2人きり(?)の江ノ島旅行
◯あらすじ
今日も今日とて社畜なマキマ。
1日の業務を終えて家のソファに寝転がり、テレビを付けるとニュース番組が海の特集を組んでいた。
パラソルの下で寄り添うカップルやバーベキューで盛り上がる大学生たち。
全力で海を楽しむ彼ら彼女らを見て、マキマさんは思い出した。
「江ノ島旅行行ってないじゃん!!」
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というわけで、デンジくんを我が家(隣室)へ呼び出して誘うことにした。
近頃は新人たちが戦力になってきたし、コベニちゃんや荒井くんも指導者としての風格を纏いつつある。
公安が強化されたことにより、前よりも有給を取りやすくなっているのだ!
「江ノ島に旅行?」
「うん。そういえばデンジくんと海に行ったことないなって思って」
「海···確かに任務でしか行ったことねーな。楽しそうっすね!」
「でしょでしょ!今度有給取ってさ、日帰りでも行こうよ江ノ島!」
「えーいいなー、わたしも江ノ島行きたーい!」
「ナユタ。この2人はデートに行くんですから、私たちはオジャマ虫です。江ノ島へは2人にバレないようにコッソリ行きましょう。なに、バレなきゃ犯罪じゃありませんから」
「おおー!それって尾行ってやつだ!楽しそー!」
よっしゃあ、行くぜ江ノ島!
待ってろよ江ノ島!
白い砂浜、青い海···そしてデンジくんの水着!
楽しみだ。ぐふふ。
◆◆
パラソルやレジャーシートの設置は、少し心苦しいがデンジくんに頼んで、私は更衣室で水着に着替えていた。······やっぱり、三角ビキニって布面積が少ないな。いやだから買ったんだけど。
······でもでも、やっぱりまだ恥ずかしいし、上着は羽織っておこう。この水着は適当なタイミングで披露しよう、そうしよう。
そう考え、上半身をきっちりガードした状態で更衣室を出ていき、少し歩くと···典型的な金髪チャラ男に絡まれた。本当にいるんだ、こういう人。
「おねーさん美人ですね!良かったらJuiceどうぞ!」
ジュースの発音良いな。
「あ、お気持ちだけありがたくいただきます」
でも少し怖いので、やんわりと断る。
万一睡眠薬とかが入っていたとしても普通に効かないけど、心情的に嫌だからね。
「まあまあそんなこと言わないで!」
腕を掴まれた。
振りほどくのは簡単だが、民間人に怪我をさせるわけにはいかず、少しばかり困ってしまう。
「っ、離してください」
「···マキマさん?」
この声はデンジくん!
助かった、これで「私は彼氏がいるので」攻撃が出来る·········そう、思っていた。
このタイミングで振り向いてはいけない、デンジくんの方を見てはいけない。
その事に気づいた頃にはもう手遅れで。
夏の日差しの下で輝く、デンジくんの裸身を直視してしまった。
「ぁ······デンジ、くん」
「ナンパか?テメェ···マキマさんは俺の女だ。手ェ出すんじゃねえ!」
“それ”は、何回も見ているはずなのに、余りにも眩しくて。デンジくんが私を庇ってくれたことも、怒ってくれたこともすごく嬉しすぎて。
やっぱりデンジくんカッコいい···腹筋バキバキだ···鍛えてるもんね···怒ってる顔怖い···でも嬉しい···
そんな事ばかりが頭をぐるぐる廻り、デンジくんへの“愛”が高まり、溢れて···私は吐血した。
「ゴフッ···」
「ッ、マキマさん!···おいテメェ、マキマさんに何しやがった!!」
デンジくんがチャラ男をきつく睨む。
いや違うんだよ、デンジくん。
これは私の体質みたいなものなんだ。
私は“愛”を物理的な力へ変換出来るけど、許容量を越えたら暴発してしまう。
つまりこれは私の自爆で、このチャラ男は関係ない。
だけど、デンジくんの過剰供給によって私は声を出すことが出来なくなっており、それを伝えることは不可能。ダメだこりゃ、もうどうとでもなれ、デンジくん万歳──最後にこの言葉を脳内で唱え······私は意識を失った。
◆◆
《Sideデンジ》
「っし、場所取りは出来たな」
レジャーシートとパラソルを広げた俺は、横になってマキマさんが来るのを待っていた。
目を閉じただけでマキマさんのことが浮かぶぜ。
俺の脳裏に、これまでの思い出が···そしてマキマさんの水着姿が浮かんできたところで、俺は妄想を打ち切った。
「マキマさんのハダカは何度も見てきたのに···」
実際に水着姿を見たわけじゃない、ただ想像しただけで顔が真っ赤になった。
あんまりカッコ悪いところは見せたくないのに。
「にしても、マキマさんちょい遅いな」
着替えに手間取っているのか?
