透き通るような世界観に混じる逸般不純物! ネイビーアーカイブ 私のミスですか?   作:ゴジマツリ=ユーリエフ

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51. その手は人を殴るためでなく、人と手を繋ぐため、

 

そして、その口は己を偽り皆を欺くためにある。

 

章終わりは毎回クソ長くなってしまう呪いに罹ってる気がします。

 

一万文字超えちゃいました。

 

──────────────────────────

 

 

 

「"あ、そうそう……やり合う前に一つ注意事項………加減は難しいから極力避けてくれよな。"」

 

ファイティングポーズを取り、やる気満々のミカに大人気なく全力で行く宣言を行う。

 

「そんなに怖いならさっさと道を空けてくれたらいいのに。」

 

「"割と悪名高い俺と一対一だというのに………強者の余裕か?"」

 

確かにミカは強いだろうが、加減する余裕がない訳ではない………と思いたい。自ら生成した電気を頭に流し続けアドレナリンとか何とかの分泌を無理矢理促進させ、疑似的に火事場の馬鹿力状態を作りだした……つまり今の俺には筋力にリミッターがついていない、言葉の通り加減が難しいのだ。

…………個人的にはクソナードモードと呼んでいる。

 

*1

 

「ッ!!」

 

先に動いたのはミカだった、唐突に頭上付近に現れた満月の様な光の玉を警戒し、こちらに距離を詰めて来た。範囲攻撃的な何かを感じて巻き沿い、又は攻撃の中断狙いだろう。

取り敢えず光の剣をキャンセルし、石を射出した。

 

「"おお。"」

 

が、見事なサイドステップで躱された。足場が悪い上にハイヒールで良くやるものだ。

 

そんな事を思いながら等間隔に距離を開けた石達を射出して間もなく、ミカは咄嗟に足元にある瓦礫を投げつけ相殺………

 

「"いっってぇっ!"」

 

できずに……瓦礫は石を押し切ってきた。生徒の所有物は強化される…………神秘の上乗せと言ったところだろうか?

 

「ふーん、普通に投げたつもりだけど……確かに結構丈夫みたいだね。」

 

「"普通!?"」

 

にしても、体育館半面分の距離を攻撃をいなしつつ詰めて来る……流石に戦い慣れし過ぎてないか?

 

「"やべぇなっ!───ッ"」

 

石を射出しながら地面を蹴り距離を取る。

体の丈夫さは上がっているとはいえ、リミッターが崩壊しているのだ、普通に反動はある。今は脳内麻薬さんに感謝だ。

 

「拳も得意だって言ってなかった?」

 

ダダダダダッ!

 

距離を取った俺に向かって、妙に既視感のある煌びやかな弾丸が放たれる。…………考えるまでも無くアビドス砂漠でヒナの銃から放たれたアレだ。

 

ブォォォン! 

 

「"??"」

 

斬れた……斬れはした……しかし、斬ったそばから弾丸は砕け、中からピンク色の星雲のようなものが排出される。

 

吸った場合にどんな作用があるか分からないので取り敢えず距離を取る………そう判断した瞬間、甲高くけたたましい音が周囲に響かせながら星雲は収縮され星の形を成そうとしていた…………

 

「"ッ!絶対ヤバいやつじゃん!!"」

 

ドッ!     ──────ボンッ

 

真正面に壁を作り、思い切り蹴って後退した。何とか間に合ったが足が痛い痛いなのだ。

 

「"ふぅ~………お前こそ銃は使わないって言ってなかった?"」

 

「当たる気がしないって言っただけで使わないとは言ってないよ?」

 

「"俺も拳より遠距離の方が得意なだけだ。"」

 

とは言ったものの、さっきのアレは間違い無く物理法則を超えた何か……アロナ弾道屈折に対応しているという確証は無いし調べる気も無い。…………距離を取れば謎爆発……さっきの投石の威力を見るに近接に付き合えばヤバい………。

 

 

\\ドンッ!//

 

ブライとミカは互いに距離を詰め、射程圏内に入ったと確信した両者は共に拳を振り上げる。

 

ドォォン! 

 

砕けたのは人体では無く岩の壁。ブライは衝突の直後、岩の壁を生成し殴り合いを避けた。

 

ガシッ!

