【カオ転三次】今更転生ごちゃまぜサマナー   作:ふーじん

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27話:カス子ちゃんは遊びたい!

「最近真面目に働きすぎた気がする!!!!」

「どうしたの急に?」

「どうしたもこうしたもねぇよ! この命子さんともあろうものが世のため人のため、日夜あくせく汗水流して働くなんて間違ってるぜ!」

 

 どうも命子さんです。日本神解放作戦お疲れ様でした。

 連合総動員で全国各地の大型異界を一斉攻略し、封印されてた日本神(及び一部外国由来の悪魔)を解放して一段落した頃。

 無事普段通りの日常業務に戻ってしばらくしたある日、ふと思っちゃったんだよね……あたし、働き過ぎじゃね? と!!

 

 この命子さんともあろうものが、格下のぺーぺーのためにせこせこ前準備に奔走してよぉ。

 それでも前情報を見落とすヌケサクのために予備のアイテム用意してよぉ!

 挙げ句その後の打ち上げの会場も押さえて幹事を務めたりなんかしちゃってさあ!

 ちょっと他人のために自分の時間を使いすぎた気がする!!!

 

「えぇと……とても良いことじゃない? みんな命子に感謝してたわよ?」

「チッチッチッ、感謝で腹は膨れねぇんだぜシオリっち。貸しにするにしても雑魚相手じゃみっともねぇしさ~~~~」

 

 貸し借りってのは同格以上を相手にやるから意味があるんだぜ! っていうのはあたしの持論として。

 なんかこう、あれだよ! わかるか!! 自分の時間を取り戻すっていうかさぁ!!

 このまま優しくて頼もしい命子さんのままで終わっちゃあ自由人の名折れってもんよ!!

 

「じゃあどうしたいの?」

「遊ぶ!!!!!!!」

 

 それはもう目一杯遊ぶぞ!

 どれくらいの意気込みかと言えば一日外出権を得た班長ばりに!

 そう……心の自由を取り戻すには、仕事を一切忘れて一日中遊び倒すしかねぇ!

 

「まぁ、いいけど……それじゃあショッピングにでもいく? この辺は美味しい店もいっぱいあるから気晴らしになるかも」

「否! そんなもんじゃあこの心の渇きは満たせないぜ!!」

「今日の命子はいつにも増してテンションが変ね……」

「うるさいやい! ともあれ本社にいくぞー!」

「本社? ……のどこ?」

「ンなもん決まってらぁ」

 

 ガイア連合が誇る遊戯の殿堂――ホビー部だよ!!

 

 

 ◇

 

 

 というわけで本社までひとっ飛びしてやってきたのだ。

 なし崩し的にシオリっちも連れてきちゃったけど、こっちもこっちで大概働き詰めだからええやろ!

 カレンちんは忙しそうだったから今度時間ありそうなときに誘うで!

 

 本社の製造区画を進みつつ、目指すはホビー部の製造棟。

 製造部は最近ロボ開発系が盛況で、そっちに人員も客も持ってかれがちだから他の棟よりちょっぴり物寂しい感じ。

 まったく見る目がねぇ連中だぜ……やつらときたら童心ってもんを忘れちまったよ、寂しい大人どもめ!

 まぁ出入りが少ないならその分気兼ねなく遊べるってもんよ、今のあたしにはちょうどいい……おろ?

 

「見張りがいるじゃーん、しかもロボロボ団」

「ほんとだ。……全身タイツの金魚鉢?」

「わざわざ見張り立ててるなんて珍しい、立て込んでるのかな?」

 

 ゲームで見慣れた姿形はサイカネキ配下の式神やね。

 原作だとお間抜けな雑魚だったけど、こっちではそこそこ強い間抜けだぜ。

 アホなのに変わりねぇじゃんって? ばっかおめぇロボロボ団はそこが売りなんじゃねーか。

 

「止まるロボ! 現在ホビー部は取り込み中ロボ、入りたければ合言葉を言うロボ……山!」

「え、えぇと……川?」

「ぶっぶー、ロボ。合言葉を言えないやつは通せないロボ」

 