そう思って更衣室の方を見ると···マキマさんが変なヤロウに絡まれていた。
俺が知らない奴だし、マキマさんもソイツを嫌がっているように見えたので、直ぐに駆けつけた。
砂浜は走りにくかったけど、高校に入ってから体を鍛え始めたからか、それなりのスピードで走れた。
「っ、離してください」
「···マキマさん?」
この男は十中八九ナンパ野郎だろうが、まだ確定じゃない。あと1つ、判断材料が欲しかった。
だからまずはマキマさんにやんわりと声をかけて、男を睨みつける。
すると男はこちらを嘲るように鼻で嗤ってきやがったので、こちらもハッキリとした敵意を見せる。
「ぁ······デンジ、くん」
マキマさんなら、こんなヒョロガリくらい撃退出来るだろうに。それでも怖かったのだろうか、こちらを潤んだ瞳で見上げている*1。
「ナンパか?テメェ···マキマさんは俺の女だ。手ェ出すんじゃねえ!」
全力で威嚇した瞬間、マキマさんが血を吐いた。
「ゴフッ···」
「ッ、マキマさん!···おいテメェ、マキマさんに何しやがった!!」
ぐったりと倒れ込むマキマさんを受け止め、横たえる。そしてありったけの憎悪を込めて、スターターロープに指を掛ける。
「マキマさんに手ェ出すんなら!死ねェ!!」
「──待ってくださいデンジくん!!」
“チェンソー”に変身する直前、支配さんの声がどこからか聞こえた。
「支配さん!?どこに──」
「ここだよ」
「うォっ!?いつの間に後ろにいたんすか!?」
「ついさっきだよ。めっちゃダッシュした···あ、チェンソー様。私が来ましたからもう大丈夫です。というかマキマの“これ”は本当に心配する必要ないので」
「わたしも来たぞー!」
「ナユタまで!?」
◆◆
この数分後にマキマさんは目覚めた。
いきなり吐血してぶっ倒れた理由は教えてくれなかったけど、まあ元気そうだから良しとした。
チャラ男は適当に解放した。
支配さんとナユタは、俺たちを尾行していたらしい。
それをお茶目に怒るマキマさんは可愛かった。
「デンジくんと2人きりが良かったのに!」
「ごめん!2人のいちゃらぶを見たかった!」
「私も同じく。それにチェンソー様の鼓動を私の耳で感じていたかったので」
ロマンチックな雰囲気はぶっ壊れたけど、4人で過ごす江ノ島での時間は凄く楽しかった。
あとしらす丼も超美味かった。
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えっちには多少慣れてきたが、ラブコメ展開にはめっぽう弱いマキマさんであった。
【オマケ:マキマさんの水着を見たデンジ】
デンジ「綺麗だ······」
マキマ「デンジくんもね。···ゴフッ」
【蛇足:修学旅行から帰ってきたデンジ】*2
「ぁ゙〜···疲れたぜ」
沖縄で三泊四日、はしゃぎ倒してきた。
国際通りやでっけー鍾乳洞、それから美◯海水族館にも行った。
ホテルもキレーだったし、売店でお土産を買うのも楽しかった。
2日目の夕食前に、売店で買った沖縄限定ポテチ*3を食ったのは失敗だったけどな。
夕食はバイキング形式だったけど、ポテチで腹が膨れて全種類制覇は出来なかった。
まあとにかく、4日間も全力で歩いて食って心身共に疲れ切った。
楽しかった旅行の余韻を噛み締めながら、空港から家までを走る。
マキマさんに電話を掛けたら、そこそこ強え悪魔が出て討伐に手間取った······というか、事後報告の書類処理でマキマさんも支配さんも残業中なんだとか。
だから迎えの車は無い。
···まあ疲れているとは言え、数キロや数十キロでへばるような鍛え方はしていない。
マキマさんに早く会いたい。
まだマキマさんが帰ってきてるのか分からないけど、俺はマンションの階段を一段とばしで駆け上がる。
はたして、マキマさんは部屋の前に立っていた。
だけど遠目から見たその表情は何故か暗い。
小走りで駆け寄る。
「マキマさん、ただいま」
「っ!デンジくん!···おかえり。空港まで迎え行けなくてごめんね」
「残業だったんでしょ?別にいいっすよ」
「うん···結構大変だったよ。でもデンジくんに会えたからもう元気」
「···ん」
抱きしめ合い、再会を喜ぶ。
俺は沖縄のホテルで寝る前も、マキマさんのことを思い浮かべながら寝てた。
その時の空想とは違う、ホンモノのマキマさんからは、少し汗の混じった甘い香りがした。
「とりあえず、部屋入ろうか」
「そうですね」
この後は超めちゃくちゃ、した。
アキにうるせえって言われた。
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クソ雑魚マキマさんのイメージソング(主観)