【カオ転三次】今更転生ごちゃまぜサマナー   作:ふーじん

31 / 52
31話:半終末後のあれやこれや

 恐山秘境、イタコの隠れ里。

 そこが管理する幾つかの異界の内、修行場として利用されている場所にて緊張に強張る若巫女と、それを見守る幾つかの影があった。

 その影とは即ち同じイタコの姉妹達であり、長老であり、今や恐山の支配者となった霊視ニキに加え、道南支部と掛け持ちで所属しているカス子ネキこと命子。

 錚々たる面子が一堂に会する中でこの場の主役として立つ若巫女の装いは、常の巫女服とは異なる黒尽くめ。

 造形は元の巫女服からそう離れてはいないが、彩色の一切を黒に染め上げ、面布で顔を隠した出で立ちはさながら黒子。

 傍らに立つ人間大の傀儡と併せて見れば、まさしく人形浄瑠璃の黒子に他ならなかった。

 

「準備は良いな? では――始めい!」

 

 長老が鋭い目で若巫女を見据え、それへ彼女が頷いたのを認めると、長老の号令で異界のMAGが活性化し悪魔を現出させる。

 濃紺色の体毛をした大柄の猿【妖獣 カクエン】。その力量は連合基準でLv10と、対峙する若巫女にとっては間違いなく強敵。

 観衆が命子の飛丸によって隠形している中、カクエンの目に映るのはニンゲン一匹。姿形を黒で覆い隠そうとも、雌の色香を嗅ぎ取ったカクエンは歓びに打ち震え、いきり立って猛然と襲いかかった。

 

「ッ、【ヨミクグツ】!」

 

 怯懦は一瞬。敢然と声を張り上げ傀儡の名を呼ぶと、若巫女の指先から幾本もの()が伸びる。

 接続されたそれから伝わる()()を汲み、ヨミクグツが水を得た魚のように軽快に身を起こすと、目前まで迫っていたカクエンに応戦し迎撃する。

 

『ヒヒッ』

 

 造り物の拳が放った強打はしかしカクエンに痛痒を与えない。

 物理攻撃に対し耐性を持つカクエンはその細やかな抵抗に嘲弄を見せると、嗜虐の笑みを深めて()()に転じた。

 雌を守る木偶を見せつけるように念入りに壊してから、打つ手のなくなった雌を嬲ってやろうと股座を熱くする。

 その意図を若巫女も読み取ったのか、しくじれば訪れる末路を想像して冷や汗を流すが、しかし面布に隠された表情は冷静に徹し。

 

()()()()!)

『ヒヒッ、ヒヒヒヒッ!!』

 

 傀儡を差し向け連打を浴びせ、カクエンはそれを無防備で受け止め抵抗の無駄を示す。

 健気な抵抗を前にますます笑みを深くするその隙を若巫女は見逃さず、その傲慢のツケを支払わせるべく傀儡へ命じた。

 

「【ジオ】! 【ジオ】、【ジオ】、【ジオ】!!」

『ギャヒッ!? ヒヒッ、ヒィッ……!』

 

 浴びせた掌打を起点に放たれる雷撃(【ジオ】)

 若巫女が有する霊視(【アナライズ】)の力によって見抜いたカクエンの弱点を突き、妖獣の身体が電流で強張る(【SHOCK】)

 その硬直も見逃さず立て続けに【ジオ】を放つと、カクエンは起死回生の余地も無くそのまま息絶え霧散した。

 

 しばり降り立つ沈黙。

 しかしやがて強敵を降した事実を認めると、次第に興奮と歓喜が湧き上がって若巫女が飛び跳ねる。

 敢闘を示した傀儡に駆け寄るとそのまま抱きつき、面布を上げると姿を現した観衆へ向けて満面の笑みを向けた。

 

「やった! やりました! 私でも悪魔を倒せました!!」

「ううむ見事じゃ。まさか本当にやり遂げるとはのう……」

 

 長老が感嘆しつつ唸り、姉衆は一緒になって喜ぶ中、霊視ニキも満足気に首肯する。

 残る命子が拍手を送ると、若巫女は深々と頭を下げて感謝を示した。

 

