透き通るような世界観に混じる逸般不純物! ネイビーアーカイブ 私のミスですか?   作:ゴジマツリ=ユーリエフ

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82.女子会?

 

 

何かヨシミの「直感が凄い」という設定を誇張し過ぎたせいで、もう一人…………いや、何人目かのシナリオブレイカーになりつつある。

 

──────────────────────────

 

 

 

 

「ねぇ───」

 

「"すみませんでした。"」

 

アチアチの太陽の下、俺はカズサの言葉を遮り頭を下げている………勿論女装で!!

 

とは言ったものの、ウィッグの色や長さは変えてるし、眼帯も医療用の使い捨てのやつだし、制服は体のサイズにあったやつ………ボイスチェンジャーは使って無い状態だ。

 

「ねぇ。」

 

「"はい。"」

 

「はぁ…………頭を上げて。取り敢えず話をしよう、先生。」

 

「"拳で?"」

 

「言葉で!!」

 

「"──話をしよう。 あれは今から36万…… いや、1万4千年前だったか。 まあいい。 どちらも私にとってはつい昨日の出来事だが─────"」

 

「そういうのいいから。」

 

「"はい。"」

 

カズサの姐御にシメられる前に俺視点でのアレやコレやを話すことにした。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

「噂を噂で掻き消す………ヨシミの言ってた通り、昨日のゴリラ女は先生だったわけね。」

 

やはりヨシミは気が付いていたか………勘の良い奴め…………そしてしれっとディスるカズサさん。

 

「"全く………ヨシミには困らされたもんだぜ………お陰で作戦は多分失敗だ。"」

 

グレネードとか銃弾をパリィとかしたかった………マジであの盾どうすんねん。

 

「そういう事なら事前に言ってくれれば良かったのに………」

 

「"本気でやり合う事に意味があるからな、俺の変装と知ればお前等は俺に銃をブッパやら本気の攻撃ができんだろ。"」

 

「それは……そうだけど…………」

 

ただのキヴォトス人風情が「俺を殺すかも」など傲慢ここに極まれりだ。

 

「"ま、作戦の効果は昨日の今日で分からんから、場合によっては次の手を考えないといけんなぁ………"」

 

つってもマジで不定期レイドバトルしか思いつかねぇ…………。

 

「私から頼んでおいて申し訳ないんだけど、それはもういいかな。」

 

次回開催のレイドバトルの予定と場所を考えていると、カズサから思わぬ言葉が飛び出した…………いや、別に不思議じゃねぇな。

 

「"あ〜…まあ、俺の作戦は全部裏目に出まくったしな。"」

 

「そうだけど、そうじゃなくて……………」

 

カズサは頬を掻きながら恥ずかしそうに口を開く………そして相変わらずオブラートは存在しなかった。

 

「今回の事とか先生に言われた事とかを冷静になって思い返してみたんだけど………私って私の事しか考えてなかったんだなぁ……って思ってさ。」

 

おん?俺の座右の銘は「自分よければ全て良し」なんだが?やっぱ俺は反面教師の方が向いてるんじゃね?

 

「今がどうあったって、私が不良で誰かに暴力を振るっていた事実は変わらない。それなのに私は私に殴られた人の事なんて考えないで自分一人だけ忘れようとしてた。」

 

「"だから俺の目論見が失敗してお前に凸る奴が出て来ても仕方ないって?"」

 

「うん。」

 

クソ真面目か?放課後スイーツ団の結成とか諸々、元はと言えば俺がライブ感で動いたのが原因じゃね?

 

「それに私には、昔の私の事を知っても受け入れてくれる人達がいるし、それが分かっただけで十分……………いや、ちょっと受け入れ方に不満はあるけど………。」

 

「"そうか、ならこれ以上は何もしないでおこう。"」

 

理解はした。しかし、その考え方はブライがブライである故に納得は出来ず、彼は薄っすらと眉をひそめる。そんな言動と乖離した様子を不思議に思ったカズサは恐る恐る声をかけた。

 

「…………先生、どうかした?」

 

「"いや、別に。それよりこいつを渡し損ねていた事を思い出した。"」

 

ブライは何事も無かったかの様に「レイサがキャスパリーグに宛てた挑戦状」を差し出す。

 

「"こいつをお前の新しいお友達に返しといてくれ。"」

 

「あいつと友達になった覚えはないんだけど!!」

 

「"そこは変わんねぇのかよ、このツンデレキャットめ!"」

 

「違うし!」

 

顔を赤くして否定するカズサさん。そういうとこやぞ!

