開口一番でなんだけどさ。
もう、諦めてもいいですかね…?
いや、マジで無理。
だってさ、腕よりも首のほうが長いから、岩殴るのにほとんど張り付くような感じで、しかも上向いてなきゃいけないんだぜ?
全然力入らないし、ちょっと気を抜くと爪が当たってじいさんに怒鳴られるし…
冗談抜きで終わる気がしないんだけど…
石割りの試練が始まってから3時間。
ほとんど休みなしで殴り続けてるけど、岩には全く変化は無い。
こんなのどうすりゃいいのさ…
あー、マジで逃げ出そうか。
でもヒゲ消したいんだよな。
こんなの書かれたままってどう考えてもおかしいよな、Mobとしては。
自分ではわりと似合ってるかもとか思ったけど、シリカがそう思うとも限らないし。
可能な限り、原作のピナさんに近いままの方が成功率は高いだろう。
シリカのテイムモンスターになれるか、なれないかが命に関わってくる俺としては、やっぱり逃げ出すわけには行かないよな。
はぁ、地道に殴り続けるしかないのか…
2層が攻略されるまでに終わったらいいな…
あ、そういえば寝床探すのまだ途中だった。
やべぇ、今日寝る場所ねぇぞ…
いや、それ以前にこれって中断とかできるんだよな?
普通はこんな時間かかるクエストじゃないから、そういうことはできませんとかないよな?
じいさんに聞いたら教えてくれるかな?
「きゅぅきゅるる、きゅきゅきゅるきゅぅ、きゅるくきゅるるきゅるきゅるる?
(なぁじいさん、今夜の寝床探したいんだけど、この試練って中断できる?)」
「ここを離れたらその時点で失格だぞ。寝床なら小屋を使わせてやろう」
「きゅるきゅるきゅ?(失格になったらどうなるんだ?)」
「もう一度最初から試練を受けてもらう。無論その証は消してはやらぬぞ」
あっぶね、聞いといて良かった。
もし探しに行ってたら、この3時間が無駄になってたってことだもんな。
とりあえず現状の問題も解決したことだし、あとはひたすら殴りますかね!
よっしゃあ、やってやらぁ!!
っと、その前に休憩も兼ねて昼飯にしよう。
街を出る前に買っておいたからな。
抜かりはない!
あー、づがれだあああああ
本当に割れんのかよあの岩。
今日だけで7時間くらい殴ったってのに、全く変化ねぇじゃねぇかよ…
ヒビくらい入ってくれてもいいと思うんですけどねぇ?
このままだとマジで2層が攻略されるまでに間に合わないんじゃないか?
それはまずい。
あんまりプレイヤーたちとのアドバンテージがなくなると、襲われた時に殺されちまうかも知れないし、助けて恩を売るのだって難しくなる。
攻略組とかの目立つ奴らを助けないと意味ないからな。
なんかいい方法がないもんかな?
気づかれないようにソードスキルを使う、とか?
いや、ミスって爪が当たっただけでも気づいたじいさんが、ソードスキルなんて使ったら見逃すわけがない。
下手したら、ズルした罰で最初からとかありそうだしな。
それだけは無理だ。
これ以上割るまでの時間が延びるとかあってはならない。
てか、そうなったら諦めて逃げるな、間違いなく。
んー、いい案が思い浮かばねぇや。
思い浮かばないならしょうがない、寝るか。
明日また殴りながら考えればいいや。
そういうわけで、おやすみ~
………知らない天井だ。
ごめん、言いたかっただけ。
おはよう。いい夢見たか?
俺?俺は見たぜ、めちゃくちゃいい夢。
そのおかげで、この岩割りも攻略できそうだ。
考えてみればそうだよな、なんで昨日はこんな簡単なことが思い浮かばなかったんだろうか。
ん?わからないか?
そうかそうか!しょうがないな、このピナさんが教えてやろうではないか!
おい誰だ、チキンのくせにって言った奴!
いいじゃん!たまには調子乗ったってさぁ!俺だっていろいろ頑張ってんだ!
まぁいい。
それで、気がついたことってのは、じいさんが禁止してるのは拳以外を使って岩を攻撃することであって、飛んじゃいけないなんて行ってないんだよ。
つまり、飛んで勢いつけながら殴りまくれば、今のままよりもはるかに早く割ることができるはず!
そうと決まれば早速始めるぜ!
おおおお!
やばい、すげー割れる!!
