【カオ転三次】今更転生ごちゃまぜサマナー   作:ふーじん

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終末後新世代組の話なので初投稿です。


後日談6:ある終末日和のガール・アンド・ガール

 

「あ、あった。ちーちゃーん、こっちこっちー」

「ちょっと待って、今行く」

 

 旧北海道は人類生存圏外のとある荒野に黄色い声がこだまする。

 出没悪魔の平均レベルは30を示す紛れもない死地だが、声をかけあう二人の間に危機感はおろか緊張感すら無い。

 まるで実家の庭先を歩くような気軽さで生存圏外へ赴き、野良猫を愛でるような気安さで襲い来る悪魔達のことごとくを返り討ちにして存在する二人の少女。

 

「ふぅ……どこかの縄張りを刺激したのかな。妙にしつこかったよ」

 

 三日月のように湾曲した血染めの刃を背負い、言葉とは裏腹にまったく疲労の色を見せない黒髪黒衣の少女――宮古契。

 

「このへんは湧き潰しするにも遠いからねー。でもわたしたちを見ても襲おうとしたのは減点かな、お仕置きが足りてないね」

 

 一見して寸鉄ひとつ帯びず、軽装とすら呼べないワンピースドレスに身を包んだ白髪白衣の少女――百合。

 

 共に血風とは無縁に思える可憐な風貌。

 しかしその実態はこの道南を牛耳る女傑三名のうち二名の血を引く特級のブルーブラッド。

 紛れもない支配者層の一人であり、決戦兵器の一角であり、この世に舞い降りた現人神の一柱。

 その二人がなぜ人里離れた荒野にいるのかと言えば、偏に百合の都合のためだった。

 

「それで、このドッグタグが例の……」

「うん。依頼中に消息を絶ったハンターさんの一人。ハンターランクは……わ、すごい。上位の星1つだ。将来有望だったのになー、もったいない」

 

 二人が拾ったのは薄汚れたひとつのドッグタグ。

 【ハンター協会】所属のハンターに配布される身分証明証であり、上位の星1つともなればガイア基準にしてLv30に迫る有望株だ。

 上位以上が黒札やその血を引く金札が大半を占めることを踏まえれば、現地民の中では上澄みの才人と言っても過言ではない。

 

 現場に遺されていたのはそれのみで、亡骸や装備の類は見当たらなかった。

 有力な霊能者の亡骸はいくらでも使い道がある有用な資源だし、ハンターが用いる装備は協会所属の職人達がひとつひとつオーダーメイドでフォルマから拵えた一級品だ。当然下手人がそれを捨て置くはずもなく、ドッグタグだけでも無事だったことが奇跡とすら言えた。

 

 無論、からくりはある。

 一見して身分証明以外に用途を見出だせないこのドッグタグだが……実のところこれこそが最重要品だった。

 これは協会のハンターとして活動し得る有力者を徒に損耗させないため、百合の母たる命子が手ずから作成した呪具であり――その真の用途は()()()()

 外部の目から隠匿され、何人であろうと許可無くしてこのドッグタグを手にすることはできず、これがある限り所有者の魂は厳重に守られる。

 

 魂を攫って天使の糧とするメシア教過激派、あるいは魂を喰らってより強力になる悪魔達を相手取る上での必需品である。

 ハンターが依頼(クエスト)中に死亡しても、ドッグタグさえ無事ならそれがビーコンとなっていずれ回収班の手によって本部へ持ち帰られる手筈となっており、相応の資産を要求されはするが望むなら蘇生すら叶うのだから、これこそが協会所属ハンターの最たる特権とも言えた。 

 

 とはいえこのハンター某の場合肉の一片すら残らない魂一つであるので、蘇生を望もうにも全財産をはたいても足りないだろうが。

 一般的に蘇生は肉体が欠損するほどに難易度が上がり、魂からの蘇生を可能とするのは黒札でも一握りである。

 更に言えばこの道南でそれを可能とするのは三女傑の一角である降霊術士と、もう一人――

 

「それじゃあ【お話しましょ?】」

 

 ――その直系である百合くらいのものだが。

 百合がドッグタグを手に取りそう呼びかけると、二人の目の前に光が集い朧気な形を取る。

 ぼやけた輪郭と眩い燐光ではっきりとは確認できないが、彼を知る者がそれを見れば生前の姿であることが理解できただろう。

 肉を持たない霊体で意識を取り戻した彼は驚いたように辺りを見回したあと、目の前の少女達に気付いて事を察したようだった。

 

『キミは……"末期の百合(エンダーリリーズ)"、それに"収穫者(ハーヴェストムーン)"。そうか……僕は死んだのか』

「……ねぇ、その通り名で呼ぶのやめない? すごく恥ずかしいんだけど……」

「ちーちゃんったら水差しちゃダメー。いいじゃない、かっこよくて。わたしは好きよ?」

 

 有力な霊能者には付きものの通り名で呼ばれ渋い顔をする契。

 一応本名を隠して呼び合うという利点があるのは認めるが、それはそれとして昨今の称号主義には物申したいのが彼女である。

 一方でそのへんにはあまり頓着しないのが百合だ。大概のことは受け入れる鷹揚さの持ち主だが、その彼女でも過激派由来の二つ名はNO THANK YOUなのだった。

 

