7話目の続き。
やっぱりレゼ篇はキチンと書きたかった。
◯あらすじ
マキマさんは結局、レゼちゃん*1の記憶(デンジとマキマがカフェに来たこと)を全て封印した。
Rが18になりかねないからね···。
というわけで原作ルートに突入。
レゼと雨の降る電話ボックスで出会ったところからスタート。
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《Sideデンジ》
昨日のマキマさんとのデートは最高だった。
昼メシを食った時のことはなんか覚えてねーけど。
一緒にホテルで寝た(本当に寝ただけ)のも初めてだったし、もう俺の心も体もマキマさんだけのモンだ。
そういや、銃の悪魔の肉片集めたらなんでも願い聞いてくれるって言ってたけど、そしたらやっぱり付き合って欲しいな。
そんで、マキマさんと···◯◯◯するんだ···!
そのためにも、今日もパトロールを頑張ろうと決意を固めた瞬間、雨がザアザア降り出した。
「ギャー!逃げろー!」
「キャキャ!水だ水だァ!」
今日一日だけの臨時のバディである
普段は地面に“潜っている”けど、時々勝手に出てくるから困るんだよな。
ただでさえ魔人は危険なヤツだと思われるのに、コイツ服すらも着てねーし。
周りの人間に見られたら通報されるかもしれねえ。
ちなみに、パワーは有給を使ってマキマさんとどっか行った。マキマさんは「田舎の新鮮な野菜をパワーちゃんに食べさせるんだ☆」とか言ってたけど、詳しくは分かんねえ。
パワーがしおしお顔になってて笑った。
「ビーム!テメェはひっそり地面に潜ってろよ!人にバレたら表歩けねえだろ!」
「ァ···ハイ!」
「なんで魔人はみんな馬鹿みてえな名前してんだ···」
俺自身も大概だけど、魔人ってのはパワーもビームも、人間の常識がイマイチ通用しないところがある。
少し辟易しながらも、近くにあった電話ボックスに駆け込む。これで一先ず雨は凌げた。
「傘持ってくりゃよかったぜ」
いつになったら降り止むのか考えていたら、今度は知らねー女も俺のいる電話ボックスに駆け込んで来た。
「どうもどうも。いやいやぁ、スゴイ雨ですね」
「あ〜···ああ」
かなりの美人だ。
マキマさん程じゃねーとは思うけど。
······ていうかこの女、何処かで見たことがあるような···ないような···?
「天気予報は確か······む···え!?──あはははははは!」
「あ?なに?」
「やっ、ごめっ···すいませ···あははは」
「んだよテメー···なんで泣いてんだよ」
「いやいやすいません···アナタの顔、死んだウチの犬によく似ていて···」
「ああ!?オレ犬かよ〜···!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
急に笑ったと思ったら今度は泣き出して、しかも俺が死んだ犬に似ているとか言ってきた。
······犬か。ポチタは俺の中で生きてるけど、死んじまったと思ってた時は凄く悲しかった。
この女もそんな気持ちなのかな。
「······うぇっ」
「え、大丈夫ですか?」
「うえええっ···!おえっおえっおぇ···げっ」
「待って、ハンカチ!ハンカチ!」
少し考えて、俺は吐きそうになる
ハクシンの演技ってやつだ。
それを見た女は、心配してポッケのハンカチを渡そうとする。···いや、ガチでゲ◯吐いたらハンカチじゃ力不足だろ。
「うぇ。···タラーン!」
「ええっ!?手品だ!スゴイ!」
喉に引っ掛かってた花を取りだす手品(?)だ。
考えていた通り、それを見た女は喜ぶ。
取り出した花を手渡し、「この手品には種も仕掛けもない」とドヤる。···渡した後、この花汚えかもしれねえなとは思ったけど。
「ありがとう···」
そう言って頬を赤らめ微笑する女には、不覚にも少しばかりトキメイたり···いや俺は何を考えてんだ。
俺の心はマキマさんだけのモンだ!
···間もなくして、雨は止んだ。
胸ん中のモヤモヤは残ったままに、外へ出る。
「私、この先の“カフェ
◆◆
《Sideレゼ》
“職場”への道を歩く。
階段を上って裏路地を抜けたら、もうすぐそこだ。
日本によくある、至って普通のカフェ二道。
ここが私の
エプロンの腰紐を結んで、「よしっ!」と言って気合いを入れる。
「遅刻だよ。その分給料引くからね」
「ケチ〜」
「4番テーブルにお水運んでね」
「ケチケチケチケチ」
店長はすこしマジメすぎるきらいがあるけど、いい人だと思う。不慣れな接客業に手間取る私を指導してくれたりした人だ。
でも給料の天引きはやめてほしいな〜とか思いつつ、言われた通りに水を運ぼう···としたら、ついさっき接触したばかりのターゲットが、なんかいた。早っ。
「ええ〜?私より早く来たでしょ!?」
「まあそうだな。でもお礼貰いにきただけだぜ」
「ふ〜〜〜ん」
私の任務は、ハニートラップを起点とした“チェンソー”の心臓の強奪。
そのためにわざわざこの“普通”の店で働いている。
しかし図々しいけどチョロいな、この男の子。
「一緒に飲みますか〜。へいへいマスター!私と彼にコーヒーを!」
「店員でしょアンタ」
「いいじゃないですか〜。どうせモーニングにしか客来ないんだし」
「もお〜······」
と言いつつも、コーヒーを淹れてくれる店長。
優しい。というかやっぱチョロい。
コーヒーをフィルターにかける時の、コポコポ···という音が静かな店内に流れる。
この時間、そこそこ好きだったりする。
淹れ終わった後、カウンターへコーヒーを取りに行き「おまたせしました〜」と言ってテーブルに置く。
「というわけで、お礼はコーヒーでした!」
「コーヒー好き?」と聞くと、彼は「飲む」とだけ言ってカップを手に取り、少しだけ口に含んだ。
しかしどうやら口に合わなかったらしい。
眉間に皺を寄せて「ヴェッ!クソまじぃ!」という顔になっている。
思わず軽く吹き出した。
「なにその顔〜!苦いんでしょ!」
「だぁってコーヒーってマズくねえか!?ドブ味だよ、ドブ!」
「あはははは!子供だ子供!あははははは!」
笑いながら、ターゲットの肩に触れる。男というのは触れられると“脈アリ”と捉えやすい···らしい。
「もしかして俺のこと好きなんじゃねえ?」ってね。
まあ私は実戦経験が無いから、ちょっぴり緊張はしているけど。
「私の名前はレゼ。キミは?」
「デンジ」
「デンジ。···デンジ君。デンジ君みたいな面白い人、はじめて」
「···ふ〜ん」
名前は事前情報で把握していたけど、手順は踏まないとね。···ちなみに、「デンジ君みたいな面白い人、はじめて」と言ったのは半分本音だ。
ずっと“訓練”漬けだったから、彼の挙動は予測不能なものばかりで面白い。
嘘に塗れた会話の中で、これだけは本当だ。