悪食お嬢様と変態メイドによる現代ダンジョン攻略記   作:リィン(界の軌跡割と面白いから買って♡)

6 / 9
大罪同盟

「はは!両手に花ってところか!花は花でも毒花だが!」

 

小鬼王が吠え、更に跳ねました。片足を失っているとは思えない速度で、更にけんけんぱで移動とは思えない加速で。

 

クロスレンジに入った子鬼王が青龍刀を振るいます

 

風圧だけで台風のような連撃です、しかも斬撃を繰り返す度に正確性が上がってきています。

 

彼が機動力を奪われたのを良い事に、遠距離攻撃で殺すプランも考えましたがそれを試しにやってみたところ、クロスボウによる異常な精度の狙撃によって、2人まとめて死亡したので、接近戦を受け入れ近接戦闘でケリをつける事にしました。

 

結局飛び道具の撃ち合いでもデカくて強い奴が強いんですよね、ハァ、くそったれ。

 

そんな事を考えてるとお嬢様もろとも首を切断され私は死亡しました。

 

時が巻き戻ります。

 

自身の頭を下げ回避し、お嬢様の頭も思い切り押さえつけ回避させます。

 

「危なっ」

「気を付けてください!」

「よく避けたな、会心の一撃だったのによ!」

 

向こうも片足を失っています、そして満身創痍です。が、こちらも体力切れが怖いのです。死に戻り持ちが戦闘中、体力が切れた場合どうなるのでしょう。答えは死ぬまで……いえ、死んでも何もできずに嬲り殺しにされます。死に戻りは後出しジャンケンにも例えられる能力ですが、手を後出しする体力が無ければ意味が無いのです。よって、一刻も早く殺さなくては。

 

 

一瞬の隙を見て私は私自身の手首を切りました、そしてばらまくのは私の血。

 

小鬼王はほんの少しだけだけ怯んだようですが構わず私の首を刎ねてきました、私の奇行への困惑の色、そして僅かな哀しみをその顔へ浮かべながら。

 

時が巻き戻ります。

 

血をぶちまげます、殺されます、ぶち曲げます、殺されます

 

それらを何度も繰り返す内に狙っていた事が起きました。私の血がゴブリンキングの口に入ったのです。

 

私の血を舐めてしまった小鬼王の反応は狙っていたものでした。うずくまり、更に吐き出すという致命的な隙を戦闘中であるのにも関わらず晒しました。

 

「不味っ!おえっ!死ぬ死ぬっ!」

「食うことしか取り柄の無い化け物でも吐き出す程の、クソ不味い血です。まあ普通はそうなりますよね」

 

()()お嬢様ですら吐き出す程に不味い私の血をもろに口の中へ入れれば戦闘不能一歩手前まで追い込めると思っていましたが予想以上でしたね。

 

自分の血が不味いと言われるのはなんとなく気分は良くないですが。

 

頭が下がってきたので子鬼王の喉笛を短剣で掻っ切りました。

 

「お……?ああ、俺の負けか。一本取られたぜ、あば……」

「いただき・ます!」

 

お嬢様が視界外から、視界に入って来たかと思うと、物凄い勢いで彼の喉笛を食いちぎりました

 

ちょっとの時間も食べるの我慢出来ないの……可愛いですね。

 

彼女が喉笛を噛みちぎったのと同時に表示されました

 

【ボス名【ゴブリンキング】討伐完了】

【ボーナスEXP2000 紲月縁LV1→LV2 結星明里LV5→LV6】

【dropitem 【隷属の首輪】】

【称号【小鬼の侵攻を断つ者】が両名に付与されました】

という文字が

 

 

 

■■■■

私は巨大緑人間の喉笛を飲み込んだ直後二口目に手をつけた。

 

くちゃくちゃ、ごくん。美味しい!臭みと苦味が独特なクセに昇華されているわ!

 

 

はぁ……それにしてもこいつを仕留めるため動き回ったからお腹がペコペコだわ……

少しでも胃に入れてなんとか空腹を誤魔化さないと……

 

じゃあまずは一番楽しみだった脳味噌からいただくことにしましょうか。

 

どれどれお味は……! 猿とか人のよりもよっぽどクリーミーで味が濃くて美味しい!んっ!んっ!んぐ!ごくん、バキッ!

