前話の“愛”で押し潰す銃撃は、
好き→独り占めしたい→
という意味不明な連想ゲームの結果です。
◯あらすじ
『銃の悪魔をマキマが討伐した』 この報せは瞬く間に全世界へと広まり、絶大な衝撃を与えた。
それを自宅で知ったアキは喜び、安堵した。
すると“ある情報”が脳内に流れ込んできて···?
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《Sideアキ》
それは、余りにも荒唐無稽な光景だった。
マキマが俺に契約を強制するのは同じだが、まず場所が違う。
俺は公安ビルの会議室で強制契約を結ばれたはずだが、頭の中の俺はどこかの砂浜にいる。
マキマの雰囲気も違う。
俺の知るマキマとは違い、微笑んではいるが冷酷な表情を浮かべている。
何より、契約内容が全く異なっている。
『全てを捧げろ』など···マキマが言うはずが無い。
景色が切り替わる。
今度は···マキマの自宅だろうか。
マキマがパワーを殺すと宣言し、冷や汗をかきながらもデンジが玄関のドアを開ける。
するとそこにはデンジの誕生日ケーキを持ったパワーが立っていた。パワーが何かを言いかけた瞬間、マキマがパワーを殺した。
2人はドアを閉めて部屋に戻り、ソファに座る。
呆然とするデンジの膝にマキマが頭を置き、大笑いした後に、言った。
これまでの出来事は全て、デンジの精神を破壊し、“
「──そんな人間が、普通の生活なんて望んでいいはずがないよね?」と。
◆◆
デンジとパワーが寝静まった頃。
「未来の悪魔···今すぐ姿を見せろ」
「未来最高!って言えば出てくるよ!」
「ベランダにいんだろ。巫山戯んのも大概にしろ」
「ふふふふふ···」
やはり“あれ”はコイツの仕業だったらしい。
苛立ちを抑えながら質問する。
「俺に昼見せた“あれ”は何だ?」
「あれは本来の未来。絶対不変だったはずの未来だ。キミはデンジに殺され、パワーもマキマに殺されるはずだった」
「
「そのままの意味だよ。キミに見せた未来とこの現在は、全くの別物だ」
つまり、あの映像のマキマと俺の知るマキマは、あくまでもよく似た別人だということか。
「じゃあこの“
「この世界線のマキマと支配の悪魔が創り上げた“
「しかし“分岐未来”が本当に存在するとは···
予想外があるからこそ、未来の観測はやめられない。
未来!最高!未来!最高!」
何が未来最高、だ。“分岐未来”ってことは、どこかには“あれ”が存在するんじゃねえか。
代償無しで契約を結べたのは有り難いが、やはりコイツも根っこは悪魔なんだな。
···そう考えると、マキマの異質さがより際立つな。
〜〜〜
マキマ「ぶぇっくしょい!!」
支配「(──どうしました。風邪?)」
マキマ「ずずっ。(うーん···季節の変わり目だからかな?ていうか悪魔も風邪は引くのかなあ?)」
支配「(──誰かが噂してるのかもですね)」
マキマ「(デンジくんだったら嬉しいな)」
《Sideマキマ》
銃の悪魔討伐から1年以上が経ち、デンジくんの高校入学*1を間近に控える3月。
私とデンジくんはド◯ツ村でのデートを楽しんでいた。*2
楽しい時間は瞬く間に過ぎ、イルミネーションが灯り始めた。実はド◯ツ村は3月でもイルミネーションをやっているのだ!一斉にライトが付く景色はとてもロマンチック。とってもいい雰囲気だ。
···今この雰囲気、告白のベストタイミングだ!
「デンジくんっ!」
「なんです?マキマさん」
「あのね、私デンジくんのこと──」
「(──主人格頑張れー!)」
行けー!決めるんだ私!!
頑張れ頑張れできるできる絶対出来る頑張れもっとやれるって!やれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだ!そこで諦めんな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る!!!
「──好きでしゅっっっ!!!」
「(──主人格、噛んだ!!!)」
うぎゃあああああ!!!
ミスったあああああ!!!
「ぐっ、ふ···w···いや、すいませんマキマさん。ちょっと待って···くっくっ···w」
「···あぅぅ」
デンジくんは一応口元を抑えてくれているが、笑いを堪え切れていない。
ぁ゙ぁ゙ぁ゙恥ずか死ぬ!
くっ、いっそ私を殺してくれぇ!
