【カオ転三次】今更転生ごちゃまぜサマナー   作:ふーじん

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32話:カス子、キレる!!

「んがーーーー!!!!! あのハゲまじでザッケンナコラー!!!」

「えっ、なに? どうしたの命子、そんなに怒って……」

「シオリっち! ケータイ貸して!!!」

「えっ? は、はい……」

 

 クソハゲへの怒りを叫びながら訓練場の扉を開け放つと、倒れ伏す三人の屍の真っ只中で佇むシオリっちがいた。

 そのシオリっちのケータイをひったくるようにして受け取ると、パパパッと着信設定を弄ってクソハゲの番号を着拒する。

 これでよし……とりあえずこれであのハゲの魔の手は断ち切ったぜ……。

 

「……着信拒否?」

「ドクトルニキは今後道南支部出禁だからね! あたし含む三人に連絡取れないように着拒したから!」

「えっと……誰?」

 

 そういやシオリっちは直接の面会はなかったっけ。

 まぁあんなクソボケ、関わらないに越したことはないからそれでいいんだけど!

 まったく! 初めてですよここまであたしをコケにしたお馬鹿さんは……まだ怒りが収まらねぇぜ!!

 

「大分前だけどあたしが北海道(こっち)で転生者スカウトしたって話したじゃん?」

「ええと……確か猟友会の間で神様みたいに言われてる人、だったかしら? 命子がいろいろ支援して本社に送り出したんだっけ?」

「そうそう、あっちじゃあ"マタギニキ"って呼ばれてるみたいだけどね。霊能も関わる獣害が多いウチで対獣のスペシャリストとして招き入れるつもりだったんだけどさー」

 

 シオリっちの言った通り、北海道の猟友会の間じゃあ生き神様とまで崇められた超凄腕のマタギニキ。

 前世から猟友会の一員だったという筋金入りで、悪魔の存在も知らないまま獣と同様に悪魔を狩り続けたことで覚醒に至った彼の噂を聞きつけ、直接交渉に赴いて連合に招き入れ、ゆくゆくは道南支部の戦力として働いてくれることを期待して諸々支援した上で修行のため本社に送り出したんだけど……。

 な~~~~~~んか当初見込んでた期日を過ぎてもぜーんぜん戻って来る気配が無かったから、進捗を聞きに本社を訪ねたらさぁ……なんかドクトルニキ(あのハゲ)が入れ知恵して北米に飛んだって言われたんだよね。

 ちゃっかりドクトルニキ謹製の試作品のテスターとして、北米を脅かす天使相手なら訓練にもちょうどいいだろうって唆して。マタギニキ本人には周囲と話ついてるからって嘘吐いて。

 

「こんな横槍許せるやついるぅ? いねぇよなぁ!?」

「確かに命子が先に約束してたのにそれならいけないことだと思うけど……でも同じ連合員でしょう? そんな騙し討ちみたいなことするかしら……」

「いやまぁ厳密に言えば嘘じゃないけどさぁ……当事者のあたしを無視して勝手にカレンちんと話つけてるのはなんか違くない? 許せなくない????」

 

 見返りにデモニカが優先的に配布されたっつーけどさぁ、あたしの管轄じゃねぇんだよなぁ!!

 そら同じ支部の戦力強化で言えばトントンどころか詫びの分含め若干プラスだけどさぁ! めっちゃ楽しみにしてた仲間の加入が先送りになった不満は拭えねぇよ!!

 支部長のカレンちんが手打ちだっつーから渋々呑んでやるけどよぉ……それだけじゃ腹が収まらんからアイツを一生出禁にした上で連絡もシャットアウトしたるんじゃ!!

 結果的に言えばメリットが勝るけど、お行儀の良い真似じゃないことは確かだからカレンちんの許可も出てるしね!!