 

「"何はともあれ、お前の今後の方針が決まったとて、我が同志達にケガを負わせてしまったのには変わり無いからなぁ………謝罪はしないとだ。"」

 

「我が同志達?」

 

「"チョコミントを愛する放課後スイーツ部の皆様だよ。"」

 

「え?………ああ、アイリの事ね。」

 

やはりあのグループの中で「チョコミンター」と言われれば真っ先にアイリの名前が出て来るらしい………流石だぁ。

 

「"ああ、アイリとヨシミとナツの事だ…………あっ、お前もエブリデイチョコミント部の部員だし、俺の同志になるな。"」

 

「しれっと乗っ取らないでくれる?」

 

「"バレたか………。"」

 

チョコミント解放戦線トリニティ支部の設立は諦めよう。

 

「"まあ、そういう事なんで奴等の好きそうなスイーツでも教えてくれ。勿論報酬は出る。"」

 

スイーツ部を食い歩く為の部活動生への謝罪だし、スイーツで釣れば良い………となれば、そんなスイーツ狂いの好みを把握したスイーツ狂いを更にスイーツで釣れば良い………そう考えていた時期は私にもありました。

 

なんと、カズサさんの顔からは困惑の感情が読み取れるではありませんか。

 

「別に良いけど…………その状態で行くの?いや、分かってるんだけどさ…………その声とかそのままだし…………ていうか、恥ずかしくないの?」

 

「"アハハハハ!何だそんな事か。知らないのかカズサ?女装というのは男にしか出来ないんだ。つまり、女装こそが最も男らしい行為と言っても過言じゃねぇ、恥じらい事なんか何処にもないぜ。"」

 

全裸で暴れ回った奴が女装程度で今更恥じらいなどある訳がないだろう……。

 

「私は恥ずかしいんだけど………」

 

こいつ頭がおかしいのか?とでも言いたげな顔だ。気付くのか1日遅いぞ。

 

「じゃあオススメの店を教えるから店内に入ったらスイーツの写真送って。私は外で待ってるから。」

 

反抗期の娘なのかい?ママ♂とのお出かけはそんなに嫌かい?

 

「"まあいいか!よろしくな!遠慮すんなよ?謝罪の品は経費か雑費で処理できるからなぁ!"」

 

この後、カズサプロデュースのスイーツを買った。

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

昨日振りの放課後スイーツ部の部室。俺は何の躊躇いもノックもせずに扉を開いた。

 

「"うぃ〜す、お疲れ。"」 

 

「お疲れー……………って誰!?」 

 

背を向けながら適当に挨拶を返してくれた金髪が違和感に気が付き勢い良く振り返る。

機会があれば、頭に吊り下がった絶対に良い匂いのするフレイル達にぶっ叩かれたいものだ。 

 

「"おいおい、酷いぜヨシミ………俺とお前の仲だろ?"」 

 

う〜んデジャヴ。

ヨシミと他2人を見る限り目立つ様なアザや傷は無いようで一安心だ。

 

「な〜んだ先生か…………いや、何でまた女装してんの!?」

 

「えっ!?」

 

既知からの未知。

またしても女装で現れた俺に困惑するヨシミとアイリ。通話越しにパテル派がどうのと聞いただけで変装していた方が都合の良いと察するのは中々に難しいので仕方ない。

まあ、謝罪に来たのであって、余計な心配を掛けられに来た訳では無いので説明するつもりは無いが。

 

「先生が女装するのも無理は無い………なんせ女装は男にしか出来ない最も男らしい行為と言っても過言では無いからね。」

 

「"そういうこと。"」

 

「どういうことよ!?」

 

そんなやり取りをカズサはジト目で見ていた。

アホピンクと同じ思考レベルと思われてそうで心外だ。

 

「"まあ、なんつーか、ヨシミのお察しの通り昨日のアレは俺だ。再臨したキャスパリーグを格落ちるさせる為に本気のカズサを大衆の前でぶちのめそうと思ったんだが、この結果だ。今日はその謝罪に───────"」

 

「ふっふっふ…………やはりそういうことでしたか………ゲボゲボッ!」

 

どうやら先客がいたようだ。ソファーの下から誰かが咳込む音が聞こえた。シンプルにバカでは?