「やるじゃん。一番覚えの悪かったカヨコがカクエンを倒せたなら十分合格点じゃんね」

「めー姉さまのおかげです!」

「ま、まだまだ詰めは甘いけどね。今後も怠らず精進するよーに」

「はい! そしてこれで――」

「んむ。一期生は全員合格やね」

 

 命子のその言葉に若巫女カヨコと、彼女を取り囲んでいたイタコ達が一斉に歓声を上げる。

 彼女らは皆同じ出で立ち――カヨコと同じ黒子姿をしていた。

 

「つーわけで婆ちゃん、これで文句は無いっしょ?」

「うむ……これならば戦力として数えるに不足あるまい。然らば」

 

 長老の応えに黒子姿の若巫女――黒巫女達は居住まいを正す。

 各々横に傀儡を立たせ、霊糸を通じて姿勢を取らせ共に整列する様は壮観であり、尋常ならざる意気に満ちていた。

 

「只今より()()()()()()()()()()――【黒傀儡衆】の発足を認める! 各々研鑽を怠らず、結束を忘れず、共に悪魔と戦おうぞ!」

〝はい――!!〟

 

 長老の宣言に黒巫女――【黒傀儡衆】が応じ、傀儡共々優雅に一礼を見せた。

 

 

 ◇

 

 

「ご苦労だったのう命子。よくぞまぁやり遂げたもんじゃ」

「どもどもー。まぁ本人達のやる気ありきだけどねー、無事形になってよかったよ」

 

 【黒傀儡衆】が発足したその夜、大広間での会食の折にそう長老から労いがあった。

 まぁ命子さんとしても一仕事終えたのでね、長年を掛けた努力が無事実って一安心ですよ。

 妹達も今日はハレの日なので豪勢な食事が出て有頂天だしね。

 水を差すのも悪いから、あたしら上層部とは部屋を分けて宴会騒ぎをしてるけど、まぁ今日は思う存分飲み食いしてくれたまへ。

 

「霊糸技術の伝授と、戦闘傀儡の導入ねぇ。どっちもお前の個人技能じゃなかったか?」

「別に再現性が無いわけじゃないんだけどね。霊糸はあくまで霊力操作技術の範疇だし、傀儡も大分前には技術体系整ってたよ。ただ黒札には無用の技術だからお蔵入りだっただけで」

「だが非戦闘員が戦力化したのは支部としては大きい。Lv10の悪魔を単独で討伐できるなら尚更な。今回は大手柄だぜ、カス子ネキ」

「へへへ……あたしはともかく、あの子らと技術班にはボーナス弾んでやりなよぉ霊視ニキ!」

 

 事の発端はもう随分前になるんだけど、あたしの人形技術を聞きつけた妹の一人が教えを請いに来たのがきっかけだった。

 前々からあたしが手慰みに人形劇をやって小さい妹達をあやしていたのは言ったことがあると思うけど、戦闘用の人形技術については特に周知してなかったんだよね。

 連合合流前のあたしに余裕が無かったってのもあるし、今と比べて技術も未熟で伝承できる領域になかったから、教えたところでモノになるとも思ってなかったから。

 

 だけど連合に合流してあたしのレベルが上がり、式神作製技術に触れて悪魔人形を開発してふと思ったんだよね。この技術を流用できねぇかって。

 あたしは利用してなかったんだけど簡易式神ってあるじゃん? 転生者が専用式神を得るまでの定番のお供だっていうアレ。

 戦闘に不慣れなぺーぺーを一角の強者(おおよそLv10超)にまで育て上げるのをサポートするアレを見て、これを現地民が使ったら効率いいんじゃねって思ったのね。

 

 折しもフェイスレスニキのおかげで実物の懸糸傀儡を得たあたしの中で構想が出来て、試してみる価値はあるんじゃねぇかと思い立って即ショタオジに相談。

 すると「直接式神を供与するわけにはいかないけど、自力で開発できたならやってみていいよ」とのお墨付きを得たので、青森支部に移住していた技術班を巻き込んで研究開始。

 それと並行して霊質上戦闘に適さないイタコ衆の中から志願者を募って霊糸技術を教導開始。最終的には十名の合格者が出るに至り、これを一期生とした。

 

