シリアス書くのつらい。作者のモチベ維持の為に、どうか感想をお恵み下さい。
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私はソ連の兵士。
···別にその事を悔いているわけじゃない。そういう“教育”を受けてきたから、今更何も思わない。
だけど、あの時──
『一緒に逃げねえ?』
···彼と添い遂げるという選択肢もあった。
その場合、ソ連と日本の公安の両方から追われることになるけれど···2人でなら、逃げ切れるんじゃないか。うまく立ち回れば、ソ連と日本を潰し合わせて追手の戦力を削くことだって出来るんじゃないか。
全部、根拠の無い推論だ。絵空事だ。
確かに私とデンジくんは強い。
だけど世の中にはもっと強くて···残酷なヤツラがうじゃうじゃいる。
国家の庇護無しに生きていけるほど、この世界は私たちに優しくない。
『レゼ!なあっ、レゼ!今日の昼に···!あのカフェで待ってるから!!』
2人で過ごした時間は精々が2週間。
私がこれまで生きた時間よりも、そしてこれから生きていくだろう時間よりも、ずっと短い。
綺麗で、鮮烈で···だけどすぐに終わってしまう。昨日の夜に見た、あの花火みたいに。
その為に全てを擲つ覚悟は、無い。
──11時8分 山形行き新幹線つばさ
──まもなく発車します
私はもう何人も人を殺してる。
捕まったら殺されるだろう。
だからこの東京からは離れないといけない。
頭では分かっている。だけど、あの嘘だらけの日常は、本当に楽しかったから。本当はずっと、あの国から···あの“部屋”から逃げたかったから。
···結局私は、新幹線とホームの僅かな隔たりを、どうしても越えられなかった。
◆◆
“職場”へ続くいつもの道を私はゆっくりと歩く。デンジくんと一緒に逃げる事になっても、ならなくても。或いはそもそも罠だったとしても、この道を通るのは最後になるだろうから。
デンジくんと出会った公衆電話を通り過ぎ、階段を上り、ついにすぐ近くの路地裏に出た。
窓を見れば、デンジくんが席に座っているのが見えた。私は駆け出し───
「レゼちゃん」
後ろからの声を聞いて、足を止めた。
「ッ···」
···あともう少しでデンジくんに会えたのに。
仕方なく振り向いて、首のピンに指を掛けながら、支配の悪魔と向き合う。
「ごめんね、レゼちゃん」
不意に、ピンに指を掛けていた私の右腕が、上から落ちてきた槍に切り落とされた。
「傷付けるつもりは無いんだけど」
後ろに手を組んで棒立ちしているマキマの後ろに高速で回り込み、隠し持っていたナイフで反撃──
ザク
「ァ゙······」
また槍が降ってきて、私の胸を貫いた。
ビルの上を見上げると、天使の輪と大きな翼をもつ悪魔がいた。
「私は悪魔としての力が弱くてね···私にはこれしか方法が思いつかなかったんだ」
震える手で首のピンを引き抜こうとしても、その手はマキマに止められた。
···やっぱり、無茶だったんだ。
あの新幹線で逃げるべきだったんだ。
そもそも、なんで私は初めて出会った時に殺さなかったんだろう。
半ば無意識に人の優しさを求めていたのかな。
デンジくん。
ホントはね、私も学校行ったこと無かったの。
授業ごっこだって私が想像しただけだし、学生生活がどういうモノか何も知らない。
あの時海辺で逃げようって誘ってくれた時も、泣きそうになるくらい嬉しかった。
いっぱい傷付けても、嘘をついても、私を受け入れようとしてくれたことが嬉しかった。
本当にごめんね、デンジくん。
この気持ちも、もう伝えられないけど。
出来るだけ幸せに、まっとうに生きてほしい。
いつか話した、あの田舎のネズミみたいに。
「レゼちゃん──『私に従うと言いなさい』」
「ごめんね、デンジくん」
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「天使くん、ごめんね。こんなことさせて」
「いいよ別に。事情を説明してもそう簡単には受け入れられなかっただろうし、強引になったのは仕方なかったと思うよ。···それで、この後はどうするの?」
「“支配”には成功したし···まずは外交ルートを通じて、ソ連を非難する。
「ソ連とあの女の子──レゼの縁を切るため?」
「うん。ソ連は非難を避けるためなら、レゼちゃんを切り捨てるだろうからね。後はレゼちゃんがしばらく“偽装死亡”している間に、さらなる刺客への対策とかレゼちゃんの長期的な保護プログラムの構築とか···やることは多いなあ」
「うへぇ、暫くは島に帰れなさそうだね」
「本当にごめんね、天使くん。···ありがとう」
「どういたしまして。···仕事は嫌いだけど、マキマの頼みなら僕だって多少は頑張るよ」