トランスオーダー・ディストラクション   作::Crane

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#5: 良い意味で、ですよ

 深夜。街から離れた静かな森の中で、わたし――黒咲芽亜はマスターの命令の元、ある人物が来るのを待っていた。

 事前に教えてもらった情報によれば、相手はそこそこ名を馳せた殺し屋らしい。そんな人をわざわざ地球に呼んで、マスターは一体何を考えてるんだろう? ま、今は別に難しいこと考えなくていっか。あーあ、早く帰ってお菓子食べたいな〜。

 

「――やっと来た〜」

 

 小石を蹴ったりして待っていると、漸く宇宙(そら)から宇宙船が着陸した。

 宇宙船の扉が開き、褐色肌の女の人が降りてくる。……ふーん、この人が。確かに『そこそこ』って感じ。私なら余裕で勝てちゃうね。

 でもお仕事だから、一応歓迎のあいさつをする。

 

「遠いところから遥々、地球へようこそぉ〜〜♪」

「……あんたがネメシスってやつかい」

「ううん、違うよー。わたしはマスターの代理のメア。マスターはね、あまり人前に出たがらないから、わたしが代わりに――」

「代理?」

 

 褐色肌の女の人が「はぁ……」と、呆れたようなため息を吐いた。

 

「やれやれ……。“金色の闇”を求めてこんな辺境な惑星(ほし)まで来てみれば、出迎えがちんちくりんな小娘とはねェ。随分と舐められたもんだ」

「むっ……」

「で? このあたしをヤツにぶつけてどうする気だい?」

「知らないよ! わたしはマスターに言われた通り、あなたに伝えただけ!」

「ふっ……。まあ何だっていいさ。おかげで長年追い続けた金色の闇の尻尾を掴めたんだ。あたしはヤツをこの手で直接ぶち殺せりゃそれでいいのさ……。あんたの飼い主――ネメシスってやつには、『期待してろ』って伝えておきな。数日したら金色の闇の首を持ってきてやるからさ!」

 

 褐色肌の女の人(おばさん)は、高笑いしながら森の奥へと消えていった。

 わたしはそのムカつく後ろ姿に、べーっ、と舌を出した。

 

「何よアイツ、偉そうしにして! 感じワルっ!!」

『――好きにさせておけ、メア……』

「!」

 

 声が聞こえた方向に体を向ける。そこには、ぼんやりとした影――マスター・ネメシスが立っていた。

 わたしを見つけてくれたヒト。わたしに存在意義を教えてくれたヒト。わたしを導いてくれるヒト。――わたしの全て。

 

「マスター……」

『あれは“暴虐”のアゼンダ。かつて、タルハ銀河で名を馳せた念動波(サイコキネシス)と鞭を扱う殺し屋だ……。だが……大戦集結後、組織同士の抗争において金色の闇と戦い……敗北した。その結果、アゼンダの名は地に堕ちることになった』

 

 ふーん、だからあんなに殺気を出してたんだね。

 マスターが説明を続けてくれる。

 

『あの復讐心と長年の殺意。金色の闇の堕落した闘争本能を刺激するには、まあ……丁度いいだろう』

「アゼンタって強いの?」

『……いや……弱いな。だがそれは、金色の闇が本来の自分を忘れていなければの話。どうあれ、失われた闘争本能を取り戻すことさえ出来れば、結城リトの抹殺に繋がるだろう……』

「結城リト……せんぱいの……抹殺……」

 

 何も間違ってない。だってそれは、わたしたちにとっての最善だし、目的なんだ。……なのにどうして、あの子の顔が浮かんじゃうのかな?