 

だけでは無い。壁の生成と共に超短距離の武術家アイシクルロード走法である物を右手で掴んだ。

狙いは勿論ミカの愛銃……攻撃手段の一つを無力化する事にあった…………。

 

「"マジか………お前絶対ポリコレ枠だろ。"」

 

何で壁を砕いた上で反応出来るんすかねぇ………。

 

「おかしいと思ったんだ〜、弾道を曲げれるとか、遠距離の方が得意とか言いながら、わざわざ弾を切ったり、近づいて来たりするんだもん、そりゃあ警戒しちゃうよね。」

 

ま、反応された時の場合も想定済みなんですけどね。

 

うわっ!何これ───あっ!」

 

やはり一家に1台触手の玩具だ。ありがとう、異世界の変態技術者達。

 

ドンッ!

 

ブライは左手に、ヌチャヌチャと不快な音を立てる粘液を分泌するクラーケンの触手を模した大人の玩具を持ちミカの手に擦りつけ、ダメ押しに腹部へ蹴りを見舞った。当然そのような状況で武器を掴み続ける事は不可能。

ミカの愛銃はすぐさまGOK(ゲートオブキヴォトス)に送られた。

 

「"はい、残念。"」

 

男女平等と行きたいところだが、腹部への攻撃は普通に気が引ける。まあ、ミカはそれなりの手練、そうも言っていられない。

攻撃手段の一つを潰せただけで重畳。

 

「………女の子に向かってこんな事するなんて、流石にちょっと幻滅しちゃうなぁ。」

 

多少後ろに下がって少ししゃがみ込んだがその程度。

壁を砕き、腹部を蹴ったにも関わらず、すぐに立ち上がった………長期戦になりそう。

 

「"ブーメランだよ馬鹿野郎。"」

 

ビュンッ!      ベチャ

 

刀が空を切るような音が響く。

音の正体は先程壁を破壊した手だ。まるで血払いでもするかの様に振り下ろされたミカの手には既に一滴の粘液も付着していない。

 

「ていうか、もしかしてさっきので全力?先生か〜わいっ♡」

 

「"俺は諦めの良い子と瓦礫を投げない子が可愛いと思うな。"」

 

ガラガラガラッ

 

かなり恐怖を感じた。

ミカの両手にあるのはしゃがみ込んだ時に拾ったであろう瓦礫片。それがたった今砕かれたのだ。これからどうなるのかは想像に難くない。

 

ドォォォン! 

 

そうだね、投石だね。獣の巨人だね。

 

「"ヒイィィィッ!"」

 

岩の柱超便利……投石如きで壊れるけど超便利…ただの小石如きでショットガンすら凌ぐ勢い………第二波もこの様子では埒が明かない。やはり拳こそが正義なのか。

……何にせよ着地だ。

 

着地狩りを警戒し、風魔法を駆使し若干落下のタイミングをずらしたがミカの拳がブライに飛んで来る事は無かった。

 

「"さて………わからせてあげましょうかね。"」

 

「…………………」

 

互いに手が届く距離、ミカの表情は至って真剣。まあ、正直こちらも色々な意味で遊べる余裕は無い。

 

「"言っとくけど、俺はお前を止める為なら本当にどんな手段でも使う、止まるなら今だ。"」

 

「先生もしつこいね…………もう遅いんだよ、何もかも……。」

 

さっきのアズサと良く似た顔をしている………。

人命が失われました今、確かに取り返しのつかない事態にはなった。

だからといってこんな道を突き進んだところで楽にはならない、誰も幸せにはなれない。

全てを賭けて全てを巻き込む壮大な自殺、そんな物を見過ごせる程俺は人としては終わって無いつもりだ。

 

 

文字通り、どんな手段も使わせてもらう。

 

 

両者拳を構え見つめ合う………先に動いたのは聖園ミカ、右手を前に突き出さんとしていたが繰り出されたのはブライの後退を警戒したタックルだった。

 

そしてブライはフェイントを読んでの横回避からのしゃがみ足払い。当たりはしたがミカが転倒する事は無かった。それを確認したブライはすぐさまミカとの距離を空ける。

 

 

「やっぱり正面からは来ないよね。」

 

「"当たり前だ。"」

 

弱者の戦い方は心得ている。ヒットアンドアウェイ……というよりアウェイからのヒット。隙をついての一撃離脱と苦手な間合いからの攻撃こそが正義。

 

ブライは逃げる体勢に入ったまま石の射出を開始する。当然ミカは距離を詰めようと石を避け、破壊し切り抜けようとするがその度にブライは移動する。

 

