ヒトカスはもう、終わりですね()   作:伝説のスーパークロウ人

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第2話

「………様、種族は人間(ヒューマン)、職業は……闘士(ウォーリアー)、ですね。ありがとうございます」

 

「では、次の方」

 

 ああ、無情なりやこの作業。

 え、職業人殺し(シリアルキラー)って何? 俺警察に目ぇ付けられる才能があった……ってコト!? 嬉しくねぇよ。

 

「あなたは……ああ、例の勇者様、ですね。確認致します」

 

「……」

 

 くそう、能面少女め……羨ましいなぁおい! 俺の職業に比べたら全ての職業が鮮やかに見えるよ何でだろうなぁー!

 

「ルリ・サカワ様、種族は……人間(ヒューマン)、職業は勇者、ですね、ありがとうございます」

 

 ……あの上品そうな女の人は誰なんだろう王女様かなぁ……くっそ、何であの人職業読み上げてんだよ見るだけで良いじゃん。

 辞めてくれお姫様、その行為(じゅつ)は俺に効く……めっちゃ効く、お手軽致命傷。

 

「次は……えっと、どうかされましたか?」

 

「ぁ、えっと……その……」

 

 渡す前にこっそり「読み上げないで欲しいです」って言うべきかなぁ、それで通じるのかなぁ。

 ワンチャン他の奴らが「お前の職業なんだべさー?」とか言いながら覗きにくるかもしれない、そうなったら俺は拒めないだろう……(ぼっちの性)。

 

「……とりあえず魔道具を、拝見しますね」

 

 とりあえず一生俺の番来るな……! どこからかやって来た魔王軍か何かでこの作業を中断してくれ。

 なーに、こっちには輝かしい勇者様が二人と、王国の兵士さんだっているんだ、ぶっつけ本番でも余裕のよっちゃんでしょう。

 

「カエデ・タムラ様、種族は淫魔(サキュバス)、職業は魔術師(メイジ)……えっ?」

 

 あー早く襲われねぇかなぁー! ……いやだめだ最低な奴の思考になってる、でもこれそれ以外にどうにもならんでしょ……。

 うんうんと唸っても唸っても、良い案ば浮かんでは来ない……あれ、俺の番まだ?

 

「……んー?」

 

 なんか、視線が集まってる様な……俺じゃないヨ、ぼっちは視線に敏感だからわかるんだ。

 正確には俺の目の前……前?

 

「……?」

 

「うぐぐ……」

 

 なんかちっこいピンクがいた、誰だこいつ。

 

「お、おいおいお前カエデかよ!?」

 

「女になってんの?」

 

「しかも今サキュバスって……」

 

 ……カエデ、とな?

 いや知り合いじゃないけども、なんか頭の片隅に引っかかる名前じゃある。

 まぁ、ここにいるってならクラスメイトなんだろうし、聞いた事があっても不思議じゃないよなぁ。

 

「    サキュバスって、エロいことしてくれるアレ、だよな?」

 

「……!? そんなことしないっての!」

 

 ……あー、そっかぁ。

 

「そうじゃん」

 

「てことは……ワンチャン……?」

 

「聞けって……!」

 

「……チッ」

 

 いや、そうなるんだろうけどさ、俺だって目の前に野生のサキュバスとかいたらこうなるかも……いや、チキるわ、生粋のボッチ舐めんな。

 ……んーまぁとにかく悪い流れだなこりゃ、バカでもわかる。

 

「なぁなぁ、そこの姫様? でいいのか?」

 

「……あ、はい、何でしょうか」

 

 うちのクラス、彼氏彼女多いんだよなー、他クラスとの比率知らんけど。

 知っての通り、男ってのは欲望の生き物ですし? 女は嫉妬の生き物……ってのは、逆でもまかり通るのか?