始めたのが8時くらいで今12時だから、大体4時間くらい殴り続けてるんだけど、昨日7時間殴って全く変化のなかった岩に何本も亀裂が入ってるんだ。
これは、今日中に割れるんじゃないか?
これなら割り終わる前に2層が攻略される心配なんてしなくていいな!
飛ぶのはありってことに気づいて良かったぁ!
とりあえずここで一旦休憩にしよう。
ちょうど昼時だし。
このペースならうまくいけば、今日中にこのクエストも終わるかもしれないな。
午後はもっとペース上げていこうか!
そうだ、どうせここにはMobは入ってこないんだし、ミニマップも消しとこう。
集中してやりたいからな、ミニマップがあると気が散る。
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「なぁ、アルゴ。《体術》スキルを習得するためのエクストラクエストってどんなことやるんだ?」
「ついてからのお楽しみダヨ。何、難しいことはやらないから大丈夫サ」
「別に教えてくれてもいいだろ?これから挑戦するんだし」
「ダメダメ。それじゃ面白くないじゃないカ。助けてもらったお礼とはいえタダで教えてやるんダカラ、あと少しくらい我慢しなヨ、キー坊」
「はぁ、わかったよ。もうすぐ着くんだな?」
「あァ、ほら小屋が見えてきたダロ?あそこにいるNPCがクエストを出してるンダ」
「へぇ、こんなところに小屋なんてあったのか。ベータの時は攻略優先だったから知らなくてもしょうがないけどな」
「オイラはベータの時に見つけて、クエストもやってるからナ。まぁそのせいであの二人に追い回されたんだけどナ…」
「ははは、さっきのは災難だったな。あれ?」
「ン?どうシタ、キー坊?」
「いや、もう誰かクエストしてるみたいだぞ?ほら、俺の《索敵》にプレイヤーの反応が引っかかってる」
「本当ダナ。まだ2層がアクティベートされてからそんなに経ってないノニ、オイラたちより早くここに来てる奴がいるなんてナ。
もしかしたラ、オイラ以外にもベータでここを見つけていたヤツがいるのかもナ」
「このタイミングでいるとなると、攻略組の連中じゃないよな?俺以外は一旦街に帰ったはずだし」
「行ってみればわかるサ。ほら、もうそこダヨ。あそこのおじいさんのNPCがそうダヨ」
「きゅるううううううぅぅぅぅ!!!!」
「え!?今のって、鳴き声、だよな?」
「オイラにもそう聞こえたナ…」
「でもこの反応ってプレイヤーの、で間違ってないよな?」
「オイラにもそう見えるナ…」
「………どういうことだ?バグ、か?」
「わからないケド、ともかく近くまで行ってみ『ドガーン!!』っ!?」
「なんだ!?」
「今のは、まさか…」
「アルゴ?なにか知ってるのか!?」
「…あとで話ス。今は急いでいこウ」
「あ、おい!ちょっと待ってくれ!」
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昼休憩からもうすぐ2時間。
もうだいぶ岩にヒビが入ってるし、もうすぐ割れそうだ。
よっしゃ!一気に行くぜ!ラストスパートォ!!
「きゅるううううううぅぅぅぅ!!!!(うおおおおおおおおおおおお!!!!)」
バシッ!ガンッ!ドガッ!ズドン!!
ドガーン!!
………
よっしゃあああああああ!!!
割ってやったぞ、このやろう!!
なんだよ、案外楽勝じゃねぇか♪
これならあと3つくらいいけるぜ!
ごめんなさい、嘘です。もう岩殴りは十分です、はい。
いやー、終わったよ。
空飛び始めてからは早かったな。
まぁ昨日のピコピコパンチと、今日の空飛んでからの落下速度も合わせたパンチとじゃ、威力は比べものにならないよな!
本当に気づいて良かったわ。ありがとう、俺の夢!
さてと、これでクエストクリアしたし、報酬もらってこのヒゲ落としてもらおう。
じいさんはどこ行ったかな~?
お、いたいた!
「きゅるー、きゅ!?んきゅあ!?(じいさーん、これ消しt!?ちょえあ!?)」
…みんな、落ち着いて聞いてくれ。
今起こったことを話すぜ。
じいさんにヒゲを消してもらおうと思ったら、キリトとフードかぶったネズミ女がいた。
あれ?詰んだんじゃね?俺…
気のせいか…
特に変わらず、こんな感じでやっていくのであしからず。。。
ついに接触したみたいだね。
どうすんのかね、ピナさん
これどうしようもない気がするよ
がんばれ、応援してるぞ。
ではでは