 

『どうした……、メア』

 

 マスターの怪訝な声に、わたしはハッとなって答える。

 

「あ……いえ、リトせんぱいが抹殺されちゃったら、ナナちゃんは悲しんじゃうなって……」

 

 新しく出来た友達のナナちゃんは、リトせんぱいことを、ケダモノでスケベだけどちょっとは優しかったりするって言っていた。正直よく分からなかった。でも――

 

『余計なことを考えるな。変身(トランス)兵器であるお前も金色の闇も、戦うために生まれた存在。生きるべき世界は、闇の中しかないのだから』

「――はい。わかってますよ、マスター」

 

 わたしはメア。金色の闇の開発データをベースに生まれた、第2世代の変身(トランス)兵器。つまり金色のヤミの妹。

 これも全部、ヤミお姉ちゃんのため。同じ兵器であるわたしがお手伝いしなきゃだよね。

 

 だってわたしは、ヤミお姉ちゃんの家族なんだもん。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 ――この惑星(ほし)に来てどのくらい経っただろう。

 私は――金色の闇は、いつまで彩南町(ココ)に居られるだろう……と、最近そればかりを考えてしまう。

 電柱の上に立って町を一望する。風が吹き、私の金髪を靡かせた。……少し冷たい。

 

『君も心の何処かで気づいているんだろう? 自分の本質が、どの色にも染まらない“闇”であり、殺戮以外に生きる価値の無い存在なのだと』

 

 ふと、先日私や結城リトを襲った謎の存在の言葉が脳裏に過ぎった。

 ……やっぱりそうなのかな、と思ってしまう。

 私は殺し屋。身体の一部を変幻自在に変えることが出来る兵器。この力で多くのものを壊してきた。

 だから今の私がやっていることは、単なる仲良しごっこで幼稚な遊び……。そうだとしたら私は――

 

「うっひょーっ。ヤミちゃん発見っ!!」

 

 ! この嫌悪感を限界まで駆り立てる声は……。

 視線を声が聞こえた方向に向ける。そこにはタンクトップ姿で肥満体型の男が、私に両手を振っていた。

 

「校長……」

「こんなところでヤミちゃんと会うとは! なんたる偶然……いや、奇跡! 良かったらわしと一緒に早朝ジョギングで汗かかな〜〜い!?」

「遠慮します」

「まあまあそんなつれない事言わずに! そうだ! ジョギングの後、わしがヤミちゃんを隅々までキレイにペロペロしてあげるからね! なんだったら一緒にシャワーも――」

 

 金色の髪を束ねて巨大なハンマーに変身(トランス)。それを校長に振り下ろした。

 強くしたせいか地面は陥没。校長は潰れたカエルのようにピクピクと痙攣している。まあ、この程度だったら問題ないでしょう。いつもの事だ。……嫌ないつもですね。

 

 しばらくして登校時間になった。

 彩南高校の制服に身を包んだ私は、通学路を歩いて行く。

 その途中の路地裏から、見覚えのあるカーディガンを着た少年が、大きな欠伸をしながら出てきた。

 私の友達――ハイジだ。……でも、なぜあんな所から?

 そんな疑問は彼を観察しているとすぐに消えた。

 ハイジの右手に血が少し付着している……。耳を澄ませば呻き声のようなものも聞こえた。……まったく、また喧嘩ですか。

 私はハイジに気づかれないよう、気配を消して、彼の背中に声をかける。

 

「朝から随分とやんちゃしますね。ハイジは」

「!?」

 

 面白いぐらいハイジの肩が跳ねる。

 そして、こちらを振り返った顔はさらに面白かった。こういうのを、『鳩が豆鉄砲を食ったよう』と言うんだろう。最近読んだ本で覚えました。

 そんなハイジに朝の挨拶をする。

 

「おはようございます」

「えっ? ――ああ、うん……お、おはよう、ヤミさん。えっと……もしかして見てた……?」

「いえ、見てませんよ、何も。ただ、ハイジの右手と血の臭いで察しは着きます。喧嘩してましたよね?」

 

 そう確認すると、ハイジは私から目を逸らして口笛を吹き始めた。全然吹けていない。下手くそだ。

 ハイジが出てきた路地裏の奥を覗いてみる。そこには、見るからにガラの悪い地球人の男達がいた。数は全部で4人。全員倒れている。……ふむ。

 

