本筋に影響はありません。ご安心ください。
「おーいカス子ネキー。在庫なくなったから上層で稼ぎ頼むわー」
「かしこまりー」
東に在庫不足で悩むエドニキあれば、依頼を受けて修行場に潜り――
「よーしそれじゃあ訓練はじめっぞ。どこからでもかかってこい」
「ウッスおなしゃす! ……隙ありぃ!!」
「ねぇよンなもん」
「グワーッ!?」
西でセツニキ*1の訓練があれば挑んで返り討ちに遭い――
「ぐええぇぇぇ……」
「典型的な感覚型……天才肌のそれですねぇ。素直に
「五行とは……陰陽とは一体……うごごごご」
南に探求ネキ*2の授業があれば頭から煙を噴き上げ――
「人魚ネキちーっす」
「こんにちはカス子ネキ。精が出ますね」
「お互い様っすよぉ。……ネキがいるなら河岸変えたほうが良さそうっすね」
「ああ、これはどうもお気遣いを」
北でレベリングに異界に潜れば、すれ違った人魚ネキ*3と世間話をする――そんな充実した本部ライフを過ごしていた!
どーも命子さんです。ガイア連合の層が厚すぎるッピ!
天才のこのあたしが手も足も出ないなど……こ、こんなことが……こ、こんなことが許されていいのか!?
許されるんだよなぁこれが。
地元から支部(本部)に出向してしばらく。
周囲見渡せば同格以上がてんこ盛りの修羅の巣窟で、同輩に揉まれながらスキルを磨く毎日は殊の外充実している。
地元にいた頃は使命感っつーか閉塞感っつーか、やらなきゃ共倒れじゃんっていう危機感で悪魔しばいてたからなぁ。
それがここじゃあコンビニ感覚で異界潜れば、程よい難易度で悪魔と戦えて、勝てば経験値とドロップアイテムが手に入るっていう厚遇ぶりだもの。
合間合間に食うジャンニキの飯と、ガイアニ作品を観賞しながらの毎日は大した天国っぷりだったぜぇ?
こ、これが都会か……!! ばあちゃん、あたい田舎出て良かったよ……!!
とはいえ、だ。
そうして自分のことだけ考える日々を過ごしていると、不意に脳裏を過ぎるのが故郷の姿でもありまして。
「というわけで一度地元に帰ろうかなと」
「また唐突だね。……はい、ボツ☆」
「ぎえええええええ!!!!」
ショタオジへの課題提出がてら伝えてみれば、例の如く笑顔でボツが返ってきた。畜生!
「中層試験はどうするの? 結局まだ挑戦してないけど」
「一旦地元の様子見てからでも遅くないかなーって」
悔し紛れにショタオジの羊羹をパク――ろうとしたら普通に失敗したので、煎餅をもぐもぐ。
所謂"Lv30の壁"とやらには既に辿り着いて受験条件は満たしているけれど、勢いで挑むのもどうかなーって感じだし。
あたしはこれでも慎重派なのだ。
「まぁ多分すぐに戻ってきますよ、ちょこっと挨拶したら終いですし」
「ふぅん……まぁ好きにすればいいんじゃない? あ、帰る前に製造班に寄っていきなよ。さっき最終調整終わったところだから、式神受け取っていきな」
「やっちゃあ! サンキューショタオジ!!」
っぱショタオジが正義や!!
ショタオジNo.1!!!
「それじゃあ霊視ニキにもよろしく言っといてね。
「はーい!」
しっきがみ! しっきがみ!!
◇
そんなこんなでマイ式神を受け取った私は、山梨土産を手に路線を乗り継ぎ懐かしのA森県に帰ってきたのだった!
最寄り駅から三時間に一本の田舎バスに乗り込み、停車駅から更に歩くこと小一時間。
相変わらずのド田舎振りを晒す我が故郷の山々を登りながら結界を潜り抜けると、そこに見えるは懐かしの隠れ里――
「――ではないな?」
なんか記憶にあるよりもこざっぱりしてるというか、妙に均されている広場を横目に大屋敷に乗り込むとなにやらドタバタ。
「命子さんのお戻りですよー? 出迎えご苦労、皆の衆――っていねぇ!?」
「あ、命子。帰ってきたの?」
「そーですよ命子さんですよ。サチ姉は――」
「ごめんね! 今ちょっと手が離せないから……部屋そのままだからゆっくりしていって! それじゃ!」
いつもなら恭しく出迎えてくれるはずの家人が一人もおらず、代わりに忙しなく歩き回る巫女衆の姿が。
そのうちの書類を抱えていた姉様方の一人がこちらに気付くも、取り付く島もなくそのまま去っていった。
「……」
おいおいおい……筆頭イタコの命子様を前に無礼じゃあないかい?