 

「だからシオリっちも気をつけてね! 本社行ったときに直訴されても知らんぷりすること! OK?」

「私その人の顔知らないんだけど……」

「見るからに『マッド!!!』って顔のハゲジジイだからすぐわかるよ」

「……ワイリーニキさんじゃないわよね?」

 

 そういやワイリーニキもどちらかと言えばマッド寄りのハゲだったわ。

 まぁ傍迷惑度で言えば全然違うし、声が特徴的*1だから見分けがつくはず。

 ……散々喚き散らしたおかげでようやく気分が落ち着いてきたな。やはりエシディシのストレス発散術は効果的だぜ。

 

「で、ここで死んでる三馬鹿はどしたん?」

「態々本社からやってきて稽古つけてほしいっていうから……三人がかりでいくから本気でやってほしいって言われて」

「それで返り討ちにあってんのか草。ぺーぺーのくせに格上に本気出せなんざ生意気なんじゃ!」

 

 つーか人ん家でガチ死にしてんじゃねーよ、やるならせめて自前で蘇生手段持って来いっつーの。

 いつまでも死骸晒されても臭ェから蘇生してやっけどさぁ。

 

「【サマリカーム】と。ほーら起きろー身の程知らずどもー」

「三人ならイケると思ったんだけどなー」

「クッ……カス子ネキに助けられた……屈辱」

「まだまだ壁は高いわねぇ」

 

 バラバラ死体と化していた肉体を修復されむくりと起き上がる三馬鹿こと、【死神同盟】を名乗る鎌ショタ、鎌ロリ、鎌ホモの三人。

 見たとこレベルは一端だけど……こないだ【桃源郷】のノーマルモードをクリアできた程度じゃああたしらを相手するにはまだはえーよ。

 

「つーかわざわざウチ来てまで稽古つけてもらうとかシオリっち好きすぎかよ。さすがにキモいわ」

「うっわ腹立つー。でも蘇生してもらった手前何も言えねー」

「いつ死んだのかすらわからなかったのは恥じ入るばかりです」

「ちゃんとこのあと依頼もやっていくわよぉ。あとアタシはホモじゃなくてバイよ」

 

 しらねーよ。バイもホモだろ、それに語感がいいし。

 って言ったら掲示板でバチクソ凹られたけど、結局HNが鎌ホモなら一緒じゃんね。

 

「下層に潜れるようになれば師匠に挨拶できるんだけどなぁ。ボクら三人で下層入りできるのはもうちょい掛かりそう」

「性能面では不足はないと思うのですが……」

「まだまだ自分の力への理解が足りてないって言われてるのよねぇ。前途多難だわ」

「でも三人とも筋は良いわよ。飲み込みも早いし、この短期間でノーマルモードまでクリアできてるなら下層入りできるのは間違いないわ」

 

 そうシオリっちに褒められ露骨に喜ぶ三馬鹿共。

 こいつらシオリっちやカレンちんには素直なくせにあたしへの当たり強いんだよなー。

 マジでいっぺん〆たろうかなって思うけど、こんな雑魚に構ってられるほどあたしは安くないので見逃してやってるのだった。

 

「ちぇっ、顔に雑魚乙って書いてやがんの。これだからカスはさー」

「……お姉様の手前、こうも侮られては退けませんね」

「せっかくだからカス子ネキにもお手合わせ願おうかしら?」

「は~~~~~ん? 雑魚が随分チョーシ乗ってるじゃんねぇ……」

 

 鎮火したとはいえついさっきまで怒りに燃えていた今の命子さんを相手にいい度胸じゃん。

 まぁこいつらも下層入り目前っていう天狗になりだす頃だし? ここらでいっちょ鼻をへし折ってやるのも先達の役目ってやつかねフヘヘ。

 そのへんシオリっちは甘いっつーか、こいつら自身が()()()()()()()()()()()()()()()()()()って思ってる節があるし、ちょいと活を入れてやる必要があるとは思ってたしね。

 クソ生意気な後輩共だが同じ連合の士である以上、強さを求めるならそれを手助けしてやらんわけにはいかねぇしな。

 

「いいぜぇ来いよ、三人で掛かってきな。こっちは思う存分舐めプしてから余裕綽々で仕留めてやっから」

「言ったなコイツ! マジで殺ってやっからな!!」

「ここまで言われて黙っていられるほど人はできていません」

「胸を借りるわよ、カス子ネキ!!」

 

 というわけでシオリっちは下がって、あと余波で死ぬかもだから人払いしといてね。

 ……ああ、あたしじゃないよ。加減できないこいつらがうっかりやっちまうかもだから。

 

「まったく……程々にしておきなさいよ?」

「それはこいつらに」

「隙ありぃ!!」

 

