転生したら魔導王の子だった   作:又三郎

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ルーデウス「魔力が回復した気がするけど、まさかな…」
神子バレはまだ先。

感想、評価、お気に入り登録ありがとうございます。


第二話 妹と弟が生まれたよ!

 

 

 

 ルーデウスパパに触れた瞬間気絶した。

 何だったんだあれは。

 飯食って寝てシルフィやノルンにちやほや甘やかされたら回復したけど。

 役得役得。

 

 おかげでしばらくルーデウスの頬ずりを拒否する口実ができた。

 こわい! パパこわい! ってな。

 まあ、使えて一、二回の口実だ。

 

 ルーデウス「アホのペトラがいつまでも昔のことを覚えてるのはおかしい……さてはこいつ、転生者か?」

 

 と、ずっと拒否しているとこうなりかねない。

 別に転生者バレはいい。ルーデウスなら、なんやかんや許してくれるだろう。

 明かすタイミングが重要なのだ。

 ギースとバーディガーディが使徒やで、とでも伝えてみろ。

 それで着地点が原作よりも良いものになるならいいが、味方の行動が変化すれば敵の行動も変化する。

 万が一原作に変化が起こり、家に剣神ガル・ファリオンでも乗り込んできたら一家全滅である。

 ビタの夢から覚めるための必須アイテム、ラクサスの骨指輪を使徒によって取り上げられるかもしれない。

 ルーデウスは幸せな夢に囚われたまま一生でてこれなくなる。

 こんなふうに、本筋から大きく離れた場合の未来は、俺の手に負えないのだ。

 だから、少なくとも、ヒトガミとの大きな戦いが終わるまでは秘密。秘密のペトラちゃんだ。

 

 一生明かさずに済むならそれでもいいさ。

 必死に生きてた自分の人生を、実は物語として知ってました、だから好きです、なんて言われても微妙な気持ちになるだろう。

 

 

 ルーデウスがオルステッドの配下になって直近のイベントといえば、守護魔獣の召喚だ。

 庭に家族が集められ、ルーデウスが召喚の儀を行う。

 ルーシーはシルフィママに、俺はノルンに抱っこされて見学だ。

 まだ龍神に対して信頼が薄い時期だからか、不安そうな者も多々。

 俺は大丈夫だって知ってるけどな。

 ぱちぱちとノーテンキな拍手で場を和ませる。

 

 いけ! やれー!

 アルマンフィを一本釣りしてキャッチアンドリリースだ!

 

「いでよ、守護魔獣!」

 

 ルーデウスの掛け声の後、魔法陣が光る。

 うおっまぶしっ。

 CGでも機械でもない、魔力による光は神秘的だ。

 原作通りアルマンフィが現れ、ブチ切れてルーデウスを恫喝。ぽかんとしていた空気は一気にピリついた。

 ルーシーちゃんが泣きそうじゃないか。

 

 ルーデウスの命令によりヒュンッと消え、しばらくして戻ってきたアルマンフィは新たな魔法陣を描いた紙をくれた。

 うん、小説と同じだ。

 

 アルマンフィはまた戻る前に、俺に視線をくれた。

 白い仮面の両目部分に穿たれた穴から、こちらを見ている。

 俺をスキャンするように動く瞳は金色である……ような気がした。

 人間にしか見えないが、精霊なんだよなあ。

 視界はペルギウスと共有もできるんだっけ。

 

「発育に異常はないか。その子は」

「はい、おかげさまで」

 

 俺?

