隆起した乳首の先からはどぷって母乳が溢れ始め、体温が目に見えて上がってる。

 

 これはあくまで僕の勘なんだけどさ。早くどうにかしないとこの女、産む前提で子作り始めるんじゃないか?もうガッシリ腰掴まれてるから逃げようが無いんだけど。それやられるとだいぶヤバいんだが、さてどうしたものか。

 

 蜘蛛の糸みたいな頼みの綱のフリードはもういねえし、レイナーレ達が今すぐ助けに来る気配もない。これはもう子作りさせられた後、バイサーと強制結婚するしかないのか???

 

 

「────あら。まだ諦めるには早いんじゃない?」

「なにっ!!!」「なにやつ。」

 

 そう絶対絶命の状況で僕が諦めかけたその時。僕の視界でふと深紅が揺れたため、咄嗟に目を逸らした。

 

 が、しかし逸らした先にさらにもう一人。左手に深紅を纏う見知った顔を、僕の両目は確かに捉える。そしてそれは向こうも同じだったらしい。

 

「うっ……卯月!?お前こんなとこで何やって……いやマジでナニやってんだお前ェ!!!」

「イッセー。あのバカを引き摺り下ろすのは後よ。……先ずはこのはぐれ悪魔を片付けるわ。初陣、頼りにしているわよ。」

「はい部長!!!」

 

 そこに居たのは僕の悪友こと兵藤一誠と、蘇ったあいつの飼い主。この土地の現領主で、僕が忌避する数少ない女だった。同時に現状僕が思いつく限り、こいつほど頼もしい救世主も居ないわけだが。

 

「はぐれ悪魔バイサー。グレモリー公爵の名に於いて、この私────リアス・グレモリーが貴方を消し飛ばすわ。覚悟なさい。」

「ええい、次から次へと……!!待っててねだありん?こいつら片付けたら、直ぐに続きしてあげるから♡♡♡」

「ごゆっくりぃ。」

 

 状況が状況でなきゃ「勝手に戦え」と言いたくなるほどに混迷とした戦場。来訪したリアス・グレモリーとその眷属を前に、バイサーの四足の下半身が大きく嘶く。

 

 そうして僕を他所……いや中心?に始まる悪魔同士による第二ラウンド。魔王の妹とその一向の到着に、僕は半ば安心したようにバイサーの腕の中で力を抜いた。何しろ勝負は見えているからね。これでようやく僕も開放される。

 

「ちなみに部長!!あのはぐれ悪魔に抱かれてるカスうさぎはどうしましょうか!?」

「そうね。助けられたら救助しましょう。でもこの悪魔を倒すのに集中よ。最悪まとめて吹き飛ばしていいわ。

「了解す!」「了解!」「了解…」「了解です♪」

 

 前言撤回。何一つ安心できねえ状況に変わりは無いようだ。レイナーレ早く来てくれ頼む。

 




オカ研出るまで時間かかりすぎ問題。

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