東方原罪録   作:はるばーど

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この物語の読み方ですが、後書きまで読んで貰えれば物語をより楽しめる、と言った要素を付け加えてあります。

今回、幻想入りしてきた人々は外の世界とは少し、異なる場所から来ているため、私も情報をあまり知らないのです。

そのため、原作のキャラが見逃してしまい、話の中で登場しないけれど、その場所にあった物などが多数存在します。
なので、見逃してしまったその情報を、私が知る限り、後書きに掲載していきます。

お楽しみ頂けると幸いです。

ではどうぞ


第二章 端緒

 

翌朝、霊夢たちは森に消えた巨人を探し回っていた。

しかし、にわかには信じがたいことだが、あの大きな存在は、何時間捜索を行っても一向に遭遇することは叶わなかった。

 

確かに今日まで、少なくはあったが目撃例もあった。

””ダイダラボッチが、旧地獄のほうへ向かっていった”だの、”全長は六寸(約18m)ほどあった”など、噂程度の些細な情報だが、一部の住民は見かけたとの報告がちらほらあった。

だが、ある時を境にぱったりとその噂も途絶えていった。

 

特に人里のほうでは、一時台風のようにその噂で持ち切りとなったが、時が経つに連れ、いつしかそんな雰囲気もなくなっていった。

 

まるで、霧の彼方に消えてしまったように。

ぱったりと。

 

そのため、霊夢は一旦、捜索を打ち切ることを提唱した。

彼女の気まぐれな性格が面倒を嫌ったこともあるが、そのような雲を掴むような状況で、取り越し苦労をしてしまうと考えたのだろう。

しかし、魔理沙はその意見に納得できるはずもなく、猛反発した。それは、忽ち喧嘩に発展するほどだった。

 

 

「何考えてるんだ、霊夢!?あのデカブツを野放しにしておくなんて、お前気は確かか!?」

 

 

霊夢がまた、いつもの面倒くさがりを発動させた、と魔理沙は感じ取ったらしい。

だが、彼女は一度決めたことを中々捻じ曲げないことも、魔理沙は知っていった。

 

 

「…でも、あんたもわかったでしょ。今のところ、そいつの手掛かりは根も葉もない噂だけだし、何か特別な悪さとかした形跡もないでしょ。なら、ほっとくだけよ」

 

「うぬぬ、なら私一人だけでも探すぜ!」

 

「あ、そう。まぁ、無駄足だとは思うけどね」

 

「何!?見てろ!必ず探し出して、今回の異変は私が解決してやるぜ!後でのこのこ出てきて、ごめんなさいとか言うなよな!」

 

 

巨人討伐を宣言した魔理沙は、その手に持った愛用の箒を使ってふわりと上空へと飛び立ち、人里のほうへと向かっていった。

 

 

「なんだよ、霊夢のやつ。見つからなくなった瞬間すぐ諦めやがって。とは言ったものの、確かにあいつの言うことも一理あるよな…

相手が正体不明の妖怪じゃ、退き際も肝心てか…」

 

 

困ったように、魔理沙は頭をポリポリと掻いた。

その拍子で、風に揺られている帽子がほのかに揺れ動き、そよそよと可愛らしい様子だった。

そして、気分を入れ替えたのか魔理沙はすぐさま、にこやかな表情になり、なんだか楽しげだった。

 

 

人里の上空に差し掛かったあたりで、魔理沙は一人の人影が立っていることに気が付いた。

 

 

「ん、あれは…」

 

 

何やら、一人の少女が首をかしげて困っているようだった。

その人物は「上白沢慧音」。この人里で、寺子屋の教師の傍ら歴史の編纂作業をしている人物だ。

心配げな表情をしており、何処か落ち着きがないようだった。

 

 

「よぉ、慧音先生じゃないか。どうしたんだ、こんなところで」

 

「魔理沙か。

実は、チルノと大妖精が、例のダイダラボッチとやらを見たと言って、寺子屋を飛び出して行ってしまってな。

人里からそんなものが見えるはずもないんだが、そのまま帰ってこないから、これから探しに行こうかと思っていたんだ」

 

「あー、そういえばあの妖精、前にバザーのバルーンをダイダラボッチと勘違いして、必死こいて探し回ってたこともあったもんな。

だが、奇遇だな先生。

偶然にも私も、その大妖怪を追っているところなんだ。どうだ?途中までなら送っていくぜ?」

 

「ありがたいが、遠慮しとくよ。もし、すれ違ってしまったら、取り返しのつかないことになりかねんからな」

 

「そうか。じゃあ、私は行くぜ」

 

「ああ。しかし、気を付けていけよ。魔理沙。私の知る限り、ダイダラボッチこそ幻想の産物だ。

私も、噂だけで実際に目にしたことはないが、そんな大きい妖怪をとてもじゃないが見間違えるとも思えなくてな。

もしかすると、我らとは違う場所からやってきたのかもしれない」

 

 

だが、魔理沙はそんな慧音の忠告を聞いたのちに、得意げな顔をして帽子のつばを摘んだ。

 

 

「先生、ここがどこだか忘れたわけじゃないよな?」

 

 

その問いに、慧音は不思議そうに首を傾げた。

 

 

「ここは幻想郷、あらゆる幻想の産物が流れ着く楽園だぜ。常識にとらわれたほうが負けなのさ」

 

 

その言葉に慧音は、少し笑みを浮かべた。

 

 

「ふふ、確かにそうだったな。では、気を付けて行けよ」

 

 