 

「え?……ちょっと、え?」

 

聞き覚えのある声に困惑するカズサ。俺とカズサの目線の先では細々としたホコリを服にくっつけながらソファーの下から這い出てくるレイサ…………ユウカなら発狂もんだ。

 

「ヨシミさんやナツさんから聞いた通り、あなたは再起の機会を伺っていた…………それもより盤石な物にする為に先生………いえ、嵐刃の狂戦鬼を手下に引き入れて!」

 

「"あっ、良いなその二つ名。"」

 

「ですよね!」

 

「"おう、すげぇ良い感じだ。ま〜じで最初からそういうの頼んますよ〜。"」

 

「他にも征嵐の(フィスト)とかも良いと思いませんか?」

 

「"何か急にコ◯ン映画のタイトルみたいになったな。"」

 

「待って!何であんたがここに居んの!?………ていうか女装に対する反応薄くない?いや、それよりも……ヨシミ!ナツ!あんた達何言ったの!?何でも良いから取り消して!ちゃんとあいつに説明して!

 

ツッコミが大渋滞中のカズサは取り敢えずヨシミとナツを追いかける。そんな広くない部屋で何やっとんねん。

 

「"予告無しの全裸を見た経験をした後に予告を受けた女装如きで驚く訳無いだろ。"」

 

「「「「え?」」」」

 

追いかけっこ中の3人の足が止まった。

 

「そ、それはいったいどういう…………」

 

「"どういうも何もショタか解除の過程で服がビリビリに破けただけの事だ。目撃者はレイサと不良だけだし、「不良がなんか言ってらぁ」程度の噂にしかならんだろう。"」

 

「そういう問題じゃないでしょ!」

 

「宇沢、あんた私よりあっちの方を追いなさいよ。」

 

ド正論。

 

「"そりゃ早計ですぜ姐御。あん時の俺は股間付近を魔術で光らせていた…………生殖器を露出していたと断定できる者は俺以外にいない………つまりはシュレディンガーのチ◯コという訳だ。"」

 

「先生のチ………生殖器が布に包まれていた可能性とそうでない可能性はFIFTY FIFTY………断定出来ない以上は推定無罪が適応される………。」

 

「いや、先生さっき自分の口で全裸って────」

 

「"あ、そうそう!謝罪の品としてお前等にスイーツを買って来たんだよ!うん!レイサは俺の分を食べてくれ。"」

 

ヨシミめ、マジで余計な事ばかり気付きやがって………。

 

だがまあ、どうにか誤魔化せた様だ………そういうのは早く言えだの、何を買って来ただの、チョコミントはあるかだの………チョロい奴等だ。

 

そんな事を考えながらブライはそれぞれに宛てたスイーツを配っていく。

 

「い、いえ、私はいいです………先生の分を取るのは悪いですし………。」

 

「"遠慮するな、これは詫びの気持ちだ。"」

 

「で、ですが…………」

 

「"レイサ、お前には特に悪い事をしてしまった。後日正式な謝罪をするつもりだが、取り敢えず今はこのチョコミントケーキを受けとって欲しい。"」

 

マイフェイバリットなチョコミントケーキ………後で買って帰ろう………。

 

「き、気持ちはありがたいのですが………その……実は私、チョコミントが──────」

 

「"まさかチョコミントが嫌いなんて言わないよな?"」

「まさかチョコミントが嫌いだなんて言いませんよね?」

 

「…………お、お医者さんからドクターストップを掛けられてまして…………。」

 

「ドクターストップなら仕方ないですね。」

 

「"ああ、ドクターストップなら仕方ない、またの機会にしよう。"」

 

「なんなのチョコミントのドクターストップって……」

 

まさかレイサがドクターストップを出されるまでに敬虔なるチョコミンターだったとは……このリハクの目を持ってしても読めなかった。

 

「"しかし、どうした物か………レイサ、何かリクエストはあるか?ちょっとひとっ走り行ってくる。"」

 

「ほ、本当に私はそんな………」

 

「はぁ………宇沢、あんたに私の半分分けてあげるからそれでも食べな。」

 

「い、良いいんですか!?杏山カズサ!」

 

てぇてぇ………!てぇてぇですぞぉ!!