まぁ本気で忙しそうだし、邪魔するのも悪いっていうか……私の器はビッグだからままええわ、許したろ。
少々釈然としない思いを抱えながらも素直に従って自室に向かう。
古臭い屋敷の匂いを懐かしむゆとりも無いまま引き戸を開ければ、やはり記憶のままのマイルーム。
でもなんだろう、なぜか寂しい……。
「……しゃーない、妹達を見てやっかぁ」
手荷物を置いてしばしぼーっとしてると、なんだか無性に切なくなってきたので妹分達を構ってやることにする。
人形を手に下の子達の住む大部屋に向かうと、ここでもなにやら忙しそう?
「妹たちー、命子姉様のお戻りだぞー」
「あ、めー姉様」
「おかえりなさい、めー姉様!」
と思ったけれど顔を出せばわらわらと集う可愛い妹分達。
うんうん、こういうのでいいんだよ、こういうので!
どうれ一年振りにあたしの人形劇を観せてやろうではないか。
本部で鍛えられ更に冴え渡ったあたしの美技に酔いな……!
あ、あと山梨土産もあるからね。特産かどうかも怪しいクッキー缶だけどたぶん美味しいよ。
「あっ……ごめんなさい、めー姉様。わたしたちこれからお務めがあるの」
「あとで観てあげますからゆっくりしていってくださいね」
「長老様でしたら奥に巴姉様といらっしゃいますから……」
「サヨ、姉様じゃなくて奥様って呼ばなきゃ!」
「あっ、そうだった。それじゃあ姉様、また後程。……おみやげもありがとうございます、あとでみんなでいただきますね」
「……」
そういってやっぱり忙しそうにそそくさと散っていく妹分たち。
……いやちょっとまて、今ナチュラルに
まるであたしのほうが劇を観て欲しがってるみたいな風にゆったか????
「……むぅ」
おいおいおい……なんだよこのアウェー感……!
一年ぽっちでまるで親戚の家みたいな距離感じゃねーの。
さすがのあたしもちょっぴり切ないが? 思わず涙ぐみそうになったが???
しゃーないので長老に挨拶してやっかぁ。
どうせ実務は下に任せて暇してんだろうし、あたしが構ってやろうじゃねぇの。
「おらー、命子様のおもどりだぞ!」
バーンと引き戸を開けて帰りをアピール!
ノックなんざこのド田舎には過ぎた代物だぜ……古屋敷にプライベートなんてありゃしねぇよ!
おらっ、あたしを構え!!
「――旦那様、こちらが当家の史料になります」
「建設予定地の立ち退きは恙無く――」
「行政はご心配なく。穏便に
「……*4」
「……おう、そこに置いててくれ」
目に飛び込んできたのは、霊視ニキを取り囲む妙齢の美女の群れだった――!
書類を起きながら谷間のアピールを欠かさない泣きぼくろボイン!
澄ました顔で報告しながらそっと一歩詰める眼鏡ボイン!
ふんわりとした笑みを浮かべながらさりげなく指を絡めようとする魔性ボイン!
そしてこめかみに青筋を浮かべるビッグボイン! ……は、巴姉か。
それとなんか疲れた顔の霊視ニキを半笑いで眺める護衛のモーさん。
「誰だおまえら!? ……いやその霊質、まさか!?」
「おや、命子かえ。おかえり」
「フフフ……よう気付いたのう」
「どうかえ……ピッチピチぼでーに若返った我らは?」
「長老方……」
なんてこった……!
寄って集ってセクシャルアピールしまくってるこの雌が、あの皺くちゃババア衆だなんて……!?
巴姉、これはどういうことだ! なぜこんな地獄絵図を……はっ!?
「と、巴姉……その左薬指は……!」
「……お、おかえりなさい命子。もうすぐご飯にしますからね?」
視線を霊視ニキに向ける。
「……まぁ、そういうことだ」
「仲良くしようぜ、カス子ネキ?」
言葉に詰まりながらも、まんざらでもなさそうに眼鏡を押し上げる霊視ニキと、ニヤニヤ顔で宣うモーさん。
これらの反応が示す事実とは――!!