そうして、魔理沙は再び魔法により、箒にまたがり、青き空へと旅立つ。

浮かび上がった際に心地良い風が、服の間をすり抜けていくようで、爽快な気持ちが再び彼女の心を揺さぶった。

 

 

「とにかく、あんなデカブツが隠れられる場所なんて、そうそうないだろ。

いるとしたら、噂になってる地底、それか迷いの竹林か?日が沈むまでまだ時間もあるし、どっちも回ってみるか」

 

 

などと言いつつも、魔理沙は地底への路とは違う方向へと進路を向け、全速力で向かっていった。

そして、しばらくして降り立った地は人里からは少し外れにある寺院だった。

そこは命蓮寺。住職の聖白蓮を筆頭に様々な妖怪が集まる場所。魔理沙は、大きなその枯山水の近くに降り立ち、近くにて癖のあるセミロングをした少女に近づいた。

 

 

「何奴、って…君か」

 

 

彼女の名は、ナズーリン。

探索が得意なネズミ使いの妖怪で、頭部には特徴的な耳が生えており、腰からは長い尾を生やしている。

こう見えても、彼女はかの毘沙門天の使いであり、その代理役の監視を担っているのだ。

 

 

「よう、ネズミ。今、白蓮はいるか?」

 

「いいや。今は、私とご主人だけだよ。何か用だったかい?」

 

「そうか。いやなんだ、ちょいと探している奴がいてな。それを聞きに来ただけだ」

 

 

ナズーリンはその言葉にぴくっと反応を見せた。魔理沙が聞きたいであろう事情をすぐに察したのだろう。

 

 

「それって、もしかして今噂になってる大妖怪のことか?」

 

「なんだ、知ってたのか」

 

「そりゃ、ここの間も噂で持ち切りだよ。知らないほうが可笑しいってもんさ」

 

「でも、その様子だとお前らも見たことはなさそうだな」

 

「そうだなぁ、確かに噂のわりには、一回も見たことないよ。

でも、そんな大きな妖怪なら、すぐ見つかってもおかしくなさそうだけどね。ご主人なら何か知ってるかな」

 

 

すると、噂をすれば、彼女の主人らしき人物が姿を現した。

 

 

「どうしましたか、ナズーリン…って魔理沙さんじゃないですか」

 

 

虎のような黄金と黒が混ざった髪をした少女。

彼女こそが寅丸 星。ナズーリンの主にして、毘沙門天の代理。そして、ここ命蓮寺の管理者、その一人である。

 

 

「あ、ご主人」

 

「おう、お前。最近、妙なことはなかったか?」

 

「妙と言われましてもね…特別変なことはなかった…ああ、そういえば」

 

「ん、何か持ってるのか!?」

 

「前に、宝塔を探しているときに見つけたものなんですが、でもどうも財宝には見えなくて取っておいたんです」

 

「ご主人、また宝塔失くしてたのか…」

 

 

そう言った後に、星は何かを思い出したかのように、袖元をごそごそと漁り、何やら不思議なものを取り出した。

それは、一つの光沢を放つ金属質の物体だった。何やらドロドロと液状化しているらしく、少し不気味な雰囲気を醸し出している。

 

 

「なんだこれ、ガラスの破片か?にしては、可笑しいか」

 

「私もある程度、財宝に関して知識はあるつもりでしたが…こればかりは財宝と言っていいのかどうか…」

 

「んー…あ、そうだ!」

 

 

そこで魔理沙は何か思いついたような、素振りを見せた。

ナズーリンと星は、嫌な予感がしたようで表情が少しばかり曇り始めた。

 

 

「なぁ、頼む!それを私にくれないか!?」

 

「え、えぇ、いいですけど…こんなもの役に立ちますか?」

 

「あぁ!ありがとな!じゃあ、私は行くぜ!」

 

「ええ⁉ちょ、ちょっと!魔理沙さん!」

 

 

少しばかり強引にその物体を貰い受けた、いや、半ば奪ったという表現のほうが正しいだろうか。

その物体を持った魔理沙は、高速で立てかけていた箒を使って上空へ飛び出し、すぐさま、迷いの森の方面へ一直線に飛んで行ってしまった。

 

まるで、嵐が過ぎ去るように。

 

それは一瞬の出来事であり、二人はあっけにとられてしまった。

 

 

「行ってしまった…結局、魔理沙さんは何をしにここに来たのでしょう…」

 

「噂の大妖怪を調べてるんだって。あれがなんか役に立てばいいけどね」

 

「はあ、そうだったのですか。それで…

しかし、あの変なものは聖様も興味を示しておりましたし、魔力に近いものが宿っているのでしょうか」

 

 

すると、普段穏やかなナズーリンが、意味ありげな発言をぽつり、とこぼした。

 

 

 

「いやあ、どっちかというと魔力というより、あれは妖怪に近いと思うがなぁ」

 

 




なにかのウロコ

寅丸星が所持していた奇妙な物体
岩のように硬質で、とても軽い

それは、生物と霊の中間の物体であり
熱を近付けると黒くどろどろした
無機性の液体へと変態する

質量は持った闇は、重く、どこか神秘的で
いつかそれは実態に近づくのだろうか


嵐の竜

四本の翼を持った鳥のような生物の姿が描かれた絵本
幼稚な絵と、丁寧な文が綴られている

命蓮寺に、集まったものの一つ

その竜は巡礼の命により、死に出るという
神に届かんとするその偉容は
侵略者たる連盟の民にすら密かな信仰の心を抱かせた
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