ブロリーがガンプラを作るようです   作:明石明

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どうもこんにちは、作者です。

クロノトリガーが完結してマブラヴの続きに着手する前の息抜きに続きを書きました。
暇つぶし程度に何なりとご覧ください。


第2話「パラガスのガンプラ指南 その1」

「さぁ作ロットォ――――――ッ!」

 

 

 帰宅するなり早速ガンプラの箱を開封するブロリー。

 店で確認したマスターグレードほどではないが迫力あるパーツがいくつもあり、一番底に収まっていた説明書には綺麗な塗装までされた完成図が映し出されていた。

 

 

「……ん?」

 

 

 しかしそこでブロリーは気付いた。

 そう、見本の写真は塗装されているのだ。目の前のランナー(※1)に繋がれたままの実物と違い販売用に作られたため当然なのだが、それを知らないブロリーは首を傾げるだけだった。

 

 

「親父ぃ。写真と本物がだいぶ違います」

 

「当然だ。ハイグレードは作りやすさを重視しているのだからな。色が足りない部分は自分で塗る必要がある」

 

「なるほど。俺にも出来るといいなぁ……」

 

「ブロリー。初心者のお前はまず組み立てるところから始めるんだ。塗装のテクニックは後でじっくり調教……ではなく、教えてやる。さ、私の道具を使っていいぞぉ!」

 

 

 自分の部屋から持ってきたニッパーやデザインナイフ、墨入れ用のペンを広げるパラガス。

 

 

「まずは必要なパーツが全て揃っているか説明書を参考に調べるのだ。まずありえないだろうが、パーツが足りていないとなれば店へ知らせる必要がある」

 

「メーカーを血祭るためですね、わかります」

 

(いや、そのりくつはおかしい……)

 

 

 まったく違う解釈をしたブロリーは説明書の通りにランナーやシールが揃っていることを確認する。

 いよいよ作るのだと思うと彼の気は自然と高まってきた。

 

 

「ではブロリー。まずは説明書の通りに組み立てるのだ。大体のガンプラは胴体から入り頭部、両腕、両足、腰、バックパックや付属装備へと繋がっていく。自分が作りたい場所からかかってもいいが、今回は説明書どおりに組むぞ」

 

「はい」

 

 

 ニッパーをガシッとつかみ、説明書に記されたパーツをパラガス監修の元、ランナーから切り離す。ただし、あとで綺麗に処理するため密着してきるのではなく若干ゲート跡(※2)を残してである。

 

 

「へぁっ!? なんて切れ味だ……!」

 

「腐☆腐。最高級アルティメットニッパーのパワーはいかがかな? 次は切り取ったパーツに残ったゲート跡を処理するためこいつを使うのだ」

 

 

 ブロリーに真新しい刃が付けられたデザインナイフを手渡し、パラガスは予備のナイフで自分の作りかけのガンプラを使って実演をして見せる。

 

 

「このようにゲート跡を処理するが、こいつの切れ味は非常に強い。慎重にゲート跡を削らねば、ガンプラはもちろん、自分の手までも破壊し尽くしてしまう。力加減に気をつけてな」

 

「はい、頑張ります」

 

 

 アドバイスを受けてさっそくナイフを構え、ゲート跡を睨む。そして――

 

カッ!

 

 

「でやぁ!!」

 

 

 目を見開いて掛け声とともに一気に刃を走らせる!

 ゲート跡はナイフの切れ味とブロリーのパワーによって切り飛ばされ、パーツは見事に綺麗なラインを手に入れた。

 

 

スパッ

 

 

「「……あっ」」

 

 

 だが、勢いよく走らされたナイフの刃は止まることなく、そのままパラガスの手にあったパーツ(RGウイングガンダムゼロEWのアンテナ)までも真っ二つにした。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 気まずい沈黙が流れ、ブロリーは冷や汗をかきながら場を和ませようと口を開く。

 

 

「……テヘ、やっちゃったZE☆」

 

「…………」

 

 

バゥン!!

 

 

 怒りと悲しみが臨界突破し、パラガスは超サイヤ人へと変貌した!

 

 

「ま、待て! 話せばわかる! 交渉を!!」

 

 

 

~パラガス号泣中 もうしばらくお待ち下さい!~

 

 

 

「改めて教えるぞ、ブロリー。パーツを切るときは、力を込め過ぎず慎重にだ」

 

「は、はい……」

 

 

 パラガスのガン泣きによって揺れに揺れた部屋は、まるで地震でも起こったかのような惨状となっていた。

 ひとまず部屋の状態をまるでビデオを巻き戻したかのように元通りに戻し、綺麗になったところで再び作業を再開。

 

 

「次はこのペンを使ってモールド(※3)に色を付ける作業だ。はみ出た場所はティッシュや綿棒、汚れてもいいタオルなどで拭き上げるのだ。もし乾いてしまっても塗装用のうすめ液を使えばすぐ落ちる」

 

「なぁるほど。 ――こうですかぁ?」

 

 

 細い溝にペンを這わせて線を引く。色が付けられたことでメリハリが出てのっぺりとした部分が本物のようにリアリティを増した。

 

 

「フフフ! カッコよくなりました!」

 

「いいぞぉ! このまま説明書通りにDON☆DON組み上げて――ピーンポーン☆――うん?」

 

 

 テンションが上がってきたパラガスの水を差すように鳴り響くインターホン。

 誰が来たのか確認すべくパラガスは来客カメラをタッチする。

 

 

『よっ、パラガス。オラ腹減っちまったぁ……食いもんくれ!』

 

 

 何故かいきなり食事を求めてきた来客者は、ブロリーと因縁深いカカロットこと孫悟空だった。




(※1:パーツがついている物のこと。A、Bといった具合に目印が振り分けられている)

(※2:ランナーとパーツをつなぐ部分のことをゲートといい、切り取ったあとパーツに残った部分をゲート跡という)

(※3:ガンプラに掘られた溝のこと。これを細いペンやスミ入れ用の塗料で色を付けるとメリハリが出て見栄えが良くなる)

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