「さ……里が霊視ニキにNTRれた~~~~~~~!!!!???」
「人聞きが悪ィ!*5」
◆◆◆
【悲報】ワイの故郷、霊視ニキにNTRれる【霊視ハーレム】
1:カス子
霊視ニキ許せねぇよ!!!!!!!!!!!
4:名無しの転生者
草
5:名無しの転生者
なんだこの糞スレは、たまげたなぁ……
9:名無しの転生者
珍しくカス子ネキがスレ立てしたと思ったらなんだこれwww
12:名無しの転生者
こんな糞スレを立てて恥ずかしくないんですか?
16:カス子
ひとりくらい心配しろや!!!!!!!
20:名無しの転生者
心配するもなにも状況がわからんし……
24:名無しの転生者
霊視ニキがハーレム? (ヾノ・∀・`)ナイナイ
26:名無しの転生者
性癖に従って造ったマイ式神を戦友にしてしまうような漢やぞ
31:名無しの転生者
所詮は童貞よ……
35:カス子
霊視ニキ変わっちまったよ……
一本筋通った漢だと思ってたのに、あんな爆乳を自分のものにしたなんて……!
36:名無しの転生者
ガタッ!
40:名無しの転生者
なん……だと……!?
44:名無しの転生者
霊視ニキが美乳のモーさんを差し置いて爆乳を!?
46:名無しの転生者
流れ変わったな
50:名無しの転生者
それが事実だとしたら到底許されることではない!!
55:名無しの転生者
えぇ~~??? 本当にござるか~~~~????
59:カス子
嘘じゃないもん! あたしみたもん!!
二人の左薬指にキラリと光るアレを!!!!
62:名無しの転生者
>>59
そんな……まさか……
67:名無しの転生者
>>59
なんてこと……ありえないのだわ……!!
68:名無しの転生者
結婚指輪ぁ……ですねぇ……
73:カス子
姉ェが雌の顔してた!!!!
あいつらうまぴょいしたんだ!!!!!
78:名無しの転生者
うまぴょい言うな(
80:名無しの転生者
うまぴょいは隠語じゃねぇって何度言えば(ry
85:名無しの転生者
いや草
90:名無しの転生者
なんだこのイッチは……(ネタの)神に愛されすぎてる
94:カス子
同じく雌の顔しとるババアも見たくなかった!!!!
97:名無しの転生者
えっなにそれは(
100:名無しの転生者
流れ変わったな……
104:名無しの転生者
爆乳だけでなくババアも!?
107:名無しの転生者
つまり爆乳ババア……ってコト!?
108:名無しの転生者
ヴォエッ!
110:名無しの転生者
申し訳ないがグロ画像はNG(
115:名無しの転生者
ワイはいける(
117:名無しの転生者
まだスタンダード
118:名無しの転生者
業の深い兄貴達がいますね……
123:名無しの転生者
二度目の人生で淫夢を拗らせてるやつがいる中で何を今更(
126:★霊視
お前らぶっ殺すぞ
130:名無しの転生者
うわでた
132:名無しの転生者
ハーレム形成したらしい霊視ニキおっすおっす
134:名無しの転生者
霊視応用してエゴサしてるともっぱらの噂の霊視ニキじゃん
139:★霊視
本部に戻ったとき覚悟しとけよ(
141:名無しの転生者
ヒエッ
143:名無しの転生者
許し亭ゆるして(
147:名無しの転生者
お慈悲~~~~!
148:名無しの転生者
で、実際のとこどうなん?
149:★霊視
>>141>>143 許さん、殴る
>>148
結婚したってのはその通りだが、ハーレム云々はバカが勝手に言ってるだけだ
まぁアピールはあるが……それに応えるつもりはねェよ
150:名無しの転生者
当方、霊視ニキと同じ恐山出張組だけどガチだよ
まぁそういう婚姻アピールはどこの地方組織でもあることだし
155:名無しの転生者
他の地方組織と違うのは、恐山との提携は本部肝入り案件ってことやね
ぶっちゃけ政略結婚の向きが無いでもないけど、それでも受け入れたのはニキ本人の意思……やんな?
156:★霊視
……詳しく語るつもりはねェが、俺は肚ァ括ったとだけ
なんでカス子ネキの言う事を真に受けんじゃねぇぞ。いたらぶん殴る(
158:名無しの転生者
>>156 でも言い寄られてるのは事実なんですよね?
161:★霊視
どこも一緒だろうが!!
166:名無しの転生者
(BBAに言い寄られるのはどこでも一緒では)ないです
170:名無しの転生者
てか霊視ニキ以前BBAに逆レされかけたって言ってたような……
171:名無しの転生者
まさかそのときに新たな扉を……!?