今のミカが取れる戦術は体術と防御と投石のみ。追い続ければ体力を消耗し、石を拾おうとすれば射出される石に当たりジワジワとダメージが蓄積する。

 

「───ッ!」

 

ならば当然捨て身で距離を詰めるのみ。

 

「"ま、そう来るわな。"」

 

ブライは3枚の石の壁で数秒の時間を稼ぎ、その間に大量のナイフと赤黒い液体が入った壺を取り出し浸していた。3枚目が破られた瞬間、壺をしまい、岩の射出を再開し、臓器の破損を避ける為ミカの横腹部スレスレにナイフを投げた。狙いは勿論毒による行動の制限。

 

 

ギリギリ狙ったとはいえ当然の如く避けやがって…………。やはり近接でのヒットアンドアウェイか………まあ、俺には背後に魔法を放つっていう糞奇襲もあるけどな。

 

 

そこからは攻撃の読み合いと魔法による理不尽で一方的な前後から攻撃が始まり、ミカが瓦礫を持てば近接戦闘での逃げ腰なフェイント合戦を行いブライは着々とミカの気力と体力を削っていった。

そんな事が続けば次第に苛立ち攻撃も単調になるという悪循環。苛立てば読み合いが単調になり拳や蹴りも入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

バサッ!!

 

 

「"……!"」

 

 

その考えこそがミカに反撃を許す原因となった。なんとブライはすれ違いざまに翼で殴られ壁に激突したのだ。あれだけのインパクトを残したにも関わらず、ブライはミカの翼を軽視し過ぎてていた。ミカも敢えて翼を取っておいたのだ。

 

「ごめんね、先生、ちょっとだけ寝てて。」

 

ブライが激突するまでの僅かな時間、ミカは追撃を入れるべく追いかけ、体勢を立て直そうとするブライを右足で蹴付ける。

 

ドンッ!

 

ミカにとってはただの打撃、それでもブライの体を壊すには十分だった。

 

「"カハッ、ぅ…ぐぅぅ……ヴェッ!……ゲホッゲホッ!"」

 

無理無理無理無理ィっ!普通に永眠レベルだろうがこのクソゴリラ!俺でも肢体不自由者コースだぞアホ!メイドインキヴォトスのハイヒール痛い過ぎだろ!何で壊れねぇんだ!

 

 

臓器の損傷により血を吐き、折れた胸椎により数秒の再生を待たなけれ動く事は難しい。今はこの先の補習授業部を死守する方法は一つしかない。

そう考えたブライは両手の先の地面に石柱を生やし、暫し動かずぶら下がる下半身両手で支えミカの前に立ち塞がる。その右手には先程のナイフが握られていた。

 

 

「"、うした……俺はまだ死んでないぞ……。"」

 

ああ……口の中が血の味しかしない……。

 

 

「…………何で私、こんなにも上手く行かないんだろう………。」

 

「ゾンビじゃないんだからさ、そろそろ諦めてよ………。」

 

残念ながらゾンビと大差ない。直ればやれる。

 

「"…………聞こえねぇのか?まだやれるって言ってんだろ。"」

 

………修復完了!これでまだやれる。

 

ガッ!

 

 

完治して間もなくブライが振りかぶった左手は見事にガードされ、ナイフを持った右手に関しては力強く掴まれ碌に身動きすられない。

 

 

「もう無理だって……どうやったって先生じゃ私には勝てないんだよ…………。」

 

「"ちょっと殴っただけでもう勝った気でいるのか?"」

 

うん、分かっていたが単純な力では勝てない。右手はすぐに釈迦る筈………だが、それで良い!左手でイチャつきながら押し合いを演じられればそれで十分。

 

「"キヒっw"」

 

数秒後、ブライの右手はひしゃげ、唐突に血に塗れた右にミカが違和感を覚えた次の瞬間、周囲に血のシャワーが降り注ぎ、建物の半壊や戦闘で少し汚れていた白い制服は赤く染め上げられた。

 

 

水源はブライの首からであった。

 

 

「ぇ………なんで………。」

 

日常とは懸け離れた目の前の光景にミカはただ呆然と立ち尽くす。

 

 

やっぱこの光景はお嬢様にはキツかったよなぁ!!

 

 

ドォォォン! 