 シオリっちが答えるも、ロボロボ団は「こいつわかってねぇなぁ」的な溜息とジェスチャーで却下した。

 ビジュアルのせいで妙に煽り力が高いけど、まぁこればかりはシオリっちには分が悪いかな。

 

「シオリっちは下がって、ここはあたしに任せな……」

「う、うん……一体何なのかしらこれ……

「フッフッフッ……誰が来ても同じロボ、ロボはそう簡単には通さないロボ! ……山!」

「――山にいきたいのはやまやまロボ」

「!!!!!!!!!」

 

 合言葉を返すと全身に稲妻が奔ったように固まり、ついでぷるぷると震えだすロボロボ団。

 やはりな……わざわざこいつを見張りに立てるからには、立ち入り禁止令は別にそこまで厳重なものじゃない。

 言うなればこれは()()……!! 真にホビーで遊ぶに足るかを見極めるための試金石……!!

 

「ぷっ、ぷぷぷ……!! 思わぬ切り返しロボ……傑作ロボ……!」

「フッ、通してもらおうか」

「どうぞお通りくださいロボ!」

 

 一転して従順になったロボロボ団に迎え入れられ、ホビー部に足を踏み入れる。

 さすがサイカネキだ、()()()()んじゃん。しかしこんな見張りを立てるなんて一体何者が招かれているのか……ワクワクしてきたじゃんね!

 

「……今のなに?」

「え? お約束」

「そう……まぁ楽しそうだからいいけど」

 

 そう言って遠い目をするシオリっち。

 いやごめんて、さすがに置いてけぼりすぎたわ。

 

 ともあれここから先はきっとシオリっちも夢中になること請け合いだぜ!

 一直線に研究室兼テストルーム(という名の遊戯室)の扉をドーン!!

 

「おーっす、命子さんが遊びに来たぞー!!」

「んお? カス子ネキではないか、随分とご無沙汰じゃったな」

「博士おっすおっす。いやー最近いそがしくてさー、ようやく一段落したから息抜きしにきた!」

「そっちの連れは邪視ネキじゃな? ワシはワイリーという、よろしくのう」

「お邪魔してすみません、よろしくお願いします」

 

 ちょうど手近なところにいたワイリーニキに挨拶して部屋を見渡してみると、何やら奥に人だかりが。

 近付いて覗いてみると、いつもの痴女コスをしたサイカネキと見知らぬちんちくりんが三機の小型ロボットを指示して戦ってる真っ最中だった。

 

「わ、すごい。人型ロボット? 同士で戦ってる……! こういうの昔NHKで見たことあるわね」

「ロボコンかー、あたしも好きだったなぁ。今やってるのはそっちじゃなくてロボトルやね」

「お、カス子ネキと……そっちは邪視ネキか。今日は千客万来だねぇ」

「おっすおっす。サイカネキと戦ってるのは誰よ?」

「あれ、知らない? 幼女ネキだよ、レン子ニキ預かりの。こないだ支援物資送ったら*1わざわざお礼に来てくれてさぁ、せっかくだからホビー大会してんの」

 

 なーる、それで立ち入り制限してたのね。んであれが噂の幼女ネキかぁ。

 そういやなんかレン子ニキが誰ぞ保護したとか言ってたっけな? 妙に過保護だったのをスレで見かけた気がする。

 最近妙に修行に熱が入ってる新人がいるって噂も聞いたけど、なるほどあれが……。

 

「いやちっっっっっっさ!!!」

「ほんの子供ね……あの子も転生者なんです?」

「マジマジ。しかもちゃんと嫁持ち」

「そこ、聞こえてるぞ」

 

 言ってるところでちょうどサイカネキのリーダー機が機能停止して決着。

 戦利品のパーツとロボロボメダルを受け取りながらこっちに視線を向ける幼女ネキ。

 自然と割れた人波を通ってこちらを見上げる幼女の目にはただならぬ覇気が宿っている。

 

