クソ雑魚マキマさんの日常(本編完結)   作:訥々

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永遠の悪魔

おそらく唯一の戦闘回。

 

 

 

◯あらすじ

「コベニちゃん、ダブルピースでじっとしてて」

「えっ、えっえっえっえっ」

 

たたたたた······(階段を降りる音)

 

「ありゃりゃ······」

「え〜!?えっ、ええっえ〜!?」

 

原作通り森野ホテル8階に閉じ込められた一行。

永遠の悪魔戦、開始!!

 

 

────────────────────────

 

 

「8時18分···みんなは今頃、森野ホテルに閉じ込められているんだろうね」

 

「······頑張れ、()()()()()()

 

 

◆◆

 

 

《Sideコベニ》

 

ホテルに閉じ込められた私達は、ツインルームに集まって会議のようなモノをしていた。

会議の()()()と言ったのは、現状だと対処方法が全く無く、さして意味が無いからだ。

 

「状況を確認します。まず、おそらく悪魔の仕業で、8階の階段からどれだけ上り下りしても8階に着く。

エレベーターはなぜか使えない。

部屋や窓からは外に出られない。

天井を上っても8階に着く」

 

「それに······部屋の時計が8時18分で止まっています。どの部屋の時計もそうでした。

この8階だけが悪魔の力で時間が止まっている可能性があります。その場合、助けは来ないかもしれません

 

デビルハンターになってから、何度も死にそうな思いをしてきた。

だけど()()はダメだ。

倒す悪魔がどこにもいないんじゃあ、打つ手が無い。

『どうしようもない』という()()が私を覆うが──

 

「すげえ!じゃあ寝放題じゃねえか!」

「······え?」

 

──チンピラ(?)(デンジ)のブッ飛んだ発言で霧散した。

 

「馬鹿か貴様は···俺達はここで永遠に閉じ込められるかも知れないんだぞ···」

「そうなるかもしれねーし、ならねえかもしれねーだろ?分かったら起こしてくれ。······こんないいベッドがあんだ、寝なきゃ損だね。俺ぁ悪魔に感謝して眠るぜ······」

 

確かに荒井くん(バディ)の言う通りだけど、チンピラ(?)のお陰でいくらか気持ちは楽になった。

さすがに寝るのはどうかと思うけど···いや、体力を消耗せずに済むから最適解なのかも?

 

「じゃ、じゃあ私も寝よっかな···」

「コベニまで!?」

「ずっと怖がってるのも疲れるし。私は寝ます、おやすみなさい」

「ええ······?」

 

半ばヤケクソである。

 

 

◆◆

 

 

「デンジくん、コベニちゃん。そろそろ起きて」

「ん゙〜〜〜ッ、もう少しだけ···昨日は『訓練』で疲れてるんですぅ···」

「はあ······コベニちゃんって意外と図太いんだねえ。ま、大した進展もないし寝てていいよ」

 

布団を掴みながら『いやいや』すると、姫野先輩は苦笑しながらも放っておいてくれた。

 

「ん······8階から出られるようになったんすか?

残念ながらそれは無理っぽい。ただ、デンジ君が·········

 

おやすみなさい(2回目)。

 

 

◆◆

 

 

《Side姫野》

 

「───デンジ君が寝てる間に、水と電気が使えることは分かったよ。食べ物は宿泊客が逃げる時に置いてった荷物に少しだけあった」

 

寝起きのデンジくんに、現在の状況を説明する。

一端のデビルハンターとして冷静な振る舞いを心がけてはいるが、現状を打破出来る方法が何一つ見えないので気が滅入る。

 

「正直さ〜、みんな参ってきてるんだよ〜」

 

アキくんはず〜っと悪魔を探してるし、荒井くんは怖がって部屋に閉じこもってる。

パワーちゃんとデンジくん、あと未だに眠ってるコベニちゃんは結構余裕がありそうだけど···。

あれ、ガチでビビってるのは荒井くんだけだな?

 

「姫野先輩···タバコ残ってます?」

 

お、愛しのアキくんがやっと戻ってきた。

 

「残念!これ最後の一本!」

「じゃ、それくださいよ」

「え〜、しょうがないなあ〜」

 

私が咥えていたタバコを、アキくんの口に入れた。

 

「キスだ!ズルい!!間接キスだ!」

「黙れ」

 

すまないデンジくん、本気で君とキスするつもりはないんだ。からかうのが面白くてつい···。

 

「悪いニュースがある。俺達が殺した悪魔がいたろ──「ワシが殺したヤツじゃな!」······そいつがどんどん大きくなってる」

 

アキくんが()()タバコの煙を吐き出し、やや憂鬱そうに口を開いた。

······『大きくなってる』というのは、どういう意味なんだろう?

そう思いながら外に出ると、人の顔や手足がぐちゃまぜになったような、キモい形状の悪魔がいた。

こりゃ何の悪魔だ?