 

 

ミカは自ら可愛いと評したブライの左手に吹き飛ばされる。ブライは今まで全力を出していなかった訳ではない。今までも今も変わらず全力だった。しかし、この一撃はブライの最大限引き上げた防御力を一時的に攻撃に振り替えミカに掴まれた右手とリミッターが壊れた左手を犠牲に放たれた全力の一撃。今までのものとは訳が違った。

 

血のシャワーはブライの自作自演。ミカの動揺を誘う……又は目潰しを行い確実に拳を叩き込む為だけにブライは防御を捨て自らの喉元へ鋭利な鉄片を射出し頸動脈を切り裂いた。

 

 

言った筈だミカ…俺は手段を選ばないと。

 

「"ゲホ…ゴホッ!ゴホッ!………ん"、んっ!…ぁ、あー……"」

 

少し違和感のある喉を触りながら、血に塗れたミカに近づく。目元の一部は涙で少々綺麗になっていた。

 

「"何故動揺した?何故躊躇った?あんなのはお前が歩む道の日常風景でしかないぞ。これこそがお前が望んだ道なんだろ?見たい景色なんだろ?"」

 

道徳の補習授業だ聖園ミカ。

 

「……違う…………違う……私が欲しかったのはこんなのじゃない!」

 

「"ああ、知ってる。"」

 

「本当にアリウスの皆と仲良くしたかっただけなの……。」

 

「"ああ。"」

 

「それなのにセイアちゃんは白洲アズサに殺されちゃって………」

 

「"え?"」

 

 

 

ドンッ!

 

「"─────ッ!"」

 

「こうするしか無くなっちゃったッ!!」

 

ヒュッ   ガン!

 

 

思いがけない情報で生まれたブライの隙にミカは拳を叩き込む。そして吹き飛んだブライを追いかけ空中で掴み補習授業部を隔離した壁に投げつけた。その衝撃は凄まじく壁には亀裂が入程であった。幸い防御力に振り直していた為ブライはギリギリ肉塊にはならずにすんだ。

 

 

もうどうすりゃ止まるんだよ…………やべぇ…体感的に折れて無い骨数えた方が早いんじゃねぇかこれ?…まあ、数えてる間にくっつくんだけど………あぁ……色々痛過ぎてこんな時なのに遠くにマリーが見える……遂にお迎えが来たか…………というかマリー以外のシスターも見えるし、なんなら逃走するアリウス生しばいてる………。

 

 

ガラガラガ………

 

 

崩落しそうな壁を消去する。

前にシスター達と俺に追撃?か何かをかまそうとするミカ。

背後からは銃声、多分補習授業部も壁を壊そうとしていたのだろう。何だこの地獄。

 

 

「丁度良いじゃん………セイアちゃんを殺した時の事を先生に聞かせてあげてよ白洲アズサァ!」

 

 

ドンッ!

 

「"──────カハッ!ぅ゙、ヴォエェェ……ゲホッゲホッ!"」

 

壁が消えるやいなや俺は襟首を掴まれ再度床に叩き付けられ背中を強打した。くっつくたはしから折るの止めて欲しいんですけど………。

 

「「先生!!?」」

 

「な、何よこれ!!」

 

血塗れ2人が視界に入ってパニクる補習授業部。まあ、それが普通なんだが敵から目を離すのは感心しない。

 

 

 

ダダダダダダッ!

 

「何?何なのこんな大事な時に────シスターフッド?」

 

マリーは幻影では無かった。………ミカの反応を見るにアリウス側の増援という事では無いらしい。

 

「浦和ハナコっ!………あの子達がこんな状況で何の得も無く動く筈がない………ねぇ、あなた、どんな対価を支払ったの?」

 

「…………」

 

ハナコは何も答えない。

 

「ねぇ、今の状況分かってる?」

 

ミカは手に持った俺を軽く持ち上げ補習授業部を脅迫する。

 

「ま、待ってくれ!話す、あの時の事を話すから先生を殺さないでくれ!」

 

……事実なのか。

 

「………ねぇ……聞いたでしょ?先生、私は殺してない…………グスッ言い訳にしか聞こえないかもだけど、本当にセイアちゃんに死んで欲しくなんかなかった…………。」

 

情緒が不安定が過ぎる!…………流石にさっきのはやり過ぎたか?………まあ、どちらにしろミカは詰みだ。

 

「"あの時は断定したような言い方をして申し訳無かった…………それはそうと敵から目を離すのは感心しない……そのせいで、お前と俺は既にこの場から動けない、早いとこ降参してくれ。"」

 

まち針、圧倒的まち針!ブライはミカが「先生を殺すな」と懇願するアズサを見ている隙に照明の準備とまち針による固定を済ませていた。

 

