クソ雑魚マキマさんの日常(本編完結)   作:訥々

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有り得た未来⑦ 残機

超展開注意。

 

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一切の攻撃や防御といった抵抗手段は当然通じない。まず全員が腕を切り飛ばされた。

中には全身を砕かれたり、足·首·胴を切断せられた者もいた。

···何よりも恐ろしいことに、これらの攻撃の全てを()()()()()()()()()()

闇の悪魔に近づき、害をなそうとした瞬間には既に攻撃されているのだ。

 

 

そんな中、“精巧な人形”は両腕が無くなったまま跪き、言った。

「契約通り、チェンソーの心臓を持ってきました。私にマキマを殺せる力を下さい」と。

そしてデパートの外にいた“本体”に闇の悪魔の肉片が届けられ、“精巧な人形”は役目を果たした。

 

 

暴力の魔人だけは唯一、闇の悪魔の手札を複数引きずり出せた。

コベニによってペストマスクが外され、彼は毒による“暴力”の抑制から解放されたためだ。

 

ア···アアアア···!

 

白い四つの目を見開いて飛び上がり、自らが一番得意とする踵落としを繰り出した。

 

 

瞬間、暴力の悪魔の体が複数の“円”を形どるナニカによって抉り抜かれた。

その後を追うように不完全な変身のままデンジが駆け出し、腕のチェンソーを振るう。

だがこれも不可視のナニカによって防がれ、“合掌”によって首や四肢の関節を圧し折られた。

 

それでも暴力の魔人は諦めず、“暴力”の象徴たる握り拳を口から生やして抗ったが、鈴の付いた刀によって心臓を貫かれた。

 

鈴が小さく鳴り──暴力の魔人がバラバラになったのと、マキマがこの地獄へ堕ちたのは、殆ど同時だった。

 

 

◆◆

 

 

活動を止めた“人形”の山を築きながら、マキマは怒りに震えていた。

 

暴力の魔人の正体は、ヤクザの襲撃で一度死んだ荒井ヒロカズである。

暴力の悪魔とマキマによって心臓を移植され、人間としての意識や記憶は断片的になってしまったが、それでも一命は取り留めた。

また心臓移植を行う際にマキマが緩い“支配”を掛けており、彼の身に起こった緊急事態も大まかに把握できるようになっていた。

 

「闇の悪魔······」

「マキマ様。来てはいけません」

 

プリンシの視界を掌握した*1マキマはその惨状を目の当たりにした···()()()()()()

姫野を喪ったあの絶望が呼び起こされ、怒りが“自分は生き残らなければならない”と言う理性を振り切った。

 

()()()()呼べ

「···承知致しました」

 

プリンシの身体の正中線に走るファスナーが開き、そこからマキマが現れた。

他者を遠く離れた場所へワープさせる──蜘蛛の悪魔の能力である。

 

「1000年使用」

 

マキマの右腕が闇の悪魔とはまた別種の“闇”を纏う。俊敏なフットワークで闇の悪魔に近づき、4つある頭部のうち、上から3つ目に狙いを付けて()()()()()()

決して触れられないはずの闇の悪魔を殴った···しかしこの代償は大きく、闇の悪魔に触れた右腕は天使の能力で作った“闇”が剥がれ、筋繊維どころか骨が露出してしまっている。

 

()ッ···10000年使用!!」

 

出現したのは、この世界では非実在であるはずのV3(報復兵器)を模した超巨大な大砲。

その口径は凡そ150cm。

砲弾は超高密度の“闇”を纏い、対闇の悪魔特攻兵器としての様相を帯びた。

 

「撃て!!!!!」

 

轟音が響き、闇を揺らした。

 

 

◆◆

 

 

その後も続いた熾烈な攻防の果てに、マキマは闇の悪魔を討伐した

満身創痍、体中の至るところから血を流しながら、マキマは勝利した。

 

 

しかし受難は続く。

闇の悪魔の肉片を取り込み、自らも“人形”のように変形した“本体”が襲来した。

 

「初めまして、マキマ」

「サンタクロース···いや、人形の悪魔」

 

能力を使いすぎた反動からか、今のマキマに連戦する余力は無い。苦渋の末に、マキマはデンジを戦わせることに決めた。

 

「ばん」

 

マキマは自らの掌を撃ち抜き、流れた血を横たわるデンジに与え、スターターロープを引いた。

 

「がはっ!!」

 

チェンソーが頭蓋を切り裂き、その痛みから飛び起きるデンジ。それを悲痛な表情で見つめながら、マキマは努めて冷静に情報を伝える。

 

「敵は闇の肉片を取り込んだ。闇の中での攻撃は一切通じないから気を付けて」

「闇の悪魔を斃したのは驚きましたが···もう限界のようですね」

「っ······助けて、()()()()()

 

 

その後の戦闘は“凄絶”の一言だった。

夜暗の中で悍ましい進化を遂げた人形の悪魔に対抗し、デンジは信じがたい行動を採った。

 

「これがア!光の力だああああ!!」

 

20Lのガソリンを頭から被り、両腕のチェンソーを擦り合わせて火を起こして攻撃したのだ。

チェンソーに切り裂かれ、炎に灼かれる···筆舌し難い苦しみの中でもデンジは動く。

“人形”に何度刺されようが、車に轢かれて爆発炎上に直撃しようがデンジは止まらない。

チェンソーのチェーンで“本体”を絡め取り、渾身の力で引き寄せる。

 

「オーエス!オーエス!オーエス!」

「···何故!死なないのですかッ!」

「みんなで仲良く俺を殺すのはいいけどよお···マキマさんが死んだら!!マキマさんと旅行できねえじゃねえかア!!

 

ぶっ飛んだ動機に人形の悪魔が動揺した隙を逃さず、自らのそばまでチェーンを手繰り、左足のチェーンで胴体を穿ち砕いた!

そして傍にあった車を持ち上げ、人形の悪魔に上から押し付け、燃料タンクをチェンソーでぶち抜き──

 

「これが俺のオォ···光ん力だアアアああ!!──ぎゃああああアア!!!」

 

車を爆散させ、自らも激痛に苦しみながら“光の力”でもって人形の悪魔を討伐した。

 

 

クァンシや彼女の魔人たちは、日本における基本的人権を保障するという条件の下で公安に降り、かくして世界の刺客との戦いは幕を閉じた。

 

 

◆◆

 

 

暫くしてからレゼが生存しているという情報が解禁され、デンジと同じく銃の悪魔討伐後の通学が正式に認められた。その事を知ったデンジは喜び、マキマに感謝した。

 

 

だがデンジは知らない。

“闇”の生成には余りにも莫大な寿命(コスト)が必要であったことを。

そして、身代わりの囚人はたった十数人を残して全滅してしまったことを···。

 

 

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夜明けには別々の日が昇る

 

 

 

*1
※プリンシ本人に支配してくれ、眷属にしてくれと頼まれたので渋々ながらも強めに“支配”している。

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