「お初にお目にかかるな。私は幼女ネキと呼ばれている者だ。名を鵺原リン。コンゴトモヨロシク」

「ドーモ、ヌエハラ=サン。命子です。IRCではカス子と名乗ってます」

「宮古シオリです。掲示板では邪視ネキって呼ばれてます、よろしくお願いしますね」

「渾名かリンでいい、それと敬語もいらん。こちらもそのようにさせてもらおう」

 

 そう互いに名乗りを上げて、腕組みして不敵な笑みを浮かべる幼女ネキ。

 はぁん? こいつぁとんだハリキリガールがやってきたねぇ……。

 

「身体ちっこいくせに態度でっかいじゃん」

「命子! ごめんなさい、この子ったら口が悪くて……」

「構わん。格下に舐めた態度を取られればその限りではないが、目上に言われる分にはこちらの力不足だからな」

「いいね、気に入った。あたしのことは命子さんと呼んでいいぞ」

「ああ、よろしくカス子ネキ」

「こいつぅ~~~~~~~~」

 

 もちもち幼女肌のくせに巌のような口振りしやがってよ~~!

 ボス属性っぽいくせに指揮してたのがメタビーにロクショウにブレザーメイツとかわかりみしかねぇチョイスなのずるくねぇ?

 

「ほう? わかるか、この良さが」

「わからいでか。古き善き伝統の主人公機、しかもしっかり強くて頼もしい無二の相棒はメダロッターなら垂涎モノやで」

「実際私もこれが贈られてきたときは狂喜乱舞したとも。箱を開けるのが勿体なくて組み立てるまですごく葛藤したぞ」

「ブレザーメイツがnavi出典なのがアクセント効いてていいよね。……ちくしょういいなー、お前らあたしにはプレゼントとかしてくんなかったじゃーん!!」

〝いやだってカス子ネキだし……〟

 

 なんだとゴルァ! 口を揃えて言いやがってよぉ……。

 こちとら一体作ってもらうのにも結構コスト掛けたんじゃが?

 

「カス子ネキは注文多い上に細かいし、めちゃくちゃ口出ししてくるじゃん」

「依頼されたメダがよりにもよってだから、調整にめっちゃ苦労したロボ」

「その点幼女ネキは素直に喜んでくれるからプレゼントのし甲斐があるしの」

「ええい黙れ黙れ! その分ちゃんと素材もマッカも支払ったやんけ!!!」

 

 昔のことをネチネチと器の小さいやつらめ! いいじゃねえかおかげで研究も捗ったんだし!

 材料費にかこつけてしれっと研究費も上乗せしてたの知ってんだからな!

 

「カス子ネキもロボトルがイケる口か。どうだ、一戦」

「いいねぇ。でもこっちは一体しかいないからハンデもらっていい?」

「いいぞ、その上で捻じ伏せてくれよう!」

 

 言ったな? ならば出ませい我が愛機!

 全身これ凶器の殺意の具現、型番KKZの~~~~~~~!!!

 

「Go! キリーキンザム!!」

「全身デストロイのヤバいやつじゃないか!! それアリか!?」

「ふははははは!! ちゃんとR仕様だゾ!」

「一撃でも通ったら負ける……!!」

 

 ロボトルレギュレーション*2においてキリーキンザムの攻撃性能は限りなく最強!

 おまけにクッッッッソ大味な計算式のメダロットR仕様において、キリーキンザムの攻撃を食らうことは即ち機能停止を意味する!

 さらにさらにぃ?! 多対一のハンデを補うために霊糸で指揮系統を直結ゥ! より具体的な指示が可能となりその動きは見違えるぜ! ゲーム的にいうと熟練度に大幅補正や!

 

「さすがにズルだろうそれは!? クッ、ブレザーメイツは索敵を重ねがけ! ロクショウはピコペコハンマー、メタビーはサブマシンガンでそれぞれ別のパーツを狙い撃て! 行動される前にパーツを破壊しないと終わりだ、攻撃に専念しろ!!」

「ククク……指示に焦りが見えるぜ? それじゃあ甘いよ」

 

 索敵*3で戦闘機動を支援するが甘い!