『噂には聞いていたけど……本当だったんだね。無縁の死を看取る水先案内人の噂……キミがそうなんだろう?』

「そうだよー。まぁ趣味というか、ライフワーク? みたいなものかな。ハンターさんならママが魂にタグ付けしてるからこうして探せるよ。それ以外は確実に探せるとは言えないけど」

『なるほど……』

 

 軽い口調で言ってはいるが、途方もない領域の話だと彼は思った。

 ドッグタグの性能については受領の際に協会から説明は受けている。

 しかし近接一辺倒で魔導に関しては無理解だった彼では魂云々の概念は理解が及ばなかったし、ドッグタグも義務付けられているから携行していたに過ぎない。

 

 だがこうして実際に死に……自らの死を自覚して。魂ひとつで彼女と会話して、ようやくその意味が理解できた。

 死は安息を意味しない――その真意を彼はよくよく思い知る心地だった。

 

『……こうして目覚めさせてもらえたことは感謝している。けれど僕に出来ることは精々事情を説明するくらいで……ああ、そうだ。思い出した! 一刻も早く本部に伝えないと……』

「大丈夫、落ち着いて……なにがあったか【教えてくれる?】」

『あぁ、実は――』

「――わかった、もういいよ」

 

 百合の問いに答えようとした次の瞬間には、彼女は既に答えを得ていた。

 質問に対する魂の許諾を経て、死に至る一部始終を追体験する強力なサイコメトリー。

 ()()()()()()()()とも呼ばれる魂の秘儀によって全てを理解した百合は、青年の手を取って問いを重ねた。

 

「あなたには三つの道がある。

 一つはこのまま安息の眠りにつく道。わたしがこのまま案内してあげるから心配はいらないわ?

 もう一つは本部に戻って蘇生を受ける道。でもすっごくお金(マッカ)がかかるから、人によってはちょっと難しいかも」

『それは……困ったな。一応蓄えはあるけどとても足りるとは思えない。元々死んだら終わりのつもりでいたから、本格的に備えてはいなかったんだ』

「仕方ないわ、死んだあとのことを考えられる人は少ないもの。……ほんとは蘇生も、わたしやママなら簡単にできるんだけど」

『いや、いい。それらは全てキミたちの善意によるものだと理解しているつもりだ。――無償の献身は、僕も好かない』

「へぇ……随分物分かりがいいんだね?」

 

 青年の答えに契が興味深そうに口を挟んだ。

 無償の奇跡が齎す歪みをよく理解している彼の物言いに契は好感を覚える。

 

 よくあるのだ、齎された平穏や糧が()()()()()()()()()()()()()が。

 特に個人所有のシェルターでその手のトラブルは多く、シェルターを所有している黒札が撤退する最大の要因にもなっている。

 今の人類社会がガイア連合の庇護――言い換えれば黒札の()()によって成り立っているという事実を、下の者ほど理解しない。

 個人的な趣味で行うことを否定はしないが、分を見誤って周囲を巻き込み破滅する愚を道南支部は許容しない。

 蘇生に対価を要求するのは当然の成り行きと言え、その枷は当然百合にも課されていた。

 

『他の一般人よりも贅沢をさせてもらった自覚はある。未練を残さないよう生きてきたつもりだ。……まぁ実際に死んでみると案外後悔は尽きないものだけどね。けれどまぁ、仕方がないさ。こうして死後の安息を約束してもらえるだけ恵まれている』

「ふふ……確かにそうかもしれないね。だけど決断するにはまだ早いかな?」

『と、言うと?』

 

 意味深に笑む契に疑問符を浮かべる彼。

 そして百合が第三の道を示すと、彼は人生最大の驚愕に目を見張り、その意味を咀嚼しながら熟慮して。

 

『――わかった。キミがそう言うのなら、受け入れよう。僕としても心残りだったから』

「なら、これで契約成立ね。大丈夫、必ずあなたの望みは叶えるから――今はおやすみなさい」

 

 交わされた約定に理解を示した彼が光となって消え去った後。

 遺されたドッグタグを手に、百合が祈り手を組んで唱えた。

 

「――【英霊昇華(シャルトルーズ)】」

 

 

 ◇

 

 

 そのシェルターはある黒札が私的に所有していたものだったが、その黒札が重責に耐え兼ねて連合本部へ帰る折に既知の民間人へ譲渡された場所であり、以後は民間の手によって運営されていた。

 シェルターを運営していた黒札が去るという事例は比較的よくある話で、その多くが黒札と民間人双方の無理解とすれ違いによる物別れに終わることが多い中、曲がりなりにも()()という形が取られたのは比較的円満に事が運んだ稀有な例と言えよう。

 

 とはいえ黒札という明確な戦力を失った影響は如何ともしがたく、支部の補助があるとはいえ順風満帆な運営は望むべくもない。

 結界の維持、近隣悪魔への対処、不足する物資の補填、内部住民の慰撫――いずれも支部の助力無くしては立ち行かないものばかり。その助力とて決して無償ではないならば、遠からず成り立たなくなるのは明らかだった。