 どうした急に。親戚の子を構いたくなったみたいな心情か。

 

「にゃーにゃ!」

 

 サービス精神旺盛な俺は、ノルンの腕の中から身を乗りだし、アルマンフィ――正確にはその仮面――を指さしてやった。

 前世いい歳した男の発言だと思うとキモいが、今の俺は2歳未満の女児。ふりまく可愛らしさは惜しまないことにしている。

 ちなみに、アルマンフィの面が狐だってのは知っている。

 だが、わんわん()にゃーにゃ()は教えられてるけど、狐はまだ知らないことになってるんだよな。

 そんな俺がいきなり「FOX!」とか言い出しても不自然だ。

 三角の耳だし、猫に見えないこともないから、にゃーにゃで通す。

 

「かわいい……!」

 

 ノルンに効いた。メロメロだ。

 シルフィも「にゃーにゃいるね」と俺の手を思わずといった感じで握り、軽く上下に揺らす。

 

「ペルギウス様が興味をお持ちだ。ペトラ・グレイラットを空中城塞に連れて来い」

「はあ……まあ、この子がもう少し大きくなったら、そうさせてもらいます」

「数年は待とう。ペルギウス様は寛大であらせられるゆえ」

 

 ホワイ? 

 歯切れの悪い返事をしたルーデウスを残し、ふたたび光になって消え失せるアルマンフィ。

 俺、こんどペルギウスのところに連れて行かれるの?

 人体実験とかされるのか?

 

「ぱぱー!」

 

 嫌だー!

 俺を守ってルーデウス!

 

 

 あ、レオはきちんと召喚された。

 大森林の聖獣様は、でっけーモフモフだった。これでまだ子犬サイズとは恐れ入る。

 ルーシーは怖がって逃げたが遠目から興味ありげに眺め、ノルンとアイシャは大はしゃぎでモフり倒していた。

 まあ、一番レオが懐いてるのはロキシー……の胎の中にいるララだ。

 レオはララが好き。俺はレオが好き。

 ララが生まれてレオが本格的にララに付きっきりになる前に、今はせいぜい三角関係を楽しもう。

 

 

---

 

 

 妊娠したロキシーを残し、家からルーデウス、シルフィ、エリスがしばらく家を留守にした。

 アリエルを王に押し上げるために頑張っている時期だと察しがつく。

 これが終わったらシルフィは子育てに専念するようになるはずだ。

 特に忙しい時期が、まだルーシーが物心つく前でよかったな。

 おかげでルーシーもそんなに寂しそうにはしていない。

 ママがいなくても、家には誰かしらいるし、俺が遊び相手だ。

 でも、あんまり留守が長いと顔を忘れられるぞ。

 

 

 ロキシーのでべそを舐めているルーデウスを見て、アスラ王国編が終わったのを知った。

 

 

 あれから数ヶ月。

 無事にララが生まれた。妹の誕生は嬉しいが、出産は痛くて辛そうで、俺は震えた。

 できれば一生独身か、女の子の恋人が欲しいんだけどなー。

 中身が男とはいえ、体はまぎれもなく女の子。世間体的には同性愛者になる。

 理解のある恋人も見つかるかわからんし、どの程度まわりに理解があるかも分からない。

 将来のジークやララ、リリみたいに、家でのんべんだらりしていたら、縁談の話とか持ってこられるんだろうな。

 うおお、どう断ろう……。

 

 まだ先の悩みは置いておいて、ロキシーとララだ。

 出産後は新生児優先になりがちで、それで病む母親もいるってどこかで聞いたことがある。

 うちに限ってはルーデウスが嫁への感謝を忘れないから大丈夫だとは思うが、ロキシーの横たわるベッドによじのぼり、汗ばんだ頭を撫でてやった。

 

「ペトラお嬢様の時は、一時はどうなるかと……」

 

 ロキシーの出産では冷静に立ち回っていたリーリャが、その光景を見てほろりと泣いた。

 俺はなかなか生まれてこなかったらしい。苦労をかけるね、シルフィママン。

 喉元過ぎれば熱さを忘れるというやつか、シルフィはほやほやっとしている。

 

「ノルンの時も難産だったよな」

「お父さんから聞いたことはありますけど……こんなに大変だったんですね。えっと、無事に産んでくれて、ありがとうございます、お母さん」

 

 ノルンがお礼を言ってもゼニスに目立った反応はない。

 この状態になって長いし、今さら悲観するような事ではないが、まだ未成年なのに生みの母親がこうなってしまったノルンも可哀想だな。

 

「次は私の番ね!」

 