 

 

 

「人間···人間達よ。愚かな人間達よ。私は契約を交渉する」

「そこのデンジという人間を私に食わせろ···そいつの死体でもいい。私に食わせろ···」

 

初手で契約を持ちかけて来るか···。

自分の強さや能力に余程の自信があるんだろう。

 

「そうしたら、他のデビルハンターは全員無事に外へ帰す。無事に返す。───契約しろ」

 

一人を──デンジくんを犠牲にすれば、それ以外の全員が確実に脱出できる。

みんながデンジくんを見ながら、唐突に提示された選択肢を採るか否か考えていた。

すると部屋から、包丁を持ったコベニちゃんが出てきた。やっと起きたか〜。おそよう。

 

「───おはようございま〜す······って悪魔!?うぇっキモい!!」

「······」

「アキくん、狐でコイツ飲み込めない?」

「やってみます。···コン。······やっぱり狐は来ませんね」

 

ふむう。外と断絶されてるんだろうな。

だとしたら、狐の体は京都にあるから呼び出せない。

 

「じゃ、私のゴーストでやるか」

 

右手で虚空を握り、ゴーストの悪魔の力を使う。

すると悪魔の体がグチャ、グチャと抉れていく。

抉れる度に苦しんでいるあたり、痛みには慣れていないようだ。

しかし私が攻撃した後、どういう理屈か知らないが悪魔が肥大化した。

 

「げ〜······デカくなった!」

「無駄だ。これは私の本体ではない···ここに私の心臓は無い。ここは胃の中、私の弱点は8階には無い。私と契約する以外、生きては帰れない」

 

これは······かなりマズいかも。

 

 

◆◆

 

 

《Sideコベニ》

 

ゆっくりと、しかし確実に悪魔が肥大化していく。

私も包丁で攻撃してみたけど、そしたら急激に膨れ上がった。

おそらくは時間経過だけでなく、強い痛みでも肥大化するんだと思う。

再生と肥大化に上限が有るのかは微妙だが、私には痛めつけることしか出来ない。

 

「いっ痛ァい、あ!無駄だ!痛いィ!!」

 

悪魔の悲鳴を何度も何度も聞いたからだろう。

今の私は『訓練』の時よりも“ハイ”になっている。

悪魔も抵抗はしてくるが、その動きもはっきり目で追える。いくら斬りつけても死なない悪魔を目の前にして、頭は冷徹な思考をする。

 

「やるじゃねェか包丁女!俺も加勢してやるぜ!」

「ひぇっ、あ、ありがとうございますぅ」

「···なんかやりにくいなァ」

 

チンピラ···いやデンジさんが、胸に付いてる紐(スターター)を引っ張った。

すると彼は『チェンソーの悪魔』に変貌し、縦横無尽に悪魔を切り刻む。

包丁とは攻撃力が桁違いだ。

彼が動く度に、ド派手に血が吹き出す。

 

「アアアァ!ぎゃぁぁぁぁあ痛い!あああ!!無駄だあ!私の心臓はここには無いいぃィィ私は殺せないぞォ゙ォおおおお!!アアア痛ァい!!」

「ならとっとと自殺しろやァ!心臓出しやがれェ!!」

「死んでええええ!!」

 

攻撃力はデンジさんに任せて、私はデンジさんと自分に襲いかかる噛みつきに対処する。

近づく大口を片っ端から斬り捨て、包丁が間に合わない時は蹴りや体当たりで狙いを外す。

途中からは姫野先輩もゴーストの右手で加勢してくれたから、大分楽になった。

とは言え、私は人外じゃない。

マキマさんや岸辺隊長との『訓練』でめちゃめちゃ鍛えたけど、いずれ限界は来る。

 

「テメェが俺に切られて血ィ流して!俺がテメェの血ぃ飲んで回復···!永久機関が完成しちまったなアア〜!!これでノーベル賞は俺んもんだぜ〜!!

 

めげるな、頑張れ私!

生きて帰ってマキマさんに褒めて貰うんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが私の急所です」

「私の心臓です」

「すいませんでした···」

「痛いィィィ」

「早く殺してください」

「もう痛いの無理···」

 

 

 

不眠不休で戦い続けて()2()()くらいか。

永遠の悪魔は降伏し、心臓を差し出した。

そして差し出された心臓をデンジさんが両断し、永遠の悪魔は死亡。ようやく決着した。

 

勝った───安心した瞬間、私は気絶した。

斬れなくなった包丁を新調しなきゃなあ、などと呑気な事を考えながら。

 

 

────────────────────────

 

 

◯東山コベニ

マキマさんや岸辺隊長との『訓練』で、頭のネジが外れたヤベーやつ。

マキマさん大好きな女の子。

とは言え、基本的にはやっぱり臆病。

 

「怖かったですマキマさぁぁぁぁぁん!!いっぱい褒めてぇ!よしよししてぇぇぇぇぇ!!!」

 

おく···びょう······?

 

 

 

※次回からはマキマさんメインの話に戻ります。

 

 

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