 

 ――その間隙をメシア教は見逃さない。

 

 将来的な破滅に悲観する彼らの心の隙間へ、大陸から流れ着いたメシア教の()()は取り入った。

 高位の霊能者が放つカリスマは抗い難い魔性だ。放つ言葉は容易く住民を誘導し、魅力は彼らを天使の走狗へ仕立て上げた。

 そうして出来上がった過激派の橋頭堡は、表向きは往年の姿を装いながら、深く、静かに潜伏していた。

 

 実のところこの手の話はままあることだ。

 如何なガイア連合とて神ならざる身では全てを見通すことなどできはしない。

 インフラが整っていた旧時代ならともかく、それらがことごとく寸断された終末後では、各シェルターの情報を結ぶのはターミナルを除けば交易くらいのもの。

 

 そして言うまでもないことだが、黒札無き領域の優先順位は低い。

 言葉を飾らずに言えばガイア連合の()()によって存在が成り立っている今の人間社会において、事情はどうあれ()()()()()()()()と見做されるシェルターを斟酌する理由も余裕も無いからだ。

 過激派の駆逐を標榜していた道南支部にとっては頭の痛い話ではあったが、本土への侵入を遮断するという本命は果たしているため渋々ながら妥協している。無論発覚次第即座に戦力を投入しこれを撃滅しているが、そのための【ハンター協会】でもあった。

 

 ともあれ、そうした境遇にあるシェルターへの救援依頼を受注した"彼"は単身現地へ赴いた。

 無論彼自身、協会も支部もそのシェルターが過激派の巣窟と化していることは知る由もない。

 彼はハンターとして近隣の悪魔を狩り、ギルドからの支援物資をシェルターに渡し、一夜の宿を取ってギルドへ帰還するつもりだった。

 

 彼に落ち度があるとすればパーティーを組まないソロハンターだったことだろう。

 彼はもちろん警戒を怠らなかったが、シェルターぐるみでの暗躍には及ばず、その寝込みを襲われた。

 如何に力量あるとはいえ個人でシェルター全体を相手に立ち回るのは困難を極め、そもそもがシェルターを掌握していた司教が彼と同格以上の霊能者。

 その上支配された住民たちを屠ることを僅かとはいえ躊躇った甘さが積み重なって彼は敗走。シェルターを離脱するも司教の放った天使たちに追われ、力及ばず敗死した。

 

 彼らとて愚かではあるが馬鹿ではない。救援に向かったハンターが未帰還となれば疑惑の目が向くことは必至。

 ハンターを毒牙にかけたことを合図に作戦の実行を早め、そのための時間稼ぎとしてハンターの痕跡を隠蔽した。

 

 彼らにとっての誤算は、ドッグタグという緊急連絡装置の存在。

 そしてそれを起因とした、彼らの想定を遥かに上回る()()()の介入。

 

 率直に言えば――

 

「ば、か……な……!?」

 

 ――過激派の企みは、今宵潰える運命(さだめ)にあった。

 

『……実際、馬鹿げた話だとは思うよ。()()()()()()、想定しろって言うほうが無茶だ』

 

 致命傷を負って目を剥く"司教"を前に"彼"は剣を血振りし、そうごちた。

 ()()は敵わなかった強敵を相手に、今の自分は赤子の手をひねるよりも容易く無力化してしまえる。

 天から祝福(ギフト)を賜った英雄の如く巨悪をねじ伏せてみせた今の自分と、力及ばず敗れたかつての自分を対比して、複雑な感情が渦巻くことは否めない。

 

 しかし、それはそれとして。

 彼にとっても怨敵と言えるメシア教。そして自らの仇でもある司教へ容赦する筋合いなど欠片も無い。

 少女と交わした約定の一つ――()()()()()()()()()()()()()()()()が果たされたことを実感して、彼は剣を収め振り向いた。

 

『ありがとう、()()()()。一番の懸念点だった報復を果たせた以上、残り二つの約定も果たされることに疑いはない』

「だから言ったでしょ? ちゃんと約束は守るって。残る二つ……『孤児院への継続的な支援』と『弟さんへの装備の融通』も、きちんと叶えてみせるわ」

 

 今の"彼"は()()ではない。

 さりとて無力な()()でもない。

 少女の手によってその魂を()()され、【英傑】として再誕した一個の悪魔。

 白百合の少女(百合)の配下となる仲魔――亡霊英雄(ファントム・ブレイブ)の一員だった。

 

 百合と交わした約定。

 死者の望みを三つ叶えるのと引き換えに、死者は彼女の仲魔となる。

 それが百合の示した第三の道であり、彼はそれに応え仲魔となり……こうして望みを一つ叶えたのだ。

 

 俄には信じ難い現象。

 生前を遥かに上回る霊格(レベル)と、強力無比な実体。

 それらが全て少女個人の権能とMAGによって成立しているという事実は、長く悪魔に関わり続けてきた彼にとっても驚天動地の出来事だった。

 

 黒札でも最上位勢と噂されるかの降霊術士の一人娘。

 その力量は道南でも様々に噂されていたが、その実態を知るものは少ない。

 しかし実際にこうして目の当たりにすると……なんとも気の遠くなる思いだった。

 