172:名無しの転生者
まだスタンダード
173:★霊視
ぶっ殺すぞ!!!!!!!!!!!
176:名無しの転生者
霊視ニキ、キレたッッ!!
181:名無しの転生者
そらそうよ(
183:★霊視
収拾がつかなさそうだから説明するとだな、復興の過程で【恐山の冷水】が霊性を取り戻してな
それを飲んだ一部の長老衆が若返って少しはっちゃけてるだけだ
俺に粉かけてるのだってからかい半分だろ……何人か"世話"になった俺達もいるみたいだがな
187:名無しの転生者
フヒヒ、サーセン
189:名無しの転生者
抗えなかった……エロ巫女の色香に……!
191:名無しの転生者
なそ
にん
192:名無しの転生者
まぁ地方霊能組織って才能はともかく見てくれは良いとこ多いし
194:名無しの転生者
つか随分仲良さそうにやってんね?
現地民なんざ頼りにならねーっつって、必要最低限以外は関わろうとしないのがデフォなのに
195:★霊視
もう身内だからな、だったら最後まで責任取るのが筋ってもんだ
それにこっちの事情は……まぁ色々あるしな
戦力としても現地組織としては上澄みだしノウハウもある
つーかおまえら色々軽視してるが現地も捨てたもんじゃねぇぞ? あんま色眼鏡で見るのはやめときな
197:名無しの転生者
ニキがそういうなら……まぁ
200:名無しの転生者
実際に出張って動いてるやつの前で言う事じゃなかったな、すまん
204:★霊視
あともうひとつついでに弁明させてもらうと、俺はちゃんと結婚報告したからな?
あん時はまだ電気設備整ってなかったから書面での報告だが……アイツちゃんと読んでなかったのか
205:名無しの転生者
うーんこの(
まぁでもカス子ネキだしありそう
206:名無しの転生者
たぶん開発報告書とごっちゃにして流し読みしてたんじゃない?
ネキすげぇめんどそうな顔してるの何度か見たことあるし、あんまよくわかってなさそう
まぁネキの早とちり乙ってことで
207:名無しの転生者
でも奥さんとはうまぴょいしたんですよね?
208:★霊視
>>207 ころす
213:名無しの転生者
>>207ェ……
218:名無しの転生者
せっかく霊視ニキが〆ようとしたのに台無しヤンケ
222:名無しの転生者
どうすんだよこの糞スレはよぉ!!
223:名無しの転生者
いつの間にかカス子ネキも反応ねぇし(
226:名無しの転生者
ほんまや
糞スレ立てて逃げるとかなにしとんねんあのカスゥ!
227:名無しの転生者
欠片も心配されずこの言われようである(
231:名無しの転生者
残念でもなく当然(
232:名無しの転生者
で、どうすんのこのスレ?
235:★霊視
あっすまん
カス子ネキはちょっと今寝てるから勝手に落としといてくれ
239:名無しの転生者
>今寝てる
あっ(察し)
241:名無しの転生者
そういや霊視ニキ登場と同時にだんまりでしたね……(
243:名無しの転生者
ここに墓を立てよう
247:名無しの転生者
カス子ネキ生き返れ生き返れ……
249:名無しの転生者
24時間以内に起きられればいいね!
250:名無しの転生者
連れを起こさないでやってくれ、死ぬほど疲れてる(
251:名無しの転生者
カス子ネキは大丈夫なんですかねぇ……
252:名無しの転生者
死んだんじゃないのぉ~?
255:★霊視
人聞きの悪いこと言うな!
ふつーに騒ぎ疲れて電池切れただけだ……ったく
257:名無しの転生者
おこちゃまやんけ草
ゆっくりおやすみ……
・カス子
みんなガチで忙しかっただけで別に蔑ろにしたわけではない。
むしろアポなしで急に里帰りを決めたカスのほうが悪い(
このあと改めておかえりなさいパーティーを開いてもらって機嫌を直した。
・巴
霊視ニキの嫁。
なんやかんやカスにはちゃんと祝福してもらった。
・霊視ニキ
この世界線ではこの時点で結婚済み。
本編を読むほどに彼がいなければ連合は立ち行かなかっただろう屋台骨の一人。
カスに「お義兄ちゃん」と呼ばれてめちゃくちゃ渋い顔をした。
フリー宣言をいただいてる作品様から勝手にキャラクターを起用させていただいてます。
おかげで彩りが出て助かります。改めて感謝申し上げます。