 フェイスレスニキから習った懸糸傀儡の技術と、あたしの悪魔人形の技術、そして式神技術(NOT専用式神技術)からあれやこれやして研究を進めて開発されたのが戦闘傀儡素体、通称【ヨミクグツ】。

 そしてそれを霊糸で操る黒子姿の若巫女――黒巫女達で構成される【黒傀儡衆】という形だ。

 ちなみに【ヨミクグツ】って名前は原作に肖りつつ語感が良いのを選んだ結果であって、断じて再現技術ではないことを言っておく。

 

「暫くは一期生を教導して一端になったら、あの子らにも教導役に回ってもらって二期生以降を指導してもらうつもりだよ。受講条件は特に設けるつもりはないけど、霊糸技術が必修だから真っ当に戦えるイタコには縁は無いと思う。あくまで既存のやり方で戦闘に適さなかった子のための外付け戦闘技術だからねぇ」

「つまり私のような者には無用の長物ということですか。しかし選択肢が増えたのは良いことです。次代の子を産むのも大事な御役目ではありますが……それだけが役目というのはあまりに酷ですから」

 

 人間モチベーションが大事だからねぇ、巴姉の言う通り、役立たずは孕み袋に徹しろなんてのは時代錯誤が過ぎるってもんよ。

 これまでは悪魔と戦うとなると、卓越した身体能力か、もしくは攻撃性の高い異能が必要だった。

 その中でただ悪魔が見えるだけ、祈祷ができるだけ、みたいな所謂落ちこぼれはどうしても存在して、今までは他の子の世話係や雑用として燻らせるしかなかった。

 そうした子の何割かだけでも新たに進める道を用意できただけでも、まぁやる意味はあったんじゃないかな。

 あたしら基準でLv10を相手に戦えるってのはクソ雑魚だけど、全体の大多数を占める現地民(姉妹達)にとっては大きな一歩だろうしね。

 

「ふむぅ、となると今後新たに生まれてくる子達のためにも教室を設けてやったほうが良いかの。命子の霊糸技術も難易度は高いとはいえ基本技術の範疇じゃし、幼いうちから触れさせておけば次第に根付こう。我らの霊能を継がせられず外に出すしかなかった男児達も、傀儡という新技術ならば垣根無く伝えられるじゃろうしな」

「そうしてくれると助かるねー、形は作ったから必要なものは追々整えていってよ。あと傀儡技術のほうも継続して研究していきたいからテコ入れよろしく」

「うむ、そちらも選択肢として提示しておこう。とはいえ無理強いはできんでな、あくまで志望者を募る形になるぞ」

「まーそのへんはあんま心配してないよ。ウチから嫁取った技術班も増えたんでしょ? しっかり胃袋と逸物握ってコントロールしてやってちょ」

「この場で唯一の男の前で言うかねそれを……まぁその程度なら夫婦事情の範疇か。それに半終末を迎えていよいよ終末の色も濃くなってきたんだ、戦うための力と選択肢があるに越したことはねェ。こちらでも()()はしておこう」

「霊視ニキと巴姉の子ならあたしがマンツーマンで教えたるから期待してくれていいよ!」

「……まァ、考えてはおく」

 

 つっても二人の子ならゴリゴリのパワーゴリラが生まれそうだし、そうでなくとも才能は確定してるから心配はしてないけどね。

 言いはしたが結局底上げのための技術だから上澄みには無用だしね。ただし今後の研究次第ではわからないから、今から継続して血肉に変えていく意義はあると思うよ。

 

「ちなみにスペックだけど、現時点で一反木綿型程度の戦力にはなるよ。それ以上になると術者のレベルや、戦闘を通じて得た経験やMAG次第になるけど甘く見てLv20相当の戦力は見込めると思う。ただまぁ術者本人が非力だから、その弱点を抱えてることを込みでいうとLv15相当が精々じゃないかな」

「十分だろう。デモニカと比べて本人に技術が必要な分製造コストは格段に安いしな。どちらも一長一短だが……他所に比べて霊能への理解が深いウチで言えば適しているのはこちらだろう」

「ま、あたしにやれることはやったからあとはよろしくー」

「ああ、改めてご苦労だった。関係者もちゃんと労っておこう」

 