脳味噌をすすり尽くした後に残る頭蓋骨も歯ごたえがあって食べていて楽しいわ!あの犬を食べてから骨でもバリバリ食べれるようになったのは本当に嬉しい!

それにこれ!脇腹をガブリと噛みちぎると口の中いっぱいに良質な赤身肉の味が広がった。ナッツみたいな香ばしさのする旨味たっぷり熟成肉!に更に旨味成分を足したかのような圧倒的な旨味!ちょっと筋張っているのも良いスパイスだわ!

そのまま私は残された肉を一心不乱に掻き込んだ……

 

■■■■

[ゴブリンキング完食! 経験値1030 【肉体強化】【小鬼統率】習得]

「ウフ、筋張っているけど結構好きな味だったわ、ごちそうさま」

 

 

「あ!終わりましたか、おかわりも用意しておきましたよ」 

使用人に声をかけられたので振り向くとそこには緑人間入りの鍋が四つも鎮座していた。 

「へぇ」

よしよし手際いいじゃない

どかりと座って鍋を受け取る。

「とまあ、ダンジョン攻略っていうのはこんな感じです。どうでしたか?」

「不味い肉だらけだったし、そもそもこれっぽっちじゃ全然足りないから量も質も糞糞の糞ね。けれど最後の巨大緑人間だけは美味しかったから満足したわ」

 

そう言いながら鍋を貪る。

うんうん、手掴みで食べられる程度に温度が低くなっているのは嬉しいわね

 

「あらら、それは残念。でも別のダンジョンならもっと美味しい魔物も、もっと大きい生き物もたくさんいますよ。小島程のサイズのイカ!失神するほどに美味しい牛!この世のどの生物とも違う味を持った悪魔!量も質も文句無しの最強種、ドラゴン!これからもダンジョン探索するならこれらが幾らでも食べられますよ!」

 

やばいわね、聞いてるだけで涎がだらだら次から次へ滝のように出てくる。お陰で鍋を食べづらいわ。

 

「あ、そうだ生き残っていた奴らを連れてきました。こいつらどうします?」

「すてるすもーどはつどうちゅうなんだからごぶをみつけちゃめっ!」

「やーなの!やーなの!ごぶを食べないでえええ!」

 

「こいつらさっき毒矢を撃ってきた連中?さっきはもっと賢そうだったのになんでアホになってるの?まあ食べるわ。鍋食べ終わったら手をつけるから今のうちに料理しちゃって」

 

「はいはーい。ゴブリンさーん。痛いのは一瞬ですから……あ、ちょっと待ってください、お嬢様、ゴブリンキング食べたんだから今【小鬼統率】持っていますよね。ちょっとそれ使ってこいつらに命令してみてくれませんか」

 

「【小鬼統率】とやらが何か分からないけどやってみるわね」

 

そうして緑人間に話しかける。

 

「あーちょっといいかしら」

「我らが女王よ、なんなりとご命令を」

 

ふーん、しっかり受け答えできるのね、私が話しかけた場合に限る様だけれど

 

「えい」

「……」

 

試しに腕を肩から切り落としてみたがピクリとも動かず片膝立てて服従のポーズをとっている。つまらないわね。

 

さてさて何を命令しましょうか、……決まったわ

 

「ねえ、私とってもお腹が空いているの、何か食べられるもの持ってこれないかしら?美味しいに越した事は無いけどまず量が欲しいわ、今日食べた食料だけじゃ全然足りないもの」

 

「わが女王それは……」

不味いと分かっていても肉がこうして動くのを見ると……美味そうね。

「あ、待って、やっぱ無理、美味しそう」

忠誠を誓っていてくれているみたいだしもう少し生かしてあげても良かったけど見ている内に我慢が出来なくなって、更に気付いた時には体が勝手に動いて片割れの首を噛みちぎっていた。。

 

くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃ

 

「うん、不味いわね、思ったよりずっと。でもでも私は優しいから残さずぜーんぶ平らげてあげるわ。」

 

そして生き残った方へ見せびらかすように食べていく。

 

何故か使用人も顔が当たるくらいの近距離で私の食事を見ているけどなんで?本当になんで?