 

これで本当に終わりだ。

 

いつか誰かが言っていたように、結局誰もが幸せになれる"楽園(エデン)"なんて物は存在しなかった。

それどころか求める者も求めぬ者も関わった者は総じて不幸になった負の産物。

 

明確な救いがあるとすれば補習授業部とナギサだ。

補習授業部が学園生活を存続出来ればナギサにも贖罪の機会が出来るだろう。

 

死んだ百合園セイアに「今後」なんて物は無い。

セイアの死を招いたミカや実行犯のアズサにもあるのか分からない。それでもこいつらは目的は違えど血反吐を吐く程頑張ったんだ、少しの救いくらいはあって欲しい。

 

 

 

 

 

 

「…………あの、お二人とも勘違いされているようですが、セイアちゃんは死んでなどいませんよ?ただ死を偽装していただけです。」

 

「え?」「"は?"」

 

ありました救い。

 

「で、でも!」

 

「ミカさん、あなたはセイアちゃんの死体は見ましたか?……出来なかった筈です、「百合園セイアは死亡した」そう報告を受けただけ………違いますか?」

 

「…………………。」

 

この反応……多分見てないな…………つまりシュレディンガーのセイア!

 

「"………ハッタリじゃないよな?"」

 

「理由は分かりませんが、「動けない」というのは本当のようですし、嘘を吐く理由がありません、それはラティ様に誓いましょう。」

 

誰だよ!

 

「な、何だか分かりませんが本当に動けないようですし、今は取り敢えず先生の傷の手当てをしませんか?!」

 

「そ、そうよ!アズサ何か持ってない!?」

 

ドラ◯もんか。

 

「………すまない、持ってない!」

 

「"大丈夫大丈夫、マリーちゃんの唾つけときゃ治るから。"」

 

「そんな冗談言ってる場合ですか!!」

 

「"マジマジ、恐ろしく回復速い体質なんだわ。"」

 

「せ、先生!?大丈夫ですか!?い、今すぐ治療を!」

 

背後から聞こえてくるお清楚なヴォイス………

その声は、我が妻、マリー氏ではないか?………聞かれてないよな?

 

「"待て待て待て待て!近づくな!影に入ればお前も固定されるぞ!"」

 

「……あ、あれ?…何故でしょうか、体が動きません……。」

 

「"近づくなって言っただろ!"」

 

「クソッ!こうなったら……衛生兵!衛生へーい!!

 

「"呼ばなくて良い!俺は本当に完治した!まずはハナコの話しを聞かせてくれ!俺にもミカにも今すぐそれが必要なんだよ!!"」

 

「今救護と言いましたか?………こ、これは、何があったんですか!?」

 

「"いや言ってないです……ってセリナさん!?どうしてここに……いや待て待て待て止まれ!"」

 

「「"あっ………"」」

 

あーもうめちゃくちゃだよ!!

 

 

その後、ミカが逃げ出さない様に惨状にドン引きするシスター達が全方位からミカに銃を突きつけたまま、まち針の一時的な解除を行った。勿論ミカに抵抗の意思は見えなかった。

その後、俺はセリナから丁寧に血を拭き取られた後にボディチェックを受け、その間にシスター達は正義実現委員会に状況の報告を行ったそうだ。

 

そして気づけば既に朝日は昇っていた。

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

「セイアさんについての話でしたね。」

 

「"はい"」「うん……。」

 

「先生には色々と言いたい事がありますが……後で良いでしょう。」

 

「"すんません…………。"」

 

まち針で拘束されるミカの横で我絶賛正座中也。まあ、理由は明白なんだけど。

 

「セイアちゃんは襲撃犯の正体が判明しなかった為、安全の確保を目的として死を偽装し、現在はトリニティの外で身を隠しています。」

 

「ほ、本当に?……セイアちゃんが無事。」

 

「えぇ、傷はまだ治り切っておらず、目も覚ましていないため無事とは言い難いですが、それでも命に別状はなく、救護騎士団のミネ団長が、すぐそばで守ってくれています。」

 

あの心優しきセリナが所属する部活の部長か………さぞかし慈愛に満ちた方なのだろう。

 

「ミネ団長が?………確かに、ここ最近見かけなかったけど……。」

 

「トリニティがこのような事態になっても現れないというのが証拠と言ったところでしょうか。」

 

