ひか姉に幼馴染がいたら   作:わたっくし

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リアルの方のバタバタが落ち着いたので、また少しずつですが更新していきます



お泊まり

 

 夕飯を食べ終えた私たちは、再び居間(いま)に戻ってお喋りを続けていた。

ああ、ビビった。れんげのやつ、一体いつから見ていたんだ? おかげでせっかくのカレーの味が全くしなかった。れんげの真顔って、本当に強力なんだよな……。

 

「カレーご馳走様でした! 久々にひーちゃんちのご飯食べたよー!」

 

「おーう、これからは嫌というほど食べることになるけどなー」

 

 そうなのだ。これからしばらくは、なーちゃんと一緒に食卓を囲める。そのことを考えるだけで、自然と笑みが溢れてしまう。

 そんな私の思惑に気づいたのか、このみがジトっとした目線を向けてくる。

 へへーん、悪いけどなーちゃんの親友ポジションは譲らねーぞ。私は華麗なドヤ顔をこのみに見せつけた。

 

 ムッとした表情のこのみ。そして隣には、またもや真顔のれんげ。……この二人の視線は耐え難いものがあるが、それ以上の優越感が今の私には備わっていた。

 

 体感10秒ほどの睨み合いが続いた後、思い立ったような表情をしたこのみが、すっとこちらに向かって移動してきた。

 なんだ!? 肉弾戦か!? それはちょっと勘弁してもらいたいんだけど!?

 

 内心ビビりまくっている私を尻目に、このみはなーちゃんの方へ向かっていった。なんだ、なーちゃんの方か…………なーちゃん?

 

 なーちゃんの隣まで移動したこのみは、私に見せつけるようにガバッとなーちゃんの腕に抱きつき、満面の笑みでこう言い放った。

 

「じゃあ私はこれから毎日なーちゃんとお昼食べよーっと!おんなじ学校だもんね!」

 

「ひゃっ!?」

 

 急に抱きつかれて驚くなーちゃん。こいつ……私にはないアドバンテージを持ってきやがった……!

 正直、羨ましい。私も一緒に毎朝登校したり、お昼食べたり、放課後遊んだりしたかった……!

 それにこのみの場合、休日だって遊びに行けるし…………あれ……なんか涙が出てきた……。

 

 半泣き顔でこのみの方を振り向くと、先ほど私が見せつけたドヤ顔をそっくりそのままお返しされた。

 くそっ、同じ学校だからなんだ! こっちには何年も隣で育んできた絆があるんだ!

 

 負けじと私も、なーちゃんの空いている方の腕に抱きつく。

 

「ひ、ひーちゃんも!?」

 

 悪いけどなーちゃんを渡すつもりはない。あわあわしているなーちゃんを挟んで、私とこのみの間には激しい火花が散らされていた。

 

「なー姉大人気なん」

 

「うう……二人とも、一旦離れてぇ……」

 

 蚊の鳴くような声で訴えるなーちゃん。可愛すぎて今にも押し倒してしまいそうだった。

 

 それはそうと、この辺にしておかないと本当に大変なことになりかねないので、私は腕から離れる。同時にこのみも腕から離れ、なーちゃんはほっとしたような表情を浮かべた。

 

「も〜、いきなり抱きついてくるからびっくりしたよ〜」

 

「やー、ごめんごめん。気味悪かったよね」

 

「ううん、いきなりだから焦っちゃっただけだよ」

 

 事前に伝えればお触りOKなのでしょうか。そんな言葉が口元から溢れかけたが、すんでのところで引き止めた。妹の前でこれを聞くのはアウトな気がする。

 

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 ふと時計を見ると、時刻は21時に差し掛かっていた。れんげも眠たそうにしているし、そろそろお開きかな。

 

「このみ、時間大丈夫?」

 

「心配ないよー。今日は私もお泊まりするから。もう一穂さんには伝えておいたからね」

 

「えっ、マジで!?」

 

 よく見ると、部屋の隅にはこのみの鞄が置かれていた。いつの間に準備したんだ……私となーちゃんで爆睡していた時か……。

 

「えー! このみちゃん今日お泊まりするの!? やったあ! 何年振りかなぁ」

 

