「勝ちですよっ」
「ぬわぁ…負けたッ!」
盛り上がるカジノ。ブラックジャックをする奏、マリン、ポルカ、フブキは、お金をかけて勝負する
今のところフブキが優勢なようだ
くっそぉ!と悔しがる奏だったが、その胸元に着いている通信機から奏を呼び出す声が聞こえてきた
『…奏?』
「は、はい!なんですか?!」
『お前今どこにいる?場所教えろ場所』
「カj…お仕事中です!―…」
目の前に配られるカードを見ながら奏は連絡を取り合う
恐らく相手の人は奏の上司。ホロスサントスの警察南分署の最高責任者、大空スバル所長だろう
冷や汗ダラダラと書きながら奏は必死に言葉を取り繕っていた
…一瞬カジノって言いかけてたよね?
「はい…はい…了解しましたぁ…向かいまーす―――なんでカジノいることバレてんだよッ!」( _ °꒫° )_バンッ
スバルにキレながら、奏はごめんと一言言いながら退出した
それを見てニヤニヤとするフブキ…もしやと思いツイックスを確認したところ、白上フブキのアカウントで一件の写真が投稿されていた。そこに映っているのは、奏でとマリンとポルカの後ろ姿――つい先ほどの光景だった
やはり先ほど聞こえたシャッター音は気のせいではなかったのだ
その後のことだが、マリンも仕事の準備ということで退出したため、ここらでお開き!ということになった
…まぁフブキの一人勝ちであったのだが
カジノ外のベンチにて二人はふぃーと飲み物を口にしながら息を吐いた
ポルカは胸元から手帳を取り出して、奏での証言をもとに記事の構成を考えて空を見上げる。フブキはそんなポルカのことをちらっと見て、仕事は順調ですか?と微笑みながら聞いた
「ん―、まぁぼちぼちですね~ここんところギャングも大人しいですし、ネタというネタがねぇ」
「無いのなら作ってみてはいかがです?貴方の実力ならそれも可能でしょうに」
「よしてくださいよ。私は私の信念に基づいて記者をしてるのでね」
そう言って飲み物を飲み干す
…記事の捏造はしない。それはポルカが100を数えても変えようとはしない理だ
そのことを聞くとフブキはそうですか。なんだか嬉しそうな声で呟いた
ポルカはではこの辺で失礼します。とベンチからヒョイっと降りて自分のバイクのヘルメットを被る
その時思いついたかのようにポルカはフブキに対して最近の事件について注意喚起しておこうとフブキの方へと向く
「あ、そうだ。最近神隠しにあったかのように行方をくらます事件のタレコミが多いので、フブキ院長も気をつけてくださいね」
「……えぇわかっていますとも」
わかっているのならいいのだが…院長となれば貴族の遊びができるほどお金があるだろう。いつ拐われてもおかしくない
ポルカは次はどこへ行こうかとスマホで行き先を検索しながらバイクを走らせた
走り去るポルカに対して何かを考えているかのように見つめるフブキ。その口はふてきに笑うように口角が上がっていた
「……ポルカさん。深掘りは身を滅ぼしますよ。院長としての助言です」
そう言い残し踵を返してポルカとは逆の方向に歩み始めた
お昼時――ポルカはこのホロスサントスの都市である場所に1人バイクで走らせていた
ちょうどお昼時だから何か食べたい気分。コンビニでもいいのだが、今日は天気がいい。こんな日は出来たてのご飯を口にしたいものだ
そういえばこっちの方にパン屋があったな。とポルカは思い出してその場所に向かって走らせることにした
キュッとバイクを止める。その横には、『ころねのパン屋』という名のパン屋さんがある
そこは家族経営のパン屋であり、普通のパンからこの店だけの特徴的なパンなどがある
店にポルカが入ると、カウンターにいる黒髪の女性がいらっしゃいませーと声を上げた
―何を食べようかな。様々な種類のパンがあると悩んでしまう
「おらよぉ~顔パンパンパン焼き上がりました~!」
そう言って出てくるのは大きなカゴを持ってわっせわっせと運んでくる店主の「戌神ころね」だ
顔パンパンパン…この間は無かったパンだ。少し気になるから今日のご飯はそれにしよう。そう思いポルカはトングとトレーにその顔パンパンパンを乗せ、レジへと向かった
顔パンパンパン…どこかで見たことがあるような…
「お会計5万円になります」
「は、はい」(かなり高いな…)
ポルカは財布からお金を出して支払うと、カウンターの女性はものすごく眩しい笑顔でありがとうとの感謝を述べた
眩しい。眩しすぎるッ!とポルカは心の中で叫びながら退店し、近くの公園で顔パンパンパンを口にする
―うむ。かなり美味しい。塩パターのいい香りと焼きたての温かさがマッチしている
これは記事に出来そうかも
「これ餡子だったらやばかったのかな……」
何故か分からないがそんな気持ちが溢れてくる
そんな時、ポルカの耳に誰かの名前を叫ぶ声が聞こえた
なんだか困っているような声…ポルカは顔パンパンパンをパクッと口に頬張ってその声の主を探す
公園を去り、都市部をどこかどこかと探すと、その声の主を見つけた。ポルカぐらいの身長の女性…ポルカはどうしたんですかと一言聞いた
「一緒にいた友達がいなくなっちゃって…ほんの一瞬の出来事だったんです」
「消えた…ってことですか?」
ポルカがそう聞くとそうですと女性が答えた
女性は友人(女性)とここら辺に遊びに来ていたのだが、ふと気がつくと消えてしまっていたのだという
それはまるで…まるで例の事件のような…
ポルカはどこで消えたのを確認したのかを聞くと、この道を歩いていた時に―ということだった
この道…何の変哲もないビルやお店が並ぶだけの歩道だ。人通りもそんなに多くない。だから人混みに流されて消えたということでは無さそうだ
とりあえず警察に通報する
かなり早く警察官のカリオペとビジューがやってきて事情聴取を始め、ポルカも一応発見人のため参加した
歩いていると突然消えた――それ以外の話がない
まぁ現場再現ということで、その女性が歩いた道を再び歩いていくと…女性がいきなりあ!と声を上げた
突如走り出し、すぐにしゃがんで地面から何かを拾う女性
それはピンブローチであった
「これ…私が彼女に渡した物です…オーダーメイドだから間違うはずがない…なんでここに――」
女性がすぐに右を向くと、そこはビルとビルの合間の薄暗い裏路地が闇を覗かせていたのだった
ころねのパン屋って名前ありましたっけ?
追記:ころねのパン屋でした!