 案の定あたしがシオリっちに話しかけてる隙を突いて鎌ショタニキが先手を仕掛ける。

 もちろん合図なんてものがあるはずもなく、互いに戦意を示して合意した時点で始まっているとはいえなかなか思い切りがいい。

 ただ隙を突くのに態々隙あり~って叫ぶのはどうなのよ? いやまぁ様式美といえばそうだけどさぁ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()

 肩口から袈裟斬りに振り下ろされた大鎌が刹那の間で胴を断つのを自覚しながら、あたしの身体が血と臓腑を撒き散らして泣き別れになる。

 紛れもなく致命傷、まさしく一撃必殺の攻撃だろう。今あたしがこうして思考できているのも走馬灯が見せる今際の高速思考――()()()()()()()()()()

 

「お、やるねぇ。不意打ちとはいえあたしを一撃で殺るとはいい火力してんじゃん」

「相変わらずの不死身振り……【アギダイン】【ブフダイン】【ジオダイン】【ザンダイン】!」

 

 ほー、ダイン系魔法の四種盛り! 鎌ロリネキは属性系万能型と聞いてたけど、四種ともダインまで習得済みなのは流石やね。

 安易に【アナライズ】に頼らず属性ノックはまぁまぁ偉いけど、ガードキルも交えずに放つのはちょっと甘えてない? まぁあたしに反射耐性は無いけどさ。

 とはいえ一息に放たれたダイン魔法四発を食らえばあたしの耐久力じゃ普通に死ぬ。()()()()()()

 

「無傷……!」

「無傷じゃないよー、ちゃんと食らってる食らってる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()だから。あ、外套(式神)は普通に【自動修復】してるだけだぜ」

「ホモ姐、のんびり見てる場合じゃないよ! とりあえずどこまでやって死なないかだけでもチェックしなきゃ!」

「ホモじゃなくてバイだっつってんでしょクソガキ、いっぺんマジで掘ってやろうかしら! ……ともあれせっかくの機会だもの、やれるとこまでやってやるわ!」

 

 よーやく三人がかりて来る気になったか。

 まぁあたしの不死性を相手にとりあえず一当てしたがるヤツは多いから慣れたもんだけどさ。

 

 鎌ショタニキ、鎌ロリネキに続いて鎌ホモニキも加わって、三人がかりでの猛攻が続く。

 こいつら三人、普段の言動が言動で【死神同盟】なんて名乗ってるからネタ扱いされがちだけど、実際戦ってみると戦力バランスはいいんだよな。

 鎌ショタニキが生粋の前衛、鎌ロリネキが属性魔法アタッカー、鎌ホモニキがバフ・デバフや状態異常型で、組み合わせとしては王道そのもの。

 そこに大鎌っていうクセ強武器を実用できるまで訓練したから全員が前衛の動きに理解があるし、共に訓練を重ねたから連携もそこらの転生者よりはよっぽど上手い。

 普段はRPを優先しがちという悪癖もあるけど本気になるべき場面は弁えてるし、成長性も含めて有望株なのは間違いないんだよね。

 

 ただまーちょっと注意力散漫というか、観察力不足かなー。

 これはこいつらに限らず他の遊び(模擬戦)相手もそうなんだけど、あたしが高位の降霊術士(ネクロマンサー)である意味を理解してない連中が結構多いんだよね。

 視るべきは肉体(あたし)じゃなくて(あたし)なのに。ガッチリ対策しておいて言うのもなんだけどさ。

 デビサバ2とかD2をご存知ない? あたしが【ネビロス】であることをもっと意識しないと。

 

「うーしそろそろこっちも動くよー。手始めに人形20体でお相手じゃー」

 

 というわけで最早お馴染みの【殺戮人形】部隊投下! 自動人形モードでLv20程度の性能でまずは様子見。

 即座に範囲攻撃に切り替えて、連携を絶やさず対処する点は流石。強みである攻撃範囲を活かして、他の武器種にはない殲滅速度で片付けていくのは大鎌ならではやね。

 敵戦力に合わせて使用スキルも加減しているのも良い。あたしやカレンちんみたいにコスパに優れるわけじゃないなら、その手の効率化を覚えないことには戦い続けられないからね。

 

