ひか姉に幼馴染がいたら   作:わたっくし

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 お久しぶりです!リアルの方が一段落ついてきたのでまた再開していければなと思います。



一条蛍

 

「はっ!? お、おい蛍、何聞いてんだいきなり!」

 

「あ、あれ? 私、何か言っちゃってました?」

 

「流石アグレッシブほたるん、見境ないのんなー……」

 

 ア、アグレッシブほたるん。そんなモードがあるのか、この子には。急に突拍子もないことを聞かれたから、ビックリしちゃった……。

 

「……で、実際いるの? その、彼女とか……」

 

『それはそうと』といった具合に、ひーちゃんがこちらの様子を伺ってくる。

 

「え? なんでひーちゃんが」

 

「いいから! いるの? いないの?」

 

「い、いないけど……」

 

「彼氏も?」

 

「う、うん。というか、まだ人生で一度も誰かと付き合ったことがないなあ……」

 

 私がそう言うと、ひーちゃんだけでなく蛍ちゃんもホッとしたような表情を見せた。その反応はちょっと失礼じゃない? いや、別にいいんだけど……。

 

「そ、そうだったんですね。いきなりこんなこと聞いちゃってごめんなさい……」

 

「ううん、大丈夫だよ。それに蛍ちゃんの方こそ恋人がいるんじゃない? こんなに可愛いんだし!」

 

「か、かわ……!?」

 

 途端に蛍ちゃんの顔が真っ赤になった。熱でもあるのかと心配になっておでこに手を当てると、さらに赤くなってしまった。

 

「え、えへへ〜」

 

「あーもうストップストップ! 凪咲もそんな頭撫でんな!」

 

 そう言ってひーちゃんが間に入り込んできた。そ、そんなに力強く引き離さなくても……。

 

「それで、凪咲センパイはどうしてここに戻ってきたんですか?」

 

「せ、センパイ……! えっと、簡単に言うとその……みんなに会いたくなっちゃって……」

 

 改めて理由を話すと、ちょっと恥ずかしい……。チラッとひーちゃんの方を見ると、ちょっとニヤニヤしてるし。

 

「ふふっ。優しいんですね。…えーっと、ちなみに年齢って……」

 

「あ、ひーちゃんと同じ高校1年生だよー。学校は違うけどね」

 

「あーもう! 私も凪咲んとこの学校いけば良かった……」

 

 頬杖をついたひーちゃんが不機嫌そうに言う。まあ流石に私が帰ってくるなんてことは予想出来ないだろうし、仕方ないか。

 

「ちなみに蛍ちゃんはいつからここに?」

 

「あ、新学年が始まったのと同時に転校してきました。最初の方は慣れないこともたくさんあったんですけど、みんな優しくしてくれて今では毎日が楽しいです!」

 

「ほたるんはおよそ小学生とは思えないほど大人びてるん。言葉遣いも丁寧なん」

 

「れんちゃんも相当だと思うけど……」

 

 ふふっ。楽しそうでなによりだ。学校には夏海たちもいるし、遊び相手には困らなさそうだね。

 

「お前ら、ご飯出来たぞー。取りにこーい」

 

 ワイワイしていると奥の方から楓ちゃんの声が聞こえてきた。私たちは会話を切り上げて、香ばしい香りの漂うキッチンへと向かっていった。

 

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「美味しそうなーん!」

 

「うわあ。私、ミートパスタって久しぶりに食べます!」

 

「駄菓子屋って料理出来たんだ……」

 

「いい加減にしろ、マジで」

 

 ひーちゃんが楓ちゃんに睨まれている。……口には出さないけど、正直私もここまで楓ちゃんが料理出来るなんて思っていなかった。ミートソースなんかも手作りっぽいし、だいぶ本格的だ……!

 

「駄菓子屋ー、もう食べちゃって良いよね?」

 

「おう。食え食えー」

 

「「「「「いただきまーす」」」」」

 

 そう言って私たちはミートパスタを食べ始めると……

 

「うまっ!?」

 

「お、美味しい……」

 

 ……すごく美味しかった。濃厚なミートソースと、もちもちのパスタがこれ以上ないほどにマッチしている。

 驚いた私たちは、次々に称賛の言葉を浴びせる。笑顔が隠せてないよ、楓ちゃん!