 こちらは一体だけだが、その分練度も経験値も費やしてる! ピコペコハンマーを左腕パーツ(ツラヌキン)の歯で受け止め*4、サブマシンガンの弾幕を右腕パーツ(キリサイダー)で受け流す!

 左は多少損耗したが右はほぼ無傷。行動を終えて放熱(クールタイム)に間を置かざるを得ないクロスレンジのロクショウに向けて、頭パーツ(キットバス)で強烈なパチキを見舞う!

 

「クソッ、これ程の練度とは……! こちらも受領したばかりとはいえ数が有利にもならんか!」

「まずは一体……一番痛いロクショウを落とせたのは僥倖だぜ!」

「まだだ、まだ終わらんよ!!」

 

 そうは言うけど手数と的が減ったのは致命傷だぜベイビー。

 その後もメタビーが奮闘するが、デストロイ攻撃の性質上回復と復活が全くの無意味になってしまったブレザーメイツでは置物にしかならず、索敵のバフが上限に至っても損耗した左腕を落とすのが精一杯。

 放熱の隙に粛々とデストロイを決め、リーダー機であるメタビーが落ちたことで決着となった。

 

「いえーい! あたしの勝ち~~~~~!!!」

「クッ、カス子ネキに負けた……!」

「お、おとなげねぇにも程がある……」

「正直ドン引きロボ。お前船降りろ」

「キリーキンザムはともかく、流石に霊糸補助は無しじゃろ」

「キ◯ガイに刃物じゃん」

 

 ええい黙れ黙れ! どんな手を使っても勝てばよかろうなのだ!!

 恨むならあたしのオーダー通りに作った自分達を恨むんだな! キリーキンザムは正真正銘正規品です! ゴッドエンペラー頼むより有情やろがい!!

 

「見て見て命子、乗り物になるメダロットですって! 小さいのに乗り心地良いし馬力もあっておもしろい!」

「ヴェイパーレールとはいい目の付け所ロボねぇ、そいつは自信作ロボ!」

「邪視ネキは癒やし」

「国道では走らせられないけど、裏にサーキットあるからそっちでなら好きに乗り回していいよ」

 

 

 ◇

 

 

「三本勝負だ、カス子ネキ。負けっぱなしでは終われん!」

「ほほう? いいぜぇ、こいよ……次は何で勝負する?」

「ベイブレードでいこう、もちろん第一世代だ。第二世代以降も嫌いではないのだが、やはり一番馴染みがあるのはこれだからな」

「わかるわー、あたしもちょうど第一世代が直撃世代だもん」

 

 こちとら前世でも平成生まれな生粋のコロコロキッズじゃい!

 舞台をロボトルからベイブレード用のドームに切り替え、ドームを挟んで相対する。

 

「見せな……テメーの(ベイ)をよ」

「フフフ、そう急かすな……見せてやるとも、我が魂の相棒をな!」

 

 そう言ってまずはランチャーを取り出した幼女ネキ。ほう、グリップ付きですか。なかなかやりますねぇ。

 次いで手に構えたのは、見間違えるはずもない王者のSilhouette……!!

 

「ドラグーンV2! 名機中の名機! やはり王道できたか幼女ネキ!!」

「やはりベイと言えばこれだろう! 左回転の攻撃力を見せてやる!!」

「ならばこちらも抜かねば……無作法というもの……! 見せてやるよ、あたしの(ベイ)をな!」

 

 闇の衣を翻し、影の中からランチャーとベイを取り出し構える。

 闇夜に浮かぶ満月の如き真円は、欠けたることを知らぬ完璧の具現。

 一度目にすれば誰もが目を奪われ、慄かずにはいられない――!!

 

「そ、それは――!!」

「言葉は不要だ。構えな、魂をよ!!」

「ッ……いいだろう、受けて立つ! 例え誰が相手だろうと手加減はしない! いくぞ!!」

 

 今左手は大地に根を張る大樹となり、右手は万夫不当の剛力を宿した。

 幼女ネキと視線で火花を散らし、掛け声と共に紐を引き抜く!