 その後は仕事の話も無く和気藹々と食事が進み、夜も更けてきたのでお暇の時間となった。

 泊まっていかないのかという長老に断りを入れて本社に向かうことを伝えると、代わりに手土産を持たせてくれた。

 あたしが【収納】持ちだからってバカみたいな量だけど、本社の人間に配るならこれくらいにはなるか。

 相変わらずマメやね、まぁよろしく伝えておいてやるじゃんね。

 

「忙しないなお前も。修行場か?」

「そうだけど別口やね。団長ニキにツケの支払いを言われてさー」

「団長ニキに? また珍しいな……まぁいい、達者でな」

「ういうい。霊視ニキもがんばー」

 

 

 ◇

 

 

「来たか。久し振りだな、カス子ネキ」

「うーっす団長ニキ。これ青森土産ね、お仲間と分けてちょ」

「ありがたく受け取ろう」

 

 本社に転移してから事務に土産を渡して待ち合わせ場所に向かうと、既に団長ニキが文庫本を片手に待っていた。

 額のタトゥーは流石に悪目立ちが過ぎるから彫られてないけど、後ろに撫でつけた髪に襟ファー付き逆十字ロングコートというコッテコテの出で立ちは見間違えるはずもない。

 たまたま見た目と戦闘スタイルがH×Hのクロロ・ルシルフルに似ていたことから団長ニキのコテハンで呼ばれ、再現勢の技術班から例の痛衣装を贈られたOSR勢の一角だ。

 ちなみに団長ニキと呼ばれてはいるけど別に幻影旅団は組織してないし、日本生まれ日本育ちの本名黒田六郎(大学生)である。

 

「んーでツケの件だけど何すりゃいいの? 金銭以外でニキに役立てるようなこと思いつかないんだけど」

「それなんだが……カス子ネキはデビルソースの抽出が可能だったな?」

「ああ、悪魔情報ぶっこ抜き術式のこと? 確かに出来るけどスキル目的なら利便性悪いよ? つかそれに関しちゃ団長ニキの十八番じゃん」

 

 下層最奥にまで到達した修羅勢でもある団長ニキの権能は【スキルクラック】。

 デビサバシリーズの根幹を為すシステムであり、敵が所持するスキルを指定した上で討伐すると、そのスキルを習得できるという代物だ。

 相手の所持スキルを明確に見抜き、かつ倒す必要があるけれどコピー系能力としては破格の性能であり、習得スキルのストックに特化した装備型専用式神【盗賊の極意】もあって団長ニキは原作団長らしい屈指の万能型の一人でもある。

 同時にスキル抽出技術にも長ける団長ニキはレアスキルカードの提供者としても名高く、それを活かして破格の資産とコネクションを誇ってもいた。

 

「悪魔情報ぶっこ抜き術式……流石に言いづらいな。便宜上【デビルクラック】と呼ぶが、抽出条件と適用範囲はどれくらいだ?」

「【デビルクラック】か、いいね。洒落てるし正式採用しちゃお。んーで条件は別に隠すほどのもんでもないからいいけど、対象となる悪魔の正確なデータの把握と討伐やね。格下なら討伐しなくてもそのままクラックできるよ」

「推測してはいたが俺の権能(スキル)とほぼ同条件だな。格下の定義は自身のレベルの半分以下、ってところか?」

「そう聞くってことは団長ニキも同じことできるんだ? まぁ今ならLv40以下が格下になるね。ただ対象のMAGごとクラックするからレベリングには使えないよ?」

「十分だ。まぁ多少勿体なくはあるが、そこは権能か否かの違いだろうしな。今回の目的上問題ではない」

 

 んー? つまりあたしの【デビルクラック】でデビルソースを乱獲するってことか?