『僕がどれだけキミを支えられるかはわからないが、この存在ある限りキミの力になると誓おう。――【英傑 アッシュ】だ。改めて、今後とも宜しく頼む』

 

 唯一確かなのは、自分はとても幸運だったということだ。

 彼――アッシュは誓いを胸にそう名乗りを上げると、百合はぱっと破顔してそれを受け入れた。

 

『それでマスター、お膳立てしてもらったのはいいのだけど、キミの連れは大丈夫なのかな?』

「ちーちゃんならそろそろ片付く頃よー」

 

 アッシュの事情を知り、即座にシェルターへ赴いた百合達が取った手段は正面突破。

 逃げも隠れもせず、文字通り正面から堂々と過激派の巣窟へ訪った二人は、百合はそのまま司教のもとへ、契はその他の天使や手遅れとなった住民を狩り尽くすべく別行動を取っていた。

 その契も百合がそう述べた頃合いで合流し、怜悧な美貌を憐れみに歪めて告げる。

 

「……残念だけど皆手遅れだったよ。せめて肉体だけは苦しみなく介錯はしたけれど、魂も天使たちに囚われてる」

「そっかぁ、悲しいけれど仕方ないね。なら魂だけでもキレイにして送ってあげないとねー」

 

 そう言うと百合は、目を伏せて祈り手を組んで瞑想した。

 周囲に集まりだした燐光は、かつての住民の成れの果て……その魂の欠片。

 天使の手によって連れ去られようとしていた魂たちが百合によって呼び集められ、祝福を騙る呪い(穢れ)を清められていく。

 そうして魔の手から解き放たれた魂たちは、百合の導きによって各々にとっての安息へ誘われた。

 魂は永い時を経てゆっくりと解け、やがて星の巡りに同化し、いつか新たな生命として再誕を果たすだろう。

 その儚くも幻想的な光景を前に、アッシュは奇跡を見た。

 

『神に祈るなんて気持ち、久しく忘れていたけど……この光景を見れば思わず敬虔な気分になってしまうな』

「あははー、わたしは聖女じゃないよ? ホシノちゃんもあんまりいいもんじゃないって言ってたし」

 

 ホシノとやらが誰なのかはともかく。

 弛緩した空気の二人に対し、契は渋面をそのままに報告を続けた。

 

「感傷に浸ってるところ悪いけど、もう一つ報告。あいつら案の定やらかしてやがった、儀式が成立しちゃってる」

「あちゃー、やっぱり過激派だねー。転んでもただでは起きないっていうか、いっつも後手になっちゃう。絶徒おじさんのとこが羨ましいねー」

「仕方ないよ、あそこと違って此処は広すぎる。……それで更に残念なお知らせ。――多分もうすぐ始まる」

 

 言うや否や、大地を揺るがす震動がシェルターを襲った。

 同時に形容し難い鳴動が響き渡り、聞く者の怖気を煽る。

 恐るべきことにそれらの異変は同時に二方向から発生しており、つまり発生源は二つあることを示していた。

 

「うわー……これまたすごいの喚んだねー」

「ほんっっっっっっっとにもう……これだからメシア教は……」

 

 外へ脱出し、上空からその正体を目撃した二人は、呆気に取られた様子でそう溢した。

 同道するアッシュもまたそれを認識して、驚きに目を剥いて大口を開けた。

 

 ◇

 

 西の大地から押し寄せるは、無数の獣を伴う天衝く巨獣――

 

 見よ、腰の力と腹筋の勢いを。

 尾は杉の枝のようにたわみ 腿の筋は固く絡み合っている。

 骨は青銅の管 骨組みは鋼鉄の棒を組み合わせたようだ。

 これこそ神の傑作 造り主をおいて剣をそれに突きつける者はない。

 山々は彼に食べ物を与える。野のすべての獣は彼に戯れる。

 彼がそてつの木の下や 浅瀬の葦の茂みに伏せると

 そてつの影は彼を覆い 川辺の柳は彼を包む。

 川が押し流そうとしても、彼は動じない。ヨルダンが口に流れ込んでも、ひるまない。

 まともに捕えたり 罠にかけてその鼻を貫きうるものがあろうか。

 

 ――【■■■ ベヒモス】Lv80が現れた!

 

 ◇

 

 東の大海から押し寄せるは、空前絶後の巨躯の海蛇――

 

 その心臓は石のように硬く 腹は陶器の破片を並べたようで 背中には盾の列が密に並んでいる。

 口には恐ろしい歯が生えている。くしゃみをすると光を放ち その両目は朝日のよう。

 口からは炎が噴き出し 鼻からは煙を吹き その息は炭に火を点ける。

 海を鍋のように沸かし 深い淵を白い髪のような光の筋を残しながら泳ぐ。

 どんな武器も彼を貫けず傷つけることが出来ない。

 地の上にそれに並ぶものは他になく 恐れというものを知らない。

 何者も彼と戦いそれを屈服させることは出来ず 見るだけで戦意を失うほどである。

 

 ――【■■■ リヴァイアサン】Lv80が現れた!