 喜ぶなーちゃん。せっかく四人揃ったんだし、私の部屋じゃなくてみんなで和室で寝た方がいいかな。

 なーちゃんと二人きりで寝れないのは残念だけど、みんなで寝るのも楽しいし悪くはない。

 

「じゃあウチねえねえとお風呂入ってくるん」

 

 そう言って、れんげは姉ちゃんの方へ向かっていった。

 

 そうか、風呂……。夜9時、女三人が一人ずつ入ると考えると、いささか入浴に時間がかかりすぎる。恐らく私たちが入浴し終える頃には、れんげはぐっすりだろう。

 

 …………一緒に入るか。なーちゃんと。

 

 あくまでも、時間短縮のために。決してなーちゃんの神秘を見たいとか、あわよくば触れてみたいとか、そういうやましい気持ちは一切ない。いや、マジで。

 

……よし。

 

「「なーちゃん、一緒にお風呂入ろ!」」

 

 な、被った……!? バッとこのみの方を向くと、彼女も驚いたような表情でこちらを見た後、ニヤッとした好戦的な表情へと変わった。

 

 ちっ、このみも同じこと考えてたか。私にも言えることだが、なーちゃんに好意を向けているやつらは多い。もちろん、このみもその内の一人だ。

 昔からこういった小競り合いじみたことはよくやっていた。なんだか懐かしい感覚だが、歴代1位の対戦成績を誇る私が負けるわけにはいかない。

 

「じゃんけんでいいかな?」

 

「ズルとかなしだからなー」

 

「こっちのセリフだよー」

 

「ね、ねぇ。三人で入ればいいんじゃないかな……」

 

「凪咲、静かに」

 

 このみがなーちゃんを制止する。悪いななーちゃん、これはみんなで仲良くハッピーエンドなんて甘っちょろい戦いじゃない。

 誰かは必ず敗者となる戦い………

 

 いざ、尋常に!

 

「じゃんけんぽん!」

 

 あ、負けた。

 

「……じゃあ、ひかげちゃん、お風呂一人で入ってね」

 

「待って!!! 三回戦!! 三回戦だから!!! ウチの地元は三回戦がデフォルトで……」

 

「えー、さっきズルしないって言ったばっかじゃん。地元一緒だし」

 

「頼む……後生だから………」

 

 このみは呆れ顔でこちらを見つめていたが、しばらく何かを考え込んだ後、諦めたような表情でこう言った。

 

「じゃあもう今回はひかげちゃんに譲るよ。どうせ三回戦で私が勝っても、永遠と駄々こね続けるだろうし」

 

「え!? マジで!?」

 

「その代わり、次は私だからね」

 

「お風呂上がったーん」

 

 タイミング良く、れんげたちがお風呂から上がったので、私はこのみに感謝を伝えながら、なーちゃんと共にお風呂場へと向かった。

 

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「一緒にお風呂に入るなんて久しぶりだねー!」

 

「お、おう、そうだな……」

 

 現在、私たちは脱衣所で衣服を脱いでいる最中であった。久々になーちゃんとお風呂に入るので、緊張で心臓がバクバクしている。

 それにしても、なーちゃんの肌綺麗だなぁ。部活によって全体的にうっすらと焼けた肌色が、またなーちゃんの魅力を引き立てている。それにスタイルも抜群に良い。小柄ではあるけど全体的に程よくついた筋肉、スラっとした脚、キュっとしたくびれと共に垣間見えるうっすらと割れた腹筋。そして決して大きいとは言えないが小さくもない綺麗なむ……ね……?