きっとミネ団長という方は被災地に千羽鶴を送って応援していると勘違いしている奴とは違って、自ら被災地へと赴き、物資の提供や避難所での生活を支えるタイプの聖人に違いない。

今はただ、ミカとセイアを救ってくれた団長に感謝を。

 

「そっかぁ……生きてたんだ……良かったぁ……。」

 

「"ああ、誰も死んでねぇならいつかきっと、セイアにも謝れる。"」

 

「……う"ん"!」

 

心から安堵し、涙どころか鼻水すら吹き出しそうなミカに取り敢えずディッシュを投げておく。

 

「…………私はもうここまでみたいだね…………最後に一つだけ。」

 

足音で察したのだろう。半壊した入口付近には正義実現委員会がゾロゾロと集まり始めた。

 

これ以上暴れる事は無いと信じまち針を回収した。

 

「アズサちゃん…自分がこれからどうなるか、覚悟は出来てる?」

 

ミカが体育館に到着した正義実現委員会の方を振り返りながら言う。

 

「勿論。」

 

「……あなたはきっとトリニティには守られない…それに、サオリ達から逃げれると思う?……きっとこれからずっと追われる続ける人生になるよ、あなたが安心して寝られる日はくるのかな?」

 

「それでも私は最後まで足掻いてみせる、最後のその時まで。」

 

何処までも強過ぎるだろこの女。

 

「"武力が必要なら俺を呼べ、最………それなりには強いから大抵はどうにかしてやる。"」

 

ミレニアム最強にも次は多分負ける。ミカ相手にもこの惨状……最強には程遠い。

 

「あはは………羨ましいなぁ。」

 

「"お前もやばければ俺を呼ぶといい、電話番号ならシャーレの公式サイトに載ってるからよ。"」

 

因みにお問い合わせページはアロナが担当しているので偶にトンチンカンな返答が返って来るのでオススメしない。何でそういうところだけAIっぽいんだろう。

 

「……本当に助けてくれるの?私……あんなに酷い事したんだよ?」

 

「"俺だって思いっきり殴ったし、俺しか解毒出来ないキヴォトスでは俺新種の毒を塗ったナイフも投げたし、お互い様だ。"」

 

早いとこナイフ回収しないとやべぇな。

 

「本当に洒落にならないじゃん……………あの時もし……ううん、やっぱり何でもない………色々とごめんなさい…そして、ありがとう……じゃあバイバイ、先生。」

 

「"おう、また会おう、ミカ。"」

 

朝日に向かい歩いて行くミカの背を見送る。後はテストだけどうにかすればどうにかなる!

今のままではいけないと思います。だからこそ、キヴォトスは今のままではいけないと思っています。

 

「"よしっ!"」

 

「先生、何か忘れていませんか?」

 

「"んな訳!ナイフの回収だろ?毒塗ってるからお前等触んなよ。"」

 

「それもそうですけど、違いますよね?」

 

「"冗談だよ、お前等の試験の事だろ?忘れる訳がない。"」

 

「あっ!確かに!もう8時じゃん!どうしよう……」

 

「一応歩いてもそれなりの余裕はありそうですね………。」

 

「"全く……お前等は忘れっぽくて困る。"」

 

「………違いますよね?」

 

「"…………お前達、仮眠取るなり勉強するなり適当にしといてくれ。"」

 

やはり誤魔化し切れず再度正座する。

 

「"ハナコ、考えてみてくれ、俺がボロボロのボロにされる相手だぞ?流石にテストを控えたお前等に相手をさせる訳にもいかんだろ?"」

 

「………先生が私達の事を思って行動して下さっているのは重々承知しています…………それでも、あれほど大量の血を流す程ボロボロになってまで何故一人で戦ったのですか?」

 

半分以上自傷とか口が裂けても言えん。いや、さっきのに比べれば口を裂させるハードルが驚く程低い気がして来た。

 

「"俺は集団戦には慣れていない、そしてパワーバランスを考えるにお前達は足手まとい、一人でやった方が手っ取り早く済むと考えていただけだ………それに結果的に傷は完治している、セリナがその証人だ、OK?"」

 

献血界隈のヒーローになれる自信すらある。ならないけど。

 

「……………前言撤回します、先生の行為は相手を思っているつもりでしかありません…………こんな自殺行為にも等しい自己犠牲は相手の心も先生自身も蔑ろにし過ぎています。」

 

でも今回はミカをビビらせる為に………うーん。

 

「"………ごめんて、キヴォトスと向こうじゃ世界観が違い過ぎてさ……こうなるとは思わなかったんだ、本当にごめん。"」

 

嘘は何一つ言っていない。

……光魔法の応用でヘイローっぽい何か浮かべようかなぁ……追従させるのが面倒臭いからやっぱナシ。

 

「……………分かりました………それじゃあ、もう少し"ご休憩"をはさんでから行きましょうか♡」

 

「"何で今休憩を強調したんだよ。"」

 

その後、暫しのご休憩(not意味深)とナイフ回収を終えた後に試験会場へ急いだ。

 

………流石vs正義実現委員会戦………とかは無いよな?