 

 ◇

 

『なん、だ……アレは――!?』

「……大規模な終末再現儀式。ここが沿岸地域だからこの選択なのかな……それにしたってやることが馬鹿げているにも程があるでしょ……」

「うわーおっきい! 本気出したカレンおばさんくらいありそう!」

「つまり今から起きるのは大怪獣バトルってわけ……!」

 

 悪夢のような光景に目眩を覚える契とアッシュだったが、百合は緊張感もなくその大きさにはしゃいでいた。

 文字通り山のような巨体。ベヒモスが四足獣の巨大なそれなら、リヴァイアサンは海蛇の長大なそれだ。

 そしてガイア基準にして80に達する霊格は、終末後の地球ですら滅多に見られない高位分霊のそれ。

 有力な悪魔(神々)でも神核を必要とするほどの高位悪魔の出現は、終末後の世界にあって尚終末を予感させる光景そのものだった。

 

 しかし――

 

「でもあれなんだか変ね。種族が……」

「まぁ、うん……やっぱり無茶があったのかMAGが足りてなくて【フード】になってるね」

 

 ――【フード ベヒモス】Lv80が現れた!

 ――【フード リヴァイアサン】Lv80が現れた!

 

『いやおかしくないかそれ!?』

 

 虚空に響き渡るアッシュのツッコミ。

 だけど悲しいかな二人のアナライズにはばっちり【フード】の三文字が映り、データも従来とは異なっていることを示している。

 

「わたしも本物は見たことないけど、深層だと【神獣】のベヒモスやリヴァイアサンがいたりするらしいよ? ママが言ってたもん」

「基本は【妖獣】や【魔獣】らしいけどね……【フード】になったのはあれかな、MAG不足もだけど、終末後っていう環境だからかもしれない。結局のところあいつら神が用意した家畜だし

『雲の上の話を平然としないでくれないかな……!?』

 

 ユダヤの伝承において両者は終末に際して相争って共倒れとなり、その肉は義人のための食糧になるとされる。

 そして紛れもなく終末を経た現代での現界で、それらの性質が強く反映された結果が種族【フード】としての顕現なのだろう。

 儀式の特性上、このまま放置しておいてもやがて共倒れになって終息するだろうが……たとえ【フード】と化しても両者はかの旧約聖書に語られる大神獣二柱である。

 共倒れに至るまでの周辺被害は甚大なものになるだろうし、喧嘩に巻き込まれスタンピードを起こした悪魔たちがどのような影響を及ぼすとも知れない。

 論ずる余地もなく即刻撃破が要求される対象であり、命子を始めとする道南支部最大戦力出動もあり得る事態である。敢えて言おう、おまえらのような家畜がいるか(

 

 ともあれ緊急事態には間違いない。

 即座に支部へ連絡を取り、対応を仰ぐ必要があるだろう。

 そう判断して百合と契がCOMPを通じて上へ――手隙の(命子)へ連絡を取ったのだが。

 

 ――え、マジ? 【フード】のベヒモスにリヴァイアサン? 草生える。んーでレベル80だっけ? ちょうどいいし相手してみたら?

 

「――だってー」

『母親の姿か……? これが……?』

 

 ご覧の有様な返答にアッシュの声が震えた。

 これだから最上位の黒札は……! 慮れとは言わないがもっと常識で語ってほしい、Lv80は普通にこの世の終わりなんだよ。

 

「まぁ命子お母さまだから……いざとなればフォローはしてくださるから、そこは心配してないけど」

「ママも言ってるしやってみよっか。ていうか最初からそのつもりだったもんね?」

「それはそうだよ。こんな美味しい敵、滅多にいないもの。けど私だとあそこまで大きい敵は相性悪いんだよなぁ」

「とりあえずわたしが先に動くから、ちーちゃんは後詰おねがいねー」

『これが若者の人間離れか……』

 

 遠い目をするアッシュ。残念ながらこれが黒札ニューエイジというものだ。

 

「それじゃあアッシュくんは一旦ベンチ入りね。今のアッシュくんだと相性悪いし、地力も足りないから……ごめんね?」

『……まぁ、仕方ないよな。実力不足なのはその通りだから。けれど必ずキミの戦力になってみせるよ』

「うん、一緒に強くなろーね。嫌だと言っても強くなってもらうけど

『……早まったかなぁ、僕』

 

 遠い目をしたままのアッシュを送還して、二人は東西の巨獣を上空から見下ろす。

 両者はまだ遠く離れ、激突するにはまだ猶予がある。しかしその巨体が齎す進軍速度は動きの鈍さに反して存外高く、四半刻もせず交戦するだろう。

 しかし先手を取ろうにも尋常の術法では届き得ない超遠距離。歯痒くも待ち構えるしかないかと言えば――百合にとってはその限りではない。

 

「【召喚】サリエル――【告死の月】」

『心得たり』

 

 喚起の声に従って顕れるは死の大天使。

 手にした大鎌を一閃し、裂かれた虚空から満月が顕れ夜が滲み出る。

 

「【召喚】ヘカーテ――【満月の女王】」

『はいはい、それじゃあ一発いってみましょうか!』

 