 

「"じゃ、女子会すっか!今回の事とか、何か面白い事話そうぜ!"」

 

 

 

 

 

 

この後、5人とは様々な事を話し、カズサとレイサが互いに銃を突きつけ合う様な事は無く女子会は終わった。

 

2人の関係が改善されたのか今すぐには分からない。それでもこの話し合いの場を設けるという事だけが今回俺がすべき事であり、最善で最短の方法だったという確信はある。

 

最初から答えの分かっていた事のはずなのに、珍しく俺は何処ぞのアホ犬の様に必要以上に気を回し過ぎてしまったようだ。

 

 

人生とかいう大抵の奴にとってのクソ長い道に迷いがちな多感なお年頃…………こいつらはもう知識も理性も無い赤子などでは無く一人の普通の人間。どれだけ道に迷へど自らの足で歩いて行く事が出来る。

そんな奴相手に俺は俺が正しいと思った一つの道を全力ライトアップしてしまった………謂わば害悪指示厨の様なものだ……。

 

 

 

 

反省はほどほどに………取り敢えず帰って竜フ◯クやろ………。

 

 

 

 

──────────────────────────

オマケ「料理チャレンジ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、今日は何が食べたいですか?」

 

 

 

待ってました!まってましたよフウカさん!!

 

 

 

「"良いんですかいフウカさん!?当番の仕事もしてもらってるってのに悪いねぇ…………んじゃそうだな……今日はお好み焼きが食べたいです!!"」

 

 

 

「お好み焼きですか…………それなら先生も一緒に作れそうですね。」

 

 

 

「"why?"」

 

 

 

フウカさんは面白い冗談を言いなさる……。

 

 

 

「先生、ここを見て下さい。」

 

 

 

若干ムッとした顔で左手を腰に当てたフウカのフリーな右手が指さして方向にあったのは割とデカめのプラゴミ用のビニール袋だった。

 

 

 

「"プラゴミの袋だな。"」

 

 

 

別にゴミ出しを逃した訳でもなんでも無い………それなのに何か問題があるのだろうか?

 

 

 

「そうです。それではこの中の物を覚えていますか?」

 

 

 

「"菓子とパスタの袋とカレールーのやつ………後冷凍食品。"」

 

 

 

「言いたい事は分かりますね?」

 

 

 

おこなの?ワテクシの自炊してるワテクシにおこなの?

 

「"冷凍食品はまだしも、パスタとカレーだって立派な料理だ!ループしたって────"」

 

 

 

「…………言いたい事、分かりますよね?」

 

 

 

「"…………はい。"」

 

おこでした。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、栄養バランスや食事のアレコレを懇切丁寧に教えてくれるフウカさんの言葉を聞き流しながら、スーパーで2人分のお好み焼きの材料を揃えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではまずはキャベツを切って行きましょう!」

 

 

 

 

「"おっけー、微塵切りな。"」

 

 

 

フウカも食べるんだし一応エプロンは付けておくか。

 

 

 

「はい、今回は2人前ですのでキャベツは半玉だけ使って、残りの半玉は後で夕食用のロールキャベツを作るのに使わせてもらいますね。」

 

 

 

ありがとう!お好み焼きをチョイスした俺!!!

 

 

 

「"foo!!!ワタシ、フウカノロールキャベツダイスキデース!ヤルキデマシタ!!"」

 

「何で偶に片言になるんですか?」

 

「"気分だ。"」

 

 

 

まずは半玉………フウカの指示を実行すべく大小2枚の鉄板を台所に生成し、小さい方を右手に持った

 

 

 

「えっと……それはいったい………。」

 

 

 

困惑ッ!圧倒的困惑ッ!……やはり俺の調理風景を初めてみる奴はこういうリアクションになるようだ………

 

 

 

「"見ての通りまな板と包丁だ。こうすれば洗い物も減るだろう?"」

 

 

 

ザグリと食物繊維の破壊される音だけが周囲に響く。改めて見れば確かに妙にな光景かもしれない

 

 

「"「何言ってんだこいつ……」とでも言いたげだな、ユウカもそんなリアクションだったわ。"」

 

 

 

すぐ使うみたいだし、残りのキャベツは野菜室にでも入れておくとしよう。

 

 

 

「…………誰なんですか…その人。」

 

 

 

「"ミレニアムの生徒会、セミナーの会計をやってる人だ。"」

 

 

 

うわ〜野菜室ガラガラ〜、人参とジャガイモと玉ねぎしかない!いつもだけど。

 