 

〝スリー! ツー! ワン! GO――シュート!!!〟

 

 数秒後。

 

「あ、あたしの(トライピオ)があああああああああああああああああ!!!!!!」

「まさかとは思ったが、やはり順当な結果に終わったな……」

 

 そんな馬鹿な……あたしのトライピオは霊的素材から組み上げた特別製だぞ……!?

 ダウンフォース(ガチ)を発生させ、あらゆる攻撃を受け流す絶対無敵のベイのはず……!!

 

「これはどういうことだ、博士!!!」

「そもそも霊的改造ベイで戦って負けたことになんか言うことはないんか???」

「うるせー!! ンなこたぁどうでもいいんだよ! ちゃんとビットチップにも降霊させて強化したのに!!」

「いやまぁ幼女ネキが何も言わないならいっか……原因それだよ、多分」

「はぁ!?」

 

 どういうことだ苗木! 説明しろ!!

 

「認知補正って聞いたことない? 言霊でもいいけどさ、霊能者の認識や発言が実際に影響を及ぼす事例だよ。カス子ネキがトライピオっていう()()()()()()()()()()を霊的パーツを使って組んで、降霊までして無駄に霊的感受性が強まっちゃうもんだから……」

「つ、つまり……?」

「対戦相手の幼女ネキや観客の俺達の想念(レッテル)の影響受けてめちゃくちゃデバフ受けてる。普通に一般素材でガチ組みしたほうが強いよ、多分」

「そんな馬鹿なああああああああああああああああああああああああああああ!!!????」

「姑息な真似して逆に弱体化してんのバカすぎるロボ」

「ある意味ホビー系悪役向きかもしれんのう、格好もそれっぽいし。ウチの一員になるか?」

 

 誰がなるかバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアカ!!!!

 クソが……まさかこんな落とし穴があるとは……!! 見抜けなかった……この海のリハクの目をもってしても!!

 

「ま、理由はどうあれ私の勝ちだな。次はもっと強いトライピオを見せてくれ」

「ちくしょう……霊能改造以外でどう戦えばいいんDA!」

「さすがにトライピオじゃ難しそうだが……ホビー部ならきっとなんとかしてくれるだろ!」*5

〝えっ????〟*6

 

 しゃーねぇ……資金はいくらでも出すから最強のトライピオを組んでくれや!

 もちろん金を出す分口を挟むし納得行くまで絶対逃さんからな!!!*7

 

「今のベイゴマってこんなに派手なのねぇ……」

「パーツ単位で互換性があるから自分だけのオリジナルベイを作れるよ。せっかくだし組んでみる?」

「いいんです? ならやってみようかな」

「ククク……初心者には親切にして丁寧に沼に沈めないとなぁ!」

 

 

 ◇

 

 

「さて、ここまで一勝一敗となったが……次で決着だな!」

「最後の戦いを飾るに相応しい種目と言えば……そう!」

〝当然! 『ビーダマン』だッ!!〟

 

 祖先(コロコロキッズ)から受け継ぐ『ビーダマン』ッ! それが流儀ィィッ!!

 異口同音に言い放ち、懐から相棒を取り出す。

 あたしは右手によく馴染む黒い飛竜を。

 そして幼女ネキは両手に構えられ眩く輝く白い不死鳥を!

 

「クッ、コンバットフェニックス……しかもメガキャノンウィング付きかよ! いいモン持ってんなぁ幼女ネキィ!!」

「そちらのスプレッドワイバーンこそよく手入れされている……! 奇しくも同じPI-EX世代同士か!!」

「これがワイのワイルドワイバーンや! パワー馬鹿には負けへんで!!」

「なんの! 真のパワーというものを思い知らせてくれる!!」

 

 フィールドの準備をしろ、磯野!!

 合図を送るとまたも舞台が切り替わり、幾つもの動く的が並ぶ射撃場に変貌する。

 そう! ホビー部謹製のビーダマンは現実のような床をころころ転がるそれではなく、強力な長距離ショットを可能とする漫画版仕様なのだ!!*8

 

「的は百枚ある……より多くの的を破壊したほうの勝ちだ」

「ジャッジは……ゼロ*9か、成程不正はできねーな」

「純粋に実力の勝負というわけだ。決着をつけるに相応しいだろう?」

「いいねぇ、小細工だけが能の命子さんじゃないことを思い知らせてやんよ」

 

 そして決戦の火蓋が切られた!!