「30ー、40ー、50-……おおーいいねぇ、このまま百までいっちゃう?」

「クッソどんだけ人形抱えてんだよ!」

「あたしみたいに生産力が戦力に直結してる相手と戦うなら、基本的に兵力は無尽蔵と思っといたほうがいいよー。少なくとも数日そこらで尽きるほど在庫はヤワじゃねーし」

「どうせならその在庫もからっけつにしてやりましょうか?」

「やれるもんならやってみなー?」

「クッ……あとで泣きを見ても知りませんよ!」

 

 まぁ確かにこうもバカスカ人形を壊されちゃあ、いくら在庫があるっていっても損失は馬鹿にはならんよね。

 昔と違って今はマザーマシン――【母胎人形(マザードール)】に一定以下の品質なら人形の量産を任せられるとはいえ、兵力回復には相応のコストと時間もかかるわけだし。

 だからいくら胸を貸してやってるとはいえ、これだけ人形を大盤振る舞いしてやることもないんだけど……けどそれって、()()()()()()()()()()の話だよね?

 

「ほい、【マリオネット】。わはは、同士討ちしろー」

「んなっとぉ!? そう思い通りにいって堪るかっての!」

「流石にレジストするか。でも一瞬とはいえ動きを阻害されるのは響くっしょ? こういう小技って割と重宝するんだよねぇ」

「言われずともよく知ってるわよ……っと!」

 

 仕掛けた目標の攻撃対象を変更させる【マリオネット】はあたしが霊糸技術を磨く過程で覚えた余技だが、格下なら片手間に同士討ちを狙えるのでそれなりに重宝している技だ。

 とはいえ人間相手だとある程度の霊力操作技術があれば干渉を跳ね除けられるので、精々身体運動に一瞬の()()を生じさせる程度にしかならないが、得てしてそうした刹那の違和が勝敗を決することもままあるのが戦いというもの。

 それにこの片手間の干渉に多少なりとも相手の霊力消耗を割けるのならばメリットの方が大きいので、最近になって性能を再評価しつつあるあたしの自慢の技だったりする。

 

「おー、マジで百いきそうな勢いじゃん。でも悪魔と違って残骸散らばるから結構邪魔でしょ?」

「ちきしょー、供給源潰せないタワーディフェンスバトルとかクソゲーすぎる! ボクも飛行手段ほしい!」

「ボヤいてないで対処しなさい! まだまだ来ますよ!」

「戦いは数って真理よねぇ……レベルに開きがあっても無尽蔵だと流石に……!」

 

 まだ口を利けるとか割と余裕あんなこいつら。

 まぁ軍勢悪魔もこいつらのレベルだとそれなりに相手する機会もあるだろうしこんなもんか。

 でもその「そろそろこいつらの相手も慣れてきたな」ってツラは気に入らねー、そろそろ本物のクソゲー始めっか。

 

「んじゃぼちぼち攻撃すんぞー。頑張って耐えな、多分無理だけど」

 

 あたしの挑発に応えるように殲滅速度を増す三馬鹿に向けて掌を開く。

 そのジェスチャーに嫌な予感を覚えたらしい鎌ロリネキがあたしの手を焼くが、生憎これはただのポーズであって特に意味はない。

 これまで隠していたあたしの手(栄光の手)を開き、死霊を招くためのわかりやすい動作でしかないから。

 

「――【死霊の呼び声】」

「ガッ――!?」

「これは……呪詛……!?」

「マッ……ズイわねぇ、これ……!」

「あーらら、【呪い】が通っちゃったねぇ……これ、なーんだ?」

 

 こちとらカス子ぞ? 連合きっての降霊術士(ネクロマンサー)であると同時に――呪術士(カースメーカー)であることをお忘れじゃないかね?

 伊達でカス子なんてHN名乗ってるんじゃないんだよ、本霊を自覚している数少ない転生者の一人でもある意味をお前らに教えてやんよ。

 

 手招きのジェスチャーで三人を呪い、それが通った証である呪詛の塊を黒い炎として掌の上に乗せて見せる。

 これが意味するところを理解できないまでも、致命的であると察した三人が人形を無視してあたしを攻撃するが、生憎あたしの不死は未だ健在。

 攻撃を終えた直後にはノータイムで蘇生を終えて健在を見せつけながら、その炎を今や瓦礫の山となった人形達の残骸に灯してやる。

 すると――

 

「――はい、人形軍団大復活ー」

〝…………クソゲー!!!!!!!〟

 

 ――見る影も無い残骸(ガラクタ)だったあたしの人形(仲間)が、一つ残らず無傷で復活!