「相変わらず容赦ないですね。歯も落ちてますし」

「……だっていきなり、『テメェをボコれば大金が手に入るんだ!』って意味不明なこと言われたんだよ? ただでさえ朝シンドいのに……。無駄な体力使う羽目になった。反吐が出る」

「なるほど。ハイジもとうとう賞金首の仲間入りですか。おめでとうございます」

「イチミリもおめでたくない」

 

 ハイジは大きなため息を吐いた。

 すると、彼の足元の“影”がゆらりと動いて、細長い数本の腕が私の方へと伸びてくる。ハイジの心臓に寄生したという、謎の地球外生命体――VBだ。

 

『すまんな嬢ちゃん。コイツは今寝不足で機嫌が悪ぃんだ。そのうえ雑魚に絡まれて尚更な』

「余計な事言うなよVB。……ていうかまた勝手に」

「言われて見れば……確かに顔色悪いですね、いつにも増して。何時間眠れたんですか?」

「…………2時間……ぐらい……?」

「それはもう休んだ方が良いのでは……」

『嬢ちゃんの言うとおりだぜ。やっぱ今日は休めハイジ。このままじゃあぶっ倒れんぞ?』

「大丈夫。隙を見てちゃんとサボるから。放課後は楽しい楽しい図書委員の仕事があるしね」

 

 グッ、と親指を立てるハイジに、VBは呆れたように腕を曲げた。私も同じで呆れている。……まったく、ハイジのお気楽さには困ったものですね。

 VBはハイジの頭を軽く叩いて説教を始めた。ハイジは鬱陶しそうに「はいはい」と言って、VBの腕を払い除けながら歩き出す。いつも見る光景だ。まるで兄弟のようで少し微笑ましく――

 

「…………っ」

 

 数日前に現れた、私の妹を名乗る少女との邂逅が頭を過ぎり、足が止まってしまった。

 彼女――黒咲芽亜は私にこう言った。自分は“金色の闇”の開発データをベースに創られた、と。

 私以外の変身(トランス)兵器が存在していたなんて、にわかに信じ難い話だ。……でも、黒咲芽亜が嬉々として見せたものは、確かに私と同じ変身(トランス)能力そのもので、納得せざるを得なかった。おまけに生体との物理融合……精神の接続まで可能という。

 

 ……そして、結城リトの抹殺を手伝うとも――

 

「ヤミさん、早く行かないと遅刻するよー」

 

 ハイジの呼ぶの声にハッとなった私は、黒咲芽亜のことを一旦頭の片隅に追いやって歩きを再開する。VBはすでにハイジの影の中に戻ったようだ。

 ……それはそうと、つい先程ハイジが教えてくれた、路地裏で未だに転がっている男達の発言がどうにも引っかかってしまう。

 ハイジを潰せば大金が手に入る? そんな話、聞いたことがない。でも恨みは至る所でそこそこ買っているとは聞く。

 確かに彼は自他共に認める不良だし、強靭なフィジカルも持っているので、それ相応に強い。実際、相手にした時はかなり厄介だった。本当に。まあ、私が勝ちましたけど。

 やはり不良達が嫌がらせのために言っただけなのだろうか……。

 ――それとも、黒咲芽亜の主が絡んでる? ハイジが喧嘩を売った時、凄まじい殺気を放ってたいし。…………ありえるかもしれない。もしそうだとしたら……――額が軽く小突かれた。小突いた友人にムッとした視線を向ける。

 

「……何するんですか」

「だって、なんか心ここに在らずっぽかったし。何かあった?」

「……いえ。別にハイジが気にするような事ではないので、大丈夫です」

「そっか……それなら良いんだけど」

 

 でも、とハイジが続ける。

 

「本当にしんどかったら頼ってよ。その……僕はヤミさんの友達なんだから」

 

 そう言って、ハイジは照れ臭そうに微笑んだ。

 ――なんてぎこちない笑顔なんだろう。胸の奥が暖かくて、嬉しくて、ちょっと五月蝿い。……変な感じ。

 

