晴れ渡る空。
緑の大地。
いやー、外の空気が美味しいね。
ちょっと塵が舞ってるけど。
うん、蜘蛛子さんに弓矢を撃ってきた不届き者がいたんだけど、勝手に激怒が発動して殺しちゃったんだよね。
砦ごと。
そりゃあ私みたいな危険な魔物が出てこないように砦建てるよねー。
いま私が消し炭にしたけど。
私は思ってたより強くなってたのかもしれない。
そりゃ全ステータスカンスト数値にいったけどさ。
謙譲を発動させたら、私に眠っているカンスト以上の数値がこんにちはしてくる。
もう並みの神では勝てないんじゃない?
ギュリギュリと一度戦ってみたいよね。
きっと龍だし強いんでしょう。
たとえ私が魔法を無効化する結界を無効化する魔法を生み出していたとしても。
驚くことに、虚空魔法って防御力無効なんだよねー。
たとえ鱗があっても結界を張っていても貫通する。
物理的な壁でさえ意味を成さない。
なんてったって、虚空なんだから。
ありとあらゆるものをマイナス方向に加速させる魔法。
いや、この場合は魔術って言うんだっけ?
この魔術は、プラス方向に加速させて相殺するしかない。
攻撃は最大の防御ってね。
まあ、魂一つ消費して撃たれる魔術を並のプラスじゃ打ち消せないと思う。
できるならDくらいじゃないかな。
それでも私は一億の魂をDに当ててやる覚悟あるけど。
流石に一億あれば倒せるでしょ。
いや……無理かなー。
さて、外に出たはいいんだけど、これからどうするの?
隣に山があるし、山の幸でも食べに行こ。
クリクタの実とかあるかな?
ーーーーーーーーーー
諸君、いい感じかね?
『おー、蜘蛛子さんの為にできることは大体やったよー!』
『女神教とかいう宗教があったから、蜘蛛子さんを信仰する宗教に変えてやったぜ!』
私はルシファー。
行動担当から別れた分体である。
元気にしてるかな、蜘蛛子さん。
この大陸に来てすぐ、私達は人間社会に侵食を開始した。
全員に肉体を与え、いい感じに七人のボス的な存在ができたからね。
準備も整ったし、蜘蛛子さんを不老不死にする研究を進めることに。
その為には私達だけじゃない手駒……もとい新種族が必要だ。
その辺から取ってきた魔物の遺伝子を解析、改造、培養し、新たな種族を作った。
色々いるけど、例えばドワーフ。
その辺にいたデカいセミの遺伝子とか、地龍の死骸から取った遺伝子とか、土精とかいう奴の遺伝子とかをこねくり回してできた。
人間の遺伝子もいれたから、人型ではある。
地龍の影響なのか土に強いし、土精の影響なのか褐色だ。
ちなみに背は小さい。
なんかドワーフに似てたからとりあえずドワーフって名付けた。
他にもいっぱいいるよ。
人間の遺伝子をベースにして魔物の遺伝子を混ぜ、獣の耳と尻尾、特徴を持つ種族。
名付けて獣人とか。
鼠、牛、虎、兎、馬、羊、鳥、犬、猪等。
猫、獅子、鹿、狐、栗鼠、蝙蝠、蜥蜴、蛇等々。
龍の遺伝子を強く埋め込んだ龍人もいる。
結構簡単に新種族作成できた。
魔術を紐解いていくと、特殊な種族になれる魔術なんてものもあったしね。
それは吸血鬼。
日光に当たったら死ぬなんて失敗作にもほどがあるけど。
さて……次次。魔物の因子以外で上手くいった例は植物の遺伝子を組み込んだ樹人。
緑色の肌、光合成できる肉体。
でも、不死ではない。
こんなんじゃ駄目だと落ち込んだ。
そういえば、体が大きければ寿命が長いって聞いたことある。
そう思って、大きさは力だという感じで鬼を作った。
鬼人の因子が色濃く出てるね。
二メートルはあるんじゃない?