 最近身ごもったエリスが意気込む。

 妊娠初期とは思えないほど動き回っているエリスだが、確かに次は彼女の番だ。

 アルスが生まれる。数年後にはジークも。

 弟は、一般的には姉の理不尽に耐えなきゃならない生き物とされる。

 ルーシーは弟妹にも厳しい代わりに理不尽はしなさそうだから、大丈夫だとは思うが、将来のグレイラット家の子供の男女比は4:2。すっきりさせると2:1。

 時には男子陣が劣勢になることもあろう。

 しかし俺はいつだって弟の味方、ダダ甘な姉ちゃんになってやる。

 楽しみだ。

 

 

 アルスが産まれる前に、俺は3歳になった。

 赤子の時の予感通り、着実に美幼女への成長を遂げている。

 金髪に、翡翠色のタレ目、泣きぼくろ。

 全体的にルーデウス似だな。

 ルディ子(金髪バージョン)じゃないぜ。

 

 玄関に置かれた姿見に映る自分を眺めていると、ルーデウスとルーシーが帰ってきた。

 おうおう、二人でどこに行ってたんだよ。

 ルーシーはニコニコで俺に報告した。

 

「あのねー! パーパいたの!」

「パーパ?」

 

 いたも何も、今もいるだろ。お前の後ろに。

 

「ルーシーちゃんや、オルステッド様はね、パーパじゃないんだよ」

「おーすてっパパー!」

 

 ただいまもそこそこに、ルーシーは笑顔でドタドタと走っていった。

 よほど外出先が楽しかったとみえる。

 これはあれだな、オルステッドにルーシーを会わせてきたんだろう。

 ていうか、ルーシーがオルステッドに肩車されたのって、今日か。

 俺も見たかった。

 呪いの効きを確かめるなら二人とも連れてく必要はないけどさー……。

 やっぱりファンとしては、上位に見たいシーンであるわけよ。

 見逃した。マジ萎え。

 

「めっ」

 

 パパの座を爆速でオルステッドに奪われ、玄関でうなだれているルーデウスの頭をぺちんと叩く。

 けっ、いい気味だ。

 

 

---

 

 

 ノルンが生徒会長になったらしい。帰省日の夕飯時、そんな報告をされたあと、「……スピーチの最後に転んでしまいましたけど」と落ち込んでいた。

 読者から見たら可愛いエピソードの一つに過ぎないが、本人視点では大事な場面でのヘマだ。落ち込むだろう。

 

「のんたん、転んだの? えーんした?」

「泣かなかったよ、ペトラは優しいね」

 

 純粋に心配していうと、ノルンは微笑んだ。可愛い。

 そんなノルンを元気づけてやろうと、「あたしもせーとかいなる! のんたんといっしょ!」と宣言。アイシャがぷっと吹き出した。

 俺が入学する頃にはノルンはとっくに卒業済みな事は知ってらい。

 でも、可愛い姪にこんなふうに言われたら嬉しいだろう。

 ノルンは喜んだ。計画通り。

 

 

 ノルンが生徒会長になったのと同時期に、エリスが大きな猫を拾ってきた。

 しかし大きな猫はすでに誰かの飼い猫であった。

 そう、奴隷という名の家畜だったのだ。

 取り戻しにきた飼い主(奴隷商人)にはルーデウスが交渉し、大きな猫はめでたくうちの奴隷になった。

 俺はルーシーと交渉の様子を眺めていた。

 ルーシーは途中で別のことに興味を取られて去っていったが、俺は最後まで見届けた。

 ありゃ怖いわ。表面上だけは穏便なヤクザかと思ったもん。

 うちだと良いパパなんだけどな。

 

 そんなこんなで買われた奴隷の名はリニア。立派なものをお持ちだが、あまり賢そうではない。

 なんやかんや獣族を見るのはギレーヌ以来だ。

 しかもメイドという属性付き。

 

 ルーデウスをボスと慕い、ことによっては下剋上も狙う野心家。

 憎めない猫だ。

 せっかくだしリニアの生ボスが聞きたい。

 