「……ハイジって変わってますよね」

「突然のパンチ」

「良い意味で、ですよ」

「えぇ……」

「それはそうと、おでこを出してください」

「………………なんで……?」

 

 怪訝な様子を無視して、私は自分の髪を大きな手に変身(トランス)させる。それを見てハイジがギョッとして、数歩を後退りした。

 

「えっ……と、どうして急に変身(トランス)を……?」

「さっき私は、デコピンとやらをされました」

「う、うん、そうだね」

「なのでお返しです」

「ウソでしょっ!?」

「地球にはこんな言葉があると耳にしました。『やられたらやり返す、倍返しだ』と」

「あるけども!! それ絶対倍じゃすまないよね!!??」

「安心してください。手加減は…………はい、まあ、頑張り……ます。では――あ」

 

 脱兎のごとき勢いで逃げるハイジ。

 ふむ。この私から逃げられるとでも? 絶対に逃がしません。大丈夫ですよ、ハイジ。少しだけ。少し小突くだけですから。意識は飛ぶかもしれませんが。

 

 しばらくして、ハイジの断末魔じみた声が彩南町に轟いた。

 

 

◆ ◇ ◆

 

 

 ヤミさんとの地獄の追いかけっこを終えた僕は、額を擦りながら、ヤミさんと廊下を歩いていた。

 いやホント、マジで痛かった。意識どころか記憶が一瞬飛んだもん。前頭骨、割れたかと思った。……そしてまさか引きずられて学校に着くとは。

 

「すみません。少し力が入ってしまいました」

「そ、そだネ……。デコピンから破砕音が鳴るとは思わなかったよ。ほら見て、赤くなってる」

 

 なんなら煙も出てる。コミックかよ。

 ヤミさんをチラリと見ると、上目遣いの視線と重なった。

 

「久しぶりに全速力のハイジを追いかけたので……楽しくて、つい」

「………………楽しかったんすか……」

「……」

 

 こくり、とヤミさんが頷く。頬は少しだけ紅い。

 ――はい。もう、全部、許します。異論は認めん。ある奴は全身全霊でぶっ飛ばす。かかってこいやッ。

 

《ちょっっっrrrrrrrrrろ》

 

 巻舌でちょろいとかやめろ。

 気を紛らわすため、さっき自動販売機で買った、紙パックのヨーグルト飲料で喉を潤す。美味しい。

 

「おっはよ〜、ヤミヤミ♡」

 

 いきなり後ろから現れたのは、小麦色の髪色をした見知らぬギャル。その近くには、ギャルの友達らしきツインテの人もいる。

 ギャルはハイテンションな挨拶をしながら、ヤミさんに抱きついて胸を揉み始めた。

 見てはいけないもの見たような気がして、僕はすかさず反対方向に顔を向ける。

 いや……え……何…………してんの、あの人??? 大丈夫? 殺されない?? ていうか学校で何やってんだよ。と、ととととりあえず、落ち着け、琲爾。もう一度喉を潤してリラックスしよ――

 

「ん? そっちの男子ってヤミヤミの知り合い? 一年?」

「はい、私の友達です。……それはそうと、挨拶代わりに胸を触るのやめてくれませんか」

「え〜。いいじゃん、女の子同士なんだしさ〜。……って、ありゃ? もしかしてノーブラ?」

「はい、ジャマですから」

「ブフッッ!!!!」

 

 ヤミさんのまさかの爆弾発言に、僕は盛大に噎せて吹き出した。ていうか男子が横に居るんだぞ! 新手の拷問か!? こちとら思春期真っ只中の健全な男子高校生なのに!

 

《日常的に官能小説読んでるヤツが何動揺してんだよ》

(それとこれとは別なんだよ! 刺激が強すぎるんだよ!!)

《なるほど。股間にか》

 

 うるせェ!!