 というわけでタワーディフェンスバトル再開や、絶望しろウハハハハ!!!

 

「クソッ、マジかよ……ここで振り出しに戻るってあり!?」

「高位異能者が可能とする権能……だとは思いますが……」

「死なない指揮官に死なない軍勢って無茶苦茶にも程があるでしょ!」

「あたしの呪いに掛かったお前らが悪い。ほーらちんたらしてると囲まれるぞ~」

 

 つってもう包囲されてんだけど。

 さっきまでの逐次投入とは違って、これまでに倒した戦力が一斉復活だからね。

 おまけに置き土産もあるし……お、初撃を与えた鎌ショタニキがその効果を察したかな?

 

「はぁ!? なんかダメージの通りが悪いんだけど!?」

「ステータス確認、呪い状態です。姐さん、回復を!」

「先に言っとくと【カースディ】かそれなりに高級な解呪アイテム無いと解けないよー。どちらも無いなら回復の泉か本職のヒーラーに頼むしかないねぇ」

「マイナーすぎてどっちも持ってないわよぉ! ちなみに効果は!?」

「回復効果阻害ー。あたしとお前らの力量差なら……まぁ回復不能かな?」

「り、理不尽すぎる……!!」

 

 ちなみに理不尽なのはこれだけじゃないんだぜ。

 わかりやすくこちらが人形の供給を止めてやると、残存戦力を処理すれば仕舞いと判断して余力を擲って殲滅を再開した三馬鹿。

 だが最初の一体を仕留めたときにまず違和感を覚え、二体目を倒したときに確信、三体目を倒したときには非難がましい目でこっちを見てきた。

 

「倒すたびに味方全体に【ラスタキャンディ】は効果盛りすぎでしょ!?」

「効果時間は短いから……がんば!」

〝ザッケンナコラー!!〟

 

 レベル差はあれどバフとデバフの累積で性能が五分五分になった三馬鹿と人形軍団じゃあ、数で勝る後者に軍配が上がり前者は敢えなく撃沈。

 三馬鹿は人形の波に呑まれザクリザクリと刃を突き立てられ、パニックホラーさながらの有り様でズタボロになり死んだのでした。

 

 

 ◇

 

 

「はいおつかれー。なんで負けたか次回まで考えといてください、何かが見えてくるかはしらねーけど」

「クソッ……ぐううううううぅぅぅ……!!! ぐやぢい!!!!!!!!!」

「泣かないでくださいよ……情けない……」

「そういうアナタも泣いてるじゃないの。……それにしてもここまで差があるとはねぇ」

 

 ヌハハハハハ、どうだあたしの偉大さを思い知ったか!

 こちとら戦術の陰湿っぷりでは下層どころか深層入りしたニキネキ達からも唯一無二と評判だゾ。

 元ネタに詳しいD2精通ニキ達から着想を得て長年コソコソ修行してたけど、まさかここまでの高レベルに至って権能化してようやく実現可能だとは思わなんだ。

 まぁ効果が効果だから納得の難易度ではあるんだけど、天才の命子さんをしてここまで労力をかけないと習得できなかった技や。お前ら如きに攻略されて堪るかっての。

 つーかこれでも普通に対処してくるやつらもいるあたり、上澄みはほんと油断ならねぇんだよな。

 修羅勢の有名どころと言えばセツニキを筆頭とする星祭組だけど、あいつらでさえ歯牙にかけない真修羅勢も異界の奥地にはいるらしいし、まーじで終わりの見えないエンドコンテンツだよ。

 

「あースッキリした! やっぱむしゃくしゃした気分は殴り合いで晴らすに限るね!」

「こーら命子、そういう悪ぶったこと言わないの。まったく意地も口も悪いんだから……」

「うわーんおししょー!!」

 

 って鎌ショタニキおうコラ、ドサクサに紛れてシオリっちに抱き着こうとすんのやめーや。

 そこはワイの専用席やぞ、ショタとはいえ野郎はお呼びじゃねぇんだ帰りな!