 

[ゴブリン完食!経験値16]

「ごちそうさま」口の周りについた肉片をぺろりと舐め取る。そして見る、生き残った方を。

 

「ねえ、あなたは相方が食べられても身動き一つしてないけど彼の様に自分が食われると思わなかったの?それとも死ぬのが怖くないの?」

 

「我らに知性を与えてくださった方のためなら、この身など幾らでも捧げます。貴方様の糧となった事を同胞もさぞかし喜んでいる事でしょう。ちなみに我らを食べる際には生きたまま腹に香草を詰め込み塩をたっぷりとかけ蒸し焼きにするべきだと存じます。」

 

「ねえ、お嬢様、やっぱり食べるのやめません?いつもの無知無能無芸大食ちんこ脳のゴブリンならともかく、この方みたいにちゃんと理性を持っているゴブリンさん……いわばハイゴブリンを食べるのはちょっと……」

 

「我らが女王の友人殿、ありがとうございます。しかしこの身は我が主に捧げるためにあるのです。我らが女王は大変空腹のご様子。しかしご満足いただける程の食事を調達する能力など私には御座いません。ならばこの身をもってわずかでも飢えを癒していただきたいと思っております。」

 

「あららどっかの口調だけ敬語の慇懃無礼女と違って忠義に溢れた部下をもって私、嬉しいわ!」

 

そして涎がまた垂れてくる。出しても出しても次から次に出てくるの本当不思議、食べモノもこうだったら良いのに。

 

「じゃあ、まずはお腹を掻っ捌いて……」

 

ずしんと言う感覚が首周りにきた、そしてガチャンという音が聞こえたかと思うと、凄まじい電撃、神経まで焼き潰されるような痛みが私を襲った

「つっ…………………………………………あぁ……………!」

なに……これ

「やっと隙を見せてくれましたね」

裏切り者(使用人)が喋る

「【隷属の首輪】です。つけられた対象はつけた対象の意思一つで激痛を伴う電撃を浴びせられ、つけた対象に反抗しようとしても電撃を喰らうようになるマジックアイテムです。お嬢様につけるため、このダンジョン入る前に頑張って調達してきたのですが、ここでドロップするならわざわざ調達してくる必要無かったですね」

「お前………………」

 

へぇ……使用人の分際で裏切ってくれちゃってるんだ。

へぇ……私の食事の邪魔をするんだ……

 

あは!あはははははは!ひひっ!ふぅ……

 

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

 

どんなに時間がかかっても、そしてどんな不味くても関係ない、死なないギリギリまでこんがり焼いて、たっぷり半年くらい時間をかけて足から輪切りにして喰ってやるわ。

 

「お嬢様の考えていることは分かります。

“へぇ……使用人の分際で裏切ってくれちゃってるんだ。

へぇ……私の食事の邪魔をするんだ……

あは!あはははははは!ひひっ!ふぅ……

 

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

 

どんなに時間がかかっても、そしてどんな不味くても関係ない、死なないギリギリまでこんがり焼いて、たっぷり半年くらい時間をかけて足から輪切りにして喰ってやるわ。”といったところでしょうか」

「お前はぁ、一体何を考えて、こんな事をしてくれちゃったのかしらぁ」

電撃による激痛に耐えながら這う、這う、這う。

私の食事を台無しにした裏切り者を喰い殺すために。

 

「まあまあお嬢様、このままだとお互い誤解を持ったまま哀しい別れをする事になります。そうなるのを防ぐために少しお話しませんか」

「黙ってくださいよぉ、クソ女ぁ。お前のぉ嘘つきな舌は引っこ抜いてぇ、目障りな目ん玉はぁ」

「まあまあ!お話をしましょう!【アイテムボックス】の中の牛の丸焼きでも()()()()()()()()