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

re:ベリークルシミマス輸送大作戦は全力で拒否された為、補習授業部の面々は徒歩で移動中。

俺は一人寂しく真顔&Tポーズでホバー移動状態になり、補習授業部の周りを衛星のように周りながら移動していた。

今度からは複数人で飛べるようにエンジニア部から廃棄用のロボでももらって練習しよう。

 

 

そんなこんなで試験会場は目と鼻の先……正義実現委員会の奴等と見えて来た。

正義実現委員会もこちらに気付き銃を向けられたのでここからは仕方なく歩いて行く事にした。銃を下げられたのでこれで正解のようだ。

 

「や、やっとつきましたね。」

 

「"全く疲れたぜ、何でこんな無駄に遠いんだよ!"」

 

「いや、あんたは浮いてたでしょ!?」

 

「無駄に遠い……というところは同意です。」

 

「コハル、それだけじゃない先生は私達の周りを周回する余裕もあった。」

 

「そうよ!なんなのあれ!?先生は人をムカつかせる天才なの!?」

 

「"そう褒めないでくれ。"」

 

「照れるなっ!褒めてないから!」

 

こんな馬鹿みたいなやり取りも今日で最後になるのか……。

しんみりしていてもしょうがない、今はただ見届けよう。

 

 

「お待ちしておりました、補習授業部のみなさん。」

 

開場前、正義実現委員会の部員の一人に声をかけられた。まあ、これまで何人か素通り出来てたし、銃を構える様子も無いし敵対する事はないだろう。

 

「ハスミ先輩から伝言です………頑張って下さい………と。」

 

「あらあら。」

 

「は、ハスミ先輩……!」

 

「それから……力になれなくてごめんなさい、この分はいつか必ず……とも。」

 

「"良かったなコハル、テストが終わったらドヤ顔で満点の解答用紙叩き付けてやれ。"」

 

「うん!」

 

「"………じゃあ、そろそろ入ろう…………そして終わらせようぜ、補習授業部を!"」

 

 

 

 

 

勿論、結果は全員合格だった。

コハルは悔しそうだったが91点とギリギリ合格だ。

アズサに関しては何と97点。満点常連のハナコを除けば最高得点という大快挙。

 

全員の合格を祝して今度こそ皆でスイーツでも食べに行こうと思ったが如何せんやる事が多くそれは叶わなかった。

 

 

──────────────────────────

 

やる事やった後日

 

 

 

「"おはナギナギ!"」

 

「………お、おはようございます。」

 

この世の終わりの様な顔をしておる…………まあ、全貌を知れば無理もない。幼馴染が殺人未遂だけでもやばいのにまさか自分を殺しに来ていたのだ、こうならない方がおかしい。

 

「「"この度は真に申し訳ありませんでした!!"」」

 

「「"え?"」」

 

同時…同時である………しかし、立って謝ってる俺の方が謝罪する者の姿として適切……つまり俺の勝ちだ。

 

「あ、あの……何故先生が頭を下げられているのでしょうか?」

 

先に頭を上げたな桐藤ナギサ?…………この謝罪バトルは完全に俺の勝ちだ。常日頃からユウカとリンに謝ってきた甲斐があったというものだ。

 

「"いや、だってお前と話す時は出来るだけ精神攻撃してたし…………それにセーフハウス襲撃の時のやつはぶっちゃけ俺の私怨100%だし………。"」

 

「……………」

 

この世の終わりの様な顔ver2の顔をするナギサ。

 

「"待て待て!これ以上思い悩むな!お前はお前のすべき事を全うしただけだろ?"」

 

2次試験の事件を除いて

 

「ですが結果的には───」

 

「"結果論はそうだ、俺も結局はアズサが最終日に色々と打ち明けてもらえなかったら詰んでいた訳だし、どちらにも正しくて危うい場所もあった…………いや、そういう事言いに来たんじゃねぇな。"」