 次なる喚起で顕れたのは満月の女王。

 その威名を冠した権能を振るい、空に昇った月へ絶大な魔力が満ちる。

 

 共に月と魔術を司る大悪魔二柱。

 それを同時に顕現させた百合が両者へ権能の行使を命じ、己が術式で統制して――

 

「【複合権能(ミックスレイド)】――【月は無慈悲な夜の女王】」

 

 ――瞬間、空が極光に満たされた。

 

 喚び出された偽りの月に満ちたMAGが破壊の月光となって降り注ぎ、ベヒモス率いる巨獣軍団を灼き尽くしていく。

 月齢に応じて威力が可変する万能属性攻撃魔法である【満月の女王】を、サリエルの権能で喚び出した満月によって最大威力を発揮せしめ、かつ百合の力で従来よりも威力と攻撃範囲を大幅に強化して放つ攻撃スキル。

 元は父であるシオリの切り札の一つだったものを、百合の固有スキルで再現したものだ。

 父とは異なり単身では行使できず、サリエルとヘカーテの二柱を同時召喚する必要があるがその威力は何ら遜色ない。

 ヘカーテの権能殺しの力も宿った月光が耐性や小細工(ギミック)を無視して貫き――

 

「よし、雑魚は全滅、ベヒモスも虫の息だねー。ありがとう、サリエル様、ヘカーテ様!」

『善き哉』

『もう一体は()()()に任せるわねん♪』

 

 サリエルとヘカーテが送還され、次は海のリヴァイアサンへ向き直る。

 大海嘯を引き連れて上陸せんとするそれを見下ろし、百合が目を伏せて己へ問いかける。

 

「それじゃああっちはおねがいねー、わたし(アリス)

『任されたわ、ワタシ(リリィ)

 

 同じ口から、同じ声音で放たれた、別者の言葉。

 その応答を境に百合の気配が一変し、呪いの力が周囲を満たす。

 

 彼女こそは百合と肉体を同じくする同居人。

 名を【魔人 アリス】。悪魔の魂に人間の身体、数奇な運命を経て共に育った魂の双子。

 

「【召喚】ネビロス――【地獄の監査官】」

『これはこれは……レヴィアタン殿もお労しいことですね』

 

 アリスの喚び声に従って、地獄の陸軍元帥が顕現する。

 ありとあらゆる魔神の居場所を知る権能を駆使し、海中を泳ぐリヴァイアサンの座標を捕捉。

 

「【召喚】ベリアル――【ゴモラの獄炎】」

『こりゃあ後で暇人共の玩具だな! サーモンの次はあいつらの肉でも売り出すかァ?』

 

 さらなる喚び声に招かれて、真紅の竜人が降り立った。

 万物を灼き尽くす獄炎を熾しながら、破壊の解放を今か今かと待ち構える。

 

「【複合権能(ミックスレイド)】――【ソドムとゴモラの落日】」

 

 ネビロスが捉えた観測情報を元に、アリスが起点発動を補佐し、ベリアルが獄炎を解き放った。

 そうして起こったのは、遥か海中のリヴァイアサンの()()から炸裂する地獄の焔。

 黒札でも上位に位置する実力者が可能とする魔法スキルの()()()()()()。それをレベルで劣るアリスが独自に再現したものだ。

 

 黒札最上位勢がパンデモニウムの悪魔達と時折開催するマスコンイベントにおいて、『宝の持ち腐れ』だの『才能の無駄遣い』だのと揶揄され、悲惨な打率を叩き出していた超有能スキル【ゴモラの獄炎】。

 それをせめてアリスの前だけでも必殺技として活用したいという涙ぐましい努力の果てに生み出された儀式魔法――結局独力で解決できてねぇじゃねーかと言ってはいけない(

 擁護しておくと普通の相手には普通に当たるのだ。ただマスコンに参加するような連中は軒並み普通じゃないせいで躱されるだけで。

 

 上記の理由で雑魚処理専用スキルのレッテルを貼られていた【ゴモラの獄炎】も、命中率を改善すれば話は変わる。

 元より威力と射程だけは超一級の有能スキル。それを無防備な腹の中から炸裂させれば――結果はご覧の通り。

 リヴァイアサンの胴は中程から真っ二つに灼き断たれ一撃で絶命せしめた。

 ちなみに当然のように最上位の貫通効果持ちである。獄炎の悪魔の名は伊達ではないのだ。

 

「黒のおじさま、サポートありがとう。赤のおじさまもかっこよかったわ?」

『はっはっは、コンビネーションもすっかり板につきましたねぇ。またいつでも喚んでください、アリス』

『そうだろそうだろう! やっぱりオレ様が最強なんだよ! またいつでも喚びなァ、アリス!』

 

 愛しのアリスに頼られ上機嫌の両名を送還。

 二発もの大魔法を立て続けに行使され、天変地異もかくやの大破壊に見舞われた大地を見下ろして小首を傾げる。

 

「……やりすぎちゃったかしら?」

「仕方ないよ、緊急事態だったから。――おっと、トドメを刺さないとね」

 