 

「とっても美味しいです! 駄菓子屋さんって料理出来たんですね!」

 

「ほ、蛍ちゃんにまでそう言われるかー……」

 

 悪意のない純粋な感想が楓ちゃんを襲う!…でもこの辺には飲食店はおろか、コンビニもほとんど見当たらないし、一人暮らしをしていくなら自炊スキルも上達していくのは自然なことなのかな。

 

「ごちそうさま。美味しかったよ、楓ちゃん! 今度私が何か作ってあげるね」

 

「「えっ」」

 

 私がそう言うと、何故かひーちゃんと蛍ちゃんもこちらの方に振り向いてきた。

 

「あ、明日の夕飯私が作るよ! 東京の一人暮らしで料理上手くなってるかもだし!」

 

「センパイも私の家に遊びに来てください! ご馳走します!」

 

「う、うん。じゃあお願いしちゃおうかな〜……」

 

 そう言うと、二人は満足げな顔をして食事に戻った。なんだったの一体……。

 

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 皆さんこんにちは。一条蛍です。4月にここに引っ越してから、しばらく時間が経ちました。色々慣れないこともあったけど、みんな優しくしてくれて、今では毎日が楽しいです!

 

 今日も私は小鞠センパイの家に遊びに行く予定でした。その道中でお菓子を買おうと駄菓子屋に寄り道したのですが、いつもは店番をしている駄菓子屋さんが今日は見当たりませんでした。

 

「すみませーん……」

 

 奥の方にいるのかな? と思って声をかけてみると、奥の方から足音が聞こえてきました。よかったあ。これでセンパイと一緒にお菓子が食べられる。そう思って奥からやってくる人物を待っていると……

 

「あー、すみません。楓ちゃんちょっと今手が離せなくて、少しだけ待ってて欲しいです」

 

 …………天使がいました。

 

 小鞠センパイほどではないにしろ、小柄で可愛らしい体形、あどけなさが残りつつも凛とした端正な顔立ち、キラキラと光を反射するほどに美しい銀髪、透き通ったみずみずしい声……まさに天使といって差し支えない姿でした。

 

 こんな人、ここにいたっけ……?

 

 私が動揺であうあうと上手く声を出せないでいると、遅れてひかげさん達がやってきました。

 

「あ、そっか凪咲は知らないのか。こちら、最近引っ越してきた蛍ちゃん」

 

 凪咲……この人の名前かな? そう思いつつ、ひかげさんから紹介された私は、凪咲さんに自己紹介をしました。

 

「と、東京から来ました。一条蛍、小学五年生です」

 

 そう言うと、ひーちゃんさんは「小学五年生!?」と声をあげて驚きました。うう…やっぱりそういう反応になっちゃいますよね……。

 

 そんなことを思っていると、凪咲さんがこちらの方へと向かってきました。……………あれっ? 近い近い! 近いですよ!!

 

「驚いちゃってごめんね。私、久高凪咲。小学生の途中までここに住んでて、昨日帰ってきたんだ。こう見えても私、先輩だから、何か困ったことがあればいつでも頼ってね! 蛍ちゃん!」

 

 すっごく可愛い顔と声で、しかも至近距離で自己紹介された私は、とてもじゃありませんが冷静さを保っていられませんでした。…正直、後半のほう聞き取れなかったな……。

 

 その後はセンパイ達と一緒にお昼ご飯を食べることになりました。話の流れで知ったことなのですが、凪咲センパイはまだ誰かと付き合ったことが一度もないそうです。こんなに可愛いのに……。もしかしたら美少女すぎて、逆に誰もアタック出来なかったとか……?

 

 ……嬉しいですけど。

 

 この後は皆さんも小鞠センパイ達の家に向かうそうです。まだ凪咲センパイが来たことは教えていないそうで……ちょっぴり反応が楽しみです。

 

 ……凪咲センパイを見た時に感じた、小鞠センパイに抱いたものとはまた違ったこの感情、大事にしていきたいな。今日は駄菓子屋さんに来て良かった。私はこの日を忘れることはありません。

 

 

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 ……くそー、予想はしてたけど、まさか蛍までこうなるなんて……。あれは完全に恋をしている人間の目だった。またライバルが増えちゃったな……今でさえこのみや駄菓子屋もいるのに……。

 

「ふふっ、小鞠ちゃんたち、私のこと見たらビックリするかなー?」

 

 ウキウキしているなーちゃん、かわいい。

 

 昼食を食べ終わった私たちは、現在夏海の家に向かっていた。ちなみに駄菓子屋は店番のため、ここにはいない。

 

「そういえば今日、このみさんはいないんですか?」

 

「あー、このみは部活。土曜日なのに大変だよなぁ」

 

「吹奏楽部って、下手な体育会系よりも全然大変そうだよね……。まあ私はテニス部入るんだけど」

 

「へー、テニス……えっ! 凪咲センパイってテニスやってるんですか!?」

 