 つか他の二人に鎌で牽制されてるし草。お前いっつも抜け駆けしようとして刺されてんな、これだからショタを悪用するガキは困る。

 

「まぁ命子相手は特に相性が出やすいから、そう気落ちするものでもないわ。貴方達ももっとレベルを上げて腕を磨けば、同じくらいの領域には到達するはずだし」

「ぐすぐす……ほんと? カスに勝てる?」

「いやぁお前じゃ無理だよ」

「うわーん!!!!!!」

「命子……」

「だって事実だしー」

 

 何度も言ってるけど観察力が足りねぇんだって。

 あたしが飛丸(【グラシャラボラス】)を従えてることの意味を全然理解してねーもん。

 つーかあたし高位の降霊術士(ネクロマンサー)なんだぜ? なんで目の前の肉体に固執するかなぁ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。マジでいっぺん有識者に聞いてみなって。

 

「納得しきれはしませんが……今の私達では力不足だということは痛感しました。お姉様共々貴重なお時間を割いていただいたことには感謝します」

「んむ、素直なやつは伸びるぞよ」

「ですがいつか必ず……そう、必ずその素っ首を落として確実に殺し、お姉様をお前の手から救い出してみせます。精々首を洗って待っていますよう」

「毎度思うんだけどなんでそういうことになるのかしら……」

 

 まぁ言うてやりなさんな、あれがこいつらの様式美なのだ。

 実際のとここれは高度なツンデレであって、要約すれば「お前にお姉ちゃんは渡さないんだから! 次こそ覚悟しなさいよね!!」っていうロリっ子のいじらしい遊び文句なんじゃ。

 

「鎌ホモニキもこいつらの引率大変やねー」

「だからホモじゃなくてバイだっつってんでしょ。ていうかホモだったらお師匠様のおっかけなんてやってないわよ」

「ファン精神で大鎌使いこなす努力は認めるけどさー。まぁいいや、とりあえず飯食ってく? 奢ってやるけぇ、せっかくだから北海グルメ堪能してIKEA」

「わーいやったー! 魔人ネキはー?」

「ここ最近仕事漬けだし引っ張ってくるかー」

「……魔人ネキと言えば、なんですが」

 

 ん? どうした鎌ロリネキ。

 

「せっかくの機会なので、魔人ネキとも手合わせ願えないでしょうか?」

「おいこいつ結構図々しいぞ?」

「いえ、御二人と手合わせしておきながら残る一人と刃を交えないのも据わりが悪い気がしまして……」

「いやまぁわからんでもないけどさ。……うーん、別にいいか? ちょっと誘うついでに聞いてくる」

 

 というわけでぱぱっと聞いてきまして。

 

「『この後出掛けるのであれば手短に済ませますが、それでも良ければ』、だってさ。あ、外食は了承貰えたよ」

「ご多忙なところへ無理を言うのですから勿論です。……ゆくゆくは対等に渡り合ってみせますが」

「ふーん……何気に鎌ロリネキが一番好戦的っつーか、ガツガツいくよね」

「これでもアタシらのリーダー格だからねぇ。それにこれくらい意欲が無いとこの先やっていけないでしょ」

「そーそー、マジで半終末なんてものが来ちゃったしねぇ。このまま悪魔やメシアンの食い物にされるなんて真っ平ごめんだし、やれる限りのことはやらないと安心できないもんね」

 

 お前らはあたしを敬いもしねぇクソ生意気な後輩共だけど、そういうところは素直に好きだぜ。

 まぁ精々やれるだけやってみな。あたしはともかくシオリっちは面倒見良いし、お前らにやる気がある限りは付き合ってくれるだろうからさ。

 

「んじゃカレンちんとの模擬戦セッティングすっかぁ。お前らも今のうちに回復しとけー」

「施設借りるわねぇ」

 

 というわけでセッティングを終えまして、業務を終えたカレンちんと三馬鹿が相対する。

 レフェリーにシオリっちが立ってゴングを鳴らすけど――うん。

 

「――これでよろしいでしょうか」

「普通に沈んでんねこりゃ」

 

 次の瞬間にはものの見事にワンツーを食らい、纏めて仲良く気絶して(ピヨって)る三人がいた。

 通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃でついでにHP吸収効果もついてる馬鹿力のカレンちんが格下を殴ればこうもなろう……。