「りにあー、ぼしゅってゆって」

「お? 何ニャ。あちしをボスと認めたのか? 賢い舎人は好きニャよ」

「リ ニ ア」

「へ、へへっ……冗談ですニャ……。お嬢様、肩でも揉みますニャの……」

 

 3歳児のふにゃふにゃな肩なんて揉んでどうするんだよ。

 圧をかけたルーデウスにリニアはぶるりと震え上がり、浅まし笑いを浮かべて俺に揉み手をしつつ近づいてきた。口調もプルセナ成分が混ざっている。

 この態度の変化を見ると、やはりルーデウスが上の立場なのだと実感する。

 

 とりあえず俺も上下関係を教え込むために、リニアを四つん這いにさせた。

 背中にまたがり、部屋を練り歩かせる。

 お馬さんだ。どうどう。

 

 俺のようなクソガキにまでいいように扱われるのは屈辱であるのか、リニアは悔しそうにしていたものの、ルーデウスの手前である。

 媚びへつらう笑みを浮かべ、大人しく馬になっている。

 そろそろ解放してやるか。

 俺にこき使われたリニアは、「やれやれニャ」と腕で額の汗を拭い、ルーデウスに話しかけた。

 

「ボス、1回上下関係を明確にしてくれないとあちしは混乱するニャ。ララが下なのはわかるニャ、一番あとに生まれたんだからな。

 でも、ルーシーとペトラはこの家ではどっちが偉いのかニャ?」

「だれが偉いも偉くないもないよ。みんな平等にうちの子だ」

「えー……でもぉ、群れではけっこう違う立場ニャよ、おb」

 

 何か言いかけたリニアの口をルーデウスが塞ぐ。

 もちろん手でな。唇じゃないぞ。

 スパァンッ! と良い音をたて、リニアは言葉を封じられた。

 

「黙れ」

 

 目を白黒させながら、リニアはコクコクとうなずく。

 獣族は同時に複数人産むことが多いと聞いたが、双子でも生まれた順番によって上下関係が決まるのだろうか。

 誕生のたった数十分の差が、群れのヒエラルキーに影響してくるのだ。

 大変だな、獣族。

 

 

 リニアは外見こそ大優勝していたが、アイシャとの相性は悪いみたいだった。

 人間的な相性は別に悪くないんだろう。ただ、先輩メイドと後輩メイドとしては、噛み合わない。そんな感じだ。

 家の雰囲気がどことなく悪くなっている。

 これ、基本家にいるしかない俺にはきついな。

 ルーシーもシルフィとルーデウスをくっつけてとりなそうとしていたし。

 まあ、まだ幼い子供だから、くっつけるって言っても物理以外はない。ルーデウスかシルフィをひっぱってきて、同じ空間に置こうとしているだけだ。

 

 ルーデウスも遅れてこれはまずいと思ったのだろう。

 原作通りルード傭兵団を創設し、リニアには所長の仕事を与えた。アイシャには顧問を任せたらしい。

 こうしてリニアは、ニャハハと笑ってうちから去っていった。

 

 じゃあな、猫耳生意気メイド。お前のことはけっこう好きだったぜ。

 

 

---

 

 

 ルーデウスとロキシーがシーローン王国へ向かった。

 ジュリが代わりにうちで過ごすことになる。

 彼女はまだ12歳とかだっただろうか。

 炭鉱族だから背も低いし、もっと幼く見える。

 

「パーパいなーい……あおママいなーい……」

 

 ルーシーはしょんぼりしている。

 ルーデウスに若干の人見知りを発揮していても、いなかったらいないで寂しいのだ。

 三嫁の呼び方が決まったのは原作ではもっと後だが、俺が勝手に青ママだの赤ママだのと呼び始めたおかげで、なんとなくその呼び名が定着した。

 

「パパもママも、かぞくのために頑張ってるの。ルーシーのこと大好きだからだよ!」

 

 3歳にしては物分りが良すぎるだろうか。

 いつもシルフィたちが俺らに言い聞かせてることだから、不自然ではないはずだ。

 