 

「ひ、ひーちゃん、あんまりジッと見られると恥ずかしいかも……」

 

「うわあっ!? ご、ごめん!」

 

 私が勝手に足元から順に鑑賞会を開いている間に、なーちゃんは衣服を全て脱ぎ終わっていた。私も急いで衣服を脱ぐ。ああ、ヤバかった。あんなの3秒以上は直視できない。

 

 衣服を脱ぎ終わった私たちは、そのままシャワーを済ませて浴槽に入った。

 

「あ〜、気持ち良い〜〜」

 

「疲れが取れるねー」

 

 天国。今の状況を一言で表すなら、この言葉が最適だろう。お風呂の快楽と、隣になーちゃんがいる幸せで、どうにかなってしまいそうだった。

 

 思い返せば、今日は激動の一日だった。いつも通り帰省して、ダラっと過ごすはずだった日常が、なーちゃんが帰ってきたことにより全てが変わった。

 これでまた引越しなんてされたら、軽く1年は立ち直れる気がしない。

 

「ねえ、ひーちゃん」

 

「ん?」

 

「私ね、またみんなと会えて本当に嬉しいんだ」

 

 ………………

 

「……嬉しいけど、ちょっぴり怖かった。いきなりみんなの前からいなくなっちゃったし、もしかしたら歓迎されてないんじゃないかって思っちゃったり……」

 

 ……歓迎されてない? そんなことあるもんか。他の皆はともかく、私は一瞬たりともなーちゃんのことを忘れたことはない。

 

「……なーちゃんはさ、自分が思っているよりも周りから好かれているから、そんなに気にする必要ないよ」

 

「……本当? ふふっ、ありがとね、ひーちゃん」

 

 ……”好き”のベクトルですれ違いが起きてそうだけど、まあいいか。

 

「のぼせてきたし、そろそろ上がろっか」

 

 そう言って、なーちゃんは立ち上がって脱衣所へと向かった。それに続くように、私も浴槽から出る。

 

 いやー、良いお湯だった。やっぱりなーちゃんと入るお風呂は格別だ。心なしか、体調もここ最近で一番優れている気がする。

 

「さっぱりしたねー」

 

「私んち、お風呂デカいからなー」

 

 お風呂から上がった私たちは、二階の寝室へと向かっていた。

 

「そういえば、明日はどうすんの?」

 

「んー、楓ちゃんとこ遊びに行った後、時間があったら夏海ちゃんたちのとこも行こうかなーって感じ」

 

 ……駄菓子屋のやつ、なーちゃんが引っ越したしばらくの間むちゃくちゃ落ち込んでたし、帰ってきたって知ったらすごいリアクション取るんじゃないか……?

 

「よーし、じゃあ駄菓子屋んとこはアポ無しでいこうぜ! 駄菓子屋がどんな反応とるのか気になるし!」

 

「うーん、まあ面白そうだしいっか」

 

ふふ、また一つ楽しみが増えてしまったぜ。

 

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「じゃあみんな、おやすみー」

 

「おやすみー(なーん)」

 

 ……こうやってみんなで寝るのも久しぶりだ。昔はここに駄菓子屋がいて、今はれんげがいる。世代の移り変わりと言うには大げさかもしれないが、確かに時の流れを感じる。

 

 今のところは姉ちゃんも駄菓子屋もここで暮らしているけれど、私たち(ひかげやなーちゃん)がどうなるのかは分からない。

 都会の方で就職して、そのまま向こうで暮らすなんてことも有り得る。もしそうなった場合、れんげたちは寂しくないだろうか。

 

 確かにここは田舎だし不便なことも多いけれど、都会では得られない思い出もたくさんあって、そういった思い出が無くなってしまうのは嫌だな……。

 

 …………いやいや! 今そんなこと考えてどうするんだ私! 未来のことを思っても仕方ないんだし、今に集中しろ!

 

 久々にみんなで寝たもんだから、らしくないことを考えてしまった。とりあえず寝て起きたらこんなこと忘れているんだし、さっさと寝よう。

 

 おやすみー

 

……………………

 

………………

 

…………

 

「……ひーちゃん、起きてる?」

 

「……うん」

 

「ふふっ。……あの、お風呂の時、ありがとね。とっても元気出たんだ。私も、ひーちゃんのこと、……大好き、だからさ」

 

 ……それはズルいよ、なーちゃん。部屋は真っ暗だが、その中でも分かるくらい私の顔は真っ赤に染まっていた。また寝れなくなっちゃったじゃんか!!!

 

 結局眠るのに30分くらいかかった。

 

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「……このみちゃんも大好きだよー?」

 

「あ、あれー? バレてた……」

 




もうちょい会話文増やした方がいいかな....
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