「すいません、落ち着きました。···で、告白の返事っすけど、勿論俺も···その、マキマさんのこと超好きです。良かったら付き合って下さい!」
そう言って、頭を下げるデンジくん。
ここまで直球に、しかも真摯に対応してくれてすごく嬉しい。
「っ!···うん!私で良ければ、喜んで」
ああ···今、すごく幸せだ。
嬉しいやら恥ずかしいやら、告白の緊張の余韻やらでもう大変だ。
感情がオーバーフローして、私は思わずデンジくんに抱きつく。
デンジくんは優しく、だけど力強く抱き返してくれて、もっともっと“好き”が溢れる。
「好きだよ···愛してるよ、デンジくん」
「俺もです、マキマさん」
電飾が輝くアーチの中で、両思いのしるしに、私とデンジくんは3回目のキスをした。
◆◆
人生(?)で初めて朝帰りした翌日。
私と姫野ちゃんは、仕事の合間に公安の給湯スペースで駄弁っていた。
「それで?昨夜は“お楽しみ”したんですか?」
「···言わないとダメ?」
「ダメですね。“2人は幸せなキスをして終了”ってのも悪くないんですが、私はマキマさんが乱れる様子を聞きたいんですよ」
「なんか怖いよ姫野ちゃん」
ああ、姫野ちゃんの目がキマっておられる。狂乱モードに入った姫野ちゃんは誰にも止められない。
私は観念して、ホテルでの情事を話し始めた。
「···それで、とにかくデンジくんはずっと優しくて···好きだって何回も言ってくれて···うへへぇ」
「マキちゃん、よだれ出てる。···うんうん。そっか、すごい幸せオーラが伝わってくるよ」
「うん。すごく···すごかった!」
「語彙が死んでおられる」
「ここまで辿り着けたのは、相談に乗ってくれた姫野ちゃん···いや姫パイのお陰だよ。ほんっとうにありがとう!!」
「どういたしまして。私もイチャラブエピソードを聞けて大満足よ!そ・れ・にぃ〜···デンジくんとシたって事は、マキちゃんはもう、私と同じく未成年に手を出した同士って事だもんね!」
「はっ!?あっそうだ確かに!!······え〜、姫パイと同じはなんか嫌だなあ」
「どういう意味だいマキちゃん?ん?」
「ぐえぇ。流れるように首絞めるの止めよ?」
「っと、もうそろそろ任務の時間だ。じゃあマキちゃん、行ってくんね!」
「うん、行ってらっしゃーい!」
姫野ちゃんとは、めちゃめちゃに仲良くなった。
姫野ちゃんはアキくんが好きで、私はデンジくんが好き。お互いが同じ職場で働く人を好きになったからか、恋バナをしてからグッと仲が良くなったのだ。
「それじゃあ、私も仕事を再開するか〜」
銃の悪魔を倒した後も、悪魔の討伐や刺客への対処、あと部下の育成も行わなければならない。
というか銃の悪魔が討伐されたせいで、公安に居残る理由が無くなって退職する人が増えたからなあ。
デビルハンターに憧れて、志す人も増えてはいるけれど、指導や育成が大変だ。
それでも私は、デビルハンターを辞めることなく悪魔を狩り続ける。
必死で掴んだこの“最高の未来”を護るために!
◆◆
ようやく今日の仕事が終わり、私は執務室の椅子にどっかと座る。
超 疲 れ た。
「ぶへへぇ······」
任務の質は銃の悪魔討伐以前よりも、格段に低い。
だけど公安を辞める人が多いのと、新人たちがまだ実戦を戦えるレベルにないから大変だ。
管理職は辛いよ。
まあ見どころのある新人も複数いるし、今後の伸び代に期待だね。
一息ついた後は、疲労しながらも帰り支度を手早く済ませる。そしてソッコー帰宅!
「ただいまー」
といっても、
私は原作のマキマさんと違ってワンちゃん達を飼っていないから、この部屋は静まり返っている。
荷物だけ置いて、部屋を出る。
そして隣の部屋の鍵をガチャリ、と開けて中へ入る。
「ただいまー!」
「「「おかえりー」」」
すると、デンジくんとパワーちゃん、アキくんの3人が出迎えてくれる。
そう。実は銃の悪魔を討伐した後、私は引っ越したのだ。早川家の隣に!
「俺ら丁度夕食の材料を買いに行くところだったんです。マキマさんも来ます?」
「行きまーす!」
徒歩数分のところにスーパーがあるって便利。
「あ、おいパワー!勝手に行くな!」
「この冷凍庫の肉は全部ワシのじゃーっ!」
「早パイ早パイ!このお菓子買ってくれよー!」
「それデンジくん好きだよねえ。結構高いけど、アキくんにバレないようにこっそりカゴに入れちゃおうか」
「マキマさん、バレてますよ」
「ヒェァ。バレてたか」
「今日の晩飯は何にする?」
「ステーキじゃ!」
「ソレは昨日食っただろ」
「俺は何でもいいや、アキの飯は全部うめーし」
「デンジお前···俺はちょっと感動してるぞ」
「わ、私はオムライスが食べたいな──主人格と同じく、オムライス希望です」
「OK。じゃあ今日はオムライスな」
「やったー!」
「!?(ガーン)」
私の新しい日常は大体こんな感じで、慌ただしくも楽しい日々である。
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次回、最終話。
【オマケ:本来の未来】
未来の悪魔「(早川アキに本来のマキマの末路を話したらどんなリアクションするんだろうな···まさかデンジに喰い殺されて、
未来の悪魔「···未来···最低···おぇっ。···未来···まじ最低······」
アキ「······?????」