 リヴァイアサンは息絶え、ベヒモスが引き連れた獣の群れは殲滅された。

 残された瀕死のベヒモスの前に契が降り立ち、月光に切り裂かれた獣の血に塗れた大地へ杖を突く。

 

「キミ達も災難だったね。それじゃあ――おやすみ」

 

 夥しい流血が杖を伝い、真紅の刃となって凝固する。

 契が大鎌を構え、刑を執り行うが如く刃をベヒモスの首に添わせると、そう労りの言葉を贈って一閃した。

 

 断頭の一振り。

 杖の導きに従って流動した血が刃となって波立ち、巨樹の如く太いベヒモスの首を割断する。

 ごろりと落ちたベヒモスの首が地響きを鳴らし、波濤のような鮮血が迸った。

 

「あー、そっか。【フード】だから死体が大半残るんだ……どうしよ、これ」

「どうするもなにも、お母様達に任せるしかないんじゃないかしら? このまま放置していても、肉を食べた悪魔達が強化されちゃって大変なことになるもの」

 

 残された巨大な亡骸を前に途方に暮れる二人。

 ややもして再び母に連絡を取ると、通話先の母はひとしきり爆笑したあと、すぐに回収班を向かわせることを約束してくれた。

 彼らが到着するまではその場で待機してベヒモスとリヴァイアサンを見張っていろとのことだったが……陸上のベヒモスはともかく、海中に沈んだリヴァイアサンはどうしろと?

 相変わらずな調子の母に嘆息すると、気疲れを吐き出すように深い深い溜め息を吐いた。

 

「まったく、とんだ災難だ。どうしてこうメシアンは……見境というか、限度というものがないのかなぁ」

「物分かりが良かったらメシアンじゃないもの、今更よ。――あ、リリィはこのまま()で休むって。しばらくはワタシが表ね?」

「了解。……せっかくだからお茶にしようか。ついでだし写真も撮っておこう、きっと後でお義母さまがPRに使うだろうし」

「ウフフ……可愛く撮ってね?」

「もちろんですよ、お嬢様」

 

 そうして少女たちの波乱に満ちた一日は終わった――。




・百合
ソウルマンサーにしてデビルサマナー。破魔タイプ。純真可憐な白のロリっ子。魂に関することは大体なんでもできる。
カスの母の血を引いてるとは思えない素直さと心優しさの持ち主。あちこちをふらふら歩いて魂を見送ったりメシアンや悪魔をしばいたりしている。
【ビジョンクエスト】は魂の許諾を得て死の経緯を追体験するサイコメトリー技能。ヒカセンでいう超える力。
【シャルトルーズ】は日本一ソフトウェアがリリースした名作『ファントム・ブレイブ』のあれ。同意した霊魂を種族【英傑】へ昇華し仲魔とする契約術式。
そうして仲魔になった霊魂は【亡霊英雄(ファントムブレイブ)】と呼ばれ、成長可能なユニットとして働く。
アリスとは姉妹のように仲が良いが、身体を共有するのが当たり前すぎて親しい相手以外からはなかなか理解が得られないのが最近の悩み。めんどくさいのでそろそろペルソナ的に外界へ出力する方法を模索中。
ロリっぽいが普通に年頃のティーンエイジャー。そのうち成長する。

・アリス
ネクロマンサーにしてデビルサマナー。呪殺タイプ。純粋無垢な黒のロリっ子。死者に関することは大体なんでもできる。
百合よりも若干悪戯っぽく、やや母譲りの性格。百合のことはリリィと呼び、文字通り魂の双子として育った唯一無二の間柄。
出自的には悪魔ながら、長く人間の体で共存しながら生きてきたため種族的にはよくわからないことになっている。たぶん転生体(≠黒札)の亜種みたいな感じ。
普段人前では表に出ないが、精神世界で百合とめっちゃお喋りしてるしお茶会には普通に参加するので、親交のある相手とは普通に交流がある。三馬鹿ファミリーとは親の繋がりで家族ぐるみのお付き合い。
百合の【亡霊英雄】に対して、こちらは【死霊軍団(コープスパーティー)】と呼ばれる固有戦力を保持しており、母とネビロスから軍団指揮の英才教育を受けている。
あちらが質の近衛部隊ならこちらは量の懲罰部隊。
言うまでもなく赤黒おじさんコンビから寵愛を一身に受けているが、当のアリスは割と強かに二人を利用していたり。原作のような世間知らずのお嬢様ではないのだ。

・百合とアリスの仲魔たち
【降天使 サリエル】【魔王 ヘカーテ】【堕天使 ネビロス】【魔王 ベリアル】に加え、今回出番のなかった【魔獣 グラシャラボラス】と【邪鬼 ロア】を加えた計六柱。
それぞれが権能を行使可能な高位分霊であり、同時に二体まで使役可能。百合とアリスの固有スキルコンボとして【複合権能(ミックスレイド)】を駆使し、いろんな組み合わせでいろんな大技を使う。
百合とアリスで仲魔は共有しているのだが、性格的な相性で百合がサリエルとヘカーテを、アリスがネビロスとベリアルを多用する傾向にある。グラシャラボラスとロアはどちらとも相性が良い二人のペット。
ちなみに全員百合とアリスが戦って降した。デビルサマナーは大抵の場合サマナー本人が一番強いのだ。
お茶会では全員が一堂に会し割と和気藹々としているのだが、メンバーがどいつもこいつも厳ついのでラスボスティーパーティーだの暗黒議会だのと揶揄される。

