謙譲?
えーっと……。
魂を消費して神の力を得るのか。
あれ、これ私ならノーダメージじゃない?
魂を無限に増やせるってことは、燃料が無限ってこと。
わぁー、とんでもないスキル入手しちゃった。
常時発動しておくなんてこともできる。
うん、魂の消費は微々たるものだね。
数分で魂一個が消費される程度。
これからは謙譲用の魂を大量に用意しておこう。
とりあえず数万くらい。
これで滅多な事では作業してる魂が消費されない。
というか魂を増やして作業してを繰り返してるから無くなる未来が見えない。
私の魂の量、軽く十万超えてるからね。
外に放った魂のことを考えるともっといてもおかしくない。
普通の人なら耐えられずに発狂すると思う。
でも私はどんな犠牲を払ってでも蜘蛛子さんを助ける。
いや、正確には蜘蛛子さん以外の犠牲。
特に私の命なんてあってないようなもの。
死ぬっていう感覚が分からなくなるほどに。
魂がダメージを肩代わりして変換してしまえば、HPが0になっても生き残れるんだもの。
それ用の魂がもう数えきれないくらいいる。
特に凝縮深淵魔法実験くらいから増えた。
あの実験は危険だからねー。一体何体の私が死んだんだろ?
ま、そんなどうでもいいことは置いとこう。
結論としては、ケツイがあればなんでもできるってことだね。
……お腹減った。
飽食が暴食に進化してからか、とにかくお腹減った。
禁忌がLV5から7になったのもこれのせい。
多分空腹とかそんな感じのデメリットなんだろう。
私は定期的に蜘蛛子さんの糸を食べてお腹を満たしてる。
不思議なことに、蜘蛛子さんの糸なら空腹を満たせるんだよねー。
……うー、おー。
今なら蜘蛛子さんは寝てる。
足の一本くらいなら食べてもいいよね?
うんうん、奇跡魔法があるし問題ナシ。
念の為私の魂が痛覚を肩代わりしよう。
いただきます。
……ッ!
なんという満足感!
幸せ!私今幸せ!
《条件を満たしました。称号「血縁喰ライ」を獲得しました》
《称号「血縁喰ライ」の効果により、スキル「外道魔法LV1」「禁忌LV1」を獲得しました》
《「外道魔法LV1」が「魔神」に統合されました》
《「禁忌LV1」が「禁忌LV9」に統合されました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「禁忌LV9」が「禁忌LV10」になりました》
《条件を満たしました。禁忌の効果を効果を発動します。情報をインストール中です》
そんな私に不快感の塊が襲う。
もー、いま楽しんでるところだったのに。
頭が割れるような不快感。
と言いたいところだけど、多重魂魄がある私には気絶ってほぼ意味がないんだよね。
痛覚無効、気絶無効等々無効化する手段は色々あるし。
だから、ただただ不快なだけ。
不快という感情も正直感じてるのかわからない。
あー……。
《インストールが完了しました》
……。
禁忌、禁忌ね。
うん、確かに禁忌だね。
はぁー。
くっだらない。
実に下らない。
世界の命運?MAエネルギー?
『贖え』
面倒くさ。
暫定転生者の私にそんなものを押し付けないでほしい。
どうするよ?
人類皆殺しにする?
あー、でも管理者ギュリエディストディエスにぶち殺されそう。
『贖え』
どうしよっかなー。
ギュリエディストディエス……長いからギュリギュリでいいや。
真なる龍に勝てる訳ないでしょうが。
システム内の龍結界でさえ結構強いのにさ。
まだシステムに縛られている私が管理者に勝てるはずも無い。
詰んでる。本当にこの世界詰んでる。
『贖え』
うん、嫌だ☆
『贖え』
うるさいなー。
わかったわかった、とでも言うと思ったか。
はい思念をシャットダウン。
それじゃあ禁忌メニューを読んでいきましょう。
ほうほう、文字がびっしり。
簡単な説明で大体理解したけど、これからは無理そう。
あれ?この転生履歴は何も書いてないんだけど?
どゆこと?私転生者では?
うーむ。とりあえず常に視界に「禁忌」の文字があるの面倒だからシャットダウン。
禁忌という文字を消す。
いや私が意図的に意識から外しただけなんだけどね。
これくらいできないと多重人格なってやってられないよ。
ていうかもう全部読み終えちゃったよ。
『……おはよう』
あ、蜘蛛子さんおはよう。
やっぱり蜘蛛子さんも禁忌カンストさせた?
『うん、気分悪い。Dめ、どうしてこんな世界に転生させた!』
私はもう全部読んだよ。
え?特殊項目n%I=W?
なにそれ知らない。
転生者にだけある特殊スキル?
……無いんだけど。
…………じゃあ、私は、なんなの?
下層で暴れ回った。
それはもう鬱憤を晴らすがごとく。
蜘蛛子さんはそうだった。
私は……ギュリギュリに勝つために。
私は蜘蛛子さんの従僕、それ以外に意味などない。
前世の記憶があって、転生履歴が真っ白なのに転生者じゃないとか意味わかんない。
けど、私はもう自分が存在する意味を知ってる。
蜘蛛子さんに尽くす。
なら何も関係ない。
下層にもエルロータニシムシを放っておいた。
クイーンタニシムシっていう種族を五匹ほど。
名前はそれぞれタニシングル、タニダブル、タニトリプル、タニクアドラ、タニクインテ。
いちおう腐蝕無効と腐蝕攻撃を持ち併せてるやべー種だよ。
特に味が美味い。
前冒険者から頂戴したクリクタの実より美味くなってる。
まあとにかく君たち、頑張ってくれたまえ。
ということでさようなら。
いい感じに仲間を増やすんだぞ!
蜘蛛子さんはそのころ地龍アラバに見惚れてた。
……。
《熟練度が一定に達しました。スキル「激怒LV3」が「激怒LV4」になりました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「妬心LV2」が「妬心LV3」になりました》
はっ……いけない。
ついアラバに殺意を抱いちゃった。
それにしても、あのエルローバラギッシュと戦えるのか。
エルローバラギッシュなら蛇の養殖場で数十匹見たことあるからあんまり貴重じゃないけどね。
あれくらいならレッドがゴリ押しするだけで勝てる。
アラバには避けられてカウンターを喰らってやられると思うけど。
すごいなーアラバ。
魂を全部喰らいつくして経験を奪いたいくらいだね。
あれどうやって勝つの?
その後も蜘蛛子さんはレベル上げに勤しんでいた。
この前はアークタラテクトが攻めてきたけど、蜘蛛子さんの「サウナにご招待」と火炎無効持ちの地龍ブラザーズでボコボコにしてあげた。
この地龍ブラザーズ、最近ではスキルの量も多くなってきたんだよね。
私の魂を貸し与えてるから成長速度も速い。
最近は私の魔法攻撃を当てて無効獲得チキンレースをしてる。
おかげで大地無効だけじゃなく、火炎無効に水流無効、暴風無効に状態異常無効にエトセトラ。
もはや地龍とは呼べなくなった。
種族名も龍王になってる。
最近はマグマで整うのが趣味らしい。
蜘蛛子さんは三匹の威圧感にビビってたけど、私が躾けてあるから大丈夫だよー。
そして蜘蛛軍団は私達の餌になりましたとさ。
備えあれば憂いなし!