 

「げほっ……! ごほごほっ! ッッん……げほっ!!」

「大丈夫ですか」

「だっ、大丈夫、ちょっと噎せただけだから……!」

「ちょっとどころではない気がしますが」

 

 そう言いながら僕の背中を摩ってくれるヤミさん。優しい。心配してくれてありがとう。でも今はそっとしてほしいかな! あとこの話は出来ればスルーしてください、お願いします!!

 ああ、クソっ、元凶のギャルがニヤニヤしてやがる! 嫌な予感しかしない!

 

「そっとしておいてあげなよヤミヤミ。今ピアスくんは、ヤミヤミがノーブラだって知って興奮してんのよ。あとは――」

「!?」

 

 ギャルに不穏な耳打ちをされて、ヤミさんが自身の胸を隠し、絶対零度の視線で僕を睨んだ。あ、これは死にましたね。何話したんすか。違うんです。誤解なんです。僕は驚いただけで……。

 しかし、そんな弁明する間もなく、ヤミさんの手刀が僕の頭に落とされた。意識もまた飛びかけた。今日は厄日なの?

 

「……えっちぃのはキライです」

 

 お決まりのセリフを言って、ヤミさんは先に行ってしまった。

 少しの間が空いて、元凶のギャルが、手を合われせて茶目っ気に舌を出す。所謂テヘペロってやつだ。イラってした。

 

「ごめ〜んね♡」

 

 キレそう☆

 ……いや、落ち着け、琲爾。クールダウンだ。

 この人達に構ってる暇なんて皆無。早く教室に行って謝らなきゃ――

 

「待ちなよピアスボーイ!」

「ヤミヤミとの関係教えて貰うからね!」

 

 僕の前に立ちはだかるなよ!! 邪魔だよ!! そもそもこの人達誰だよ!? 多分先輩だろうけど、なんか嫌だな!!

 

「……いや、ヤミさんがどうとかの前に、あんた達誰?」

「あたしは二年の籾岡里紗! ヨロシク!」

「沢田未央だよ! 先輩にタメ口なんて生意気だぞ〜」

「…………」

「ん? ねぇ未央。いつも唯が話してる、言っても校則守らない一年の男子ってさ、コイツの事じゃない?」

「あー、確かミカゲくん……だっけ? 不良で有名って言う」

 

 二年生からも認知されてる僕って……。あと古手川先輩、僕の事で愚痴ってたのか。意外である。まあ、校則違反してる僕が悪いから文句は無いけどね。

 それはそうと頬つつくのやめてもらっていいですか?

 馴れ馴れしいな、この先輩達。苦手だ。さっさと教室行きたいのに。ていうか一時限何だっけ? ああ家庭科か。サボろっかな。

 そんな事を考えていた時、大きな音が聞こえてきた。

 何事かとそちらを見やれば、青紫色のショートヘアをした女子生徒が、男子生徒――結城先輩の顔面に跨っていた。

 そうはならんやろみたいな状態になってる……!

 朝から何をやってるんだか……。

 風紀乱れまくってんね、この学校。あ、古手川先輩いるじゃん。長い黒髪の女子生徒を叱ってらっしゃる。……念力禁止ってなんだ……? ドゆこと? そして結城先輩はビンタされた。良い音だ。

 

「あはははは。何やってんだか」

「結城も相変わらずだねー」

 

 しかし僥倖だ。ギャルの籾岡先輩とツインテの沢田先輩が、あちらに気を取られてる。二人から離れられるチャンス!

 そう思ったのも束の間、両サイドから僕の腕が組まれられた。

 

「さ! あたし達も行くよー!」

「…………い、行くってどこに……」

「そんなのみんなんとこに決まってるじゃん!」

「はぁッ!!??」

 

 絶っっっ対に行きたくない! 行ったら面倒臭くなるの確定だろ!? 連れてくにしても背中とか押せよ!! 腕に胸とか当たるやろがい!! 実際当たってるし!! 助けてVB!!!!

 

《勃った?》

 

 うるせェ!!!!!!




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