 スキルカード狙いで乱獲するんじゃなくて、態々あたしに抽出させるってことは何かしら理由があるんだろうけど意図が読めんな。

 

「穏健派の合流で【悪魔召喚プログラム】が手に入っただろう? 過激派仕込みのアレだが、最近改良の目処が立ったようで【COMP】が普及しつつあってな」

「あーあれね……幾つかのスレで見たけど、サマナー志望者も多いんだっけ? アカネくぅん*1とかめっちゃテンション上がってたね」

「当初こそメシア教由来ということで不安の声も多かったが、次第に肯定的な意見も増えていってな。なにせ原作の華とも言える要素だ、興味津々な連中も多い。そうした中で悪魔合体の需要も増えてきてな」

「あー……成程、そういうことね。だから【スキルカード】じゃなくて【デビルソース】なのか」

 

 本来【デビルソース】は、シリーズの中でもストレンジジャーニーを出典とする要素であり、その用途は悪魔合体時に用いることでスキルを外付けで継承させられることにある。

 これまでは【悪魔召喚プログラム】が存在しなかったために伝統の使役術しか存在せず、その危険性から連合では神主監修の高難易度試験をクリアしないと利用が許されなかった。

 専用式神と並んで普及している【アガシオン】や【クダ】は、その性質上使役に向いているからこそ安定化が確立した例外であり、あたしの飛丸のような悪魔を使役する技術は本来高等技術だ。

 高等技術であるがために術者も少なく、ひいては【悪魔合体】の利用者も少なかったために【デビルソース】の需要も少なく、効率の悪いスキル抽出でお茶を濁していたのだけど、それが【COMP】の普及によって悪魔使役の敷居が低くなったのなら話は変わる。

 

「スキルカードはスキルごとに別途必要になるしコストが掛かる。でもデビルソースなら元となった悪魔基準でスキルが揃ってる上に、一度に複数個習得させられる。確かに棲み分けはできるね」

「ミナミィネキ曰く『自分なら5回まではリセマラできる』とのことだ。高位の悪魔ほど有用なスキルを幾つも抱えているし、それを纏めて習得できるなら戦力強化の恩恵は計り知れない」

「つまり今が書き入れ時ってわけね。でも別に団長はお金に困ってるわけじゃないでしょ? なら目的は……」

「言っただろう? 戦力強化の恩恵は計り知れないと。今まで燻っていた層が【COMP】の普及によって飛躍する可能性があるならそこに手を入れない理由が無い。要は底上げに貢献しようって魂胆だよ」

「は~~~~~~~ん???」

 

 なるほどここでも底上げかぁ……あたしと言い団長ニキと言い、考えることが似通ってんねぇ。

 半終末という環境の変化を前にして思うところがあったのはあたしだけじゃないってことか。

 まぁそういう漠然とした不安は熟練者ほど前々から抱えてたんだろうけど、そこを団長ニキは【COMP】の普及に乗じてテコ入れしようってことね。

 

「いいね、そういうことなら話に乗った。となると無償提供になる感じ?」

「上層までのデビルソースは無償、中層は格安、下層は適正価格で卸すつもりだ。相場については……鑑定ニキ*2に相談するか。エンドユーザーへの供給についてはミナミィネキの意見も聞こう」

「…………」

「なんだその目は」

「団長ニキさぁ……ほんっっっっっと面倒見が良いよね」

 

 今こうしてあたしの協力を取り付けるってことは、前々から考えてはいたんでしょ?

 それに副業のスキル調達業も、相手に合わせて価格設定してるって知ってるし……新人へのレクチャーも意欲的なのも聞いてるよ。

 そういう面倒見の良さも含めて人脈が豊富なんだろうけど……見た目に反してほんま親切なやっちゃな。

 

「……生かすべきは連合、そのために全体の底上げを優先すべきってだけだ」

「はいはいツンデレ乙。そんなとこで原作のセリフ踏襲しなくていいから。で、どれくらい稼ぐん?」

「丸々一週間を乱獲に当てる」

「げっ、それで一週間寄越せっつってたのか……拘束時間なげーな」

「まぁツケとはいえ一週間もカス子ネキを拘束出来るほどじゃないのはわかってる。対価として俺のコレクションから好きなのを一つやろう。どうだ?」

「それはそれで太っ腹すぎねぇ?」

「別に構わん。俺なら多少の手間でどうとでもなるしな」

「ふぅん……なら【吸収追加】*3ある? カレンちん用に欲しいんだけど」

「クッ……しっかりレア物を選びやがって……! 仕方ないな、あるよ」

「んひひ、ちゃんと対価以上に働くって。ツケも返せるしね」

 

 カレンちんは支部長として忙しいから、あたしやシオリっちほどレベリングに時間割けないからねぇ。

 あたしの転移で修行場まで直通とはいえ、毎度毎度そういうわけにもいかないし、日頃の感謝も込めてプレゼントしちゃお。

 レベルも上がってるから容量もあるはずだしね、カレンちんがこれを覚えれば戦力も大幅アップ間違いなしや!