 

 

「その人は先生の料理を食べたんですか?」

 

 

 

「"いや、そん時の昼食はペペロンチーノを作ってたんだが、ニンニクを使う料理は臭いがどうたらって言って外食に行きやがったぞ。"」

 

 

 

なんと失礼な奴だ。

 

 

 

「そうだったんですね………私はいつか食べてみたいです、先生のカレー。」

 

 

 

ペペロンチーノの話をしてたんだが?…………まあ良いか。

 

 

 

「"市販のルーに野菜と肉をぶち込んだだけのやつでも良いならな……………よし、危ないから少しキャベツから離れるぞ。"」

 

 

 

「はい?」

 

 

 

「"まあまあ、見てなさい。"」

 

 

 

先程の様に何かを出した訳でもなく「危ないから」と、ただ手招きをするブライにフウカは困惑しながらついて行く。

 

 

 

ブライの横に並び、振り返って間もなく、激しい風が吹いたと思えば、件のキャベツがあった場所には鉄の箱が現れていた。

 

 

 

「"久々に使った気がするなぁ……。"」

 

 

 

見えない斬撃、風の刃…………キヴォトスに来て使う機会が無かったからなぁ…………と、心の中で保険かけつつ鉄の箱を消してみる。

 

 

 

「"流石俺、見事な微塵切りだ。"」

 

 

 

「先生…………もしよろしければ今度下ごしらえを手伝って頂けませんか?」

 

 

 

「"細切りとか飾り切りは出来んぞ?"」

 

 

 

「それでも構いません!」

 

 

 

うわ〜超必死…………歩くフードプロセッサーが現れただけでこれだ………ゲヘナの厨房は鬼の様に過酷である事は想像に難くない。

 

 

 

「ピークの時間帯が終われば賄いも出ます。」

 

「"行きます。"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひっくり返す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

混ぜたりなんたり…………そこまでは順調だった……火加減以外は………強火でええやん……

 

 

 

「次にひっくり返すコツですが────」

 

 

 

「"先生、ヘラは木製でもよろしいでしょうか!"」

 

 

 

「折角ですし、今回はターナーを使わない方法を試してみましょう。」

 

 

 

「"へぇーアレってターナーって言うだ…………いや、待って下さい先生!俺にターナー無しでひっくり返す技量などありません!"」

 

 

 

有って怪しいというのに!!

 

 

 

「何事もチャレンジですよ先生!」

 

 

 

そう言って収納棚から笑顔でもう一つのフライパンを持ってくるフウカさん…………可愛い!

 

 

 

「ひっくり返す時はですね……まずこうやって食材を傾けくっついてない事を確認して………その後はフライパンをこう傾けて勢いをつけ、そのまま素早く手首を上に返すように動かして下さい。そうするとフライパンを振った位置よりも少し後ろに飛んでくるはずので受け止めて下さい。」

 

 

 

「"なるほどな。"」

 

 

 

空のフライパンで実演するフウカを見て分かったのは、勢いと手首のスナップの重要性と何か一生懸命なフウカが可愛いという事だ。

 

 

 

「それじゃあ、やってみて下さい。」

 

 

 

「"おうよ!"」

 

 

 

取り敢えず見様見真似でやってみたのだが………

 

 

 

 

 

 

 

ペチャ

 

 

 

 

 

 

 

という音を立て少し生地が折れ曲がっただけだった………やはりフウカの様にはいかない……菜箸でリセットしよう。

 

 

 

「迷えば破れる………先生、こういうのは勢いです。恐れを捨ててもう一度やってみましょう!」

 

 

 

何ちょっと上手いこと言ってんだ………だがまあ、料理のプロが言うのなら間違いじゃないんだろう。

 

 

 

「"おっけーマイフレンド、もっかいやってみるぜ!"」

 

 

 

迷えば破れる………フウカの教えを心に刻み深呼吸する。

 

 

 

Tame-Lie-One-Stepをした今の俺に敵は無い。

再びフライパンを持った俺は我が糧となる供物を宙に放り投げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベチャッ!