でもなー、これじゃない。
まだ不死じゃない。
ここまで来ると、もう研究は止まってしまった。
時間が足りない。
時間は万人に平等なもの。
これ以上無駄な研究に時間を費やす訳にはいかない。
でも、時間を遅らせる結界の情報が本体との連絡用私によって齎された。
その結界のおかげで、新たな研究ができるようにはなった。
魂がボロボロになってる……というか魂の欠片みたいなのがシステムに漂ってたから、拾って相性の良さそうな種族を器にして入れる研究。
これが意外と役に立つ。
吸血鬼に入れてみたら、まさかの自我を獲得した。
そして自動で真祖の称号を獲得し、弱点を無くしたみたいだ。
この魂……フォドゥーイによって、真祖という称号を複製できるようになったのだから。
他にも、熊の獣人に魂を入れたら、自動的に熊人とでも言うべき姿になった実験体もいる。
なんか憤怒に侵された魂みたいな挙動をしてたから、私の魂で浄化してあげた。
その熊は獣王と名乗る。
どうやらフォドゥーイを知っているようだったので、二人だけで話す時間を作ってあげた。
優しいよね、私。
さて次。樹人に魂を入れてみた実験だね。
ゴブリンみたいな外見の少年になった。
その少年もまた自我持ちで、ゴブという名前らしい。
獣王とは友人?家族?のようで、再会に歓喜していた。
良かったねー。
龍人に魂入れてみたら自我持ちだったり、鬼に魂入れてみたら自我持ちだったり、この世界って自我持ちしかいないの!?って言いたくなるくらい多かった。
皆仲良くやってるよ。
この実験体達は本当に役に立ってくれた。
MAエネルギーを使用してこの星を破滅に導いた元凶、ポティマス・ハァイフェナス。
そいつの実験で生み出されたキメラだということを教えてくれたのだから。
禁忌を見ても情報は完璧ではないし助かったよ。
ポティマス・ハァイフェナスはエルフという種族らしい。
だったらちょうど良いと思い、ドワーフを人族領域へ放った。
ドワーフならエルフと敵対していてもおかしくはない。
この亜人の国と人族領域を繋げる転移陣は、私の許可なしには入れないようにしてある。
空間魔法なら時間遅延空間を作った経験もあるし、許可制は普通にできた。
ちなみに我が国は日本語だよ。
世間では亜人語ってことにしてる。
普通にこの世界の言語も話せるけどね。
後はどうやって人族に取り入るかだけど……。
ふふ、エルフの行動はとても効率的だね。
エルフの行動を真似てみると、あら不思議信用を得られました。
色欲の効果も合わさって、田舎でも「ああ、亜人ね」と呼ばれるくらいになった。
ポティマスは、自分の計画がことごとく潰され、私の益になっていたのを知るとどう思うだろう?
あいつのやったことはとても不老不死の研究において参考になった。
だからこそ、蜘蛛子さんの障害は取り除かなくてはいけない。
ということで開発した種族がダークエルフ。
本当に世界平和を信じてる哀れな連中を、ささっとダークエルフにした。
排他主義ではない例外のエルフをハイダークエルフに。
それ以外の哀れなエルフをダークエルフに。
機械を使ってるやつは危険だからまだやってない。
肌の色は特に変わらない。
でも、ポティマスの支配を受けなくなる効果がある。
ポティマス、どんな顔するかなぁ。
いつの間にか自分の駒すべてが裏返って、首元に突きつけられているのに気付いた時に……ね。
ポティマスは天才だ。勿論天災でもある。
アイツが考えたMAエネルギー進化論というのは、人間を次のステージへ進化させることができた。
ならば、私でそれをやってみたらどうだろう?
MAエネルギーという、星の生命力。
それは、とてつもない力を秘めていそうだ。
勿論、この星から取る訳ではない。
別の星から取ってくるよ。
流石にその辺の分別ついてる。
とりあえず遠い恒星に飛ぶよ。
目視できるなら転移できるし。
システムの恩恵は受けられなくなるけど、虚空魔術さえ使えればなんとかなる。
恒星ほどのエネルギーを全て使えば、一体どうなってしまうんだろうか。
適当な恒星へ転移。
システムとの繋がりが無くなった気がするけど、まあ大した損失ではなかった。
とりあえずMAエネルギーの採取を開始。
私が進化するのは先にして、これを使って新たな種族でも生み出してみようか?
大体溜まってきた頃、こちらに高速で向かってくる何かが見えた。
あれは何だろう?
「対象を確認、排除します」
羽と光輪があるし、天使ってやつかな。
天使のエネルギーか……。
いい実験材料になりそうだ。
虚空魔術を放つ。
たったそれだけで、天使は灰燼と帰した。
なーんだ、この程度か。
勿論エネルギーは回収するよ。
さて、天使がいるなら悪魔がいてもおかしくないよね。
今採取しているMAエネルギーの一部で悪魔を召喚してみよう。
魔方陣を描いて生贄を捧げればなんとかなるでしょ。
ほい召喚。
生贄は私の魂だね。
まー数十個くらい。
「貴様が我を呼び出したのか……。願いは何だ?」
うーん、実に偉そうなやつが現れた。
ここで答えることなんて一つでしょ。
それにしても興味深い。
君は理解していないようだね。
そもそも、いつ私に命令できる立場だと思ったのかな?
「それじゃあ、君のタマシイをいただこうか=)」
それに警戒して攻撃を仕掛けようとする悪魔。
その攻撃は真なる龍の結界を再現したもので防ぐ。
そして、暴食のスキルを見るだけで発動できるようにした、暴食の邪眼で全てのエネルギーを喰らいつくした。
悪魔もこの程度か。
この二種類のエネルギーは有効活用させてもらう。
これで新しい種族を作るよ!
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果物美味ー。
……あれ?
なんか揺れた?
それに変な予感がする。
私の分体、何してるかなー。