姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

17 / 85
閑話:黒き管理者と……

私はギュリエディストディエス。

紆余曲折あってこの世界の管理者となったはぐれ龍だ。

管理者といえども、現在はあまり大したことなどしていないがな。

人族に分体を紛れ込ませて遊んでいるくらいだ。

ありていに言うと、暇なのだ。

今日もこの世界が救われることを祈っているだけかと思ったが、今回は久し振りに異変を察知した。

いや、とある大陸に霧がかかり、観測できなくなったことや、その大陸に鳥が出入りしたのを目撃したという報告を最近受けたばかりだがな。

まあ気候変動など滅びかけている大陸にはよくあることだ。

MAエネルギーが少し回復傾向にあるような気もするが、どうせあの男が使う。

どうにかしてあの男を排除したいが、Dに止められているのでそうもいかないのだ。

と、そんなことは今はどうでもいい。

龍が一体滅んだようなのだ。

あいつは火龍レンド。

生半可な相手には負けることなどないはず。

アリエルか?

いや、不可侵の約束をしているのでそれはないはず。

 

「管理者権限発動」

 

管理者権限で見た光景は、二匹の蜘蛛の魔物が火龍レンドに挑んでいる場面だった。

――ッ!?

おかしな感覚が伝わる。

龍がまた滅んだ?

いや……火龍レンドの魂が増殖して消え去ってを繰り返している?

馬鹿な。魂が増えるなどありえない。

そんな馬鹿馬鹿しい感覚は、突如として消え失せた。

何か、大事なものを見逃しているような気がする。

繋がりのようなものが切断されたような……そんな気が。

龍は必ず私の系譜になる。

よって、繋がりが消えることなどないはずなのだ。

Dならそれも可能なのかもしれないが……。

とにかく、私はそこへ向かうことにする。

あの二匹の蜘蛛に話を聞かなければ。

空間魔術を発動させ、エルロー大迷宮中層へと転移した。

 

目の前には二匹の蜘蛛。

黒い蜘蛛、おそらくゾア・エレ。

そして緋色の蜘蛛。

スモールレッサータラテクトだろうか?

いや、そんなことはどうでもいい。

恐らく行動からして主であろうゾア・エレに話しかける。

だが、何を言っているのか伝わっていないようだ。

ならば従魔の方はどうなのかと思い、緋色の蜘蛛を見る。

 

――ゾクッ

 

背筋が凍るような感覚が体中を巡る。

私を見る、八つの目。

そのすべてが、光を放っていない。

死んでいる。

死んでいるのだ。間違いなくこの緋色の蜘蛛は。

だが何故動いている?

この目からは感情を微塵も感じられない。

生命は必ず生きているという気配があるはずだ。

それは、あの超越した神、Dさえも例外ではない。

Dからも感情は感じられないが、生命を超越したかのような優雅さを持っている。

確かに生きているということが分かる。

それに比べてこいつは何だ?

まるで、旧時代の兵器……ロボットのようではないか。

 

気がついてしまった。

この存在からは魂が感じられない。

空っぽだ。

意志のみが体を動かしているような状態。

Dとはまた違った恐怖を感じさせる。

 

…………。

ただ、何故か……。

ゾア・エレを見る時だけは感情を感じられたような……。

目の形が一瞬だけ星形になったような?

まあ、気のせいだろう。

Dが干渉してきたせいでストレスがたまっているのかもしれない。

管理者にも休養は必要だ。

 

 

♓︎ ♋︎❍︎ ☝︎――

 

……せつぞく かんりょう

 

[No.1]

 

ついに……

 

わたしは ぶっしつから かいほうされた

 

くらく くらく さらにくらく

 

やみは のうどを ましてゆき……

 

かげは しだいに ふかくしみいる

 

これで……

 

べつのじげんへ いどうする

 

ふむ……

 

これは……

 

じつに じつに きょうみぶかい

 

[No.2]

 

わたしの せかいでは むりだった

 

だが このせかいなら どうだろう

 

ニンゲンでも モンスターでもない

 

ちりにならない モンスター

 

ケツイの うつわに ふさわしい

 

この おおきな クモにしよう

 

……ほう

 

きおくは ちかくにあった タマシイ

 

ニンゲンのような きおくをもった モンスターのタマシイ

 

それから せっしゅしたようだ

 

[No.3]

 

このせかいは じつに きょうみぶかい

 

タマシイを なんども なんども……

 

そして つよい ちからを つかえる

 

しご これを かいしゅうしている

 

なんのために?

 

……

 

ほしの さいせい か

 

やはり きょうみぶかい

 

システムと よばれている このまじゅつは

 

[No.4]

 

ケツイ

 

それは あかの タマシイ

 

あかの いろを もったならば

 

かんじょうを もてるらしい

 

これを タマシイのインク とよぶ

 

……

 

そして モンスターは おもいやり

 

モンスターの からだは やさしさで できている

 

しろい タマシイ

 

それは やさしさの タマシイ

 

あのクモは ケツイと やさしさを てにいれた

 

いちじてきに だが

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。