 まあー、その反応になるよな。パッと見、凪咲って華奢だし、正直テニスに向いている体型とはお世辞にも言えない。それでも大会で好成績を残すもんだから、大したものだ。

 

 ほらー、またなーちゃんが蛍に二の腕を見せつけて…………ちょ、蛍触りすぎ触りすぎ! またなーちゃん顔赤くしちゃってんじゃん! というかなーちゃんも安易に体を触らせすぎ! 全くもう、コイツらは……。

 

「………ひか姉もガッツリ触ってるん……」

 

「いや、良いじゃん別に」

 

「良くないよ!?」

 

 そう言って私たちを振り払い、距離をとるなーちゃん。焦ってる姿も可愛いな、全く。…そうそう、こうやって息を荒げながら顔を赤くしてこちらを睨むような仕草が…………うん、エロい。

 

 ……あ、ダメだ蛍が人様には見せられない顔をしちゃってる!!! このままじゃれんげに悪影響だ! どうにかしてこの変な雰囲気を打破しないと……!

 

「そ、そういえば凪咲はテニスで県ベスト8まで行ったんだよな!」

 

「へ……? あ、そ、そう! こう見えても私、テニスは結構強いんだよー?」

 

「へぇー! いつかセンパイがテニスしているところ、見て見たいですー!」

 

「えへへー。近いうちに大会があると思うから、その時になったらまた教えるね」

 

「はい! 楽しみにしてます!」

 

 ふー、良かったよかった。これでさっきの変な雰囲気は完全に払拭された。恥ずかしがってるなーちゃんも良いけど、やっぱり笑顔が一番似合うよなーちゃんは。

 

 そんなこんなでワイワイと話しているうちに、夏海の家に到着した。

 

「うわー、あの頃と全然変わってないなぁ」

 

 越谷家を目の当たりにしたなーちゃんが言う。みんなで遊ぶ時は大体越谷家だったもんなぁ。

 

 さて、二人を驚かせてやろうとインターホンに指をかざしたところで……

 

「あれ、ひか姉。帰ってきてたんだ」

 

 庭の方を振り向くと、そこには庭掃除をしている小鞠がいた。

 

「あ、小鞠センパイ!」

 

「やっほー、蛍」

 

 庭掃除を中断した小鞠が、こちらの方へと近づいてきた。

 

「こまちゃんにゃんぱすー」

 

「だからこまちゃんゆーな!……もうー、何回言ったら分かるのー」

 

 はあとため息を吐く小鞠。

 

「……えっとそれでー、そちらにいる方はー……」

 

「あれ? 小鞠、気づかない?」

 

「えっ、気づくって、何を…」

 

 笑顔で小鞠を見つめるなーちゃん。同じく少したじろいだ様子でなーちゃんを見つめる小鞠。初めの方はただただ困惑していた小鞠だったが、時間が経つにつれ、表情を驚きへと変化させていった。

 

「……嘘………な、なーちゃん?」

 

「正解ーー!!! 久しぶり、小鞠ちゃん!!」

 

「ええええええええええええ!? 嘘!? なんで!?」

 

 よほど驚いたのか、普段の小鞠からは考えられない声量が発せられている。

 

「ほ、ほんとになーちゃん? 定規落としで30センチものさし使ってた……」

 

「う、うん。そのなーちゃん。よくそんなこと覚えてたね……」

 

「……!!!……な、夏海にも教えてくる!」

 

 そう言って小鞠はドタドタと家の中のほうへと向かっていった。

 

「そ、想像してたよりも驚かれちゃった」

 

「まあー、あいつらめっちゃ凪咲に懐いてたし。余程嬉しかったんだろうな」

 

 私と違ってなーちゃんは年下に対しての包容力みたいなものがあるから、ちびっこに懐かれやすいタイプなんだよな。私もなーちゃんの胸の中で抱かれたい……。

 

「だから、なーちゃんが帰ってきてるの!」

 

 適当に時間を潰していると、家の方から声が聞こえてきた。

 

「いや、無理があるってその嘘はー。そんなこと言ってウチに庭掃除手伝わそうとしてるんでしょー?」

 

「騙そうとしてないから! いいから来て!」

 

 小鞠がぐいぐいと夏海を引っ張りながらやってきた。夏海のやつ、全然信じていないっぽいな。

 

「ほら! あそこ!」

 

「はいはいうわー本当だー………ぁ………」

 

 ……………こちらを見てから微動だにしなくなった夏海に、なーちゃんが声をかける。

 

「夏海ちゃーん! 久しぶりー!」

 

「……ほ、本当だあああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

「だから言ったじゃん!」

 




(ひかげの「なーちゃん」呼びですが、人前では「凪咲」呼びするように変更しました。)
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