悪食お嬢様と変態メイドによる現代ダンジョン攻略記   作:リィン(界の軌跡割と面白いから買って♡)

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縁視点


悪食の朝食

 使用人……確か明里だったかしら? についていき食堂へ向かうと目の前には犬の丸焼きが鎮座していた。

 

 流れてくる美味しそうな匂いにお腹の虫が悲鳴をあげる。

 

「こ、これ何かしら? 食べて良いの?」

「もちろん、でも食べながらでも話を聞いていただけませんか?」

「分かった! 分かったわ! それじゃあ、いただくわ!」

 

 椅子に座り、腕をもいで一口目をいただいた。

 

 ……美味しい! うちで飼っていた犬に比べれば味は落ちるけど柔らかくて、臭みもしっかり抜かれていてほっぺたが落ちそう! 食べる手が止まらない! 

 

 私が犬を食べる姿を使用人は謎の片眼鏡をつけながらにこにこと眺めてくる。なんだか気味悪いわね。もちろん食事の手は止めないけど。

 

「うん、思った通り探索者へ覚醒してますね」

「あむ……探索者? なにそれ? 食べられるの?」

「まあ、ある意味では。探索者になって、しっかりと頑張れば食べるものには困らないと思います」

 

 どうやら探索者とやらになればお腹いっぱい食べられるらしい。

 犬の柔らかいお腹の肉を噛みちぎりながら話を聞く

 

「20●●年、日本にダンジョンが出現した事はご存知ですよね」

「全然知らないわ」

「えぇ……ニュースとか見ていないんですか? あの牢屋にもパソコンとかテレビとかありましたよね」

「見てなかったわ。興味ないし……はぐ」

 

 心臓を抜き出して一口で丸呑みにしながら答えた。

 そう言うと使用人は頭を抱えながらブツブツ言い始めた。独り言なんかにカロリー使ってお腹が空かないのかしら。

 

「ええと、ダンジョンという魔物、まあ簡単に言うと凄く強い動物ですね、ともかく魔物が蔓延る特殊地形が出現しました」

「ダンジョンの中には魔物と共に貴重な資源、現代技術では再現できないマジックアイテムといった財宝が眠っています」

 

「なるほどなるほど……んぐ……で、続きは?」

 

 犬肉の脚の根本を噛みちぎって二口で飲み込みながら続けるよう促す

 

「初めの頃は現代兵器で武装した特殊部隊が何度か突入しましたが、結局何も得られなかったようです。魔物相手にも重火器は通用するものの、近代兵器で倒しても財宝が得られない仕組みになっていたのです」

 

「近代兵器ありで攻略するのは何も得られない、まさに骨折り損のくたびれ儲け。かといって近代兵器無しの貧弱な人間でどうにかなるほどダンジョンは甘くありません。そこで必要になるのが私達探索者です」

 

「ゲームのように、魔物を倒す事で経験値を得てレベルアップし、身体能力や魔力をどんどん強化していき、スキルといった特殊能力をどんどん得ていく超人、それが探索者です」

 

「ゲームの様にって言われてもゲームやったことないから分からないわ」

「……お嬢様はどんな事なら興味あるんですか?」

「食べる事ね」

「それは知っています、それ以外で何か無いでしょうか? ……失礼、あるわけ無いですよね」

 失礼ね……流石に何かあるでしょうに……ええと………………無いわね。

 

「話が逸れましたが要は探索者は殺せば殺す程強くなるということです。もちろん私もお嬢様も例外ではありません」

 

「そして、迷宮に潜る事でお嬢様には大きなメリットが、お嬢様と一緒に迷宮に潜る事で私にも大きなメリットがあります」

 

「そこで、探索者として私と一緒にパーティーを組んでダンジョンに潜って欲しいのです。良いダンジョンも見つけたので、今すぐ」

 

 

 その言葉ににっこりと笑って頷いた

「分かったわ、喜んで」

 

「……随分物わかりが良いですね。それ、私にどういうメリットがあるの? とか言われるの予想していたんですが」

「メリットも何も、多分今食べているこの犬が魔物なんでしょう。世界中の犬科の生物はお父様に取り寄せてもらって全部食べたけれど、その中のどの肉とも味が違うもの」

「よくお分かりで」

「そして今食料が全く無い、一応あなたも非常食にはならない事も無いけど最後の手段だわ、だって糞不味いもの。だから今食べられるものは魔物しかない。だから魔物を食べる為にダンジョンに行くのが正解。飢えないためならもうなんでもするわ。それこそ胡散臭い使用人と一緒によくわからない危険地帯へ行くことでも、ね」

 そう言いながら最後に残った犬の頭を無我夢中で貪った。

 口の中で犬の牙がコロコロ転がっている。噛み砕くとコリコリとした食感がしていて結構好きかも。ごっくん。

 [ブラックウルフ完食! 経験値105【牙強化】習得]

「ごちそうさまでした」

 

 ……なんか口に違和感があるわね。

 口の中に人差し指を突っ込んで原因を探って見る。

 あら、犬歯が伸びてるじゃない、なにこれ。

 

「凄い、本当にコピーできてる」

 

 片眼鏡をつけた使用人が私のすぐ横に来ていた。

 

「これは……凄いですね」

「あら、何が?」

「固有スキルの内容です。ちょっとステータスオープンと念じてから、固有スキル表示と念じて見てもらえませんか?」

 

 言われるがままに糞みたいな文字にそう念じてみる。

 

 [【悪食】……敵撃破による経験値習得不可。生物捕食時経験値取得。一定条件で食べた対象の持つアビリティ習得]

 

 読めるけどなに言っているのかさっぱり分からないわ。

 

 空中に手を突っ込んだかと思うと肉塊を引きずり出した。なに? 手品かしら? 凄いわね

 

「試しにこれも食べてみてくれませんか?」

「喜んで」

 差し出されたのは犬人間とも言うべき120センチ程の二足歩行と推測できる犬面人身の怪物。

「いただき・ます」

 [コボルト完食! 経験値13【打撃武器習熟】習得]

「ごちそうさまでした」

 

「本当に凄い……初動さえ潰されなければまさに無敵の……最強の能力! ……」

 何か知らないけど使用人が物凄く興奮している。私、ただ肉を食べただけなんだけれど……

 そう思った途端使用人が私の両手を握って顔を近づけて言ってきた。粘りつくような口調で

 

「改めて私と一緒にダンジョンに潜ってください! 私がお嬢様を最高の捕食者にプロデュースしますから!」

 

 と涎を垂らしながら緩みきった顔でニタニタ笑いながら言ってきた。あまりの不気味さに背筋が凍りそうになる。こ、怖いわ……




【牙強化】牙を強化、犬歯が伸びる
【打撃武器習熟】打撃武器に習熟、一般人が打撃専門で訓練した3年分の成果に等しい程の習熟
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