・宮古契
百合&アリスの姉貴分にして兄貴分にしてお茶会準備担当。
こっちもこっちであちこちをふらふらしながらメシアンや悪魔をしばいたり写メったりしている。
ものすごく多趣味でいろんなところに足を運ぶ。ホビー部とか大好き。いろんなところへふらふら出歩くので、実のところ百合たちとは別行動することが多い。
さらに言えばものすごくモテる上に、男女問わず過去に何人も恋人がいた。今も何人かいる。
ある意味で人生全力エンジョイ勢の一人。ケルト的価値観っぽいのは大体師匠である黒死ネキの影響。

・アッシュ
運悪くメシア教の毒牙にかかって果てたデビルハンター。
現地民ながら超上澄みの才能を有し、順調に育てば普通にLv30を超えて不老勢の仲間入りを果たしていたと思われる。
海外から日本へ流れ着いた難民勢から生まれた半終末期世代であり、終末の前後に親を失って道南の孤児院で育った。
百合と交わした契約によって自分自身の敵討ちを果たし、生まれ育った孤児院と目をかけていた後輩の弟分への援助が約束されたため、【亡霊英雄】の一員として百合の配下に加わった。
以後、百合の使い魔としてヒイヒイ言いながら成長していくこととなる。
元ネタは『ファントム・ブレイブ』に登場するアッシュ。

・ハンター協会
旧時代における北海道猟友会を前身とするデビルハンターの互助組織。
当初はもう少し小規模に運営される予定だったが、巨獣の楽園と化した北海道に狩魂を見出した【モンハン部】が「一狩り行こうぜ!!」と奮起し、多額の出資によって規模を拡大。なんやかんやで旧北海道エリアの再開拓を標榜する一大組織と化した。
そして北海道に棲息する獣系悪魔を狩ることで得られるフォルマ等の素材が需要とマッチし、ついでに潜伏するメシア勢力を狩るアンチメシア勢も合流したことでH×H的なハンター要素も含むことになり、気付けば現地民のデビルバスターやハンターも多数所属することになった。
下位、上位、G級の三段階にランク付けされており、更にそれぞれのランク内で★1つから3つで区別されている。
現地民メンバーの大半が下位、現地民の中でも特に才能ある上澄みや黒札の血を引く金札が上位に位置し、黒札でも修業場下層以降へ到達可能な層がG級に配されている。
百合や契はG級★1。現在のギルドマスターはマタギニキである。

・ドッグタグ
命子謹製のギルドライセンス。H×Hでいうハンター証ポジション。
終末後にあってハンターとして活動可能な人員は貴重な資源なので、万が一にもメシアンや悪魔に利用されないよう厳重に魂プロテクトの術式が込められている。
所有者は協会の管轄下で数々の特権を得られるが、引き換えに協会への貢献が求められる。
依頼中に死亡しても蘇生措置を受けることができるが、死者蘇生なんて無制限で許可すればしちめんどくせーことになるのは目に見えてるので、莫大な対価を要求されるため利用者はほとんどいない。
一応仲間内で蘇生する分にはお咎めはないが、それが可能な術者などほとんどいないため建前でしかない。
まぁソロでもなけりゃ反魂香とかを仲間に使ってもらえばいいので……ソロ活動中に死んだ? なら自己責任ですね(

・今回の過激派
い つ も の 。
普通に脅威だし普通に強いし、やらかしたことも相当に厄介なのだが、さらなる理不尽で叩き潰された害虫。
犠牲となったシェルターは気の毒ではあるが、このご時世に黒札を手放すなんて大チョンボをやらかしたやつなど、どんな末路を迎えても文句は言えないのだ……。
死後だけでも平穏を約束されただけ百倍マシというものである。

・【フード ベヒモス】&【フード リヴァイアサン】Lv80
四文字が拵えた世界最強の家畜。おまえのような【フード】がいるか(
本来は終末に際して相争う神獣二体を再現する儀式魔法だったのだが、純粋なMAG不足、そして「そもそも既に終末迎えたあとだからそいつらは新人類の糧だよ?」的な神の思惑によって【神獣】ではなく【フード】として顕現した。
しかしながらLv80もあれば【フード】とはいえ普通に超高位悪魔なので割と道南の危機。世界の危機には全然パワが足りない。
仮に目論見通り【神獣】として顕現していた場合、普通に黒札修羅勢出動の緊急事態だった。その場合は魔人ネキがウルトラマンと化して特撮ファイトを演じていたものと思われる。
なお今回の件が呼び水になって、以降道南では定期的にこいつらがPOPするようになった。超大型モンスター討伐クエストの実装である。モンハン部は沸いた。
ちなみに肉はクソうめぇらしく、道南の新たな特産となった。
一方で悪魔的側面の両者はしばらく悪魔スレの玩具になった。
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