「!!……………………………………………………付き合うわ……」

■■■■

[レッドブル完食!経験値523]

 

「……まあ長々と話しましたが結局のところ一つだけ守ってもらえばすぐに取りますよそんな首輪、たった一つの約束です」

使用人が腕を組む

「人を食べるの我慢できます?」

「もちろんできるわ。」

「じゃあ試しにこのケーキを食べるの我慢し……」

 

我慢できず手が伸びる

 

「ひほほはへふひははんひんひはひは……ごくん。人を試すのは感心しないわ」

 

「やっぱ無理じゃねえか。しかも貴方座敷牢にぶち込まれる前我慢できず三人食い殺してましたよね」

「それはお父様に把握されている人数であって本当は68人よ」

「なおさら無理じゃ無いですか。」

 

「はぁ……」

 

使用人がため息をつく

 

「あなたは何故か理解してないようですが人を食ったのがバレればこの国が敵に回ります。()()お嬢様を仕留められる戦力はあの【世界最強】や【七天聖】、更に探索者を取り込んだ自衛隊、公安、警察、そして反社ギルド等幾らでもいます。貴方の固有スキルは最終的にはそいつらをまとめて喰える様になる無敵の能力ですが、断言します。この首輪、そして私の制御が無ければ、絶対に我慢できず人間を次から次へ喰って喰って喰いまくり、そして誰かに討伐されるでしょう……魔物として」

 

へぇ、人を食べたから追い回されていたし何回か殺されかけてたのね、全然知らなかったわ。そしてクソ長い言い訳を聞く内に首輪も間接的に私の命を救うためのものだとは理解できたわ

 

すると使用人の目がドス黒く濁る。

 

「そんな早い段階で貴方が死ぬなんて嫌だ、認めない。もっともっといっぱい食べて欲しいし、いっぱいいっぱい食べる所をみたいんです。そして幸せになって欲しいんですよ。主に私の性欲のために。」

 

使用人が頭を下げる

 

「全てが終わってどんな拷問でも受けますし、殺されようが食われようが文句は言いません。まあ食べられる事に至ってはご褒美なので罰になるかは別ですが」

 

使用人が胸に手を置く

 

「絶対に後悔させません。短期的に見れば裏切りでも長期的に見れば裏切りとはかけ離れたサポートをお約束します。世界の全てが敵に回ろうと、どんな事があっても私はお嬢様の味方ですから」

 

「だって」

いつもの気持ち悪い表情も、口角が異常につり上がった笑いもしていない普通の顔、そして普通の表情。目だけがおかしい。

恍惚とした、濁りきった、腐りきった目。ゾッとする。背筋が凍る。

 

「あなたの幸せは私の幸せなのですから」

■■■■

空気が凍ったまま何分経ったのだろう、もしかしたら数秒かもしれないし数時間かも知れない

 

はぁ、何こいつ。平凡で善良な一般人である私には全く理解できないキチ◯イだわ。ドンッ引きよ。

 

「はぁ……もう良いわ。怒ったらお腹が減って来たわ、さっさと帰って何か食べましょう()()

 

「ご理解いただけたようで何よりです!()!あっそうだ!仲直り記念にパーティを組みませんか?」

 

「パーティ?なにそれ?美味しいの?」

ご馳走が並んだ煌びやかな会場を思い出してお腹がなりそうになる。一度行ったきりパーティはずっと出禁だけれどなんでかしら。

 

「大好きですよ、そういう反応返してくれるの。」

 

その後パーティとは探索者のグループだと教えてもらった。ふむふむ、なるほど。

 

「となると大切なのは名前ね。かわいい縁さんとその下僕というのはどうかしら」

「それもいいですけど、こんな名前はどうでしょうか」

 

明里は嬉しそうに、そして、少しだけ哀しそうに語った

「大罪同盟」




【身体強化】あらゆる身体能力を1.5倍にする。割とメジャーだが強力
【小鬼統率】虐待用サンドバッグにしかならないゴブリンが少し背と身体能力が劣るだけの忠実な兵となる。使い方によっては一国を落とせる壊れ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。