クソ雑魚マキマさんの日常(本編完結)   作:訥々

19 / 32
追憶のバー(喫茶店)

姫パイかわいいよ姫パイ。

原作ではやたら早く殺されちゃった不憫キャラですが、デンジとアキが仲良くなるきっかけの一つでもある、とにかく超重要なキャラなんですよね。

そのアキくんも最悪の形で死んだんですが。

原作マキマさんェ···。

 

·········。

とにかく!姫パイはかわいい!かわいいんだ!!

 

──────────────────────

 

《Sideレゼ》

 

眼帯を掛けた女の人(姫野さん)がカウンターの真ん中に腰掛け、氷と少量のウィスキーが入ったグラスを揺らす。

カラン、と鳴ったそれを見つめる瞳は潤み、どこか妖しげな明かりを帯びている。

 

「マスター、もう一杯」

「明日もお仕事なんでしょ?」

「今日はもう少し飲みたい気分なんだ···。彼氏が仕事ばっかりで、私に構ってくれなくて···」

 

···しばしの沈黙。

バー()()()落ち着いた空気が流れる。

 

「···あちらのお客様さまから───」

 

するといかにもバーらしいイベントが発生。

でも姫野さんは既にかなりお酒を飲んでいるから、お酒ではないはず。

 

「───アプフェルシュトゥルーデルです」

 

なんて?

 

「なんて?」

「アップルパイみたいなものです」

「ふーん······」

 

姫野さんがチラリと横を見る。

そこには、カウンターの端っこでノンアルコールカクテルをちびちびと飲むマキマさんがいた。

 

「ありがと」

 

今日も()()二道(ふたみち)には、穏やかで、だけど確かな“絆”があった······。

 

 

 

いやここ喫茶店なんだけど。

 

マスターめっちゃノリノリじゃん。

アプフェルなんちゃらとか横文字まで引っ張っちゃってさ。アップルパイでいいじゃん。

 

姫野さんも「カラン」ってやつが気に入ったらしく、しきりにグラスを鳴らしている。気持ちは分からなくもないけど。

 

マキマさんもひどい。

物憂げな表情で頬杖をついているけれど、これはロールプレイ。

その奥にあるワクワクがダダ漏れだ。よく見たら目がめっちゃキラキラしてるし。子供か。

 

「マキマさん、これいつまで続けるんですか?」

「だってぇ···バーって敷居高いじゃん?私はお酒も飲めないし。だからここで擬似的にバーの雰囲気を味わって見たかったんだ」

「いやぁ、マキマさんのおかげで僕の夢が叶いましたよ。ずっと言ってみたかったんです、『あちらのお客様さまからです』って!」

「ですよね、バーと言えばこれですよね!」

 

実はこの()()()二道、夜は酒類の提供も()()行っている。お客様はほとんど来ないけど。

ここはモーニングが人気なのであって、昼や夜に来る人は稀なのだ。

まあだからこそ、こういう身内ノリみたいなこともできるんだけどね。実際に『あちらの〜』なんてやる人はほとんどいない。

 

え?なんで(高校生)が夜間にアルバイトしているのかって?···あんまり言いたくないけど、私は長らくソ連の実験体として活動していた武器人間だからね···実年齢はそこそこイってるのさ。

なんならマキマさんより年上説も···

···これ以上はやめよう。

 

 

◆◆

 

 

《Side姫野》

 

アップルパイみたいなモノを食べながら、私はなんだなんだでこの雰囲気を楽しんでいた。

「バーごっこをしてみたい!」というマキちゃんの誘いにノッてみたけど、案外楽しいな。

顔見知りしかいない場所でシリアス顔しながら酒飲むのも、なかなかオツだね。

 

カランカラン。

透明なグラスの中に入った氷を揺らす。

カランカラン。

酔いが回ってきた。

 

···。

グラスを置き、カウンターに伏せた。

 

 

······。

心地のいい眠気に身を委ねた······。

 

 

 

 ✝ ✝ ✝ ✝ ✝

 

 

数ヶ月前。

銃の悪魔討伐からおよそ1年が経った頃。

私とアキくんは、冬の北海道にいた。

 

「はるばる来たぜほっかいどー!!」

「やめろ恥ずかしい。ここまだ空港だぞ」

 

有給を2日だけとって、アキくんの墓参りに同行したのだ。残念ながら新婚旅行ではない。

 

 

 

空港からバスを乗り継ぎ数時間。

私たちは一番後ろの席で手を繋ぎ、無言でバスに揺られていた。外の雪景色を見つつ、アキくんの手の温もりを感じながら。

 

バスを降りて徒歩でしばらく行ったところに、その墓地はあった。

ずんずんと進むアキくんに付いていく。

 

「······ここだ」

 

早川家之墓。

アキくんの両親と弟が眠っている場所。白い息を吐きながら、二人でお墓に積もった雪をどかす。

その後、アキくんがライターを取り出して線香に火をつけた。

 

「はい、線香」

「ありがと」

 

まずはアキくんから。次に私が線香を供える。

立ったまま無言で手を合わせて、目を閉じる。

·········薄目を開けて隣を見ると、アキくんはまだ手を合わせていた。

私もアキくんに合わせて、再び手を合わせる。

 

 

···············。

 

 

「姫野。···さすがに長くないか?」

「え゙っ」

 

 

◆◆

 

 

アキくんが予約していた旅館にチェックインし、すぐに温泉に入ることにした。

 

「露天風呂···あーでも混浴じゃないか。アキくん、どんまい」

「別に予約したときから知ってた」

「ふ〜ん、私と一緒にオフロ入りたくなかったんだ······」

「他の男に見せたくなかったからだよ」

「······ぉう」

 

少し拗ねて見せたら、思わぬ収穫が。

ホントにキミは性格までイケメンだな。

そっか〜、そんなに私のことが好きか。

仕方ないヤツだなあまったく!

 

「後でアキくんには見せたげるから!」

「·········」

「照れちゃってー!」

「照れてない」

「またまたー!」

 

そうして、凍えた体を温泉で癒し、ご飯を食べた後は─────。

 

 

 ✝ ✝ ✝ ✝ ✝

 

 

「うへへへぇ·········♡」

「あ、姫パイが寝ながらニヤけてる。怖い」

 

 

──────────────────────

 

【オマケ:タバコを吸うマキマさん】*1

 

「ふっふっふ······」

 

(タバコを胸ポケットから取り出すマキマさん)

 

「え、マキマさんってタバコ吸うんですか?」

「前にも一度だけ吸ったことあるよ」

「へー、その時はどうだったんです?美味しかったですか?」

「咳き込みまくって凄く苦しかった」

「じゃあなんで吸うんですか!?」

「レゼちゃん。バーでタバコを吸う人って···カッコよくない?」

「ンン分かるけども!」

「あ、店長さん。ここって喫煙大丈夫ですか?」

「今はお客さんもいませんし、いいですよ」

「よし······じゃあいくぞ···」

 

(緊張した面持ちでタバコに火を点けて、口に咥えて、煙を少しだけ吸い込むマキマさん)

 

「···けほっ。けほっ、こほっ······」

「あれ、意外と大丈夫そう···?」

 

「ゲホッ!ゲホゴホッォ゙ォ゙!!」

「やっぱりダメだったかー!!」

 

*1
姫野は寝ている

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。