 開始のブザーと共にスプレッドワイバーンを構え、右手で高速連射を放つ。

 既にスプレッドウィングは展開して締め付けは十分、しかし純粋な力勝負では幼女ネキのコンバットフェニックスに敵うはずもなし。

 故に取るべきは速攻! スプレッドワイバーン特有のストロークの短さが可能とする高速連射で、少しでも早く多く的を射抜く!!

 

「いい狙いだなカス子ネキ!」

「こちとら手先の器用さには自信があるんでねぇ! 幼女ネキこそちんたら構えてていいのか!?」

「フッ、そう焦るな……機というものがある。――そしてそれが今だ!!」

「なっ、なにイィーッ!? 五枚抜きだとぉ!?」

 

 軋む音が聞こえて来るほどの強烈な締め付け、そして霊力の流入!

 ビー玉にMAGが宿って……発射! フェニックスらしいビームのような強射が放たれ、動きがちょうど重なった的を五枚纏めて射抜く!

 

「射抜いても向こうの壁にめり込むかよ……さすがコンバットフェニックス、伊達じゃねーな」

「スプレッドワイバーンの連射力も恐れ入るぞ。こちらは同時に破壊しないと到底追いつけん」

「負ける気なんてさらさら無いって顔してるくせによく言うじゃんよ! こっちだって負けらんねぇって!」

「フッ……いくぞおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

〝うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――!!!!!!!!!!!!!!!〟

 

「あ、ほんとに曲がった。すごーい、今のおもちゃってほんと出来がいいのねぇ」

「今二人が使ってるのと同じチームの名機だよぉ。変化球が可能な唯一無二の個性は愛好家も多いね」

「これも霊力込めたら飛ぶんです?」

「もちろん。変化球も据え置き。あっちにも射撃場あるから試してみなよ」

「わーい、いってきます!」

 

 

 ◇

 

 

「NKT……」

「いい勝負だった……」

 

 三本目はまさかの同数でドローゲームだったぜ……!

 割と本気で霊力も込めたから先の二本と違って大分疲労も大きいわ……でも楽しかった!

 

「あ、二人とも終わったの?」

「随分と楽しそうな顔をされていますね、マスター」

 

 心地よい疲労感に倒れていると、なんやかんやホビーに触れて楽しんでいたらしいシオリっちが見知らぬ美女を連れて戻ってきた。

 うお、でっか……! なんだその長身恵体爆乳!?

 

「ノワールか、調整は終わったのか?」

「はい、恙無く」

「なになに、幼女ネキの式神~? んだよー幼女ネキも盛るペコ族かよー、いい趣味してんねーこのこの!」

「マスターの式神のノワールと申します。どうぞお見知り置きください」

「いいだろう、自慢の嫁だぞ!」

 

 幼女ネキと並ぶと諸々正反対すぎてすげー凸凹コンビだぁ。

 うわ、抱っこされたらおっぱい枕だおっぱい枕! シオリっちあたしにもしてくれ!

 

「するわけないでしょう、まったく……それより随分と盛り上がってたわね?」

「全力で再現ホビーで遊べて満足しないわけないでしょ、コロコロキッズ的に考えて」

「メダロットはボンボンだけどな」

「細けぇこたぁいいんだよ!」

 

 いやー満足満足! さすがホビー部、良い仕事してるわぁ。

 それに今回は幼女ネキっていう対戦相手もいたから感慨も一入やね、っぱホビーは一緒に遊んでなんぼよ。

 

「こうも全力で楽しんでもらえるとホビー部冥利に尽きるのう」

「いやー、最近はロボ部にみんなお熱かなと思ってたから、こうして盛り上がってもらえると嬉しいよねぇ」

「まぁカス子ネキは全力過ぎておとなげなさすぎだけど、いい勝負してたことは認めるロボ」

「へっ、燃え尽きたぜ……真っ白によぉ……」

「ん、みんなもありがとな。お礼に来たのに結局またお土産もらってしまって悪いね」

「ほんと、こんなに玩具をいただいちゃって……ありがとうございますね」

「なんのなんの、こうして玩具を普及させるのもワシらの本懐じゃからな!」

 

 ほんとだ。でっかい紙袋いっぱいに玩具の箱詰まってる!