*1
CV:飛田展男




・カス子
不死身の軍勢を率いる不死身の指揮官。
固有スキル【死霊の呼び声】【栄光の手】による味方全体蘇生バフ&敵全体デバフと、人形遣いとしてのスキルで量産した人形軍団の兵力がシナジーした集団戦術特化理不尽の一人。
詳細は「D2 ネビロス」で検索したほうがわかりやすいので割愛。
自分が不死身の理由もネビロス由来だが、そこにグラシャラボラスの透明化の権能を加えて小細工している。デビサバ2はいいぞ。

・邪視ネキ
三馬鹿に「本気で戦って」と言われたので模擬戦で瞬殺した大人げない師匠。
普通に三馬鹿では対応不能な速度でバラバラにしたが、癖で命脈も断ってしまっていたので何気に通常手段では蘇生不可だった。
弟子達に慕われるのは素直に嬉しいが、それはそれとして三人の妙な熱意には一歩引いてしまう常人メンタル。

・魔人ネキ
本人のステが力・体特化。かつ保有スキルが【攻撃全体化】【吸収追加】【双手】に各種物理パッシブなせいで通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃でHP吸収効果もついてる継戦能力の権化。格下相手なら普通に殴ってるだけで延々と戦える。
ちなみに自力で【デスバウンド】【デスカウンター】【■■の■■】も覚えた。なんでやろなぁ(

・鎌ショタニキ
三馬鹿もとい死神同盟の純前衛担当の美ショタ。
特別魔法が強いわけでも搦め手が得意なわけでもないが、その分真っ当に強いシンプルな戦士タイプ。邪視ネキが速・運型ならこっちは力・速型。
三人組最年少で、自分の可愛さに自覚があり、年上好きなマセガキ。
本人はまだ気づいていないが既にナマモノネキの毒牙にかかっている。
目の下にアイラインを入れて「キャハハ」とか笑ってそうなタイプの死神。

・鎌ロリネキ
死神同盟の魔法アタッカー担当の美少女。
本来の資質としては後衛タイプだったのが、邪視ネキの戦闘スタイルに脳を灼かれて必死こいて修行した結果、並の前衛顔負けの近接技術を身に着けた剛の者。
攻撃面の対応力が広く、極端に苦手とする敵を持たないオールラウンダー。
三人組のリーダー格だが、大人しそうに見えて一番血の気が多い。掲示板でカス子によく噛みついてるのもこいつ。
巨大武器を振り回す敬語系儚げロリタイプの死神。

・鎌ホモニキ
死神同盟の搦め手担当のビジュアル系オネエ。ホモではなくバイなのだが、語感の良さで鎌ホモのHNが定着してしまった悲しき漢女。
一時期流行した大鎌ブームになんとなく乗ってみたが、なんやかんや付き合っているうちに他の二人と共に最後まで生き残ってしまって以来の縁。
三人組最年長なので引率役を買って出ているがリーダーではないし、悪ノリも大好きなので他の二人に合わせてカス子にじゃれついてる。
オカマは強キャラを体現したようなタイプの死神。

・マタギニキ
カス子が目をつけ直々にスカウトした期待の新戦力……だった。
諸々の支援をしたがドクトルニキにまんまとハメられ、カス子が知ったときには既に北米へ旅立ったあとだった。
後に帰国したあとは改めて道南支部所属となるが、未来を知る由もないカス子は逃がした魚の大きさに地団駄を踏んで憤慨した。

・ドクトルニキ
カス子の敵。
殴り込みをかけようとしたが魔人ネキに待ったを掛けられ、腹いせに着拒された。
目の敵にしてるのはカス子だけで、他の二人は変人だなぁとは思いつつも別に敵愾心はない。
ただお行儀が良くないのは確かなので着拒は受け入れたが、出禁措置についてはカス子が忘れた頃にこっそり解かれる。


塵塚怪翁さんの閑話集で拙作を取り上げていただけたぜ!
まさかマタギニキという素敵戦力がうちの子になってくれるなんてな……塵塚怪翁さんありがとナス!
こういう三次同士での繋がりみたいなのがカオ転三次の醍醐味だよなぁってつくづく思うワケ。
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