 

 

 

 

 

 

 

「「"……………………"」」

 

 

 

 

 

 

 

お好み焼きとなるはずだった物は自らの身を引き裂くほどの低所恐怖症だったようだ…………。

 

そんな事を知らなかった俺達はただその惨状を見る事しか出来なかった。

 

 

 

「勢いが大事と言いましたが、それと同じくらい加減も重要です。」

 

 

 

「"はい、すみませんでした。"」

 

 

 

お好み焼きの貼り付いた天井から視線を落とさず「俺の分の昼飯はどうなるんだろう」と考えながらフウカに謝罪をしていた時、事件は起きた。

 

 

 

そう、あのお好み焼きの野郎の低所恐怖症は詐病であり、死して尚も捕食者である俺達への下剋上の機会を虎視眈々と狙うハングリー精神溢れるクソ野郎だったのだ。

 

 

 

「"危ないっ!"」

 

 

 

だがしかし、相手が悪かった。俺は注意力3万を誇る猛者だ、その程度の攻撃を見逃すほどマヌケでは無い。

 

クソ野郎が落ちるよりも早く俺はフウカを押し倒し、フウカが頭を打たない様に地面に打ち付ける寸前に右手を滑り込ませ引き寄せた。

 

 

 

「"あっつ!"」「イタッ!」

 

 

 

最後に一矢報いたクソ野郎により、俺の仙骨辺りはアチアチである。

 

 

 

「"これがお灸というやつか…………大丈夫かフウカ?ケガとかしてない?"」

 

 

 

心頭滅却すればまた火も涼し………熱さを忘れつつある俺の頭は色々な事を認識し始めた。

 

 

 

まず1つ、フウカの頭も良い匂いがするということ。普段から整った食生活を送っているのだろう、無臭(実際は無臭じゃない)消臭剤の様な、いつ香って来ても不快にならないようなそんな匂いだ。

 

つまりは給食部の活動中に食用油の染み付いた臭いという味変も可能を残しているということ………頼んだら三角巾だけでもくれないだろうか………。

 

 

 

そしてもう一つ、フウカの角の先は丸い。人を傷付けぬようにと本人が整えているのだろう……優しい。

 

ならば不特定多数の女に手◯ンをする為に爪の手入れを怠らないヤリ◯ン野郎は優しいのかって?

 

ケツに角をツッコまれたい願望でもあるのか?

 

 

 

「わ、私は大丈夫です……大丈夫ですけど……その…と、とても恥ずかしいので少し離れて頂ければ………。」

 

 

 

言われてみれば手を滑り込ませた&密かにフウカの髪をクンカクンカしているせいで端から見れば床ドンと大差ない状態だ。

 

 

 

「"申し訳ねぇ、すぐにどく。"」

 

 

 

クソ野郎を収納魔法で収納し立ち上がる。恥ずかしいらしいので手を差し伸べるのは止めておいた。

 

ちょっとした気遣いというのもあるが、俺にはまずやるべき事がある。

 

 

 

「"…………やはり俺にお好み焼きは早かったようだ………ちょっと惣菜買ってくる。"」

 

 

 

俺の分は俺がやらかしてしまった。残った分は一人前、流石の俺も「それをくれ」なんぞ口が裂けても言えぬのだ。

 

 

 

「大丈夫ですよ先生、こういう事もあろうかと焼きそば麺も買っておきましたから。」

 

 

 

「"…………それはどういう……?"」

 

 

 

「広島風お好み焼きならこの量でも2人分作れます。」

 

 

 

「"フウカ………………。"」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時フウカと食べた広島風お好み焼きの味を俺は3カ月くらい忘れないだろう。

 

 

 

料理もリカバリーもウマい良妻賢母確定なフウカには幸せになって欲しい…………なので、近い将来に現れるであろうフウカの旦那候補が碌でもない奴ならば尿道に氷柱、ケツに触手の玩具を入れて人としての尊厳を破壊すると心に誓った。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

ブライ君はカズサの猫耳は好きですが、本人がなるべく考え無いようにしてるだけで、カズサ自身には多少の苦手意識の様な物があったりします。

 

カズサを挑発してノーメイクカズサを放課後スイーツ部の部員達に見せる所も、改めて揺るがぬ結束の証明をしよう………みたいな事は考えてません。

 

ていうか、滅茶苦茶適当書いたんですが、実際、広島風お好み焼きって美味しいんですかね?

 

マズいと思う要素は一切無いんですが、ググった限り焼きそばに薄っすいお好み焼き乗せてる様にしか見えなくてどうも………なんて言うか………そんな有名になるほどか?と思ってしまいまして。

 

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