 性欲って罪深い。

 

「次、俺の番だろ? これドーゾ」

 

「……そう、ですね」

 

 お姫様らしき人も、やらかしたなーって雰囲気を纏ってる……ような、気がする、多分。

 人の感情を読み取れるような器用な生物ではないのだ、俺は。

 だけど、空気悪い中で過ごしたくもないよなーってアレ、日和見主義ならではだよな? 俺はそう。

 

「思いっきり、読み上げてくれ」

 

「……! わかりました」

 

「……ご配慮、感謝します」

 

 いいえ、ただの我欲です。

 でもすごいな、さっきまでバレたくねぇ……! で暴れてた気持ちが統一されちまった、俺の判断力ぅ……。

 ……。

 

 俺より悲惨な奴見たら、自分のがどうでも良くなることってあるよな!!!

 

「な、なんだよ。オレがこうなったからって……!」

 

「    カイ・イサカ様」

 

 うおっ、響く声。

 声量が変わらない……ように聞こえるのに、体が震える感じがするって言うのかねぇ、王族ってしゅごい。

 ……てか、この人が何者かまだわからないんだっけ?

 

「種族、人間」

 

 ま、まぁ、殺人鬼が堂々と構えてたら早々喧嘩は売られない……よね? よね??

 ……ダメだ怖くなって来た。

 

「職業    人殺し(シリアルキラー)」

 

「は?」

 

「シリアル……なんて?」

 

「バカ、シリアルキラーって言ったんだよ!」

 

「シリアルキラー……え? あいつ殺人鬼なの?」

 

「てかあいつ誰? 同じクラス?」

 

「イサカだよ、ほら角の席の昼行燈」

 

「……」

 

「あー……? あー……いた気がするわ、そんな奴」

 

「そいつの職業が殺人鬼なんだってよ」

 

「え、やば」

 

「怖過ぎでしょキモ……」

 

「同じクラスにこんな奴いたの……?」

 

 いくら何でも酷過ぎでは???

 

 一歩譲って俺が認知されてないのは良いわ、だって俺が認知されたくなかったもん。

 ざわめいて、先程までよりも一層騒がしくなる。

 ここまでは予想通り、でも流石に敬遠され過ぎじゃない? 一応中学から一緒の奴もいるよね? ……いたっけ?

 

「……」

 

 いないかも。

 ……終わったな、俺の高校生活、今更感半端ねーけど。

 

 

○▽○

 

 

 一週間後にて。

 悪い、もう心折れそう。

 

「お、おいあいつ……」

 

「人殺しか」

 

「うわぁ怖え……」

 

 いじめってこういう事なんだな、事なんだな……。

 訓練の時あからさまに過剰な奴いるんだよなぁ……! なんだ、俺悪い事したか? 職業? 俺の負けですすみません……。

 

「……」

 

 元からとか言わないで欲しいんだが、まず誰も俺と話そうとしなくなった。

 これは良い、俺だってそうする、だって相手と親しくねぇんだもん。

 でも明らかにアホな奴が、俺の事を「闇堕ちして裏切る」とか「悪人」とか「元の世界でも何人か……」とか周りで言いまくって、確証もねえのにでっち上げて俺を悪人にするのどうにかしてくんない?

 別に俺、裏切る意思ねぇし生まれも育ちも平凡な日本人なんですけど、人殺しに関係したこととかございませんが、少なくとも今までは。

 

「……」

 

 はぁ……頼みの綱の委員長にも「悪い」の一言でぶった斬られたし……後悔しそう、あんな事お姫様に頼んだの。

 昼食を食べ終えて、席を立つ。

 

「イサカ様」

 

「…………何かご用ですか。お姫様」

 

 噂をすれば何とやら、お姫様が現れた。

 ……この人はこの人で、あんまり良い噂聞かないんだよな……なんか、色々と。

 あ、ちなみにお姫様はちゃんとお姫様でした、間違ってなくて良かった……見知らぬ人にお姫様とか宣う痛い奴にならなくて良かった……。

 

「……お話したいことがあります」

 

「え」

 

「少々、お時間よろしいでしょうか?」

 

 ……そろそろ大声で泣いて良いか? 良いよね??

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