《前話の補足》
Q.マキマさんは何でこんな回りくどい方法をとったの?普通に支配すればいいじゃん。
A.“格下のみを対象とする”能力の都合上仕方なかった。このマキマさんは自己肯定感が低く、悪魔としての“格”が低いと
だからレゼをボコって心身共に抵抗出来ないようにしてからようやく支配できた。
支配を解除したあと暫くはめちゃめちゃビビられることになるが、残当である。
Q.マキマさんはレゼのことを恨んでないの?
A.恨んでた。今は恨んでない。それが答えかな。
···レゼの過去を知る前は殺意1000%だったが、調査した後はむしろ同情すらしている。
国に育てられたという共通点もあるし。
今はレゼを虐待した奴らにバチギレしてる。
Q.そういえば、天使くんって寿命武器作れるの?島の人たちは殺してないんだよね?
A.勿論島の人たちは殺してない。天使くんは普通にマキマさんにスカウトされた。
消費する寿命については、マキマさんと重罪を犯した囚人を共有している。
大切な人間の寿命ではないため5年や10年程度なら割と躊躇いなく消費する。
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黒を基調とした公安のスーツを纏い、赤髪の女···マキマが流麗に歩いていた。
廃ビル内には数百の死体···否、動かなくなった“人形”が転がっている。
「
「よっしゃあ!わかりました!」
地面へ“潜る”サメの魔人を見届けた後、マキマは天井にいる眷属の名を呼んだ。
「
「はい、マキマ様」
「ドイツは色んな悪魔を飼っているから、サンタが何をしてくるか分からない。ソ連にいる“本体”が出張ってくる可能性も高い。どうなってもデンジくんだけはどうにか助け出して」
「お任せ下さい」
蜘蛛の悪魔はどこかへと去っていった。
静まり返った部屋の中、マキマは一人呟く。
「今回は、大勢が死ぬだろうけど。私だけは···
◆◆
「ばいばい、おじいちゃん」
人形の悪魔。
素体となる人形に“人間しか持たない感情”を育ませ、“精巧な人形”を造り、契約の対価として使い潰す──尊厳を踏みにじる外道。
見かけは色白の美人だが、それすらも“本体”を覆う殻でしか無い。
デパートの入り口に立つ『ドイツのサンタクロース』と呼ばれる
血反吐を吐きながら、それでもこの哀れな人形は、生贄としての役目を果たす。
「ワッ···タシの、心臓···ど、愛ずるゥ、子供達ヲ···捧げ···まズ。その代わりに──」
「その代わりに──地獄の悪魔よ。このデパートにいる全ての生物を地獄へ招いて下さい」
はたして、契約は成された。
遠いドイツの地に住む3人の子供はこの世から消え失せ、老人は心臓を奪われ絶命。
そして、デパート上空に突如として
地獄といえば、『罪を持つ人間が死後に堕ちる場所』『暗く殺伐とした場所』というイメージが強いだろうが、此処はそうではなかった。
辺り一面に芝や花が自生し、太陽という光源が無いのに何故か明るく、空には無数のドアが敷き詰められている。
グロテスクでも残酷でも無い、人間にとってはただ何となく不気味なだけの景色。だがその場にいる魔人や悪魔は皆恐怖している。
「ああ〜···気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」
「どうしたんですか暴力さん!?」
暴力の魔人は存在が人間に近しいため“気持ち悪い”という程度だったが、純粋な魔人や悪魔が体感している恐怖はその比ではない。
「天使!ここが何処なのか分かるか?」
状況を飲み込めていない
天使は冷や汗をかきながら、どこか諦めたような口調で答えた。
「僕たち終わりだ···ここ、地獄だ···地獄の匂いだよ···。信じられないけど···何か悪魔の力で地獄に落とされたんだ」
今度はクァンシが愛人たちに尋ねた。
「ここから逃げる方法はあるか?」と。
ピンツイは泣きながら、溢れ出る恐怖を包み隠さず話した。
「ク···クァンシ様···あっ、頭オカシクなりそうです···。ずっと見られてますぅ···わたわ、私達、ヤバい悪魔に見られていますぅ···」
「ここからずっと先に···銃の悪魔なんかよりずっとヤバい···根源的恐怖の名を持つ悪魔が私達を見ています···」
全ての悪魔は名前を持って生まれてくる。
その名前が恐れられているものほど悪魔自身の力も増すという。
例えばコーヒーは熱くて苦いしなんか黒くて怖いイメージがあるから、もし『コーヒーの悪魔』がいればそれなりに強いだろう。
「彼らは超越者です···一度も死を経験していない悪魔達···」
悪魔達は地獄で生まれ、死ぬと人間達がいるこの世に転生し、さらにこの世で死ぬと地獄に転生する···つまり輪廻転生を繰り返す。
「私達は彼らに敵意を向けられた瞬間死にます」
人間が生きている限り、決して逃れられない恐怖──根源的恐怖の名を持ち、人外が跋扈する地獄で一度も死なず君臨し続ける者──超越者。
ピンツイの絶望は、決して誇張ではない。
「クァンシ様ぁ···じっ、自殺の許可を···」
「···馬鹿!私がどうにかする···」
だが···
「···あ!ああ〜!終わっちゃった!終わった!終わった!来た!来ちゃった!あ···」
「来る···闇の悪魔······」
空に数多浮かぶドアの一つが音を立てて開き、黒いインクのようなモノが地面に落ちた。
そう認識した頃には、既に闇の悪魔の“領域”に引き込まれていた。
闇が矮小な知的存在を包み、
闇に恐怖し、祈りながらも胴体を切断された11の死体が並ぶ様は、いっそ芸術的ですらある。
そして今、この瞬間も。闇の悪魔は闇に震える哀れな子羊たちを認識し、蹂躙を開始した。
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長くなりそうなので分割します。