 

長居をするつもりは無い俺は立ったまま、テーブルに置かれたティーカップの中身を飲み干した。……美味い、砂糖ドバドバ入れたい。

 

「"1つ目はさっき言った通りの謝罪………対立する理由もないんだし、これからは普通に接しようぜって話。"」

 

「…………」

 

中々に複雑そうな表情。

 

「"えーー、そんな顔しないでくれよぉ……滅茶苦茶嫌われてんじゃん。"」

 

「い、いえ………こうもあっさり許されては……何と言いますか………。」

 

WoW!罪悪感につけこんで色々できるやつじゃん……。

 

「"…………じゃあ2つ目……もうあいつらを疑う理由は無くなっただろ?だから元補習授業部の奴らと話して見てくれないか?マジでお気楽馬鹿4人だからさw"」

 

正確には元・馬鹿だ。もうあいつらを馬鹿とは呼べない。

 

「ええ、補習授業部の方々には改めて謝罪を……と思っています。」

 

偉い!

 

「"じゃあ最後に………アリウスについて今度、アズサと俺とナギサの3人で話合いをしよう。

俺のミスではあるんだが、ミカとの戦闘中に多くのアリウス生を逃す羽目になった………あいつらが条約の調印式の日に何もしないというのは考えにくい、だから今から対策をしよう。"」

 

「…………はい。」

 

唯一まともなセイアが意識不明の今、今回の一件がトリニティに広まればティーパーティーの権威は間違いなく地に堕ちるだろう。

それを理解した上で自分はやり遂げるという強い気概をナギサから感じた。

 

「"用件はそれだけだ。忙しいのに時間を取ってもらってありがとな。"」

 

「こちらこそ、ありがとうございました。」

 

これにて茶会はお開き。そう思い扉に手を掛けたところで大切な事を思いだした。

 

「"そうそう、俺視点での話だが、ヒフミは最後までお前を恨むような事はなかった………お前が思い込んでいるよりもずっと簡単に仲直りはできると思うよ。"」

 

ナギサが今、どんな顔をしているのかは分からない。それでも今のナギサであれば以前の様に全てを拒絶する事はないだろう。

 

そんな事を思いながら帰路につく。

 

 

 

 

不快な蝉の声がふと耳に入る……世間はもうとっくに夏休みだ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ"あ"あ"〜おれも夏休み欲しいぃー!!!ス"イ"カ"、食"い"て"ぇ"ぇ"ぇ"!!!

 

 

 

──────────────────────────

 

 

聖園ミカは遠距離が強い代わりに近距離が強い、そして何 とHPと回避率まで高い。

 

自分の場合、エデン条約編読んでからのイワンクパーラでしたから、「えっ!?同じクーデターでここまでテンション違うんすか!?」ってな感じに温度差で風邪引きそうでした。

 

 

そして何ていうか、ここのミカちゃん原作に比べて大幅に弱体化してしまった気がする。

メンタル面も殆ど取り繕えて無いし、高頻度で隕石落としてこないし。

 

しけた話続きだったから明日の8時10分か19時19分にでもヒナ夏投稿したいマンです。

 

 

*1
モードチェンジ:クソナード

 

再生能力を自覚した頃辺りから使用し始めた戦法の一つ。経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の悪用、読んで字の如く、自らの脳に電気を流してホルモン分泌や神経系バグらせる。

バグらせる目的は基本的には火事場の馬鹿力を疑似的に再現し、遠距離と近距離の敵に対して対応出来る様にする事。

もう一つはβエンドルフィンという脳内麻薬による痛みの緩和。

因みに、この戦法はDr.スト◯ンの主人公であるネギ頭君が宇宙飛行士を目指すカナヅチの親父を無理矢理泳がせる方法を参考に色々やっていたら出来たらしい。

 

この戦法を多様し過ぎた結果、零距離魔術師(ゼロレンジ・キャスター)やマジカルバーサーカーの二つ名を付けられた過去がある。普通に馬鹿そうな名前なので本人は不服そうだ。

アンケート機能のお試しです。皆様はブルアカの最高レアリティの出る封筒は何封筒と言っていますか?

  • 紫封筒
  • 虹封筒
  • ピンク封筒
  • 百鬼夜行のピンク髪メカクレモブを実装しろ
  • ベアトリーチェはよく見ればシコリティ高い
  • いいからお前は全国のタカハシさんに謝れ!
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