 慰めてやったつもりだが、ルーシーはムムムとふくれっ面だ。

 

「だめ! いっしょじゃなきゃ嫌なのー!」

 

 まあ、子供だしこうなるわな。

 地団駄をふみそうなルーシーを連れてジュリに近づくと、土魔術で簡単な土人形を作ってくれた。

 わーすごーい! と、ルーシーと喜ぶ。

 SDロキシー人形をもらって、ルーシーもいい感じに気がそれたようだ。ホッ。

 

「初めまして、グランドマスターの娘さま」

「ジュリおねえたん。はじめまして、ペトラですっ」

 

 ジュリにとって人間語は異国語だ。

 喋る速度はゆっくりだが、不自然なところはない。

 

「ペトラさま、いま、幸せですか?」

「うん!」

 

 突然なんだと思ったが、にっこり笑ってピース。

 合法的に三嫁をママと呼んで甘えられる生活は最高だ。

 ノルンは特別可愛がってくれるし、ルーシーもララも可愛い。

 あとはヒトガミに気づかれず、最終回までゴールインだ。

 ルーデウスと嫁たちの4Pをもって、この戦いを終える。

 

「ジュリは、むかし、一家ごと奴隷の身に落魄しました」

 

 急に難しい言葉使うじゃん。

 

「両親はべつべつの人に買われました。代わりにジュリを育ててくれたのが、マスターと、グランドマスターです。

 ジュリは幸せです。お父さんと、お母さんがいなくても」

 

 イイハナシダナー(例の顔文字)

 ルーデウス曰く「死にたがっている奴の目」をしていた幼い奴隷が、言葉、礼儀、魔術を教えられて、自分は幸せだと胸を張って言える。

 ジュリはシャリーアで売られていた奴隷だから、ザノバに買われなかった世界線ではどうなっていたんだろうな。

 別の人に買われたならいいんだが、もしかしたら最悪の環境で病気になって死んでいたかもしれないな。

 ザノバがラノア魔法大学に留学という名の国外追放をされていなかったら、ジュリの今の人生はない。

 ザノバがシャリーアに寄越されたきっかけはルーデウスだ。

 こういう話を聞くと、しみじみと感慨深くなる。

 ルーデウスが転生したことに、大きな意味はあったのだ。

 ダメニートだった奴の前世の軌跡にも、意味はあったのだ。

 

「グランドマスターは、ペトラさまのことも、愛しています。覚えていてあげてください」

 

 ジュリはそう締めくくり、俺の頭を撫でた。

 喋りながらも作っていた土人形は、ルーデウスの形をしている。

 

「ペトラさまにあげます」

 

 わーいわーい。

 このルーデウス人形は俺のもんだ。

 

 愛してる、か。

 ルーデウスから言われるならハイハイまたかって流すんだけど、人から言われると照れるな。

 

 

 そうして、エリスも出産した。

 エリスの体格が良いためか、超安産&スピード出産だ。

 初産とは思えないと産婆は感心し、エリスは当然よ! という顔をしていた。

 お猿さんみたいな顔に赤髪のはりついた赤ん坊は、やはりアルスと名付けられた。

 やったねペトラちゃん! 弟だよ!

 

 弟誕生から十日ほど経ち、ルーデウスとロキシーもザノバを連れて帰還。

 泣きながらザノバに飛びつくジュリ、そして妹二人に挟まれてアルスを抱いて泣くルーデウスを見て、ザノバ編の終わりを知る。

 

 ジョブレスでパックスJrを気にかけたりと、パックスを死なせたことはこれから何十年もルーデウスの負い目になるのだ。

 こうも大の大人に泣かれると、原作知識を持ちながら何もしなかった罪悪感がな……。

 

 アルスを囲む三人に近づき、ルーデウスを見上げる。

 

「ぱぱ、泣かないで?」

「ぐすっ……ペトラ、俺、頑張るから……死んだ父さんの分も、お前たちの支えになれるように、頑張るから」

 

 パウロの死後に生まれた俺は、家族の死をどうしても想起させたらしい。

 さらに泣かせちまった。

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