 こんだけあれば支部でも遊べんじゃーん! やったぜ!

 うおっ……ドラえもんバトルドームもあるじゃん!!

 

「んじゃあお開きって感じかなー。幼女ネキはこのあとどうするん?」

「私は宮城に戻るかな、お土産も貰ったことだし」

「宮城支部なら飛べるよー、ついでだし送っていこうか?」

「いいのか? 助かる。……なんならウチに来るか? TVゲームもあるからな、桃鉄とかスマブラやろう!」

「いいねー、んじゃお邪魔させてもらおっかな! シオリっちはどうするー?」

「私はお土産もあるし支部に戻るわ、カレンさんも心配だし。誘ってもらって悪いのだけど……後日またご挨拶させてもらうわね」

「む、そうか。ならまたの機会にだな。来た時は歓迎しよう」

 

 ということになったので先にシオリっちを道南支部に送ってから、幼女ネキ達を連れて宮城支部へ転移。

 久々に会ったレン子ニキとも旧交を温めつつ、送迎の車に乗って幼女ネキの派出所に行ってからめちゃくちゃゲームで遊んだ。

 幼女ネキの家遊ぶやつなんでもあるじゃんね、完全に友達が入り浸るタイプの家だわ!

*1
『【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策』、「転生ようじょ、狂喜乱舞する」より

*2
原作準拠のロボトルルール。火薬系が必中だったり、がむしゃら行動のあとは回避と防御不可だったりする。

*3
システム上実質カジャ系魔法

*4
ツラヌキンはソードブレイカー形状なので、それの鋸歯部分

*5
熱い信頼の眼差し

*6
急に無茶振りされたホビー部の驚きの声

*7
クソみたいなクライアント

*8
ただし霊能者が使った場合に限る

*9
ワイリーニキの式神




・カス子
一日中遊び倒してめちゃくちゃ満足した。
ちなみに幼女ネキの家にはお泊りせず、夜も更けた頃には支部に戻った。
幼女ネキとノワールから濃密なウコチャヌプコロを感じ取って気を利かせたつもり。

・邪視ネキ
前世と今世含めて縁の無かったホビーに触れてびっくり。
二人が白熱のバトルを繰り広げる傍らでホビー部製品に目を輝かせていた。
持ち帰ったお土産は大事に組み立て、以後暇なときにこっそり遊ぶようになる。

・幼女ネキ
カス子のカッスい卑怯戦術にも鷹揚な器の広い幼女。
今回の件をきっかけにカス子とは遊び友達となり、ちょこちょこ家に呼んだり呼ばれたり、ホビー部で対決したりするようになる。

・ホビー部の皆さん
カス子は太客だが口出しも多いので扱いはぞんざい。とはいえ関係は良く、互いに遠慮のいらない悪友同士といったところ。
今回の件をきっかけに道南支部ともコネクションが生まれ、託児所や保育施設を擁する支部との取引が増えていくことになる。


幼女ネキとのファーストコンタクトはこうすると前々から決めていた……!!
カス子も幼女ネキもホビー大好きだし、出逢えばこうなるだろうなと思ってたからずっと書きたかったのがやっと書けたぜ……!
タマヤ与太郎様、勝手ながら起用させていただきました。ありがとうございます!

Lilyala様も作中にてカス子を登場させていただきありがとうございます!
匿名投稿故直接感想も述べられず恐縮ですが、毎回楽しみにさせていただいてます!

電脳図書館様もありがとナス!
AA併用はやる夫スレと小説の間の子っぽくて面白い試みや……当然読んでます!!

それとそれとアビャゲイル様も、やる夫スレで拙作を度々取り扱っていただきありがとうございます!
やっぱ絵がつくとまた違った味わいがあるぜ……!!
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