 

「前置きが長くなったがそろそろ行こうか。酷使してやるから覚悟しておけ」

「つーことは不眠不休でマラソンかぁ。ツケと対価が無けりゃぜってーお断りだったけどしゃーないね、がんばりましょ」

 

 というわけでこのあと滅茶苦茶マラソンした。

*1
本家小ネタ『終末後、とある辺境にて』より新条アカネ

*2
『親友が英雄の転生者だった件について』より。シャドウ素材の相場を確立したやべーやつ。

*3
デビサバ2より「物理属性での攻撃で与えたダメージの25%、自分のHPを回復する」パッシブスキル




・カス子
こつこつ教導してた部隊が形になって一段落したのも束の間、地獄の乱獲マラソンに突入した。
悪魔情報ぶっこ抜き術式改め【デビルクラック】による【デビルソース】の需要が増えたが、上~中層のソースに関しては団長ニキとの紳士協定により金策には成り得ない。
下層以降は据え置きなので金策手段は増えたが、それで懐が潤い出すのはもっと先。

・団長ニキ
以前ちらっとだけ登場したクロロ似の俺達。本名黒田六郎、芸大生。
ガイア連合への帰属意識は高く、組織としての利益を第一に考えるLAW思考。
しかしながら人員もまた組織の欠くべからざる要素として認識しているので、結果的に面倒見が良い。端的に言えば新人に優しいゲーマー気質。

・【黒傀儡衆】
カス子の思いつきから訓練され発足したイタコ衆戦闘傀儡部隊。
構成員は戦闘傀儡を操る黒子としての自認から、面布付きの黒巫女装束の着用が義務付けられる。
イタコ衆の中でも戦闘に不向きな資質だった者から選出され、カス子直伝の霊糸技術によって戦闘傀儡【ヨミクグツ】を操り、Lv10までの悪魔なら安定して狩ることが可能。
練度によってはさらなる戦力向上が見込め、青森支部の新戦力として期待されている。
現時点ではイタコ衆からの選抜のため女子しか在籍していないが、技術をイタコの伝統技能に依らないため男児でも習得可能。将来的には里育ちの男子戦闘員の受け皿になることも見込まれている。
余談だが現代娯楽に被れたイタコ衆からの受けがめちゃくちゃ良く、一種の花形と見られている。

・【ヨミクグツ】
カス子の悪魔人形技術、フェイスレスニキの懸糸傀儡技術、そして連合の式神技術から着想を得て開発された、霊糸による運用を前提とした戦闘傀儡。
素体は簡素な木組みの人形だが、術者と共に戦闘経験を重ねることで霊が宿り、固有の姿に変じていく性質を持つ。
言うなれば人形型の斬魄刀のようなもので、理論上は固有能力を得ることも可能だが現時点ではそこまでの領域には達していない。
現在も鋭意研究開発中であり、発展途上の技術。将来的にはもっと洗練される可能性もあるが、転生者には無用の長物である黒傀儡衆専用技術。
名の由来はライドウシリーズ――ではなく、「黄泉の霊魂を宿して成長する傀儡」という意味合いから名付けられた。
ちなみに式神ではないので明確な自我は持たないが、付喪神の一種なのである程度の自意識はある。


鑑定ニキのところでるろ剣の一ちゃんが被ったーって言ってたけど、後出ししたのはむしろ私のほうで、「前世でのことだし別にええやろ!」と楽観して前々から考えてたガワをそのままお出ししたんだよなぁ……だから殴るなら俺を殴れ!
そして私はガワ被りは一切気にしない! 描写されないだけでガワが一緒な俺達ってそれなりにいそうだしね……アーチャー連盟とかいるし。
でも鑑定ニキの前世での友人が壬生狼ニキだったのはめちゃくちゃ面白いと思った。なのでその設定を正式採用する。した!
好きに使え、私が許す! なんならもうそっちの子でいいよ、こっちもこっちで使う時は普通に使うけど!
そういうわけなのでコンゴトモヨロシクお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。